2015年11月25日

音楽映画ベストテン

 今年もこちらに参加します。
 過去の参加リスト。

 <SF映画ベストテン
 <ホラー映画ベストテン
 <スポーツ映画ベストテン
 <アニメ映画ベストテン

 今年にこの題材とは……ラブライバーに荒らされないことを祈ります。

 さて。ちょっと苦労しました。自分はあんまり、音楽の観点で映画見ないからなー。マスト扱いされてるロックもほぼわからんし。
 それでも、わりと妥当な線を選べたような気がします。コメント欄の投票見てると、「どこに音楽の要素が……」というのがかなりあるようなので、それよかマシかと。

 まずリストから。洋画の年号は日本公開年。



  1. リンダリンダリンダ(2005/山下敦弘)
  2. スクール・オブ・ロック(2004/リチャード・リンクレイター)
  3. ベルヴィル・ランデブー(2004/シルヴァン・ショメ)
  4. きっと、うまくいく(2013/ラージクマール・ヒラニ)
  5. 映画けいおん!(2011/山田尚子)
  6. ブルース・ブラザーズ(1981/ジョン・ランディス)
  7. スウィングガールズ(2004/矢口史靖)
  8. 劇場版マクロスフロンティア サヨナラノツバサ(2011/河森正治)
  9. 劇場版マクロスフロンティア イツワリノウタヒメ(2009/河森正治)
  10. 北のカナリアたち(2012/阪本順治)




コメントを少し。

1位/リンダリンダリンダ
5位/映画けいおん!
7位/スウィングガールズ

なんか、傾向が見えますね(笑 はっちゃけて演奏する女の子は最高!
スウィングガールズに関していえば、本仮屋ユイカのドヤ顔がすべてですが!

2位/スクールオブロック
音楽をまっすぐテーマに据えた映画としては最高峰だと思います。エンドロールも最高。でもなぜ2位にしたかというと、ジャック・ブラックがクライマックスでダイブしたことは覚えてるけど、何歌ったかはまったく思い出せないから。

3位/ベルヴィルランデブー
音楽をテーマにした映画ではないけど、楽曲が最高。未だに歌える。トリプレットによる中盤の即興演奏もすばらしい。

4位/きっと、うまくいく
インド映画比較しだすと大変なことになるので、「オール・イズ・ウェル」がめっちゃ耳に残ってるこれを代表で。

6位/ブルースブラザーズ
古いところやミュージカル系からも一本入れたいなぁといろいろ考えた結果、これをセレクト。実はわりと最近見たのですが、アレサ・フランクリンの熱唱が、ストーリー的には意外にどうでもいいシーンで始まったことに驚きました。

8位、9位/マクロスフロンティア
2本まとめて。アイドルアニメがわさわさ出てきてますが、知る限り未だに最強。「ライブ演出」自体でアイドルの価値を上げることに成功している作品は、今のところこれだけでしょう。

10位/北のカナリアたち
1点狙いのネタで。名優たちの演技を凌駕して、「子役の合唱」が映画全体で唯一「見られるシーン」だったというすごい映画。


 クラシック系はゼロとなりました。なんか大感動したものがあった気がしなくもないのだけれど……。
 次点で「敬愛なるベートーベン」とか考えはしたけど、これも音楽じゃなくて「Wash Me」のインパクトだけが残ってるからなぁ……。

 以上です。よろしくお願いしまーす。



リンダリンダリンダ [DVD] -
リンダリンダリンダ [DVD]
posted by アッシュ at 17:19| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画コラム | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年11月18日

短評(ハーモニー/RWBY1/ムーンウォーカーズ)


ハーモニー
[35点]
@TOHOシネマズ川崎
 ……なかむらたかし&マイケル・アリアス共同監督、という時点で、「屍者の帝国」が無駄にがんばったのと同様な、派手な娯楽作品になるわきゃないことは理解してますよ。……でもさ、ストーリー進行が完全にセリフとモノローグ任せで、「どうやって映像を埋めようか」と苦心惨憺してる感覚が痛いほど伝わってくるありさまでは……やっぱこの Project Itoh という企画自体が、ものすごい勘違いをしてたとしか思えません。

 内容もな……個人的な好き嫌いでしかない、というならその方がいいんですが、以前から書いてるとおり、僕は「マイナスをゼロに戻すだけ」の話は嫌いなんです。「登場人物が最善の選択をする」話が好きなんです。しかしここでは、凄まじい知識量で現実を周縁部まで丁寧に俯瞰しながら、世界構築自体を「意図的な悪手によって欠落」させて、「その欠落とは何か」的な話に終始します。
 その果てに語られる「結論」がさ……ホント、好きな人には申し訳ないんだけど、僕にとってはそれ「前提」だわ。ここから物語を始めますよ、ってとこで終わってしまいます。
 無知なガキじゃないんだからさ、生態系の一部たる人間社会が本質的に持つカオスに、もっと敬意を払おうよ。このいびつなピュアを抱えたまま創作をする人間がいるのはわかります、でも文化人面するいい大人が有難がってはダメでしょう。


RWBY -Volume 1-
[55点]
@シネリーブル池袋
 3DWebアニメの嚆矢としてちょっと話題になった時分に、少し見てた記憶はあるんですが……こんな学園モノだったっけ?
 アクションシーン以外はたいしたことなかろうと思って見たのだけれど、多民族社会らしさが真剣に組み込まれている分、学園異能力ものとして昨今の「アニメ」よりよくできたストーリーだと思います。

 むしろアクションのほうが、ゲームのエフェクトの数珠つなぎをMMDの延長で作ったに過ぎない印象。そうなると、モーションのカクカク感が目についてしょうがないです。スコット・ピルグリムでも書いたとおり、欧米の方々がこうした表現を血肉にするにはもう少し時間が必要ですね。じきに追いつかれるとは思いますけども。

 それより日笠ウゼェ。日笠陽子にアテ書きしたとしか思えないキャラで、彼女のいつもどおりのはずなのに、セリフ多すぎて頭痛がしてきます。セリフ回しにメリケンなシットコムテイストを織り込むと、「アニメ」のシナリオはここまでウザくなるのか! ちっとは加減してくれ! 
 下野&豊口カップルの今後だけちょっと気になるけど、それ以外は先を見るモチベーションがわかないのが率直なところ……。


ムーンウォーカーズ
[50点]
@ヒューマントラストシネマ渋谷
 名作「プロデューサーズ」みたいなノリで行くのかと思ったら、月の映像がどうこうは、「政府の押しつける理想」くらいの意味しかなくて、実質は「ベトナム戦争で心に傷を負った兵士がラリったら立ち直った」というスジの、当時のヒッピー礼賛映画でした。そういうのがお好みでない向きには、即物的な笑いはそれなりにあるけど、面白いとは言いづらいです。



プロデューサーズ コレクターズ・エディション [DVD] -
プロデューサーズ コレクターズ・エディション [DVD]
posted by アッシュ at 15:50| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画感想 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年11月13日

短評(ガンダムORIGIN2/エベレスト/PAN)


機動戦士ガンダムTHE ORIGIN II -哀しみのアルテイシア-
[70点]
@新宿ピカデリー
 えーっと、ザビ家がそんなにも四六時中マス家を監視かつ把握してたんだったら、完全に別人格を得たシャアはともかく、ファーストガンダムにおけるホワイトベースは、「セイラ・マスが乗ってる」という理由だけでジオン軍に総攻撃されてもよさそうなものなんだけど、そこらへん、今後整合性は取られるのでしょうか。
 いやはやそれにしても、事実上戦闘のない、物語的には「つなぎ」の章なのに、伝奇ロマン的描写を連ねて濃密にしており、素晴らしかったです。「デブのおっさんが襲われて逃げ惑う」だけのシーンであんなに作画枚数使うなんて、たぶん劇場版ガンダムでなきゃ許されない(笑。それを含め、今回は人物の動きに気合入りまくってましたね。
 なお、その襲撃シーンで唐突に鎧武者が出てくるのは、「伝奇ロマンならば、当然出さねばならぬ」という使命感だけが理由だと思います。「クラッシャージョウ」の当時から(こないだサンライズのイベント上映で見た)、安彦良和はそういうことする人。


エベレスト3D
[65点]
@TOHOシネマズ川崎
 この作品を、ストーリー的に面白くするのなら、「ホール氏の一代記」って方向性だったと思うんです。でもあくまで「悲劇」だけを切り取った以上、スリルあるいはホラー的な見世物と割り切って作った方がよかったんじゃないでしょうか。労をいとわず作り上げたスゴい映像には違いないけど、思ったより衝撃は弱め。映像より音響の方が、怖さを煽っていた印象です。
 友人曰く、「雪山の怖さ」という意味では、「八甲田山」の方が上、だそうです。


PAN -ネバーランド、夢のはじまり-
[65点]
@TOHOシネマズ新宿
 ……。
 ……個人的には、児童文学としての「ピーター・パン」はかなり思い入れのある作品でして。
 ……あの名作をどう翻案してくるか、と考えていたわけですが。
 ……すぐあきらめました。

 ピーターパン12歳! 時代は第二次大戦中! つかみのアクションは、空飛ぶ海賊船vsスピットファイア!
 翻案のよしあしとかリスペクトの有無とか、そういう次元じゃなかったです。本当にありがとうございました。

 ぶっ飛んだアクションアドベンチャー、と考えると、若干CGに安っぽさを感じますが、中盤のトランポリンバトルあたりまではアイディア満載でめちゃくちゃ楽しいです。

 ただしそれ以降は、例によって運命だの「自分を信じる」だのを振り回し、ダレてウザいです。クライマックスに覚醒して、オレTUEEEになったピーターさんは、カッコいいとか爽快感を通り越して「怖い」域に達します。ヤバいですあいつ。

 で、本作最大の衝撃は、さらにその後のエンドロールにあってですね。
 何も知らずに行ったから、それ見た瞬間、腰抜かしそうになった!
 ……これ、ジョー・ライト監督作品なの?!



プライドと偏見 [Blu-ray] -
プライドと偏見 [Blu-ray]
posted by アッシュ at 12:47| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画感想 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年11月12日

スターウォーズは特別料金になるそうな


 ……ってことで、TOHOシネマズ大炎上だそうですが。

 えーっと、ざっと見る限り、値上げ対象は、日劇・六本木・渋谷・新宿・日本橋・梅田・なんば、か。
 やりたいことはわかる。足元を見てるんじゃなくて、「分散」狙いですがな、これ。
 事実上、「ムビチケ買ってくれた人優先」で、前売り買うほど思い入れのない層は、なるべくよそ行って、と。

 もとより映画の客は都心部に集中しやすいですが、ファンの多い映画だと、「みんなで連れ立って見よう」ってことになるから、それが加速しちゃうんだよね。各シネコンのサイトで予約状況見てると、「新宿は満員なのに川崎はスカスカ」みたいな事態、よくあります。


 もう少し早めに、そういうことする可能性があります的に匂わせておいたほうが、心証はよかった気はしますけども。
 この記述だとつまり、2D通常上映は普通にあるわけですよね。単に足元を見て儲けたい、ていうんだったら、全部3D上映にしちゃえばいいんです。109川崎が時々やる、「ほぼ全部IMAX上映、通常上映は使いにくい時間帯に小さいスクリーンでちょっとだけ」みたいながめついシャットアウトはしないわけで、それよかなんぼかマシなように思います。
 今後もこういうパターンは増えるんじゃないでしょうか。


 そして都心部のうちに入れてもらえない錦糸町。



ウォーカームック  錦糸町ウォーカー  61805‐16 (ウォーカームック 411 ひと駅ウォーカー) -
ウォーカームック 錦糸町ウォーカー
posted by アッシュ at 16:22| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画コラム | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年11月10日

短評(顔のないヒトラーたち/ヒトラー暗殺/ロシアンスナイパー/ミケランジェロプロジェクト)

 短評、ていうほど短くないけど、ナチスがらみを立て続けに見たので、まとめてドン。

顔のないヒトラーたち
[50点]
@ヒューマントラストシネマ有楽町
ヒトラー暗殺、13分の誤算
[65点]
@TOHOシネマズシャンテ

 どちらも、主人公にどうも「超人」を感じてしまい、イマイチでした。ここで「超人」と言っているのは、調査能力や爆弾製造能力を言っているのではなく、「ナチスを徹底して邪悪視する、後世の史観を知っているとしか思えない行動様式のキャラクター像」、という意味です。

 前者は「アウシュビッツにおける殺人行為」のみが裁く対象であるはずで、そこを突き詰めていく前半はいいのですが、だんだんそれとナチス全体との線引きがあいまいになっていきます。だからさ、ナチスはいちおう選挙で選ばれた政権なんだから、(そりゃ表立って党員でしたと言う人はいないだろうけど)党員も支持者もいて当たり前で、この案件も「一部の人間の暴走」に収斂させていきたいと望むのがノーマルな思考じゃないの?
 後者はもっとひどく、客観的に見れば、主人公はやけっぱちの爆弾テロリスト以上の評価をしてはいけない人物でしょう。彼が「ヒトラーを暗殺すれば事態が好転しうる」となぜ判断できたのか、まったくわかりません。また、当時田舎町で映画を公開したら、持ち込んだのが誰であってもみんな熱狂したに決まっています。それをおぞましい全体主義の発露のように見据える主人公の姿は、もっとおぞましいです。

 ただ、それでも後者の方が優れた作品だと思います。
 前者は、中盤から終盤にかけて、「実は○○でした!」「実は○○でした!」主人公「そ、そんなバカな……うわぁぁぁ!」というわざとらしく不快な描写で、魅力的な主人公をどん底に突き落とす、というバカをやっちゃうんです。
 「それでもボクはやってない」の感想で、「真実と事実は異なる。裁判にかけて、勝った方の言い分が事実である」と書きましたが、本作は「なかったことにされているアウシュビッツ問題を事実にする」、という内容の物語のはずです。
 それに愁嘆場なんて付加したら、ただ感傷を呼びたいフィクションに……ていうか、この題材に限っていえば、アウシュビッツ自体があのユダヤ人検事総長さんのしかけたプロパガンダ、って示唆しているようにも見えてくるんだけど、そういう解釈されてもえぇの?

 一方で後者は、終盤に一気に視点を変え、監督の前作「ヒトラー最期の12日間」で「人間くさいヒトラー」を描いたごとくに、最後に「人間」を描きます。
 見た後であわてて調べました。あの展開、史実なんですね。ドイツの観衆にとってはこの結末は常識で、それに至るまでの物語、という認識で見直すと、違ったものがみえるのかもしれません。


ロシアン・スナイパー
[70点]
@ヒューマントラストシネマ渋谷
 アメスパに対抗して作られた(?)第二次大戦時に実在しナチスドイツ兵を300人以上撃ったソ連の女性スナイパー、リュドミラ・パヴリチェンコの足跡を描くロシア製戦争映画。制作時期から言って、クリミア半島は俺らのもんだ! というロシアの意地もあるのかも。
 ロシアらしく、戦争を重苦しくもドライに描く描写は僕好みですが、物語は、人類史でトップクラスに「強い女」が、「誰を愛し誰に愛されたいと願ったか」というラブロマンスが中心だったりします。そこらへん、日本のマンガやアニメにおける「強い女」なんてメじゃないです。
 あと、とても穏やかに見えて全然ハッピーエンドじゃない、強烈に米ソ関係を皮肉るラストシーンが笑えます。あの二人、全然理解し合ってなんかねーじゃん!


ミケランジェロ・プロジェクト
[40点]
@TOHOシネマズシャンテ
 主演のジョージ・クルーニーが監督も務めている作品ですが、とにかく作劇がひどいです。
 キャラがまともに立ちきらず、誰が登場したかさえよくつかめないうちに、プロジェクトのメンバーの行動が分散してしまいます。誰が何をしているのか、まったくわかりません。
 しかも個々のイベントは、起きたできごとをきちんと説明せず、次のイベントとのつながりもはっきりさせない、無駄に散文調で中途半端なものばかり。
 さらに、コメディにするにはナイーブすぎる題材をコメディ調にしたわりに、くすりとも笑えないのは、もはや「ぶざま」の域。歯医者のシーンなんか、笑いを取りに来てるつもりのようですが、イライラしてぶん殴りたくなりました。

 終盤、ジョージ・クルーニーが、ナチスの大佐を前にしてカッコいいセリフを言うシーンがあるんですが、ほんとに「言うだけ」であることにぞっとします。その大佐は、その言葉に何も反応しませんし、そもそも彼は物語上で何もしてませんし、その後まったく登場しません。「ナチス兵は存在自体が邪悪」、という認識のもと、見せ場を作るためだけに用意されたキャラです。
 そんでラストシーン! 30年後に時間が飛ぶんですが、登場して締めのセリフを言うのが誰なのかまったくわかりません。エンドロールで、「Old Stokes / Nick Clooney」とクレジットされてようやくわかりました。あぁ、「30年後の自分」を「自分の父親」に演じさせたわけね。 ……単なる私物化じゃねーか!



ヒトラー ~最期の12日間~ Blu-ray -
ヒトラー ~最期の12日間~ Blu-ray
posted by アッシュ at 16:54| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画感想 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年11月04日

1001グラム -ハカリしれない愛のこと-

[75点]@文化村ル・シネマ

 はじめに、この作品を見るにあたっては、予備知識としてWikipedia見とくといいかもしれません。そうか、重さだけはまだ原器で定義してるのね。メートルみたく、原器を用いない手法でとっくに再定義されてると思ってた。


 さて、超久々のル・シネマで、ベント・ハーメル監督の最新作。
 ……やっぱ好きだわー、北欧映画のこういうテンポ、気持ちいい。「キッチン・ストーリー」見てないのがつくづく惜しい。どこか特集上映してくれないかしら。
 本作は基本、「ホルテンさんのはじめての冒険」の同系統同プロットの作品。説明ゼリフなんかなくてもひと目でわかる「生真面目で四角四面で融通の効かない主人公」を、「40年遅刻したことのない老運転士」から「ハカリが正確かチェックする計量の専門家の女性」に置き換えただけ、といっても過言でないです。
 (違いといえば、前作は「鉄道」がフィーチャーされていたけど、本作は「電気自動車」。エコも何も関係なく、ごくフッツーに個人の所有する乗用車として登場するの、初めて見たかも!)

 しかし、「ホルテンさん」が結局個人の話にとどまり、老境に至った主人公の来し方行く末を問うたのに対し、本作は、主人公を「国際会議」に連れ出して、世界中の学者がそろって「キログラム原器」を持って並ぶ姿を見せて、こうした話は世界どこでもありふれてる、と話を広げます。
 人はそれぞれに等しい命を持ち、けれど、同一に定義されるべき「キログラム」が温度や圧力で(あるいは「洗浄したかどうか」でさえ)ほんの少しずつ違ってしまうように、その外にある「人間」は違う。些細な差であっても、同じ物事に同じ解釈はなく、同じ行為で積み上がる経験値も異なるのです。
 要するに「みんな違ってみんないい」なんだけど、それをうまーいこと穏やかに可視化した、素直に受け止めたくなる人生賛歌です。


 ただ、北欧映画の味といえる「そこはかとないおかしさ」についてはやや弱く、「淡々と進む、盛り上がらない」感覚は強め。開幕十分経たずに、前の席の人の首がこてんと倒れたほどなので、そこは覚悟めされ。
 オチは最高! 「単位」って、型にはまった話のようでいて、結局人体を基準にしたものがほとんどだよねー、という流れから、……そこかぁーーーい!!



ホルテンさんのはじめての冒険 [DVD] -
ホルテンさんのはじめての冒険 [DVD]
posted by アッシュ at 16:46| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画感想 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年11月02日

ヴィジット

[80点]@TOHOシネマズみゆき座

 えーと、最初に書いておきたいんだけどさ、「三つの約束」とか宣伝に大嘘入れるのヤメロよ。出てこねぇじゃんそんなん。
 (追記 2005/11/6
  と思ったら、コレ海外でも同じ宣伝で、かつプロデューサーが「パラノーマル・アクティビティ」を仕掛けた人なのね……ワカってる人が狙ってやったことなのか。個人的には好かないけど……)



 さて、M・シャマラン監督の新作は、なんとPOVホラー。
 困ったことに傑作でした。
 「困ったことに」がつくのは、根幹のトリックはごくごく単純だし、「観客をビックリゾクゾクさせる目的のホラー」と思って見に行ったクチには、チャチとも言える大したことない作品だから。

 でもね。ヤラレタ。完璧に騙された。
 というか、ここしばらくあふれた安易なPOV作品に、ケンカ売って実力を見せつけた、そんな感じ。

 根本のネタバレはしてないけど、先入観なしに見てほしいので、見てない人はここから先読まないことをお勧め。



レディ・イン・ザ・ウォーター 特別版 [DVD] -
レディ・イン・ザ・ウォーター 特別版 [DVD]

続きを読む
posted by アッシュ at 17:27| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画感想 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする