2017年10月17日

宇宙戦艦ヤマト2202 愛の戦士たち -第三章・純愛編-

[70点]@新宿ピカデリー

第一章第二章

 終わった瞬間に、いっしょに見てた友人が「つまんなかった」って言ったんですよね。えー、これまでの展開で「どうやって森雪を組み込むのか」という点に着目してた人間としては、超激アツだったんですけども?

 確かに、10話にあたる宇宙ホタルの話は「どこにグロスに出したんだよ」と言い合ったくらい、これまででいちばん演出がグダグダでした。
 また、2199ではさんざバカスカ殺しまくってたくせに、るろうに剣心かよって不殺の精神でものごとを解決する方針に転換したために、超絶カタストロフ展開で面白くなりそうなとこがどっちらけで終わり、全体的に戦闘シーンは雑で盛り上がりに欠けましたね。

 でも本作の古代がこういうキャラだってのはみんな知ってたじゃん! 軍規ナニソレ森雪絶対好き好きマンでいいじゃんかさ! その魂をいかんなく発揮したラブパワー展開、そこに「愛とは何か」と言い出す悪役がドハデ降臨、オレは好きだぞ。爆発しろ。

 あと、公式で「ヤマト女子部」とか言い出すの、なんかパワーワード感あるからやめれ。(w



宇宙戦艦ヤマト2202 愛の戦士たち 第三章(セル版) -
宇宙戦艦ヤマト2202 愛の戦士たち 第三章(セル版)
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2017年10月16日

スマーフ -スマーフェットと秘密の大冒険-

[65点]@ユナイテッドシネマアクアシティお台場

 3DCGアニメなんて溢れかえってる昨今、今さらアメリカの幼児向けアニメなんて、見る予定になかったんですけど。
 前にアクアシティお台場行ったとき。流れた予告編でいきなり。
 「スマーフウィロー役の高垣彩陽でーす!」
 ゲスト声優に、スフィアて。

 大泉洋主演アニメのゲスト出演に歌姫言うて水樹奈々連れてきたレイトン教授じゃあるまいし、どうせ4人組が背景で歌ってる程度で、アニメ見る層に訴求しそうな4人組ユニットが他に見当たらん、くらいの人選だろうにそんな餌で俺様が

     \   ∩─ー、    ====
       \/ ● 、_ `ヽ   ======
       / \( ●  ● |つ
       |   X_入__ノ   ミ   釣られクマ――
         、 (_/   ノ /⌒l
        /\___ノ゙_/  /  =====
        〈         __ノ  ====
        \ \_    \
         \___)     \   ======   (´⌒
            \   ___ \__  (´⌒;;(´⌒;;
              \___)___)(´;;⌒  (´⌒;;  


 ……閑話休題。
 スフィアは思ったより重要な役でした。とまっちゃんのマシンガントーク演技来るよー。
 なるほど、スマーフの世界には、これまで女性がヒロイン一人しかいなかったわけね。しかも彼女が「スマーフではない」とまで言うのでは、このご時世コンテンツとして生き残れないので、「冒険の行き先が女護が島、最終的に彼女らと交流が始まる」という形で、世界観に自然に女性を組み込むためのエピソード。
 なので新規キャラは全部女性。スフィアはそこに当てはめられているわけです。

 テーマをことさらに事あげしないわかりやすさ、なんでもありかつスピード感のある冒険行(でも子供向けとしては終盤結構エグい。あれラスト「スマーフになった」って理解でいいんだよね?)、こだわりのある縦横無尽のカメラワーク、けっこう面白かったです。
 あと、エンドロールの演出に震えました。なぜこんな単純で面白い手法を今まで誰もやらなかったのか。

 それでも観客2人だったんだよねぇ……夕以降のアクアシティお台場にお子様が来る理由はないので、スフィアの訴求力がここまで、てことか。うーむ。



スマーフ スマーフェットと秘密の大冒険 (吹替版) -
スマーフ スマーフェットと秘密の大冒険 (吹替版)
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2017年10月13日

アウトレイジ最終章 と、TOHOシネマズ会員サービス改定のこと

[60点]@109シネマズ川崎
 シリーズ見てきて最終章というからいちおうつきあったけども、作品が悪いんでなく、僕自身の好みがこういうのを受け付けないほうにシフトしてまして……それも、「過剰な暴力性」で売ってた作品が、回を追うごとに、「筋を通す」という名目で「暴力控え目、話は小綺麗にまとめる」に落ち着くんではなぁ。

 「筋を通すことにこだわるヤクザ映画」なんてものが、もう北野武の看板がないと作れないってこともあるんだろうけど……ってか、本作における「筋を通す」は、主人公の行動原則としてがっちりとあることがきちんと伝わってくるのは好ましいんですけど、それが娯楽になってるかはまったく別問題だと思うわけです。

 韓国とも香港とも違う日本的価値観のノワールとしてひとつの形にはなってると思うので、ヤクザ映画が好きな方はどうぞ。



 TOHOシネマズの会員サービス改悪、って話が伝わってきています。
 フリーパスって、使う人は窓口に行かなきゃならんって話なんですね。映画館に行くだけで交通費と時間がかかるのに、それが「無駄足になる可能性があります」ってのはちょっとひどい。「フリーパスでも座席指定予約可能になります」というシステム変更の予定があるのならいいけれど。

 で、これらの施策が、どう「他社とのサービス比較」したらそうなるのかわからんのも事実で、いろいろ書かれてる中で最も説得力があるように見えたのは、前回の「スターウォーズ値上げ騒動」のせいって話です。

 一部の館で2000円にして増収&混雑緩和を狙ったのに、ここが使いどころとばかりに「ポイント6P無料/フリーパス使用」を駆使されて、おそらくはTOHOシネマズの目論見が崩れてしまったんでしょう。
 なので、「そうならんように変更しろ」というのが至上命題だった、とすればなんとなくわかります。だから次作の公開を控えたこの時期の発表なわけで。

 しかし、スターウォーズは今冬とあと一本で終わり。今後、いつ来るかわからない大ヒット映画のためにそんなシステムにした、と考えると、近視眼にもほどがあるというしかないですね。



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2017年10月11日

RWBY -Volume 4-

[55点]@シネリーブル池袋

「けもの娘が出てきて」
(けものフレンズかな?)
「事実上個人制作のCGアニメで」
(けものフレンズかな?)
「CGの技巧よりも、演出とストーリーのよさでヒットして、続編も決まって」
(けものフレンズかな?)
「だけどメインクリエーターが予期せず制作現場から離れることになって、どったんばったん大騒ぎ」
(けものフレンズだよね?)
「R.I.P. Monty Oum ……」
(RWBY か……)


 すみません、このネタがやりたかっただけです。


 ……あんまり冗談でもないっていうか、ケモノ娘な黒さんがいちばん存在感のある回でした。ただ、そうなった理由は、あまり褒められたものではなく。

 亡くなったモンティ・オウム氏ってのは、「実力が伴う厨二病患者」はえてしてそんな感じじゃないかと思うんですが、風呂敷を広げることに歓びを感じるタイプのクリエーターだったと思うのです。
 Vol.3では、それまで影も形もなかった神様や伝承が唐突に飛び出すなど、設定の風呂敷を広げて広げまくり、一方でストーリーは、キャラの立ち位置を下げに下げまくったので、後を継いだ人たちは、「その回復と、情報の整理」に1シーズン(=映像にして2時間半)費やさねばならなかった、というのが今回です。

 赤は今回叔父さんと組んで情報整理ポジション。ムードメーカーの黄色が、前回物理心理ともにダメージを受けてその回復に専念、だけなのが痛い。白には、自身だけで物語を切り拓く能力がもともとないので、結果として黒関連のイベントに時間を割かざるを得ず、無口キャラで通っていた黒のキャラが崩壊、超多弁キャラに変貌を遂げることとなりました。
 キャラデザが大幅に(主に「アニメ絵」方向に)変わった以上に、この変貌がビックリでした。でももうすぐデレる。あれはデレる。よい変化だと期待しましょう。


 ……いやほんと、今回は話がまったく進展しないので、「黒はデレるのか」以上の見どころがないんですわ。動いたといえば、「悪の組織」がビックリするくらい小物集団であると判明。見るからにやられるためだけの敵幹部が多数登場とか、ないわー。そんで、クライマックスに至って緑とピンクの過去話をおっぱじめるとか、誰も期待しとらんかったわ!
 次回は、「ヘイヴンアカデミーでの局地戦」に話が限定されるでしょうから、戦闘シーン多めで普通に盛り上がると思うんです。なればこそ、今回はせめて、「4人が再集合するまで」を、絶対に描写すべきでした。



 そういえば、テレビでやった編集版を見てて、前回の感想で書いた内容は間違いで、フェスティバルでエメラルドの幻覚を見たのは黄色だけだった、ってのはわかりました。しかしそれはそれで、「精神操作系のセンブランス」が、オズピンを含めたアカデミーの教授陣ですら想像の埒外にあるほどレア能力ってことに他ならず、やっぱりあんな「手下」ポジションに埋没させてたらヤバいと思うんですが。
 もっとも、この世界観的には、あんまりレアな感じがしないんだよな。「視覚を騙す」だけなら、黒に悟空、パラソル子さんとかも、フツーに使ってるわけでなぁ……。



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2017年10月06日

ソウルステーション・パンデミック

[70点]@ヒューマントラストシネマ渋谷

 「新感染」の監督が、それ以前に制作したアニメーション。この作品が評価されて、「新感染」を作ることになったのだとか。
 アニメといっても、実写を撮った後でモーションをアニメ塗りの3DCGに変換した技法と見えます(背景やモブのモーションは微妙に不自然なので、通常の3Dアニメも使ってる?)。
 ソウルの市街を封鎖し人員を動員しての撮影ができなかったからアニメにしたのかなぁ、と思っていたら、監督はもともとアニメ畑の人なのだそうで……。それでも実写のオファーが来たというのだから、そういう切り替えができるのも韓国映画界の懐の深さか。


 サスペンスの見せ方はさすがに素晴らしく、中盤から話が動き出すとずっとハラハラしっぱなしです。面白かった。

 ただ、新感染は爽快さすらある娯楽でしたが、本作は、良くも悪くも、気持ち良く見られるストーリーではありません。「貧困の固定」がテーマと思われ、ホームレスを起点に感染が始まり、それを国も警察も助けないという展開になり、終盤のどんでん返しに至っては「胸糞悪い」のひとことです。
 韓国の民族性ではありますが、貧困層はより際立つということか、感情的な怒号や罵声のセリフがかなりの割合を占めてるのも辛い。「どんでん返し」に至る「彼」の行動以外、ロジカルな行動というのが全キャラクターにおいてほとんどなく、そしてその「彼のロジック」がアレなわけで……。

 また、新感染には、列車内のみの一次元であるゆえの面白さがあったので、本作では、街という平面を考えたときの不自然な点が目につくのもややマイナスでしょうか。


 気付いたちょっと面白いこと。
 両作品のゾンビには、「ドアを開けられない」という特徴があります(「視聴覚で感知したもの以外は追いかけない」という特徴は、両作品で相違する)が、終盤、ヒロインがあからさまにドアを開けっ放しにする行動に出ます。この期に及んでまだその特徴に気づいてないのかこのキャラ?! とびっくりするのですが、後から考えると「既に感染している」ので、無意識にそういう行動を取った、ってことなんでしょうね。



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2017年10月04日

短評(ハイジ/響けユーフォニアム2/ヴェンジェンス)


ハイジ -アルプスの物語-
[80点]
@恵比寿ガーデンシネマ
 見るか見ないか迷ってたところに、togetterとかで盛り上がったりしたので、思わず見てきました。見てよかった。
 ドイツ・スイスでも、原作でなく宮崎・高畑版のアニメで知られているという本作、2時間に収める都合もあってか、展開はツボを押さえ、みっちりと詰まっていて飽きが来ません。今回の内容は原作寄りらしいですが、美しい山嶺のビジュアルと、きっちり立ったキャラ群は、アニメを意識してこそのものでしょう。ゼーゼマン邸の使用人たちが素晴らしい。
 「クララがなぜ歩けないか(体力がつけば歩けるのにあきらめていた)」という点が描写されてないので、「クララが立った」のクライマックスに説得力がなく、ぼんやり終わった感じがする点だけ、ちょっと弱みでしょうか。
 そんであの、こういう書き方しちゃアカンのは承知の上で、あなたがロリコンなら絶対に見逃しちゃならん一本です。ハイジとクララがめっさかわええ……あぁぁ癒される。
 ラストで立ったとき、「クララ背ぇ高っ!」と思っちゃうのはご愛嬌。



劇場版響け!ユーフォニアム -届けたいメロディ-
[75点]
@新宿ピカデリー
 テレビシリーズ2期の総集編映画。前作も良かったけど本作も、総集編映画として最高峰と言えるレベルの傑作。
 テレビシリーズ序盤の退部者復帰の騒動や終盤の先生の恋バナは全カットで、あすか先輩と姉のエピソードだけを、時系列通りに抜き出しただけ。しかし絞り込んだがゆえに、一本の映画として完璧に成立する構造。「説明少なめの青春もの単品映画」で売れます。
 そこに、テレビでは描かなかった全国大会の演奏がどーんとくるからたまらん。映画館の音響だけに、なぜ「銅賞にとどまったのか」がわかるんですよ。ぜひ映画館で見て欲しい一本。

 あとロリあすか先輩最高。



ヴェンジェンス
[60点]
@バルト9
 ニコラス・ケイジ製作・主演の刑事もの……というより、本作の前半はレイプ犯罪が女性側の泣き寝入りになる、実際にありそうなケースのセミドキュメンタリーになっていて、法が無罪にするなら、必殺仕事人が始末をつけましょう、という話。
 しかしそういうファンタジーに変えるなら、あの弁護士のドタマもブチ抜いてやらんと収まらんでしょうこの話。その他、オープニングに出た「ケイシーの姉貴」とか相棒とかばあさんとか犯人の妹とか黒人の弁護士とか、中途半端に登場して投げ捨てられたパーツが多すぎて、エンドロールで「えっこれで終わり?」となること請け合い。
 音楽がやたらエモくて盛り上げ上手で、中盤はグイグイくるだけに、ちょっと残念。

 でもベシーちゃんが健気でロリかわいい。


 ……なんだこのロリ3題?



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2017年10月03日

ドリーム

[70点]@109シネマズ二子玉川

 まずは揉めてた邦題の話をすると、……うん、キング牧師の当時の映像ちょろっと流れるけど、「ドリーム」全然関係ないね。今時こんな、「内容に関係ないし、いずれ検索してもたどり着けなくなるから認知や売上に悪影響、ただちょっとだけイメージがいい」なんてタイトルを、邦題につける人が業界にいることが害悪です。
 吹き上がった人には申し訳ないけど、「私たちのアポロ計画」をメインタイトルにした方がマシでした。彼女らは実際、アポロ計画の時期までNASAで働き続ける道筋を、自分自身の才覚で切り拓いたわけですから。

 (ついでにいうと、けっこう期待してパンフ買ったんだけど、彼女らがこの映画の中でなしたことの詳細……オイラーの定理とは何か、FORTRANとは何か、みたいな話は一切書かれてませんでした。ホント、本作の日本公開関係者に内容を尊重する人がいなかった、ってことがよくわかりますね)

 
 さて、本作。
 ……正直あんまりアガらなかったのは、自分の期待よりもずっとヒューマニティ寄りで、「計画の成功」より「差別の打破」に物語の力点が置かれているからだと思います。
 僕は、同じ時代同じバージニア州の物語である「ラビング」で、当時の「分離すれども平等」の感覚の別の表現を見たせいか、どうも違和感を覚えます。この作品を丸のみするならば、「NASAが黒人を雇っている」時点でおかしくはないですか?(Wiki 見たら、やっぱり史実と違う……)

 字幕のせいもありそうですが、恋愛話がどこまで必要だったかとも思いますし、黒人計算者が普段何を計算しているのかを提示しないのも痛いです。
 そして率直に言ってすごく萎えたのは、クライマックスで「やっぱり機械より人間のほうが信頼置けるよね!」みたいなセリフが出てきてしまったこと。その機械を動かすプログラムを組んだの、ドロシーたちじゃないの? 


 この物語は、「すぐれた人間は、たとえ社会制度が阻もうともっと上を目指す」ことを描いたと理解します。それは人類普遍の正義です。
 その意味でいちばん印象に残ったのは、「権利を勝ち取るには闘争しかないんだ!」と吹き上がっていた夫が、「判事を論破して権利を勝ち取った」メアリーに膝をついたシーンでした。
 「間違った社会」を正したければ、まず学べ。学ぶ歩みを止めるな。教養とスキルを礎とする先駆者だけが未来を切り開く。それを怠り「劣った者」に安住する者どもが差別を言挙げしたところで、誰も何も認めはしない。


 本当は、初期のNASAを再現したセットの見事さとか、IBMのエピソードとか、宇宙計画の裏方作業のこととか、「うわぁぁぁ手回し計算機や!」とかもっと理系的なとこを吠えたいんですが、あんまりそういう気にさせてくれない惜しい作品でした。



ライトスタッフ (字幕版) -
ライトスタッフ (字幕版)
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2017年09月28日

コラム


 「君の名は。」がハリウッドで実写化されるとか。
 正直、あまり期待しません。かの作品の肝は、内容ではなくスピード感。ハリウッドの(ましてあの「メッセージ」の)脚本家では、あのプロットは3時間でも収まりません。

 (以下「君の名は。」ネタバレ注意で)

 そもそも今のJJエイブラムスがジュブナイルを作るとは思えないので、主人公はふたりとも成人になり、時間差は20年くらいに広がるんじゃないでしょうか。
 都会に住む民主党支持で無宗教なトレーダーのナヨ男が、田舎に住む共和党支持でカトリック教徒な車整備工場のマッチョ女と入れ替わる。時間軸は大統領選直前で、両方の時代で「ブッシュ対クリントン(もちろん彼らをモデルにした架空キャラで、後の時代では共和党側は息子が民主党側は嫁が立候補してるってこと)」って報じられてるので、本人たちは時間差に気づかない。
 そんで、彗星じゃなくて、都会で起きる911的なテロを力業で阻止するのです。途中まで女の方が地ならしをして、バック・トゥ・ザ・フューチャーのラストみたいに最後のとどめだけ男の方が勇気を奮う。
 まずもってこんな内容になると思われます。日本人が見て面白くなるかなぁ?



 「ダンケルク」は、今のところ見ない予定です。
 というのは、自分「ハクソー・リッジ」も見損ねてまして、だったら冬休みあたりにそれと2本立てでどっか名画座がやってくれるのを見た方がいいという判断です。
 画面がカットされてる問題があるじゃないですか、あれたぶん新文芸坐だったらちゃんとした映像でやってくれると思うんだよなぁ。



 政治周りは、もう馬鹿馬鹿しくてしばらくコメントしてませんでしたが、選挙になっちゃいましたね。野党の皆さんは、待望の「解散に追い込んだ」だというのに、何を慌てているのでしょうか。わかんないなー(棒
 以前も書いたけど、選挙では「有能な悪人」を選ぶのです。決して、エモーショナルなだけの「無能な善人」に票を投じてはいけない。
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2017年09月21日

短評(新感染/西遊記2/エウレカセブンハイレボ1)


新感染 -ファイナル・エクスプレス-
[80点]
@109シネマズ二子玉川
 いやぁ面白かった。
 一言で言えば、「電車内」という場所限定の、よくあるサバイバルホラーでしかありません。
 しかし、電車という舞台設定の狭さを活かした、加速するスピード感と濃くなるイベント密度にスキがなく、ハラハラしっぱなし。
 個々のイベントがあまりにツボを押さえてるので、誰がどう犠牲になって誰が生き残るのか読めちゃうので意外性はない(妊婦が死ぬわけないんだよなぁ)んですが、なればこそ丁寧な演出で、カッコいいキャラはカッコよく、無様な奴は無様に散る。王道過ぎてうなります。
 これにKORAILがちゃんと協力してるってのが凄いよね。日本でも車内限定の映画とか撮れたらいいんですが、JR東海は絶対無理だろうな……JR東か西か……たとえば北陸新幹線が敦賀まで延びたら、福井〜敦賀間くらいは貸切で撮影できそうな?



西遊記2 -妖怪の逆襲-
[70点]
@TOHOシネマズ川崎
 よもやちゃんと作られてちゃんと日本に入ってくるとは思わなかった、チャウ・シンチー版西遊記の続編。
 前作もその傾向があったけど、中盤まではやくたいもないチャイニーズ・コントで、日本人には笑いどころがなく、見ててツラいくらい。
 しかし物語が本格的に動き出してからは(あれが全部「フリ」とか、ストーリー的にムリはあるけど)、ノリがどんどんよくなって妖術CGのキレが増していき、クライマックスのバトルCGに至ってはもう「きがくるっとる」としか表現のしようがない弾けっぷり。邦画のCGで、これくらい心のタガを外すのが見られるのはいつの日でしょうか。

 あと、唐突に「Gメン75」のテーマが流れ出して驚いたのですが、アレは何か、主役チームがずらっと並んだらアレ流さなきゃいかんというルールが中国にあるんですか。



交響詩篇エウレカセブン ハイエボリューション1
[45点]
@ユナイテッドシネマ豊洲
 ……またやってしまいましたなあ。「続きは見ない」と言ってやるのが礼儀でしょうなぁ。今回も書くけど、「ねだるな、かちとれ、さすれば与えられん」は、キメゼリフじゃねぇんだったら。

 物語の根本である「サマー・オブ・ラブ」を描くという触れ込みなのに、当時はいないはずのレントンが、予告とかに普通に出てるからどういうことかと思ったら。
 序盤20分程度で「サマー・オブ・ラブ」を描いた後は、一見さん完全にお断りの内容になります。エウレカとはどんな存在か月光号とは何かそれらとレントンはどう関わるのか、見ても一切わからない、「俺らの世界に勝手に入ってくるな」レベルでのテレビ版再編集。それも、実質的に1エピソードしか使ってないのを、時系列切り刻みでなんとなくカッコよくしてるだけ。
 どうせサミーから出てる予算を、「サマー・オブ・ラブ」だけで使い切ったわけですね。サミーがほしがる映像もそれだけなんでしょうから、素直に「短編映画」で作ったらよかったのに。
 その「サマー・オブ・ラブ」は、ガチャガチャ出過ぎのテロップを、「設定に凝った短編SFアニメだったらこんなもん」と許容できれば、発狂レベルのバトルアニメーションが繰り広げられるなかなかの出来です。ただし、要するに負け戦なので、カタルシスはありません。でもホントそこしか見どころがなく、そこで満足するしかないのです。



TVシリーズ 交響詩篇エウレカセブン Blu-ray BOX1 (特装限定版) -
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2017年09月10日

関ヶ原

[70点]@Tジョイプリンス品川

 まず、本作において真っ先に褒められるべきところ。
 エンドロールの、役名を含めた和英併記。
 邦画を見る回数が多くないので、どれくらい浸透しているのかわからないけど、「邦画の大作」では初めて見たと思います。「海外で売る」ならやって当たり前の作業なのですが、日本のコンテンツ展開のガラパゴスっぷりはここにもあるのです。

 本当に久々に見た、人海戦術で描いた戦国大合戦もので、それだけで満足できるわけですが、つまりは海外に売れないとペイしないくらい予算突っ込んだってことでもありましょう。困ったことに、そもそも「海外でウケる内容か」という視点なしにその方針で突っ込んだように見えます。……司馬遼太郎時代小説を海外に売ろうとか考えたの、誰だよ?

 結果、何が起きたかというと。

 セリフの多くが聞き取れません。
 ……黒澤映画かよ! 字幕なら大丈夫ってか!

 合戦だけやる作品かと思ってたら、秀吉と三成の出会いから始まって、秀吉の後継をめぐる家康との確執を全部描いてから大合戦ですから、本来の時代劇の所作からかけ離れた超高速展開、飽和する情報量、必然的にセリフ回しも速くなります。全員超早口で、司馬遼ベースの堅苦しい雅語漢語を振り回すもんだから、歴史マニア以外はついていけません。例の「母衣がわかってない評論家」騒動も、問題の根源はここにあります。
 「ちくじょう」って何だよ! ……「竹杖」か!

 本格合戦活劇と、らちもないラブロマンスのどっちを描きたいのかよくわからないのも辛いところ。ただ、ラブロマンス削っちゃうと、歴史マニアでない観客(本作の場合外国人客も)を完全に放り出しちゃうので、ここは評価が難しいです。
 ただなー、こういうシリアスな話に、おたふくで童顔な有村架純をどうして連れてくるかなー。岡田准一の相手に全然合わない。タッパある分まだ榮倉奈々のがマシ。

 「真田丸」で多くの国民が、また「軍師官兵衛」によってジャニーズクラスタですらも、この物語の時代背景がわかる程度には「歴史マニア」側の観客であり、それが多数派であろうと思われるのが幸いです。いつ頃から本作の企画が始まっていたか知りませんが、これだけの規模だと1年とかじゃきかないでしょうから、本作関係者はNHKに足を向けて寝られませんね(笑。



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2017年09月09日

短評(ガンダムORIGIN5/スラッカー/スキップトレース/ザ・ウォール)

機動戦士ガンダム THE ORIGIN V -激突! ルウム会戦-
[評価不可]
@新宿ピカデリー
 第一章第二章第三章第四章

 なぜそこで終わった。

 そりゃないぜおいー。その先を見に来たんだよ俺らはー。こんなん、その先見なきゃ何か言えるわけないじゃんかよー。
 「コロニー落とし」も「シャアがいかに出世し赤い機体を得たか」あたりもあっさりすませて、ルウムでの対立に描写を注力するように見せて、わりと戦略面もきちっと説明して、……それでこれかぁ。
 次回のツカミに見せていただけるということで。



スラッカー
[70点]
@下北沢トリウッド
 リチャード・リンクレイター監督の、初期インディペンデント作品が日本初公開、ということで、気になって見に行きました。
 先に言っとくと、「スクール・オブ・ロック」でなく確実に「ウェイキング・ライフ」寄りの作品だと予測し、眠くならないよういろいろキメて見に行ってます。実際そうなので、レイトショーのみの本作、お仕事帰りの疲れた頭で見るのはオススメしません。冒頭から、リンクレイター監督ご本人が登場して、やくたいもない話をウゼェほど語りやがるので、下手をするとここだけで熟睡できます。

 しかし、揺れる画面でダラダラ喋るだけの「ウェイキング・ライフ」と異なり、次から次に「主人公」が切り替わって、ありとあらゆる立場の若者が、ありとあらゆる方向性の会話を繰り広げます。共通するのは、閉塞した街(1990年のテキサス州オースティン)で、誰一人建設的な「行動」を起こさず易きに流れていること。
 堂々巡りを繰り返すかのようなこの構成そのものが、若者の行き場のなさを端的に表現しており、快不快は別として異才の発露に違いありません。



スキップ・トレース
[60点]
@Tジョイプリンス品川
 ジャッキー・チェンとレニー・ハーリンという組み合わせでちょっと話題……なんだけど、見てみたら普通に香港アクション&バディもの映画。
 バディものとしては、中国大陸縦断を敢行する、馬鹿馬鹿しいほどのダイナミックさが楽しいです。アクションものとしては、ジャッキー衰えたし太ったし、そんなにすごくはないですが、かわいそうに最後まで付き合わされるロシアン・マフィアのみなさんがヨイ。いずれにせよ、脳みそ空にして、ただ楽しむタイプの作品。
 まぁ、今年のジャッキーは「カンフー・ヨガ」が本番ではないかと……予告編を見る限りでは、インドのテイストを再現するにはちょっと足りてない印象なのですが……。



ザ・ウォール
[50点]
@ユナイテッドシネマアクアシティお台場
 Netflixと並んで昨今コンテンツ増強に余念がないAmazonによる、ダグ・リーマン監督のシチュエーションサスペンス。イラクの砂漠で狙撃手に狙われた兵士、隔てるのはたった1枚の小さな石壁だけ、無線通信で繋がったふたりの駆け引き…て内容なんだけど、正直イマイチ。
 狙撃手と主人公に差がありすぎて、緊迫感と呼べるものになってないのです。狙撃手側から見ると、「いつでも殺せる主人公をわざと生かして情報を引き出したい」なのはすぐにわかります。この油断を突くのがこういう話の醍醐味ですが、本作に限っては、狙撃の能力と威力、武器や無線機の性能、距離の隔たり、何よりメンタルの強さ、どこをとっても狙撃手にスキがなく、イベントはあれこれ起きても、主人公が状況を覆す期待がいっこうに湧きません。……中盤に至る頃には、「これで主人公が勝ったら、状況無視のご都合主義以外にありえんやろなぁ」と諦めがついてしまいました。
 実際、終盤に至って「軍曹生きてた」だもの、完全にご都合主義であきれはてました。その展開(軍曹の救出)はこの物語の「最初の困難」以外にあり得ず、ラストシーンの「救援に来たヘリが撃墜される」が中盤で、それを利用(距離を詰める/道具・武器を手に入れる)して最後の逆転に賭ける、が妥当な展開だったかと。



機動戦士ガンダム THE ORIGIN ルウム編 V 激突 ルウム会戦 -
機動戦士ガンダム THE ORIGIN ルウム編 V 激突 ルウム会戦
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2017年08月31日

短評(ワンダーウーマン/エル/ベイビードライバー)


ワンダーウーマン
[65点]
@ヒューマントラストシネマ渋谷
 戦うヒロインの超元祖。演じるガル・ガドットのエロカッコよさが最高です。戦う姿もいいけどロンドンでの秘書モードもいい。彼女を見るだけで見る価値あり。

 ……とはいえ、それだけのために2時間半はただただ長い。ビタイチ存在理由のない「仲間」を削るだけで2時間以内に収まるでしょうに。DCの作品は、どうしていつもこんな無駄に長いの?
 また、ストーリーも率直に言ってあんまり入り込めず。物語を「女性の自立」に振りたいのか「闘争の本質」に振りたいのか、ピントがボケていた印象。これこそ、最後に「女性参政権の獲得」で〆ればぐっと盛り上がった気がするんだけども。
 そういう主張は意識せずに、純粋にヒロインの活躍を楽しめれば……と思えど、そうすると、ぶっ飛ばされる敵が「ドイツ軍の一般兵」というのは、要は「連合軍側の理屈が正義」で行動するわけなので、見ててあんまり気持ち良くないです(時代背景説明セリフがいっさい出てこなかったのは、敵をナチスと誤認させるためって気がするんだよねぇ)。もちろん、その違和感はきちんと拾うストーリーなのですが……。


エル
[60点]
@TOHOシネマズ川崎
 ポール・バーホーヴェン監督というと「スターシップ・トゥルーパーズ」を真っ先に思い出します。娯楽畑の人と思っていたんですが、すっかり老成したんだなぁ……と思わされる、文芸的作品。
 というか、(いきなりレイプシーンから始まるものの)文芸作品としても起伏に欠け、淡々と事実を並べていく構成の映画とはつゆも思っていませんでした。その意味でチョイ辛い作品ではあります。

 殺人犯の娘という出自を持ちながら、ゲーム会社の社長になるほどに人生を築いた女性の、人間関係が集まって離れて、様々なくびきから解放されていく物語。
 主人公は、仕事も友人関係も家族関係も近所づきあいもきちんとこなしつつ、その端々でどこか「壊れて」います。そんなキャラクター性だけで作品一本持たせるって並大抵のことではありません。……ていうか、おそらくは、バーホーヴェン監督の自己投影であり、「壊れ」ながらも作品を作り続けてきたんだろうなぁ……と推察。


ベイビー・ドライバー
[55点]
@新宿バルト9
 エドガー・ライト監督の新作、なのですが……。うーん……。
 「ドライブ」が思い出されます。主人公は天才的なドライバー。ツカミのカーチェイスはもう、「これ以上凄い映画ないんじゃないか」と思えるほどのデキなのに……それ以降、主人公のドライビングテクニックが十全に発揮されるシーンは二度と出てきません。信じらんねぇだろ?
 主人公の設定上、ほぼ常に音楽が流れている作品なので、「音楽映画」と思って見る方が、たぶん損はしません。80年代?の洋楽が好きな方はどうぞ。しかし個人的には、ノリのいいところと悪いところの落差が激しすぎ、ノリがいい部分のザクザク画面が切り替わる快感が強すぎて、ノリの悪い部分は、たぶん作り手の想定以上に退屈でセリフが冗長に感じられ、「不快」の域まで達します。
 でもって、「殺し」には顔をしかめるのに、その幇助と盗み傷害は平気な主人公とヒロインを、「きれいなもの」と描く倫理観の乖離(罪の自覚はあると描かれはするが)にも、僕は結局なじめなかったです。



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2017年08月29日

短評(打ち上げ花火/キミコエ)


 短評と言うほど短くないけど、並べたい2作品なので。

打ち上げ花火、下から見るか? 横から見るか?
[60点]
@TOHOシネマズ新宿
 決して面白くないわけでも出来が悪いわけでもないんだけど、違和感が残る作品。何が問題か? ひとことでこう説明できます。「ターゲットが定まってない」

 去年「君の名は。」を大ヒットさせた川村元気Pが、今年も夏休みの終盤に放つ、見た目ジュブナイルSFアニメ。中高生向けと思うでしょ?
 しかし、かの作品ほどスピード感はなく、カタルシス少な目で考えオチのストーリー、そして中学生設定なのに無駄にセクシャルで生々しい描写。広瀬すずに「風俗働きも辞さないビッチ」を自称させ、松田聖子を歌わせる……脚本の大根仁と、何より制作したシャフトが、おっさん向け妄想を全力で具現化してる感アリアリでしてな。

 じゃあおっさんオタなら入りこめるかというと。
 考えオチと書きましたが、「球が破壊される=二度とループは発生しない」状況で、ふたり共通してレインボーブリッジにいる未来を見てるんだから、これ、ふつうに「駆け落ち成立エンド」の解釈でいいと思うのですよ。
 しかし、「よりよい選択」をしたつもりでその終幕に向かう主人公たちを、あまり応援する気になれません。絶対うまくいくわけない。「駆け落ち成立」したらハッピーエンドだ! と考えるおっさんは少なく、むしろ「ハァ? 無理ありすぎ」な即時却下エンディングではないでしょうか。
 誰かがそれを指摘して、「明示するとヤバい」という結論に至って、あぁなったんじゃないかと推察します。
 一方で、まだ自己の世界が狭い中高生ならば、「駆け落ち成立エンド」は一定のハッピーエンドたりうるでしょう。しかし曖昧にして明示しなかったので、彼らの物語リテラシーでは、「何コレ意味わからん」になってしまう。
 おっさんにも若者にも「理解不能」と判断される、どっちつかずで不満の残る結果に至ったようにみえます。

 この作品で一番印象に残るシーンは何と言っても、「親に引っ越しを強制されて連れ戻されるときの、広瀬すずのガチ悲鳴の不快極まりなさ」でしょう。彼女の熱演に罪はないのですが、「ラストどうまとめるか」にすべてがかかるタイプのストーリーを曖昧に終わらせてしまい、この不快を上回る「快」を提示できなかった以上、娯楽作品としては失格といわざるをえません。
 「初動から見ておそらく興行収入は15億くらい、本来オリジナルアニメはこれくらいが妥当」とか言ってる人がいましたが、本作は「『君の名は。』の翌年の東宝夏休みアニメ」という、二度と来ない巨大ゲタをはかせてもらってそれなんだから、本来は10億も行かないデキ、と認識すべき。

 ここまで書いてきて今さら気づいたんだけど、実写アニメ・若者年寄り関係なく、そもそも「原作岩井俊二/脚本大根仁」って時点で水と油過ぎたんでは……大根仁、「家出してきた中学生カップルが、歳をごまかしつつ安アパートに暮らし風俗で働く、でもコメディタッチ」な続編脚本を今頃ウキウキしながら書いてるんじゃないかしらん……。


きみの声をとどけたい
[70点]
@TOHOシネマズ新宿
 で、「打ち上げ花火」の陰で、ジュブナイルアニメがもう一本、ひっそりと公開が始まっています。「誰に向けたものかわからん」という意味ではこちらも似たり寄ったりなんですが、ラストが「快」である以上、僕は断然こちらを推します。

 女子高生6人がひょんなことから、休止していたミニFM局を再開させるひと夏の青春ストーリー、てな筋書きで、これこそ中高生向け。「文部省推薦」みたいな肩書きがついててもおかしくないくらいなのですが。
 実はこれ、キミコエプロジェクトという声優発掘企画の総仕上げとして作られたアニメ、なものですから、見にくるのは大半声優オタのおっさんでして、ポッピンQ」並みに観客の男性率と年齢層が高かったです。

 で、おそらくは1クールのアニメ(あるいは実写ドラマ?)企画の流用と推察され、2時間に納めるにはちょっと尺が足りません。
 イベントの発生やサブキャラの登場が唐突過ぎるとか、途中ナレーションでシーンをむりくりぶっ飛ばすとか、サブプロットが終わったセリフ直後にいきなりメインプロットの急展開が始まるとか、「まとまり・完成度」という意味では、率直に言って「打ち上げ花火」よりはるかに劣ります。もっとゆったりした展開で見たかったなぁ。

 しかしながら、主人公たちのキャラの置き方や知識レベルが適切で、イヤミな感じや不自然さがなく、とても感情移入度の高い物語空間が構築されています。
 また、開幕10分程度でラストに何が起きるかわかっちゃうんですが、中途に挫折やトラブルをきちんと配したうえでその終着点に向けてバリバリ邁進していき、完璧にそのクライマックスをこなし、きっちり感動にまとめきっている以上、鑑賞後の気分は「快」のひとこと。
 あの展開なら「住民(=元リスナー)全員のユニゾン」をクライマックスのトリガーにするのがベストだった気はしますが、まぁ、声優プロジェクトだからね。そこが妥協にみえたとしても納得感のある、良い歌声でした。

 知名度低すぎて、公開がすぐ終わっちゃうと思うんで、「打ち上げ花火」が不満だった人は早めにこれで口直しをしましょう。



君の名は。 -
君の名は。
posted by アッシュ at 15:46| Comment(0) | 映画感想 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年08月17日

短評(ホームカミング/ファウンダー/スターシップ9/右目と左目で見る夢/裁き)


スパイダーマン ホームカミング
[80点]
@TOHOシネマズ渋谷
 言わずと知れたスパイダーマン。ソニーとマーベルが提携して、無事アベンジャーズ加入が成った、「シビル・ウォー」の直後から始まる再リブート。
 面白かったです。変な言い方だけど、今年の「君の名は。」たりうる作品。なんとなれば、めちゃくちゃテンポがいい。派手なシーンも地味なシーンも、細かいネタを入れつつ次へ次へまた次へと進めて、ちょっとやそっとのアラはさっさと押し流すと同時に、「先を知りたい」という渇きを的確に鎮めてくれます。若者層はこの速度でないとついてこないって、すごくわかってる作り。そのスピードの中に落とし込むあの「衝撃の真実」。それを超えた先の、苦みを含んだ少年の成長……。
 これでアメリカの学生のパーティー文化、なんてのがメインプロットでなければ、日本でももっとぐわーっと盛り上がるんだろうけどなぁ。

 ところで主演のトム・ホランドの Wiki 見てたら、映画初出演が「借りぐらしのアリエッティ」英語版の吹き替えだったってマジですか。


ファウンダー
[65点]
@角川シネマ新宿
 ホームカミングで悪役を演じたマイケル・キートン主演で、田舎のハンバーガー屋だったマクドナルドを世界最大のフランチャイズチェーンに築き上げた、レイ・クロックの一代記。……ていうか、彼が時代の変革をもたらす陰で貫いたえげつないまでの上昇志向を、余すところなく描いた作品。日本人的には後味悪いけど、アメさん的にはマクドナルド兄弟の方が固陋で愚かな敗者として、バランス取れて見えるんだろうなー。


スターシップ9
[65点]
@ヒューマントラストシネマ渋谷
 スペイン・コロンビア合作のSF。移民のため旅立った宇宙船にトラブルで一人取り残された女性のもとへ、修復のため一人のエンジニアが現れる。規模的にもネタ的にも「月に囚われた男」を彷彿とさせる、宇宙の閉鎖空間を舞台にした小品、と思いきや……。
 凝った設定にも関わらず、説明セリフが要所要所にとどまり、雰囲気で理解させようとしている印象があり、個人的には物足りない印象があります。ただその「雰囲気」は絶妙で、少なくとも日本人には、こういう「暗さ」をまともに演出できる映画監督はいないよね。気鋭のスペイン人監督、とのことですが、これは一度大作を見てみたい感。


山村浩二アニメーション 右目と左目で見る夢
[55点]
@ユーロスペース
 久々の山村浩二短編集。今回は、「依頼を受けて」とか「共同制作で」という作品が大半で、山村作品の一番の魅力だと思う暴力的とも見えるイマジネーションは薄かった印象。縦長のビル向けのプロジェクションマッピング用映像を映画館で上映、ってのは斬新なのか苦渋の策なのか?


裁き
[70点]
@ユーロスペース
 インド発の法廷映画。といってもクライム・サスペンスではなく、またボリウッドスタイルも排して、ガチガチの固定カメラで、ある裁判の顛末とそれに携わる人々の日常を切り取っていく作品。インド映画も新たなステージのものが日本に入ってくるようになってきたようです。
 解説によるとカーストの問題もあるようですが、要は、民衆を歌でアジる扇動家をなんとか牢に入れたい検察側が、「おまえの歌の歌詞を真に受けて自殺した奴がいる、自殺幇助だ」と日本人的には無茶にも程がある難癖で逮捕、その無法と争う弁護士の物語。

 左翼さんたちはこの作品を、いわゆる共謀罪と絡めて権力の横暴うんぬんと喧伝するでしょうが、それ以前に日本は、国会を人民裁判所扱いしても誰も疑問視しない恐ろしい国で、まず先に「司法に対する信頼」を構築しないことには、この手の横暴は正されません。この作品の、判事も検察も人間であることをきちんと描写する誠実さこそ、見習いたいものです。



シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ (字幕版) -
シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ (字幕版)
posted by アッシュ at 16:49| Comment(0) | 映画感想 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年08月08日

ブレンダンとケルズの秘密

[80点]@恵比寿ガーデンシネマ

 「ソング・オブ・ザ・シー」のヒットを受けて、トム・ムーア監督の長編デビュー作が日本公開。中世アイルランドを舞台にしたファンタジー。

 見ての感想。

 ヤバい。「スゴい」を通り越して「ヤバい」。

 僕がこれまで見てきたアニメ映画の中で、最も絵画的で美しいアートアニメーションのひとつ。ユーリ・ノルシュティンやミッシェル・オスロ監督に比肩します。これを欧米公開当時に輸入できなかった日本の業界人の見識を疑います。
 「ソング・オブ・ザ・シー」も美しかったですが、ここまでの感慨はなかったですね。ただそれは、かの作品では兄妹の行く末に思わず手を握っちゃってそっちに意識が囚われていたせいでもあり、本作はストーリーにはそこまで引き込まれません。

 というか、「子供向け」にしようとしてか、ややチグハグな印象を受けます。
 キャッチコピーに反して、別に世界を救うとか救わないとかなくてヒロイックなカタルシスには欠け、その意味ではバッドエンドとしか言いようがない展開はどうなの……。
 一方で、あんなに恐ろしく描かれるバイキングたちが、最終的におじさんを生かし塔も破壊もしないあたり、ずいぶん優しい侵略だなぁと……。
 「ペンは剣よりも強し」的な意味合いもあるんだろうけど、あの人たちがやってるの、その意味での「ペン」ではないよね? 文化を守ろうとする行動は、おじさんの方が確実に正しいよね?


 なので本作は、ひたすら見惚れる作品となっております。ファンタジーに興味のある方は必見でありましょう。
 物語のモチーフとなっているアイルランドの国宝「ケルズの書」を範にした、徹底した細部までの描きこみ。そしてそれがアニメーションする脅威。
 ブレンダンとアシュリンが樫の実を探して森をゆくシークエンスが絶品です。うまく説明する語彙がなくて困るくらい「美しい」のひとことです。虫がいっせいに飛び立つシーンは鳥肌立つかと思いました。あと、クロム・クルワハの眼を奪う戦闘シーンも素晴らしかった。「ヴォルフィード」思い出した(笑。

 ともあれ「ソング・オブ・ザ・シー」と併せ、もう一度見てみたい、そして世界に溶け込みたいと思う作品です。


 あと思ったこと。
○仲間の修道士に明らかに黒人がいるのは、最低なポリコレ配慮かと思ったら、当時のアイルランドはキリスト教圏すべての地域から留学僧が集まってたそうで、本当にいたかもしれないらしい。

○「オオカミの妖精」がおめめくりくりなロリっ子という発想は、何から着想を得てそうしようと思ったのか、おじさん怒らないから言ってみ(笑?



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posted by アッシュ at 16:17| Comment(0) | 映画感想 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする