2016年01月19日

短評(ガラスの花と壊す世界/傷物語1/シンドバッド2)

新年公開のアニメ三題。

ガラスの花と壊す世界
[55点]
@新宿バルト9
 上映時間67分で料金1800円、パンフレット2000円(!) という、「劇場版花咲くいろは」のえげつなさを上回るコストパフォーマンス記録を打ち立てたことがまず衝撃的。でも友人によれば、カントクさんの画集が2000円で手に入ると思えばOKじゃないの? とのこと(←キャラデザのイラストレーターのペンネームが「カントク」というややこしい話)。
 内容は……サーバー内に人間がデータとなって居住している、というSF設定はゼーガペイン楽園追放もそうだし今さら驚くには値しません。その凡庸な設定を終盤になってからかなり強引にひねくりたおすストーリーは、作っている側は「二転三転のどんでん返し」と思ってやったんだろうけど、率直にいってワケがわからない。もっとシンプルにまとめてよかったと思います。冒頭に登場するキャラとその「名前」が、ツカミだけ顔出しだけと思わせておいて、最終的に物語全体に影響を与える点だけは意外感があり、面白かったですが。
 まぁ、女の子を愛でる作品、と開き直るしかないですかね。初期値では感情も感覚も持たず、物語の中でそれを知っていくはずの主人公2名が、しょっぱなから感情バリバリ出して会話してんだもん、そう思わなきゃやってられない。正直、「ダーティペアを今風にアレンジした」という感覚が強いです。今いちばんカネ持ってるオタ世代ってそこらへんだもんね、おもねらなくちゃね!


傷物語I -鉄血編-
[65点]
@TOHOシネマズ新宿
 言わずと知れた<物語シリーズ>の、既成事実として語られないままにされてきた発端エピソードが、劇場版三部作として公開。このシリーズは、つるべ打ちの文字演出と垂れ流しかつ持って回った言い回しの会話劇だけで、ほとんど話の進展なく一話終わらすことをざらにやってますが、劇場版でもそのノリは変化なし、というかそれよりテンポが遅いです。
 スクリーンは巻き戻しや一時停止ができないので、文字演出が遅いのは当然の措置なのですが、そこ以外でも、緩急という意味では焦れるくらい緩いのはちょっとマイナス。

 とはいえ、「急」というべきアニメーションは、「じっくり見せる」ことに重点を置いて、かなり凝ったアーティスティックな激しく動くものが用意されています。いつもの抽象画ではない実写取り込み系の背景に、今回のアニメーションがうまく乗っていたかは微妙ですが(例によってモブは一切存在しないので、空虚感が過剰に強い)、人気シリーズだからこそできたチャレンジだったには違いなく、攻めの姿勢を堪能すべきでしょう。
 緩急の幅があるこの演出を、友人が「70年代の鈴木清順ぽい」ということを言ってまして、あぁこれも邦画のテイストをアニメが受け継いだ証左なのかもしれません。

 あと、知らない人に明示しておくと、
 登場する二人の女性キャラは、
 本シリーズのメインヒロインではありません。
 信じられねぇよな。


シンドバッド -魔法のランプと動く島-
[50点]
@イオンシネマ港北ニュータウン
 あれ……前作は良かったのに、今回はなんか微妙。
 前作と比べ、だらしなく間延びしている印象がある演出で、悪い意味での「昭和感」を感じて、めくるめく冒険のはずなのにあまりわくわくしません。あと、あの島が「水棲生物の背中」というのは王道ですぐ読めるのに、配置されたオブジェクトやイベントが、何もその設定を補強せず、むしろ矛盾しているのが奇妙です。個々の表現や伏線の張り方は間違ってないと思うのですが……(馬が蹄でなくヒレだったのはわかったけど、巨人はどうにもなんない……見せ場を作るためだけに配置されたとしか)。
 監督の宮下新平氏が、昨年急逝されたことも関連しているのでしょうか。ちょっと残念です。




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posted by アッシュ at 13:06| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画感想 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする