2016年02月24日

短評(キングオブプリズム/スティーブジョブズ/Xミッション)


 真田丸面白いよね!
 今の三谷幸喜は、台詞回しや「作品世界全体を俯瞰する」能力は相変わらずピカイチで、「個々のエピソードをつないで盛り上げる」能力が衰えてるんだと思います。
 ここしばらくでは「清須会議」がいちばん面白かったと思う自分としては、当面、そこらへんがあらかじめ決まってる歴史ものに取り組むのがいいんじゃないかな。


KING OF PRISM by PrettyRhythm
[70点]
@チネチッタ
 なんかネット上で「キンプリはいいぞ」とバズってたので、普段見ないフィラー作品にトライ。……そうしてやや期待値高い状態で見たのと、あと基本的に(男女問わず)アイドル文化にまったく興味がないせいか、思ったほどの「脱ぎ率」や「狂ってる感」は感じず、フィクションとして容認できる範疇です。
 それでも絶対に「女児アニメの延長」ではなく、作り手が脳内麻薬を出しまくりながら全力でクソ真面目にアホをやっている感覚は伝わってきて、常にキラキラエフェクトがかかる画面を見るうちに、男かつノーマルの自分でも少し体温上昇した感じがしたので、女の子だったらいわゆる「ヘヴン状態!」をリアル体感できるんじゃねぇかと思います。
 ふっと脳裏をよぎったのは、ここにある狂気はどこか、「トリオ・ザ・パンチ」出した頃のデータイーストのマッシヴ感をBL方面に置き換えたようなそんな、……あくまで個人の感想です。


スティーブ・ジョブズ
[55点]
@ムービル
 スティーブ・ジョブズの伝記映画を見に行ったはずなのに、
 大半は痴話喧嘩だったでござる
 父娘愛大事でまとめられたでござる
 舞台演劇的な会話映画としての完成度ならめっちゃ高いのは伝わってくるのに、「そんなの誰も望んでねーよ(確信)」なんでござる
 そもそも、あーちすと様たちにはそりゃあジョブズは神みたいな存在かもしらんけど、一般人が見たら「何あの偉そうなオッサン?」にしか見えん作りにすなや! 今の世代、アップルIIはおろかiMacすら知っとるかも怪しいわ!
 ていうか、本作で省かれた「アップルIIとiPodをメインにした」アシュトン・カッチャー版を見とくと理解しやすいわけで、「予習してから見てね?」ってなんで別の作品見るのが前提みたいな話になっとんねーん!


X-ミッション
[50点]
@チネチッタ
 エクストリームスポーツを題材にしたアクションもの。
 登場する犯罪集団にはいちおう「環境過激派」的な理屈がつけてあるんですが、その「思想」に基づく「行動」が、なんで札束ばらまいたり山爆破したり、果ては「金ないんで銀行強盗→銃撃戦」というフツーなコトになるのかまったく理解できないので、ストーリーは考えるだけ無駄です。(ちなみにその「思想」の提唱者は日本人仏教徒みたいで、その説明に「悟り」って言葉が字幕に出るんですが、セリフ上は「ボンノー」言ってるように聞こえたのは気のせいか)

 なので完全に映像を見る映画ですが、予告でバンバン出てきたウイングスーツのシーンがエクストリーム感の最大値で、それ以上の興奮はなかったのが残念。
 ていうか、ノーCGを謳っているのに、完全にリアルを撮っているシーンと、明らかにCG込みのシーンやフィクションでなければありえない嘘を、何の注意もなく混ぜているので、「全部つくりものじゃね?」が通ってしまう時点で、自分から企画倒れにしてしまった失敗作としか……。
 たとえば、撮影上は絶対に安全対策しているのはわかるのですが、いちばん金玉ヒュンヒュン来るやべぇ映像が出来上がってるのは、「フリークライミング」なんです。
 でもその後に、なぜ「飛び降り」をエクストリームスポーツの一環として追加してしまうのか。あれ、物理的に生存不可能です。エンジェルフォールに滝壺は存在しません(高さに比して水量が少ないため、空中で散乱して地面から見ると単なる雨)し、仮に下が水面であっても衝撃は固体並みです。調べたら、飛び込みの高さの世界最高記録はたったの60mだそうです。



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2016年02月17日

オデッセイ

[75点]@ムービル

 まずこの酷い邦題を何とかして欲しい。何の映画かわかりゃしない。公式ツイッターがつけてるタグの「火星ひとりぼっち」の方が数万倍インパクトが強いよ!


 さて。火星に置き去りにされた宇宙飛行士のサバイバル、という題材ですが、何しろリドリー・スコット監督なので、エンタメ寄りの作り込みです(実際はものすごく考証を加えてるのは明らかなんですけどね。「プロメテウス」と違って)。
 なので、本作のウリと言われている(?)「火星で鉄腕DASH」な展開とかの描写は、意外にあっさりで拍子抜け。
 火星で生き延びる方法論よりも、生死ギリギリの絶望的状況でもとにかくめげない、前向きで楽しそうに張り切る主人公=マット・デイモンのキャラクターこそが「鉄腕DASH」的でした。この点がすばらしい(現実の宇宙飛行士の選抜も、「そういうメンタルの持ち主であるか」を重視されるみたいです)。
 「月に囚われた男」や「ゼロ・グラビティ」も高評価である自分としては、人間同士が愁嘆場繰り広げる、ってよりも、こういう「淡々と極限状況に向き合う」の方が断然ノレます。

 そこであの「マーズパスファインダー」ですよ! 発見までのくだりもさることながら、「送れるのは回転するカメラによる画像だけ、という条件で通信」にうぉぉとアガったのなんのって。あのシーンは、凡百なミステリーものを軽く凌駕してたと思います。


 難点としては、ビジネス的にしょうがないのはわかるけど、中国の絡み方がどうにもあざといことと、次回計画用の脱出艇が事前に投下されている、という展開は、そんなんホンマにやるかね? と少し疑問。あと、あの過剰な軽量化はあんまり意味なくね?



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2016年02月15日

不屈の男 アンブロークン

[50点]@シアター・イメージフォーラム

 いろいろ物議をかもした作品。先に言っとくと、右か左かっつったら僕は右寄りな方で、日本を悪く言われてうれしいわけはないです。
 でもまぁ、「見ずに批判するな」は真理だし、脚本はコーエン兄弟なんで、むしろサスペンス寄りできっちりしたものができてるだろう、という期待のもと見に行ったわけですが……。
 その「物議をかもした」あたりは、あんまり気にしなくていいです。もともと、「自国人が戦時に外国でひどい目に遭わされたけどがんばった! 映画」は、どこでも作ってんですから、いちいちことあげしてたら始まりません。

 それどころか本作の場合、日本軍はおろか戦争にさえ主眼があるとはいいがたい。
 「いかなる環境におかれても誇りを失わず耐え抜く男のサバイバル」な話を語るのが主眼で───要するに、あれですよ、アメリカが大好きな宗教説話もの。「キリストの受難」になぞらえているんです。宗教テーマのためなら、いかなるところからでも善悪対立を引っ張り出すのがキリスト教。

 だから本作を見て、「皇軍兵士の侮辱ー!」とか言い出したら、そりゃアホとしか言いようがありません。
 現実に虐待をした兵士がいる事実は認めましょう。軍全体の問題ではなく、個人の資質の問題であることは作中で示されています。むしろここを、「社会・民族の総意としての悪意」でなく、「個人の悪意」にしたがゆえに、テーマがぼやけ、この作品を凡作たらしめている、ともいえます。
 (「日本軍の行動」として、もっともキツい描写……事実ならば戦争のおぞましさを思い、脚色ならば侮辱すんなと怒るべきは、「救命ボートに機銃掃射」じゃないでしょうか)

 この映画に日本人として抗議したいならば、まず「寛容や赦しをなぜ宗教依存の行動と捉えるのか」、という点に疑問を呈するべきではないかな?


 でまぁ、面白いかと言われると微妙で……。事実ベースだから仕方ないんだけどさ……。
 漂流して生死の境をさまよい、その後ジャングル内の独房で処刑の恐怖に怯えるという、圧倒的な絶望感でぐいぐい引き込んでくる前半と比べると、現代の刑務所くらいの待遇はある収容所で、DQNな看守がひとりいるだけの後半の状況は、「甘っちょろい」の域(伍長ていどでなんであんなに偉そうなのか、という点はありえないよなぁ……また、捕虜待遇が敗戦濃厚になるにつれ劣悪に変化する点は、非難すべきでない)。そこで、キリストのまねごとをされてもなぁ……。

 (なお、「白鯨との戦い」を見た人は、その前半でさえ「甘っちょろい」という感想になると思うよ![自分は見てません。「エセックス号事件」を事前に知ってたから、見たら鬱になるのはほぼ確実だと思って]

 捕虜虐待を行う渡辺伍長は、「ノーカントリー」におけるハビエル・バルデムさんのごとき不気味さを出しつつ、あの手この手で主人公をいじめ抜くわけですが、先に述べたとおり「個人の悪意」であって、出世できない八つ当たり&嫌がらせでしかない、と描写されるので、どうにもこうにも……。
 描き出したい「気高さ」にたえうるか、と考えたとき、あのクライマックスはまったくクライマックスたりえません。ガタガタ言った右翼さんたちには申し訳ないけど、事実であるかはまったく別問題として、「収容所にいた日本軍人全体が、渡辺伍長の悪意を中心に、集団心理によって人道を外れていく」という描写でないと、この作品は「人間の恐ろしさ」「それに耐え、赦す人間」を描いたとはいえません。そう踏み込めなかった時点で、アンジェリーナ・ジョリーもコーエン兄弟も、とっても優しい人たちだった、と思ったほうがいいです。



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2016年02月09日

短評(ラストエグザイル/コードギアス最終章)

正式タイトルがやたら長いアニメ二題。

劇場版ラストエグザイル ‐銀翼のファム‐ Over The Wishes
[65点]
@新宿バルト9
 十三年前のヒットしたとは言いづらいテレビシリーズの、五年前のさらにヒットしなかった続編テレビシリーズの、総集編劇場版。
 パチ絡みでなく、何か新たな展開や販促があるわけでもなく、なぜこのタイミングで? と謎が多いですが、お蔵入りになりかけたのを関係者の努力でどうにか、というのが本当のところらしい。デザイン周りは確かに捨てがたい、よくできた作品なので、航空戦艦による艦隊戦等、大画面で見られるのは素直にうれしいですね。
 見たことのない人にはキャラの立ち位置がわかりにくい内容ですが、見てた人には綺麗に濃厚にまとめられ、ひとつの映画として成立しており、総集編映画としては完成度の高い部類に入ると思います。それはつまり、テレビシリーズが冗長でエンジンのかかりが遅く、ヒットし得ない作品だった、ということも示しているわけですが……。


コードギアス 亡国のアキト -最終章 愛シキモノタチヘ-
[40点]
@TOHOシネマズ渋谷
 第一章第二章第三章第四章
 いやはや……「これは酷い」とか「どうしてこうなった」以外に言葉が出てこんぜ。
 やりたかったのは観念SFだったか政争ものだったか、はたまた「反逆のルルーシュのサイドストーリー」だったのか、焦点がどこにも合わず何もできあがらなかった、3年かけた消化不良品。まだ見てない人にはっきり言っておくと、予定調和でやってくる「兄死ぬ」以外、物語を構成する新たな情報は事実上存在せず、何の結論も導かれない(ていうか四章のあのみっともない「演説」が「結論」だったのかよ!)から覚悟しておけ。その「死ぬ」も、「もしかしてあのキャラのアレは伏線のつもりだったのか」という展開で、「乳首券発行」を最大のサプライズとして実現される、というね。
 あと、あのアキト組のラストって、「イレブン」にはそういう選択もアリって話なのはわかるけど、現実のロマの歴史を考えると能天気すぎで、そこはやっぱ覚悟決めて戦い続けたルルーシュの方が、物語的には美しいよね。
 ロボットアクションだけは、最後まで気を張ってます。この一章に限っていえば、そこ以外に見所はまったくないです。それも、理解させるつもりのない観念SFを間に挟みながら進行するので、見せ場になりきらなかったのが残念極まりない。



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posted by アッシュ at 12:16| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画感想 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年02月05日

短評(さらばあぶない刑事/残穢)


さらば あぶない刑事
[60点]
@品川プリンスシネマ
 シリーズ全然知らんので、老人活躍映画としてどうなんだろうか、と思って見たんだけど、定年退職直前というシチュエーション以外、二人とも全く老人扱いされず、特に柴田恭兵はバリバリにアクション決めまくってるのであんまり期待に沿わず。
 そうなると、中盤まではともかく最終的には、物語の整合性放棄してケレン味最優先の絵作りなので個人的にはどうもこうも。まぁ、よその反応見てると、ファンにとっては「それでいつも通り」の模様で、むしろこれが最後と言われても実感がわかないんだとか……。
 あと、最近の邦画が安っぽく見えるのは、そもそも建物や内装がなべて安っぽく作られてるのも一因だと理解。


残穢 -住んではいけない部屋-
[75点]
@丸の内ピカデリー
 ジャパニーズホラーってあんまり見てないのでコレがどれくらいのレベルにあるかよくわからんし、そもそも中村義洋監督なんでミステリーに寄せてくるだろうと踏んだから見たんだけど、超がっつりホラーでした! 怖かった! ていうか中村監督ってホラー出身だったのか!
 ストーリー的には、「別に100%祟るわけでない・逆に祟られた人のレベルによっては祟りの上乗せ、拡散が起きる」という以外は、凝ったところはないんだけど、とかく演出(特に音)が腹の底からぞわぞわくる、そういうタイプの怖さ。竹内結子の無感情なナレーションだけで、なんか持ってかれる感ある(彼女の「枯れた主婦」な佇まいもすごくいい雰囲気)。
 ほんの少しの音で怖さを醸し出すので、雑音の少ない良い設備のところで見ましょう。丸の内ピカデリー、空調と思うけどホールの外から絶え間なくなんかピシピシきしむ音がして、ちょっともったいない感じがしたよ!



白ゆき姫殺人事件 -
白ゆき姫殺人事件
posted by アッシュ at 15:22| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画感想 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年02月01日

エージェント・ウルトラ

[60点]@渋谷シネパレス

 いやぁ……ある意味、こんな酷い映画は他にないんじゃないでしょうか。
 なぜって、一番面白いのが「エンドクレジット」(に挿入されるアニメーション。これは唸るほど凄い)ですもん。
 この作品は、冒頭シーンで「現在」を描き、「過去回想」というかたちでスタートします。そして、少しひねった「トゥルーマン・ショー」的な舞台設定の根幹を、開幕十五分ほどでほぼバラしてしまいます。
 こういう場合、物語中盤で時間軸を現在に戻し、そこから主人公のめくるめく活躍、に転じるのが定石だと思います。バラし済みの世界を、謎めいた何かとして描き続けてもしょうがないじゃないですか。

 ところが本作はダラダラダラダラと、バレている世界に「もうちょっとだけある秘密の関係」について語ろうとします(作り手としては「ボンクラ野郎がプロポーズに至る」が主眼のつもりだったのかもしれないけど、それにしたって遠回りしすぎ。それに、ヒロインの秘密バラシが唐突過ぎて、なぜそのタイミングでバラす気になったのかまったくわからない)。
 んでラストに至ってようやく現在に戻り、その後に起きる爽快なシーンをエンドクレジットで表現する、という……優先順位を間違えた感覚が否めません。

 ジェシー・アイゼンバーグは、どうも才能の無駄遣いな作品に当たることが多いように思います。すごいポテンシャルがある俳優だと思うんですけどねぇ。もったいないなぁ。



グランド・イリュージョン Blu-ray -
グランド・イリュージョン Blu-ray
posted by アッシュ at 16:46| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画感想 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする