2018年07月03日

UNDER THE DOG jumbled

[65点]@新宿バルト9

 「ストレンヂア」の安藤真裕監督が、キックスターターで資金を集めて作ったオリジナルアニメーション。女子高生が制服着たままアクションする、Blood-C 系の欧米ウィーブーのみなさんが好きそうな内容で、ヒロインのデザインがモロに serial experiments lain。

 今回公開されたのは30分もので、「第1話」の体裁を取ってて、その内容が、「美少女転校生が平凡な僕を非日常の世界に導いてくれる」……という、そこらの厨二さんたちが過去何万回妄想したかわからないシチュエーション。……を、終盤完膚無きまでにぶっ壊す、甘さのかけらもないエグいストーリーでした。
 とはいえ、その「壊す」まで含めても、妄想された回数が何千回とありそうな、ありがちな話には違いありません。平凡すぎて企画が通らなかったから、キックスターターに頼ったように見えます。しかしながら、それをプロの作品たらしめるのは、リアル指向でありながら派手さを失わず、むしろ高めてゆくミリタリー描写。これは秀逸です。
 ……もっとも、それも終盤でひっくり返して妄想系能力バトルぽくなっちゃうのはどうなんでしょう。個人的には好きだけど、大味になる未来しか見えません。

 で、これ30分作品なので、どうにか上映時間を水増ししようとあれやこれややってらっしゃるのですが、これがまあヒドいもんで、「魔法使いの嫁」よりはマシ、というレベル。
 特に中盤の「念仏」はどうにかならなかったのか。隣の席の人が熟睡してたぞ。あんな「イメージ映像」流すくらいなら、単に瀬戸麻沙美の朗読だけとか、差し挟まれる銃の解体だけを映した方が、まだ作品のイメージが喚起されたと思いますね。

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2018年06月26日

短評(ダークサイド/マッドダディ)


 なぜかシネマート新宿が、2週連続でニコケイの新作を公開するという、オレ歓喜なスケジュールを組んでくれましたので、まとめてドン。


ダークサイド
[40点]@シネマート新宿
 ニコケイが新たにオーナーになったモーテルは客室を覗ける仕様になってて、やばいモン見ちゃいましたという話で、エロゲーなら類似のシチュが日本に何本あるかわからんくらいの定番でした。で、「怪しいポイント」を大量に匂わせて目だけは引くので時間つぶしにはなるものの、匂わせただけで全部ぶん投げて終わる、クッソ安いB級サスペンスでした。
 要するにアレ、常連のトミーも含めて「シェリフ公認なので、どんなやばいプレイでも、人死に出てすら揉み消しOKな町民共有のヤリ部屋」なワケね。そんならなぜ(ベンが何も伝えてないと確信した時点で)まずオーナーに話を通さないのか理解に苦しみますが。
 定番ものにしても、もう少し頭を使って欲しい作品にみえます。「我が名は狼」のペンションたかなしを見習えって話ですわ(何十年前だよ?!)。



マッド・ダディ
[70点]@シネマート新宿
 本命はこっち。ゴーストライダー2」のブライアン・テイラー監督が、再びタッグを組んで、期待通りに頭おかしいニコケイをモノにした快作。ニコケイ、ここ10年で一番面白い撮影だったと言ったとか何とか。

 どだいハリウッドさんちの「家族絶対主義」はいいかげん辟易する域にあって、理想の家族のロールモデルをこれでもかと押しつけてきてて、実際ニコラス・ケイジだって、そういう「よき理想の父親」を何度も何度も演じてきるわけですよ。「ペイ・ザ・ゴースト」とか「ダブル・フェイス」みたいなクソ映画で。
 けど、そんな理想の家族なんて現実にあるわけなく、家庭問題抱えまくりのニコケイ本人を含めどんな家族も悩みを抱えてるのに、まるで悩みなど存在しないかのような、あるいはドラマチックに解決してしまうような、そんな幻想をさんざんに植え付けてきたところへ、コレだ。

 「我が子を殺したくなる奇病が蔓延しました」それだけ! ホントにそれだけのアイディア一点勝負もの。
 それも、序盤こそ状況説明のためパンデミックもの風に見せかけているけど、中盤以降は、ニコラス・ケイジ(とセルマ・ブレアの夫婦)が、ひたすら子供らを殺しにかかるだけの構成です。一昔前のホームドラマや家庭向けコマーシャルを意識しているのであろう構図やオブジェクトで画面が作り込まれる中、やっているのは「コロスブチコロス」だけという、まぁ、うん、もう乾いた笑いしか出てこねぇよ。
 何しろニコケイときたらあののっぺり顔ですから、「家族を愛してる」と「殺したい」とに、見た目に差がありません。それが怖いし、より狂気感が増すわけで、これはベスト配役だったといえましょう。
 そんで、音楽にクセがありすぎて秀逸なので必聴。

 惜しむらくは、「殺害&反撃手段」にいまいちアイディアが足りず、オチも面白いけど弱いです。もう少し「家」という構造物全体を立体的に駆使した、「ホーム・アローン」的な展開を見たかったと思います。
 あと、「ここから盛り上がるんだろ!?」というタイミングでいちいち水を差してくる回想シーンも残念です。「家族ものに対する皮肉」という意味で必要なのはわかりますが、前半と後半できっちり色が変わる構成にしているのだから、そういうのは全部前半に押し込んだ方がよかったのではないでしょうか。


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2018年06月18日

ニンジャバットマン

[80点]@新宿ピカデリー

 素晴らしい。
全編にわたって頭おかしい(超絶誉め言葉)。

 最低限の状況説明だけでさっさと全キャラを日本の戦国時代にぶっ込み、バットモービルとかバットウィングとか「普通のバットマン」を少しやって現代テクノロジーを消費した後は、……ホント語彙が見つからない凄さと馬鹿馬鹿しさ。
 とりあえず、「確かに戦国時代」「確かにアメコミ」「超スタイリッシュ」なんだけど「アニメの演出総動員」で、ありえねーしっちゃかめっちゃかな、アメコミとアニメが融合して確変起こした何かができあがってます。
 個人的には、「合体ロボ」はちょっとアニメに寄せすぎな気がしてますが、日本のクリエイターがブレーキかけなかったらあぁなるんだよな。しかたないしかたない。

 ヒーロー・ヴィランともにDCのキャラがかなりの数登場するので、友人は「アメコミ入門編としてよいのではないか」と言っていましたが、「入門」ならばふつう、冒頭にいきなりゴリラ出さないと思います。
 あと、僕はキャットウーマンはハル・ベリー版しか知らなくて、あんなにキュートに描かれたのはちょっと驚き。ドラえもん鈴が超可愛い。ゲゲゲの猫娘と共演させたい。


 少なくとも、最近の「ウジウジ悩む」ヒーローに辟易してるメリケンの人たちにこそ、この懐かしいタイプの痛快なバットマン像を堪能していただきたい……のだけど、これアメリカでは配信のみで劇場公開されてないという話なのがもったいないですね。
 (キャラ設定が60年代オリジナル準拠っぽく、「黒人キャラがいない」のがポリコレ的にヤバいんじゃないかという気がします。もしそうだとしたらものすごくもったいないんで、グローバル展開をする作品にしたければ、日本人もそれくらいの作法は知っておけと思いますね。)

 ともあれ、「vs鷹の爪団」に続くアニメ展開、DC&ワーナーはもしかして社運を日本に賭けたのか? とすら思わされる衝撃の作品ですので、もっと盛り上がって欲しいと心底思います。

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2018年06月15日

短評(バーフバリ完全版/リディバイダー/30年後の同窓会)


バーフバリ -王の凱旋 完全版-
[評価済]@キネカ大森
 ジャイ! マヒシュマティ!(挨拶)
 先の公開バージョン(インターナショナル版)より28分長いオリジナルバージョンがいよいよ公開。監督が、「まったく別物」とコメントしたそうですが、確かに、把握できた追加シーン・エンドロールを足しても28分も増えた感じはないので、インターナショナル版の方がテンポ重視・主人公の活躍重視で、ほどよく刈り込まれている印象です。
 あと、「バリバリバリラーバリ」で始まると思っていた歌は、実は「歌の途中」なのね。この完全版では歌の最初から始まるケースが多く、あまりバリバリラーバリしません。総じてインターナショナル版の方がアツいのではと思いました。

 最後に出てくるマークは「ラージャマウリ監督印」だったのか……でもあそこでバーフバリコールできたら、気持ちよかろうなと思います。




リディバイダー
[60点]@シネマカリテ
 エネルギー問題解消のため、現実世界Aのコピーたる鏡面世界Bを作り出し、その世界の質量をそのままエネルギー化するというプロジェクト。その過程で生物はコピーされないはずだった。エネルギーの入手に必要な最後の処置をすべく世界Bに送り込まれた主人公は、実際はまるっきり同じ世界がコピーされ両方の世界に同じ人間がいる事態を知る。かつ世界の接続によって世界Bには異常事態が起きていた……という内容のSF。

 世界BではPOV、世界Aでの回想は通常の撮影という手法や、タイトルが REDIVIDER、監督も TIM SMIT とクレジットされ、ともに回文になる仕掛けの妙、いろいろなこだわりがあって面白い……のだけど、それだけだな、うん。
 ストーリーがないに等しいのです(世界説明以外は、「目的地」で目的を果たすのに物理的心理的な障害がいろいろ現れるだけ)。この内容なら、「搾取されるBの悲劇」にもう少し言葉が欲しかったし、展開やオチにも何かひとひねり欲しかった……ラストの女上司さん、行動に意味なさすぎて腰砕けですわ。
 それでも、「世界の異常」のワンシチュエーションでひたすら引っ張る豪腕はPOVものとして出色なので、この手のトリッキーSFに興味があれば。



30年後の同窓会
[65点]@TOHOシネマズ川崎
 今回のリチャード・リンクレイター監督は重い! 重たい! 本作は、過去の映画の「続編」で、その作品では「エブリバディ・ウォンツ・サム」並みにハメを外す若い軍人たちの姿が活写されているらしいのですよ。しかし、リンクレイター監督がその「30年後」に、スティーブ・カレル/ローレンス・フィッシュバーン/ブライアン・クランストン(トランボの人か!)を配した退役軍人たちに旅をさせて総括するのは、アメリカという国家そのもの。名優の自然体演技かつ軽妙なセリフ回しの中に、「どの世代も戦争をしてきた」アメリカを、かなりの直球で映しとっていきます。

 「告発のとき」で、ポール・ハギス監督が目をそらしたところを真っ正面から捉え、世代を越えて戦地に赴くアメリカの正義、偽善、そしてそのどちらにも結びつくプライド。ほとんど「アメリカ人同士の会話」で紡がれるのでしんどくはありますが、実に骨太な「アメリカ映画」です。

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2018年06月07日

いつだってやめられる 10人の怒れる教授たち

[70点]@文化村ル・シネマ

 「皆はこう呼んだ、鋼鉄ジーグ」同様、欧州不況以降の世相を踏まえて作られた、イタリアのコメディ。不況の煽りで失業した大学教授たちが、専門知識を駆使して闇の世界で活躍する筋立て。
 日本でも、大学の研究予算の削減、ポスドクの就職先のなさが嘆かれて久しく、史上初で飛び級で大学に入った秀才がいまトレーラーの運転手、なぜならその方が給料がいいから、という悲惨なニュースも聞こえてきており、他人事でないシチュエーションです。


 ……べらぼうに面白かったんだけど、この作品は3部作の第2部で、どう考えても第1部を押さえておいた方が面白いタイプの作品で、これでも面白さの半分も受け止めてないように思えてもったいないです。

 本作は、第1部の結果として犯罪者になった彼らが、無罪放免と引き替えに警察と取引し、合法ドラッグの成分とその製造過程を突き止める(成分が明確でないと違法指定できないから)、という内容。
 つまり、「不況によって失業した教授たちの苦境と苦悩」という社会的テーマは、第1部で終わっているんです。でもこの作品、その理解があるかどうかで、面白さが格段に違いそうな気がするんだよなぁ。初見でメインキャラが10人というのも多すぎるしね。

 また、主要登場人物全員が学者=オタク設定なので、全員が「ソーシャル・ネットワーク」のジェシー・アイゼンバーグばりの早口です。よく訳せてるなぁと感じるものの、これが多方向から行き交うのも、難易度高い印象を与えてる気がします。
 でも、主人公が7人で進行する第1部の公開はこれからで、ごく小規模だというのです。配給元、頭悪いな……。

 「薬物の組成を突き止める」なんてどマイナーな話が、気持ちいいテンポで積み重なっていくのは凄い快感でした。終盤の貨物列車上の立ち回り、まったくアクションになってないのに、むしろ素人同然であるが故に凄い緊迫感になってたのも素晴らしかった。
 あとコレッティ警部補めっちゃ可愛いかったです! 特に最後の正装! シーンとしては最悪なんですが!



 ところで。2スクリーンしかないのに、視界に入る観客対応スタッフだけで9人いる文化村ル・シネマの恐怖。
 もちろん、美術館とか劇場とか他の施設から、観客が集中する時間に集中して対応できるように融通する文化村の采配なんだろうけど、他の館の人が見たら号泣ものだろアレ……発券が混み出すとコンセッションに人が回らなくなるシネリーブル池袋とか……。


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2018年06月04日

短評(ヤマト2202-5/デップー2/50回目のファーストキス2018)


宇宙戦艦ヤマト2202 愛の戦士たち -第五章・煉獄編-
[50点]@TOHOシネマズ上野
 第一章第二章第三章第四章
 えーと。個人的には好みであった「愛」な話は前回で終了。何のためにテレサに会いに行ったのかよくわからん有様。
 そしてよもやの「デスラーいい人化計画」で前半びっちり引っ張られて腰が砕け、その後の戦闘も、ハッタリ効いたデカさはあるもののおよそ大味。「インフェルノカノン」なるガトランティス側の反撃が「おのれ」のひとことで終わったの、ありゃなんのギャグだ。
 総じて、もはやとどめようもなくグダグダ。友人によれば、「回を追うごとに『復活篇』になっている」そうな。



デッドプール2
[70点]@ユナイテッドシネマアクアシティお台場
 前作とは逆に、尻上がりに中身を濃くしていくデキで、総じて面白かったです。
 ただアクションは全体的に前作よりぬるめの印象で、かつ前半から中盤にかけてのマジにサゲてしまう物語を、かなりのご都合主義込みで組み立てていくのは、デッドプールさんのノリが上滑りする印象でした。終盤のような、盛り上げるためのご都合主義はいいんですけど(エンドロール後のあれはやり過ぎな気がしますが)。
 それにアレが「ファミリーです」というのはどうもなぁ……中盤の「仲間」をブチ殺しといてよくもぬけぬけと。ケーブルさんの扱いがうまいので、彼から言い出す展開にすればよかったのに。

 あと、インド人運ちゃんが再登場したのはいいですが、前作で彼女取られたか何かあったはずで、そこらへんの深堀がいっさいないのはどうかと思いました。逆に忽那汐里は何の活躍もしてませんが、アレ、ウルヴァリン・サムライのキャラかっぱらってきてやったぜ! と言いたいだけなんですねつまり。



50回目のファーストキス(2018)
[60点]@立川シネマシティ
 ワーナーじゃなく日テレ&ソニーコロムビアという組み合わせですから「銀魂」が売れたご褒美というわけではなさそうですが、あの福田雄一監督をしてハワイロケを敢行した、アダム・サンドラー&ドリュー・バリモアを山田孝之&長澤まさみに置換したリメイク。原作古すぎて忘れてるので、あまり比較せず、まっさらな気分で。

 薔薇色のブー子を見た人はわかってると思うけど、福田監督は、単純に「顔を突き合わせて会話」というシーンを撮るのがド下手です。なのでロマコメとかふつうに無理だと思うんですが、誰だこの企画通したの。
 本作も「最初のファーストキス」のシーンが、素人ドキュメンタリーみたいな絵面でまったく感動しません。また、本作の場合キスより重要な見せ場である「初めて星空を見せる」シーンが、合成のうえ照明てらてら当てまくりのクソ仕様。

 それでも、もはや笑いを取るスキルに関しては日本随一の山田孝之に、想像以上にアダム・サンドラーの雰囲気が漂っていて存在感があり、長澤まさみのコメディエンヌっぷりも軽快で、このカップルを見てるだけで画面が保っています。個人的にはそんなに悪くなかったです。
 変にお涙頂戴なところはないので、これくらい軽いノリの方がデートムービーには向くんではないでしょうか。

 逆に、個人的には、佐藤二朗の父と筋肉ホモな弟との掛け合いは全部クソで最悪だったのですが、場内がいちばんウケてたのがそこでした。世間一般的な感性ではあれが正しいのか。映画界、辛いな。

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2018年05月30日

犬ヶ島

[50点]ユナイテッドシネマ豊洲

 「ファンタスティック Mr.FOX」以来の、ウェス・アンダーソン監督のストップモーションアニメ。日本をフィーチャーしてるってことで、それなりに期待値高かったし、ビジュアルは確かによかったんですが……。

 いやもうビックリするほどつまんなかった。

 第一に、ここで描かれる「日本」は、日本人にとってむしろツラいのです。「犬の会話」以外のほぼすべてのシーンで、書文字・セリフともに日本語と英語の二重化がなされており、海外の人にはデザインやノイズに過ぎない字・発音を、日本人は「情報」ととらえるため、情報量過多になってしまっているのです。しかもその日本語セリフをしゃべるキャラは、微妙にネイティブでない人が多いようで聞き取りづらい!
 これに加えて、「説明はほぼ全部セリフ」「時系列をやたら切り刻む」という映画における一般的にまずい部分が重なると、情報を咀嚼するだけで精一杯なのです(字幕で見たんだけど、アレ吹き替えだとどうなってるんだろう……)。

 ただでさえそこが辛いのに、アンダーソン監督は、このエセ日本ビジュアルを作り込んだ時点でもう満足したか気力が尽きたとみえて、それ以上には持ち味のエキセントリックな作風が出ていません。
 もともとエモいストーリーテリングが得意な人でないとはいえ、さすがに感情移入のフックが少なすぎるし、アタリ・チーフ・スポッツ・市長の4キャラ以外はストーリー上は不要で、むしろ円滑な進行を邪魔しまくるってのはちょっとまずいでしょう。特にトレーシー何しに出てきたのアレ? 日本は外圧でしか変われないってイヤミ?
 「兄弟」の役割移管だけはちょっとよかったですが。

 そして、最後のオチがひどい。
 「不正選挙で当選した市長が死んだらその権限が世襲で委譲された結果ハッピーエンド」、というのは、さすがに現代日本人として抗議したいレベル。

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2018年05月28日

モリのいる場所

[75点]@シネリーブル池袋

 沖田修一監督の新作。晩年をほぼ自宅とその庭だけで過ごしたという昭和の芸術家熊谷守一の日常を描く作品。

 冒頭1シーンに「誰」が映っているかわかるかどうかって時点で、40代以下お断り。以前から「老人映画」がもっとあるべきだと主張してますが、沖田監督が沖田節全開でそれを撮り切ると、とりわけスローテンポで話が進むこういう老成をするんですな。
 よく最近の日本映画は、「半径5メートルの関係性しか描かない」と揶揄されるけれど、本当に半径5メートルで生きた人生を、腹を決めて腰を据えて撮り切ると、映画ってこんなにも豊饒になるのですよ。

 何しろ、いま老爺役をやらせたら右に出る者がない山崎努(もともと熊谷守一のファンだったという山崎努が、キツツキと雨に出演した縁で、沖田監督に撮ってみないかと持ちかけたのだそうで)と、老婆役をやらせたら右に出る者がない樹木希林が、奇跡のごとき夫婦役。意外にもこれが初共演なのだそうです。
 庭を練り歩き、地面に這いつくばり、木々や虫を面白そうに眺めて暮らす仙人のごとき山崎努。妻たる樹木希林を筆頭に、周囲の人々が、彼と「常識・世間」の間をうまーいこと取り持ち、「常識・世間」は煙に巻かれる、そのなんともいえぬおかしさ。
 唐突なドリフがいいアクセント。これも40代以下お断り!

 最後のファンタジーな演出はちょっと蛇足な感じがしました。「ファンタジーさ」よりも、そこで提示される結論を「言葉にする必要がない」という意味で。
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2018年05月25日

ランペイジ 巨獣大乱闘

[前半50点][後半80点]@チネチッタ

 わはははは。いやあ、爽快。

 似たシチュエーションながら、「キングコング」以上に人間がバカでザコな作品です。かの作品はその点がテーマっぽくなってて、人間の弱さに意味がありましたが、本作は違います。ただただ、人間がクソでカスでアホで無能で虫ケラ同然なのです。もう笑うしかねえ。……いやまぁ原作ゲームからしてそういうノリなんだけど。「キング・オブ・ザ・モンスターズ」とかもやったっけなぁ。

 ただし、ドウェイン・ジョンソンだけは獣側の存在です。そりゃそーだロック様だもん。あの人を、そこらの人間と一緒にしちゃいけない。そこに説得力がありすぎるのも素晴らしい。


 ひたすら人間側のクソでザコい芝居を見せられる前半は、ちょっとぬるいです。ていうか、前半でいろいろネタ振りしてくれたキャラ群が、後半には登場すらしないのも、人間がいかに役に立たないかというクソザコっぷりの一環として描写してるんだと思います。
 面白くなるのはシカゴ市街地に入ってから。クライマックスの四大怪獣大乱闘はもはや感動すら覚える域です(三大の間違い? いやいや、だからロック様は怪獣の側だってば)。何も言わんと頭空っぽにして口ぽかーんと開けて、怪獣プロレスを堪能してください、そういう映画です。

 なお、吹き替え版で鑑賞。若本規夫が若本規夫であるというだけで、人類のお間抜け感が強調されるナイスキャスティング。
 あと「雪崩に乗るようなもんだ。わかるな?」からの「全然わかんない!」がすばらしかったです。


 ……それにしてもあのワニ、どうやってメキシコ湾からシカゴに移動したんだ? と思ったら、ミシシッピ川って支流がシカゴのすぐそばまで来てて、運河で五大湖と繋がってるのか! これは初めて知りました。

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2018年05月24日

仮面ライダーアマゾンズ THE MOVIE 最後ノ審判

[65点]@新宿バルト9

 いやぁ……まずこの作品について言っとかなきゃいけないことはね……。
 この作品のテレビシリーズはもともと「大人向け」で企画されててね……最重要の設定が「食人」でね……グロ・残酷描写がキツいってんで、Season2は地上波放送すらされず、自分も総集編劇場版「輪廻」で補完したんですよ。

 その劇場版が、なんでレーティングG(全年齢対象)なんですか?

 よっぽど抑えて興醒めなモンになってんのかなぁと高くくってたら、直接的な表現はいちおう避けつつも、テレビ版とあまりノリは変わってませんでした。アツく激しいストーリーは、僕にとってはよかったですけど、つまりアレを「仮面ライダーの新作だ」と思って見る子供、見せる親がいる可能性が高いってことですよ。
 トラウマ確実ですよ。マジでレーティング機関って何のためにあるんですか?


 しかも、「ブレイブストーム」「マジンガーZ」と同じく、TOHOシネマズはMX4Dのみ、それも午前〜日中ばかりの上映。ユナイテッドシネマも半数が4DX。イオンシネマシアタス調布に至っては、通常上映のみなのに10時14時16時の3回上映。
 主ターゲットであろう、リーマン層が見られる時間帯の上映の方が少ない有様。ちょっとこれは関係者の見識を疑います。


 見識を疑うといえば、そういう深夜放送or配信オンリーの番組の劇場版をレーティングGやアトラクション上映でやる、つまり「観客の大半は新規顧客」と想定しているにもかかわらず、何の設定説明もあらすじ説明もなしで始めるって馬鹿ですか?
 テレビ版見てた人は、仁さんが登場した瞬間に、あ、仁さんや、なにやっとんねんあんたー! とか思ったろうけど、初見の人は、アレが何のステップも踏まずいきなりアマゾンアルファになるの、絶対ぽかーんとして見てたと思います。



 で、まぁ、内容なんですけど。
 今回は「監修」になってるけど、元々小林靖子のお仕事ですからね、エグいのはもうしゃあない。
 人間の進化形であるはずで、「別の生物」であるアマゾンが、人間に害をなすという理由で駆り尽くされた結果「家畜化」するという、なかなか衝撃の展開。
 屠殺される牛や豚がしゃべれたら何を言うか? という昔からある問題提起を、いろいろ積み上げてきた果てにこういうふうに持ち込まれると、なかなかキツいです。
 そして、69番ちゃんが、屠殺でなく生存を望む理由を、きれいごとだけでなく誰もが納得のいくところに落とし込んだのはうまかったと思います。


 そこらへんはうまかったですが、この作品って演技的には、とかく仁さんひとりの気迫で全部引っ張ってて、それにハルカくんが食らいつくようについていって、どうにかかたちになってた、っていう印象があります。
 仁さんの存在感が圧倒的なので、だからそのパートナーである七羽さんが、悲しくも「メインヒロインにならざるを得なかった」のではないですか。

 だから、ストーリー上も演技力的にも、とりあえず綺麗どころおいときゃいいや、以外の存在理由がなく、クソの役にも立たないまんまの美月なんてさっさと切り捨てるべきだったと思うんですが、最後まででかい顔してたの何なんですかねアレ。
 マモルくんが舞台を去った以上駆除班にも存在理由ないし、「Season2 における駆除班の立ち位置」でしかない4Cも存在理由がない。なのにわざわざ目配せをしなきゃいけなくて、クライマックスにまで割り込んでくるのは邪魔でしかありませんでした。

 最後に「黒幕」を始末する顛末も、そうした目配せの結果でしかないのは残念。「一線を越えたオメガ」に介入させた方がきれいにまとまったと思います。そしてそこで、母ちゃんと何かもう一押しドラマが用意されてて欲しかったです。


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2018年05月21日

短評(ガンダムORIGIN6/ゴジラ決戦機動増殖都市)


機動戦士ガンダム THE ORIGIN VI -誕生 赤い彗星-
[80点]@新宿ピカデリー
 第一章第二章第三章第四章第五章 。
 ようやく完結。面白かったです。
 いきなり、宇宙艦隊戦なのに弾丸の装填すら描き込むような緻密なクライマックスから始まって、そこからファーストにつながるよう完璧にまとめきってきました。……なればこそ、今回ばっかりは、前回と併せて2時間半一本の作品で見たかったと思いますが。
 しかし、本気で平和を希求してたのがデギン公だけというオチは滑稽でありつつ、そうした滑稽さを「戦争」に織り込んでむしろリアリティを上げてくるのが、安彦良和の手際だなぁと思わされます。


GODZILLA 決戦機動増殖都市
[65点]@ヒューマントラストシネマ渋谷
 第一部
 いよいよ虚淵玄が本領発揮で、物語のぶん回し方はめっちゃ好き。花澤さんがまさかちゃんとヒロインするとは。ただ、あのぶん回しを見て、オチは「ゴジラとナノメタルが融合して真メカゴジラになる」だと思ったんだけど、それもしかして次回?
 ひとつ言えるのは、ゴジラは三部作とかにしちゃいけないということ。だって倒せないか倒しても前回みたいなオチになるの確定してるんだもんねぇ。画面の大きさが変わらない以上、そうしたって意味ないのに(特に本作は比較となる構造物がないし)。「増殖都市」の方も「増殖」がうまく映像表現されず(都市そのものがゴジラに襲いかかるようなの想像してた)、「迫力の攻防」という点では劣化した印象です。

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2018年05月16日

モリーズ・ゲーム

[65点]@TOHOシネマズスカラ座

 あえて日比谷でなくスカラ座と書く。

s-TOHOシネマズ日比谷.jpg

 ……ホント、こんな案内をWebに出す時点でこっぱずかしい話ですよね。あの3階にある金かけたエントランス、なんなんだよ。



 さて、ポーカープレイヤー待望の映画。セレブ向け違法ポーカールームの運営に手を染めた女性モリー・ブルームの実話を映画化。

 ……だったんだけど。

 何しろ「ソーシャル・ネットワーク」脚本のアーロン・ソーキン初監督作かつメインプロットが法廷劇ってことで、「モリーと弁護士との会話をめっちゃ饒舌に見せます」という趣向でした。

 ポーカー趣味からの視点でいくと、ハーランがティルトするシーンは面白かったけど、そこまでにテキサスホールデムの手札2枚共通札5枚のルールを説明してないので、知らない人には「ふぅん、そうなんだ」くらいにしかならないと思います。
 ってか、あのシーンだけポーカー実況チックに描写するんなら、ちゃんと勝率まで表示すりゃ、あのシーンでハーランがどれだけ酷い負け方をしたか一目でわかるのに(98%勝てるシーンで残りの2%を引かれている)。

 その他、ソーキン監督的には「アホみたいにカネが飛び交う狂騒(あるいはその中で主人公だけは理性的にクレバーに立ち振る舞うこと)」が描けりゃポーカーでなくてもよかった感があって、「ポーカーは運でなくスキルゲームである」なんてセリフは「アリバイ作り」的な印象しかありません。

 しかしながら、アメリカ映画で「アホみたいにカネが飛び交う狂騒」ってわりとありふれていて、その意味ではむしろ地味で尖ったところはなく、埋没してしまったように思います。

 また、この「モリーズ・ゲーム」という作品が注目を浴びたのは実名暴露があったからで(ハリウッド俳優の「プレイヤーX」=トビー・マグワイア)、映画でそれを晒せなかったのは権利か法律かあちらの事情だと思うんですが、そこらへんのスキャンダラスなイメージにはむしろソーキン監督は抑制的で、あれだ、同様に脚本を担当したスティーブ・ジョブズ」の、「おもしろいけど見たかったのはソレジャナイ」感はここにもありますね。

 せめてヒロインが魅力的なら……と思えど、いやまあジェシカ・チャスティンには十分に魅力があって、体張った演技なさってるんですけど、失礼ながらもう40代の女性に「22歳から12年間」を演じさせるのはいかがなもんでしょうか? いやもう初っ端からトウが立ってて見ててキツかったです。絶対にこれジェニファー・ローレンスの仕事。

 あと、本作は、例によって日本公開側にやる気がない。字幕が見るからに足りてないのはソーキン節だからしかたがないかもだけど、それこそパンフレットで補足してくれ。テキサスホールデムやスポーツ賭博や、それらに対する法制度について一文字も解説がないのはどういう了見だ。

 最後に、ひとつだけ、この作品で「ああ、まったくその通り」と心底膝を打ったセリフがありまして。
 「ロシア人は超ルース」  ……ホント、ヤツらのバクチは頭おかしいんだぜ。 

 

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2018年05月02日

短評(タクシー運転手/アベンジャーズIW)


タクシー運転手 -約束は海を越えて-
[50点]@チネチッタ
 韓国にしては珍しいタイプのバディムービーのような宣伝だったし、実際作り手の意図はそうだったんじゃないかと推察するけど、先に進むほどに例によって「情に訴えるためなら史実どうでもいい」系の、いつもの韓国娯楽アクション歴史映画の様相が色濃くなっていきます。まぁご当地ではその方がウケがいいのでしょうが。
 とりわけ、「封鎖ってなんだっけ」と思わされるラストのカーチェイスはドン引くくらいの蛇足。「軍人は100%悪党」みたいなファンタジー表現をうまく切り返した直後にやらかしたので、ホントに落胆が大きかったです。ここらへん、日本にもよくある「プロデューサーが引っかき回した感」が強いです。
 80年代光州の再現に関してはすごくリキが入ってるのがわかるだけに、非常にもったいない作品に思えます。

 中盤、主人公がいったん帰途につく重要なシーンが、意図はわかるのに、凄く唐突かつ矛盾に満ちていて(アレ封鎖の内側で引き返したってことだよね? なんで電話が繋がってるの?)頭が「?」になったのは字幕のせいでしょうか。「神田外語大」って、オイ……。



アベンジャーズ -インフィニティ・ウォー-
[55点]@MOVIX昭島
 もとからあまり期待はしてませんでした。だっていくら何でも登場人物が多すぎる。あれだけのヒーローたちに、それぞれ見せ場を作って面白く仕立てようとか、無茶にもほどがある。
 で、「残念」とか「がっかり」とかいう感想が漏れ伝わってきたのでさもありなんと思っていたのですが。……全然別の方向でやらかしやがってました。
 数あるヒーローを絡め協調させるという点では、むしろうまいことやってるんですこの作品。複数のヒーロー織り交ぜてのアクションは、相変わらずキレキレですよ。
 問題は、そのうまさが、物語を受け取る悦びにつながらないって点。というかこの話、そもそも「アベンジャーズ」じゃねぇという。
 「スーパーヴィランサノス様」とその仲間たちが、故郷を捨て愛を振り払ってでも自らの正義を貫き覇道を突き進むのが最も重要なストーリーで、その過程でなんやよう知らんザコヒーローどもが姑息を弄してわらわら突っかかってきて非常に邪魔くさいです、と……。
 そんであの終わり方ですよ。どうすんのよ。
 物語上は、あんなトンデモストーンがある時点でなんとでもなるでしょうよ。でもその「なんとでもなるバッドエンド」のために、向こう数年スパイダーマンとブラックパンサーの続編は企画も立てられないってことだよね。関係者大激怒じゃないんですかアレ。

<追記>
 え、両方とも続編決まってんの? ……それでああいうことすんの? ……バカじゃねぇの? 


 ところで、今回は少し遠出してMOVIX昭島へ。
 ……なんとスタンダードな設計。駅徒歩数分に平屋で映画館だけの棟があって12スクリーンとか、敷地に十分恵まれたのが前提とはいえ、東京都下にでこんなシンプルリッチなところがあったとは。
 いちばんご近所なシネコンが強豪立川シネマシティというのが辛いところですが、がんばってほしいものです。



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2018年04月24日

レディ・プレイヤー・ワン

[75点]@新宿ピカデリー

 「俺はガンダムでいくぜ!」
 ……予告編に出てきた影、あれマジでガンダムだったんだ……アメリカだからロボテックだとばっかり……。ただ個人的には、原作では「ウルトラマン」だったそうなので(だから怪獣を倒す為に登場する&時間制限がある)、そっちがずっとよかったと思う……。でも海外では版権で揉めてて使えないんだよね(とか書いてたら円谷プロ勝訴のニュースが……もう少し早ければ映画に登場できたのに!)
 アイアン・ジャイアントも原作ではレオパルドンらしいし、これはむしろ原作を是非読んでみたいところ。

 それにつけても、日本のオタクカルチャーをクールだと親しんでくれた海外の最初期世代の人たちが、いよいよ作る側に回ってきたのだと考えると、感慨深いです。
 というわけで、デルトロ監督のパシフィック・リムに続き、今度はスピルバーグ監督がオタク魂を爆発させ、隅から隅までネタで埋め尽くした一本。「クォーター」の使い方が絶品!


 VRサイト「オアシス」の運営権の争奪戦だと聞いていたので、もう少しビジネスライクでシビアな話かと思ったら、想像よりずっとコミカルで、かつジュヴナイル寄りな内容でした。
 バーチャルサイト内部だけでなく、現実側のドラマも充実しているのがいいですね。悪役ソレント氏の、老獪のようでどこか抜けている憎めない悪辣さが、この若々しいストーリーをひときわ魅力的にしていたと思います。パスワード貼っておくなよ!

 ……それにしても、いわゆるライフログが全部網羅されてて、何月何日にどんな映画見たかまでわかっちゃうって、その管理をしてるモロー氏はいったいどんだけストーカーやねん。


 ただ、いつも思うのだけど、こういう過去のカルチャーをネタとして消費して、それを知らないと楽しめない作品は、「ピクセル」のように完全に物語に組み込んでいるようなタイプでない限り、あまり持ち上げたくないのがホンネ。本作も、基本線は単に「ハリデーの過去の思い出をなぞる」だけでそれ自体は手垢のついたような内容だしなぁ。
 それに、仲間が全員若者で、かつ、若くてもナードだったらカルチャー全部網羅してるから(この世界では)最強キャラ、っていう設定も、ちょっと違和感があります。そのくせ最終的に「別にナードでなくたっていいんだぜ」的なエンディングは、妄想全能感が強すぎな気が。なろう小説じゃないんだからさ。


 しかし、これが出た後に、ソードアート・オンラインがハリウッドで実写化かぁ……最初から本作のコピーキャット的な狙いかもしれんけど、出遅れましたね。



 あと、恒例のベストテン企画が始まってますが、さすがに今回はムリですね……
 お酒が出る、よりも、酔っ払うと脇が甘くなるお姉さんキャラが出る映画が見たいです。

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2018年04月23日

リズと青い鳥

[80点]@新宿ピカデリー

 衝撃的。
 「たまこマーケット」から「たまこラブストーリー」への転換もすごかったけど、「響け! ユーフォニアム」のスピンオフたる本作は、もっと抑制されています。何しろ「現実」シーンはすべて「学校内の映像」で、最後まで学校の外に出ない!
 それでも90分を保たせる山田尚子監督の豪腕! 

 ファミレスに行くとかプールに行くとかお祭りに行くとか、セリフでは出てきます。しかし映像には出てこない。
 黄前・高坂コンビが主人公である過去シリーズでは、そうした「外の世界」との関わりも重要で、だからこそふたりは、本作の中盤で、本作の主役両名ができないことをいともたやすくやってのけます(このシーンは、それを聞いてる他の現三年生組の反応も含めて重要だと思うので、過去シリーズ見てないと理解しづらそう……一方でシリーズ知ってると、部長がちゃんと部長してる成長ぶりがなんか可愛い

 でも今作の主役、みぞれと希美にはそれができない。狭い世界でお互いがお互いを籠の中に閉じこめている。
 そうした「わかりやすい立ち位置」を示した後に、ほんのわずかな関係の変化を積み上げていく。それも、所作がより饒舌となるように。監督は以前から「脚」で表現するのを得意としますが、本作はもうほとんどソレといってもいいくらいのフェチッぷり。女の子のみずみずしい一挙手一投足に、まさしく目を留まらせ、きちんと伝わるように関係を編み上げていく……このこだわりは、はじめから会話なしの心情表現が主体だった「聲の形」すらも置き去りにする域に到達しています。
 しかもこういう作品につきものの「感情の爆発」がちゃんと「響け! ユーフォニアム」の強みを活かしたみごとな方法で……あぁ、そうくるか、という……。


 丁寧な作品なのでちょっとだけ引っかかった点。
 ここで使われるような「掛け合いの楽曲」って、どちらがどちらの役であるのか、きちんと把握させてから練習にかかるものじゃないでしょうか。滝先生って、そこらへんをおろそかにする人とは思えないんだよなぁ。



 日本映画界は、そろそろ山田尚子監督に実写を撮らせるべきだと思います。きっと「日本映画」を撮り切ってくれる。
 ただ個人的には、また「けいおん!」のような娯楽アニメ路線に戻ってきて欲しいとも思うのです。天才にその才を追究させすぎると、だいたい日本の映像作家はろくなことにならないので……。



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