2015年10月27日

ギャラクシー街道 と、ムービルの1100円サービス再延長のこと

[50点]@ムービル

 三谷幸喜が一番得意としていたはずのシットコム群像劇で、ここまでピクリとも笑えず、かつ、この規模の小ささでさえエピソード同士がまともに絡まないまま、まとめきれていないものが出てくると、もはや哀れみに近いものしか感じないです。有頂天ホテルの感動はいずこ……。
 とりあえず、男子的には、綾瀬はるかのおっぱいをひたすら見続けてれば時間が経過してくれるので、飽きが来ないのが救いです。優香とのツーショットがもう少し欲しかったよな!



 さて、本作は、これでムービルのサービス期間も最後かぁ、と思って見に行ったんですが……

 そろそろあきらめたほうがよくね?

 まぁ……ね、なんとなく憶測はできるよ。
 この「会員常時1100円」サービス利用者しかまともに客がいなくて、やめると悲惨なことになるからやめられないんだよね? たぶん。
 車での利用が事実上不可能&鉄道の結節点である横浜駅前の立地を考えると、自分がふだん利用する「平日夕方以降の回」は、それなりに稼ぎ時のはず。でも、一割以上席が埋まってるの見たことないです。500人入る迫力の大スクリーンに、客20人以下がデフォだもんなぁ。閉館した旧109シネマズMM横浜ユーザーを誘導する、という目的は、結局果たせなかった、ってことだろうなぁ。

 僕個人は空いてるほうが好きだし、でかいホールも好きなので、あの雰囲気は割と気に入ってるんですけどね……。普通の人は、あんなガラガラな映画館を見たら、あぁ、やっぱり映画って凋落した文化なんだな、という印象を受けるんじゃないかな……。
 都市型シネコンの立地としては最強に近いのだから、そうした悪印象が蔓延する前にとっとと改築して、適切な座席数のホールを10くらいそろえた普通のシネコンにすべきではないでしょうか。何か、できない事情でもあるのかな……と思っていたら、いちおう構想はあるのか……8年前の記事だけど、今どうなっているのやら……ふむ。



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2015年10月23日

短評(ボーダレス/23年の沈黙/白い沈黙/009vsデビルマン)


ボーダレス -僕の船の国境線-
[75点]
@新宿武蔵野館
 久々にイラン映画。
 イラク国境に近い川の廃船で、一人で暮らす子供。突然イラク兵の姿をした別の子供が現れて彼の生活圏の半分を奪い、船の中に「国境線」を作ってしまう……という予告編を見て、僕はてっきり、彼らがイランイラク戦争になぞらえた擬似戦争を始めて、そこからどのように融和していくのか……という話だと思っていました。
 違った。全然違ったわ。確かに序盤は二人の擬似戦争なんですが、「融和」は、中盤に起きるあるきっかけで一瞬で果たされてしまいます。ここ、後からチラシを見たら、「三人目の乱入」も含めてバッチリあらすじに書いてあったんだけど、何も知らんで見るとビックリしたわホント。
 しかし、どうしてその展開に至ったかの背景を考えるととても痛々しいのは確かだけれど、「それ」を出せば争いが止み宥和に至るのは、古今東西どこにでも、またこれ以上の状況のものもある(「ツォツィ」とかね)物語の一類型なんで、せっかくの「擬似国境線」というアイディアが意味をなくしてしまったのが残念。
 というか、監督は「国境線をなくしたい」みたいな意識で本作を作ったと思うのだけれど、この内容だと逆に「プライバシー領域は必要で、国境ってその拡張に過ぎないよね?」という解を示してはいませんか。
 ラストシーンは秀逸でしたね。何も語らず起きる「喪失」から、主人公の決意を示すラストカットが鮮やか。ああ、ここもなんとなく「ツォツィ」に似てる。


23年の沈黙
[60点]
@シネマカリテ
ピエロがお前を嘲笑う」の監督の旧作がオトカリテで公開。ものすごく後味の悪いサスペンス。
 23年、という期間に何か意味があるかと思ったらまったくなかった。そんで、82年と86年の両方のリストに載ってて、かつ「ティモの生活圏」で絞り込めば、容疑者はおそらく5人以下になったと思うんで、ヤーン君はそこでキレる前にもう一押し必要だったのではないですか。


白い沈黙
[40点]
@TOHOシネマズシャンテ
 失敗した。僕の大っ嫌いな「時系列切り刻み」でした。本作の場合、切り刻んで先に提示された情報は伏線として機能するので、無意味とまでは言いませんが、それでも、サスペンス部分をわかりにくくして、煙に巻いたり尺を膨らます意図しか感じられません。
 そんでさ。監督の前作は「デビルズノット」なわけだけど、本作でも、社会問題ものを手がけながら、描くべき根っこがまるで見えてないので腹立たしいったらないです。この作品で最も「救わねばならない」のは誰ですか。
 ……「カサンドラによって『調達された』子供たち」だろうが!
 刑事なんかどうだっていいんだよ! カーチェイスいらねぇだろこの題材で! この作品世界の範疇で解決できる問題じゃないのはわかる、でもアクション娯楽作の「バトルヒート」でさえ、そこのところをきっちりやるせなく締めてみせるのに、社会派っぽく見せてる本作がなぜできないのか。
 サスペンス部分をそんな「小細工(と書いてギミックと読む)」まみれにしてかえって作品世界を貶めているので、肝心の「児童誘拐や虐待に巻き込まれた人々の心理」を、寒空のもと熱く演じきった人たちの苦労が報われてない感じです。もったいない。
  
 ……ときに、期せずして似た題材で連続して沈黙することに。「23年」の方は原題がそうなので仕方ないけど、本作は何が沈黙だったん? セガールじゃあるまいし。


サイボーグ009vsデビルマン
[60点]
@バルト9
 どう考えても相容れない2つの世界観をどうやって混ぜるのか? という点はうまくできてる……というか誰がやってもそうなるよなって感じで、それをOVA三本分に押し込んでまとめたと考えると、良くも悪くも期待通りです。
 ただ、どうも詰めが甘くてだらしない部分があちこちにみられます。最たるところは、一本の話をむりやり三本にぶった切って所定の時間に収めてるので、各話の区切りが変なところへ持ってきて、ご丁寧にED&OPを挟むのですごく萎えました。せっかくのイベント上映なんだから、ちょっとは編集入れろよ!


 それにしてもバルト9、いつの間に料金体系変えたん?
 シネマチネをやめた、というか時間をずらして「夕方割」になってます
ね。個人的にはめっちゃありがたいです。TOHOシネマズ新宿への対抗策だと思われ、遅きに失した感はあるけど、正しい判断でしょう。シネマチネの時間に映画を見るような生活をしてる人は、映画に割引なんて求めちゃいないか、それより先にシニア割が適用されてると思うんで。



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2015年10月20日

短評(図書館戦争LM/全力スマッシュ/ジョンウィック)


図書館戦争-THE LAST MISSION-
[75点]
@ムービル
 続編作るとパワーダウンしそうな印象があったのに、想像以上に面白かった。野木亜紀子という脚本家は侮れない人のようなので、少しチェックしといた方がよさそうです。さすがに「俺物語」は見に行かないと思うけど……。
 前作でも似たようなこと書いたけれど、この作品を「リアリティ」の問題で否定するのはまこともったいない話です。この作品世界は、明確に「嘘」です。リアルであっては困ります。邦画の多くは、真実味を求めてなした描写がかえって嘘くさくしてしまいますが、本作はその「嘘くささ」がすこぶる有効に機能しています。この点、前作よりグッと見せ方が上手くなってる感。
 「たかが検閲で」彼らはここまでやる、そういう世界なんです。そう思わせられたら、作り手の勝ちです。そこで「たかが」と思ってしまった自分を省みられるかどうか。
 この作品を「荒唐無稽に過ぎる、馬鹿馬鹿しい」と切って捨てる人は、きっと本当にこの国に武力衝突が起きて国家による統制がなされる事態になったとき、本作の松坂桃李のようなしたり顔をするのでしょう。気をつけた方がいいよ。


全力スマッシュ
[60点]
@シネマカリテ
 香港発の、バトミントンでスポ根。人生の逆転をバトミントンに託した前科者と元チャンピオンの奮闘劇。題材は珍しいけど、「少林サッカー」ほどははっちゃけておらず、香港コメディーとしては標準形か。ゲロ吐く時間が長めなので食後の鑑賞はおすすめしません。
 スポ根としてはいささか意外な幕切れが、ちょっと興味深いです。「競技」をもっと見せて欲しかった反面、これはこれでアリというべきでしょう。


ジョン・ウィック
[65点]
@ムービル
 キアヌ・リーブス主演のアクションもの。マフィアのボスのドラ息子が、主人公の怒りを買い、組織ごとまとめて壊滅せしめられる……というのはよくあるプロットですが。
 本作が一風違うのは、主人公が裏社会で知らぬ者がない元殺し屋で、その「一目置かれッぷり」がハンパない点。そのマフィアのボスとの電話からしてこんな感じだもん。

 ボス「うちのボンクラがご迷惑おかけしまして……あのぅ、話し合いで何とか……」
 主人公「ムリ」ガチャン!
 ボス「ですよねー」(意訳)
 それでも息子の方を選択しなきゃならんのが、ロシアンマフィアの辛いトコで、
 ボス「しかたない、刺客を十人くらい送れば何とか……」
 主人公「返り討ちにしますた」
 ボス「ですよねぇぇぇぇ」(超意訳)

 という、もはや笑うしかない展開を超のつくくらい真面目にやってくれるため、主人公が容赦なく追い詰めていく様子はむしろホラー映画の主客逆転(劇中でも「ブギーマン[ロシア語はババヤガー]」になぞらえられている)。
 ただそれなら、ターミネーターばりに派手なドンパチをやってくれた方が娯楽としては楽しめたと思うのだけれど、本作はアクションシーンにこだわりが強く、こちらの作りこみもすごく真面目なため、かえって地味。「無益で無様な争い」という印象になっています。選び取った描写だとは思うんだけど、面白かったかといわれると……。



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2015年10月15日

短評(リトルウィッチアカデミア/GAMBA/カンフージャングル)


リトルウィッチアカデミア -魔法仕掛けのパレード-
[75点]
@TOHOシネマズ新宿
 前作感想。なお、本作の上映は、前作(25分)に続けて本作(56分)という仕様なので、初めてでも安心。
 尋常ならざる怒涛のアニメーションは健在。ここまでやるかよと思う、圧倒的かつ変幻自在の描き込みを堪能しましょう。アニメが好きなら見なきゃ損、ていうか、本作を見ない、なんて選択をする人は、「アニメ」のファンではない、と断言してもいいです。エンドロールでキックスターターの出資者名が出てくるけど、ほとんど海外名なんだよね……。

 ただ本作は、ストーリー的にはやや落ちます。テンポよくキレのいい展開が続きはするのですが、あくまで「第二話・第三話」です。それも「初めての仲違い&仲直り」と「新キャラ紹介」を同時進行でやるため、まとまりに欠けます。そういう挿話に、ここまでリキ入れなくても……と思ってしまいます。
 前作では全面的にポジティブに描かれた、主人公アッコの未熟かつ無鉄砲な勢いは、今回の「仲違い」フェイズでは「ウザい」に堕しており、あとに「仲直り」が来るとわかっていてもちょっとしんどいです。しかも新キャラ三名がその「ウザい」の陰に隠れてしまい、各自の個性の強さの割には存在感がありません。
 まだまだ続きを作れる手当がすでについていて、今後彼女らの掘り下げ回があるというなら、ちょっと楽しみですが……。


GAMBA -ガンバと仲間たち-
[55点]
@109シネマズ木場
 率直な感想。
 ……本当に日本の映画界は馬鹿だな!
 「進撃の巨人」は「営業上の理由」で前後編にしちゃうのに、作品の内容的に前後編にしなきゃ追っつかない本作を単品にするんだから!
 おかげで、物語の進行速度が序盤からフルスロットル。各キャラをつかませぬうちに話がずんどこ進むので、入り込みづらいです。特にイカサマの存在感はほぼゼロで、彼が絡む終盤の愁嘆場が意味不明の域に。
 内容は平易で明らかに子供(というか親子)をターゲットにした本作。子供相手の場合、93分の上映時間は集中力的に限界値だから、これ以上引き伸ばせないのはわかります、でも今なら、60分2本という興行でも受け入れてもらえると思うんですよ。仲間と出会って島にたどり着くまでで一本、イタチとの戦いで一本、それがこの作品の正しいかたちだったと思います。
 ノロイ登場以降は、そのトラウマとも呼ばれた恐怖感を含め、かなりのデキなので、非常にもったいないです。


カンフー・ジャングル
[65点]
@新宿武蔵野館
 ドニー・イェンによるカンフーアクション映画の新作。古いカンフー映画をオマージュし、当時の功労者が各所で友情出演しており、マニア感涙の作品……らしいです。そこまで入れ込んでいない人にとっては、クライマックス以外は大半が「主人公の行動or警察の捜査が空回り」に費やされるのであまりスッキリしません。犯人の目的は、別に謎でもなんでもないしな。
 もちろん、ラスト10分、クライマックスの高速道路上バトルは必見。思わず鼻息荒くなっちゃう熱戦ですんで、ここだけでも金払って見る価値あり。



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2015年10月10日

バクマン。

[80点]@ムービル

 傑作である。マンガの実写化では今年随一であろう。
 実写化はみなハズレだと思い込んでいる人は、本作を見て目から鱗を落としていただきたい。

 ただし、本作も「進撃の巨人」同様、「見る人は、漫画やアニメですでに知っている」という前提に立っていると思われる。
 そう解釈しなければ、「コンビを組む→亜豆との約束」あたりの導入のテキトーさは、ちょっとヒドい。最小限の情報しか置いておらず、短時間でも強く印象に残そうとする努力もみられないのだ。
 全体的にも、「物語の奥深さ」は完全に原作に依存しており、この映画単体では、ストーリーは「エイジと張り合った。終わり」のひとことですむ、といっても過言ではない。


 しかし、
 ……ちょっと話を変えると、町山智浩氏は、「進撃の巨人」が駄作化した言い訳のひとつに、「営業上の都合で急に前後編に分けられた」ことをあげたそうである。
 待て待て。なら、あの前編のゴアと後編の二項対立を混ぜて、それで2時間かそこらに収まる話として書いたってのか? ……それだけであんた、映画評論家の看板を下ろすに十分だよ。
 樋口監督のアクション重視の姿勢を考えれば、兵団の面々が巨人とさんざ切り結ぶ、だけで2時間がっつりやったってまったく問題なかったんだ。むしろ、「進撃の巨人」という題材を実写化するにあたり、観客に提供すべき核心が何か理解していたのは、あの出来からすれば明らかに樋口監督のほうである。


 翻って、「バクマン。」である。
 予告編を見た人は、不審に思ったのではないだろうか。
 「あれ、蒼樹さん誰が演じるの?」

 (以下、ちょっと隠す。)

 登場しないのである。
 原作屈指の人気キャラ、美貌の女流マンガ家蒼樹紅先生は、本作には登場しないのである。
 それどころか見吉も岩瀬も、入院シーンがあるのに真城の母親さえ登場しない。画面上に映る「女優」は、事実上亜豆美保を演じる小松菜奈だけである(他は、クラスメートや声優仲間が少し登場するだけ)。
 なぜか。彼女らは「バクマン。」の核心とまったく関わりないからだ。


 なお、この映画の最大の難点を上げておくと、小松菜奈が、演出意図に応えられるほど顔がカワイくなく、声優の設定なのに声もカワイくないし演技も棒であること。ただ、この不似合いはワザとじゃないか、と思うようなある仕掛けがしてあり、ラブコメ的プロットにおいて「小松奈菜という女優」にハナから重きは置かれていないので、ダメージは小さい。


 この映画は徹底して「ジャンプマンガ」であり、「友情・努力・勝利」のスローガンのもと少年が成長していく過程以外は、ほぼそぎ落としているといってよい。
 この割り切りがすばらしい。映画の尺に何を収めなければいけないか、はっきりとわかっている。

 そしてその割り切った中に、マンガやアニメでは(まして小畑健の綺麗な線では)描けない、実写でなければできない身体性そして躍動感のある描写を、積み重ねていく。「人の指先が、肉体があの絵を生み出しているのだ」という説得力が強く感じられるのだ。
 あるいは、「マンガの作画音を音楽のようにリズムよく重ねて」制作過程を表現するシーンがあるのだが、あれも「金属のペン先を木の机の上の原稿用紙に叩きつけている」という質感が強くあるからこそ、牽引力がぐっと増している。
 このあたり、確固たる信念が画面の端々から伝わってきた。


 さらに、この映画はそこから先の、新たな「実写」を次々に打ち出していく。
 新妻エイジが登場し、彼との「バトル」が始まるや否や、「マンガを描く」という行為が、見ていて面白くて心地よくてたまらない、そんな感覚を覚える映像が、さまざまな手段でスクリーン上を疾走し始めるのだ。
 マンガ社会の日本であるからこそできる、よその国にはできない、日本ならではの「実写」の志向だ。これまでのこうしたマンガ的志向の映像は、多くは失敗していたが、マンガそのものが題材である本作では、際だってハジけていて、大成功だった。エンドロールはむろん、いわずもがなである。本作から、また新たな表現が生まれてくる予感がする。

 まったくもって、実写化の鑑といっていい作品だと思う。あるいは、救世主といえるかもしれない。
 いろんな意味で、大根仁監督に足を向けて寝られなくなった映画関係者が多数いるのではないだろうか。


 (「日本の映画はダメになった、ウケるのはアニメばっかりだ」というのが事実だとすれば、その最大の原因は、「優秀な映像感覚を持ち、ビジュアルで自らの創作を表現したいクリエーターにとって、目指す職業の最高位が、『映画監督』でなく『マンガ家』である」なんて国が日本だけだからだ。否も応も日本はそういう国になったのだ。文句があるなら天国の手塚治虫に言いなさい。

 実写映画界は、その事実を素直に受け止めるべきなのだ。「優秀なビジュアル」を作るのにマンガ家のアイディアを借り、マンガ表現から引用することを恐れてはいけないと思う(原作マンガをそのままマネしろという意味ではない、念のため)。そこに、実写でしかなしえない「身体性」「質感」を付加するにはどうすればいいか、という点に腐心すればよいのだ。
 それだけで日本の映画は劇的に変わるんじゃないだろうか。

 というか、たとえば「監督:宮藤官九郎」よりも「ストーリーボード:尾田栄一郎」の方が、マネタイズ的にも確実だと思うんだけど、そういう思考を持つ映画関係者はおらんのかね。)



 ……さて、全然関係ない話でオチをつけますってぇと。
 普通、20歳を過ぎると、若作りして思春期まっただ中の役を演じるのは、厳しくなるもんだと思うのですが。
 「るろうに剣心」で緋村剣心(役年齢28歳)を演じた佐藤健(26歳)が、今回はサイコー=高校生(17歳)を演じているにもかかわらず、まったく違和感がないのがスゲー怖いです。

 「剣心といいこいつといい、飛天御剣流たぁいったいどーなってんだ?」
 「わかった! 飛天御剣流にはきっと不老の秘術があるんだ」
 「よし! あたしも習う!」




佐藤健写真集 ALTERNATIVE -
佐藤健写真集 ALTERNATIVE -
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2015年10月09日

短評(ドローンオブウォー/屍者の帝国/アルペジオCadenza)


 新文芸座で旧作の「マッドマックス」「マッドマックス2」を見ました。「北斗の拳」に影響を与えた「2」がすばらしすぎて、涙出そうになりました。「デスロード」より、ずっといい。アクションじゃなく、ストーリーやキャラ配置の、無駄がなくかつ奥が深い、理想的な作りこみが感動的なのです。


ドローン・オブ・ウォー
[75点]
@TOHOシネマズ川崎
 安保法案の議論当時、なんとも鼻白んだことのひとつに、あの「徴兵制」云々を筆頭に、戦争というものの認識がまだベトナム戦争、ひどいのになると第二次大戦のまま更新されてない人が多い事実がある。なので、安保法案についてガタガタ言った人は全員、法案に関する賛否を問わず、本作を見て認識を改めてほしい。今後、日本が戦争するとしたら、たぶんこれに近いものになる。背広姿で電車で通勤してオフィスワークで人を殺すような、そんな戦争。

 「若者を戦場に送るのか」なんというロジックで反対していた方々は、こういう戦争には当然賛成してくれるのだろうが(もちろん皮肉)、本質はそこじゃない。「大義なき戦争の是非」ですらなく(ならば題材をドローンにしなくても同じなので)、主人公の苦痛の最も重要な点は、「家族・夫婦という個人の日常を目の前に置いたままの戦争」が存在する現実だ。遠いアフガンの地だけでなく、主人公の自宅をも執拗に空撮する映像に、「戦争との距離」をきちんと感じ取った上で、僕らは戦争について語るべきなんだと思う。


屍者の帝国
[50点]
@TOHOシネマズ川崎
 伊藤計劃という作家は、本人よりも褒めそやす周囲の意識高い感が鼻について、どうも手が出なかった人なのですが、こうしてアニメ化されて実際触れてみて、その認識は間違いではなかったと理解しました。いろいろケチついてるし、残りの二作品どうしようかなぁ。
 セリフだけの説明、物語と関係なく派手になるアクションシーン、出来が悪いとは思いませんがどこをとっても「ちぐはぐ」という印象です。作っている側も自分が何を作っているか理解できてないけど、「それっぽい映像」で押し流そうとしているとしか思えないんですよね。バベッジコンピュータとか、見た目には面白いんだけど、「ガチガチの機械式コンピュータに音波で死体を遠隔操作する能力」「操られた死体はゾンビ映画そのままに人間に噛み付いて殺す」「どう見ても死因は出血多量なのに、音波が消えたとたんに殺された人だけ生き返る」に至っては、もうスラップスティックギャグでしょ、これ。何のためにインドの山奥で「人体への霊素の強制注入による意志の剥奪」を描写したの?

 まあ、小説で読めばもっと面白いんだろうな、とはわかりましたし、「死者から言葉を引き出したいと願った者」による、伊藤氏に捧げられたと思しきエンドロールのモノローグはすごくズシンと来ました。……と思ったらエンドロール後のワンシーンは何だよ! やっぱあんたらギャグ映画作りたかったんだろ!


劇場版蒼き鋼のアルペジオ -アルス・ノヴァ Cadenza-
[60点]
@チネチッタ
 前作感想。
 「アドミラリティコード」については決着ついたとはいえ、「なぜ霧の艦隊が生まれたか」は投げっぱだし、対立の背景にあった「真実」はみみっちすぎて腰砕けるレベルだし、生徒会はやっぱり「仲間とぶつける」以上の意味がないし、肝心の艦隊戦も派手になりすぎてもはや何やってるかワケわからんくなってるし、……とはいえ、「剣を振りかざして襲いかかる戦艦」に「ドリルで応じる巡洋艦」という、そこらへんの「ワケわかるかどうか」の一線を完全に放棄した絵面に、もうどうでもいーや、という悟りの境地でいっぱいです。タカオかわいいよタカオ。

 ところで、最後くらいキリシマに体を返してやれよ。



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posted by アッシュ at 13:32| Comment(2) | TrackBack(0) | 映画感想 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年10月01日

短評(ARIA/WUG!)


 ……SEALDs は、「五輪エンブレム問題から世間の目をそらしたい博報堂が仕込んだ芸人集団だ」と陰謀論をぶち上げたほうが、どの立場にとってもよい落としどころになりそうな気がしてきた。


 閑話休題。
 えーと、10月以降、見る映画の本数はやたら増えるのに、物を書くのに費やせる時間は大幅に減る見込みです。見ても感想は書かないか、いつもよりさらに短い下のような短評でお茶を濁しそうです。点数のみのパターンもあるかも。
 長い文章がすらすら思いつくような作品に出会えることを祈りつつ。


ARIA the Avvenire
[65点]
@新宿ピカデリー
もとより家でまったりゴロゴロしながら見るタイプの作品なので、映画館で見るとやや退屈。大スクリーンであのSDキャラ演出連発されると萎えます。……とはいえ、ブルーレイボックス販促のための蛇足としても、もう新録ができないアテナ(CV:川上とも子)の出番さえきっちりと織り込んで、作品全体に鮮やかなフィナーレを添える企画意図は確実に伝わる内容で、見てよかったと思います。お疲れ様でした。


Wake Up Girls! -青春の影-
[55点]
@TOHOシネマズ川崎
非常にテンポのよい展開で個人的には嫌いじゃないけど、主役のアイドルたちより、周囲の大人の描写のウザさの方が際立つ、誰得な方向性は健在。……今後どう進めるか知らんけど、結局「東京のロジックの方が優位」「彼女らの優位は『早坂さんが曲書いた』だけ」って答えになりゃしないか? 不安だ。



ARIA The ANIMATION Blu-ray BOX -
ARIA The ANIMATION Blu-ray BOX
posted by アッシュ at 16:36| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画感想 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする