2016年06月28日

短評(ガンダムサンダーボルト/エクスマキナ/10クローバーフィールドレーン/シークレットアイズ)


機動戦士ガンダム サンダーボルト -December Sky-
[75点]
@新宿ピカデリー
 ウェブ配信された作品の総集編。だけど、これは劇場で観てナンボといっていい作品。音響や作画もさることながら、本作は主人公両名がガチで「殺す」の感情剥き出しでぶつかり合い、かつその熱量・脳内麻薬放出量が先に進むほどにえらい勢いで上がっていくので、ぶつ切りで見るのは絶対もったいないです。
 「命の価値」の扱い方も、従来作品とは一線を画し、まさにお子様お断りの「戦争」するガンダム。面白かった!
 

エクスマキナ
[80点]
@チネチッタ
 これじゃないよ。本年度アカデミー賞視覚効果賞を受賞したSF作品。
 ひとこと、傑作。……なんだけど、説明する言葉が追いつかなくて困ってます。ドラマのほとんどが高水準の理系&哲学的会話で構成された知的フィクション。といっても、小難しい専門用語で眩惑することなく、物語としても興を引く「裏をかく」「その裏をかく」の心理戦を成立させながら、「人間」と「人工知能」の差異を探り当てるべく深く潜っていくので、最後まで目が離せません。
 もっとも、実質四人しかいない登場人物が、ほぼ会話で絡み合うだけなので、娯楽作だと思ってたり「わーい美少女アンドロイドだー」とか思ってライトな気分で見ると死にます。注意されたし。
 音楽と映像も素晴らしいです。日本では絶対に撮れない作品。あぶない刑事の感想でも書いたけど、あぁいう未来的な印象のある建築物がないからね!


10 クローバーフィールド レーン
[60点]
@TOHOシネマズ日劇
 「クローバーフィールド」の続編……というか、同一世界観で、POVからシチュエーションサスペンスに「ジャンルを変えた」別作品。こういう展開の仕方は面白い。
 サスペンスとしては普通。真新しいところは特にないけど、話の抑揚といい伏線の置き方といいキッチリ作り込まれ、低予算なりに時間忘れて見入ってしまう良い娯楽作でした。「SAW」みたいな導入が安直過ぎたのと、「過酸化塩素酸」の登場のイキナリ感はマイナスかも。
 僕はヤツが出てくることは百も承知で見てたわけだけども、……というか、もっと早く出てくるかと思ったら、今回も最後だけかいっていう……知らない人はアレどう思ったんでしょうか。すごいオチ……とは感じないんじゃないかな……。


シークレット・アイズ
[65点]
@TOHOシネマズシャンテ
 アルゼンチンで大ヒットしたという作品の、ハリウッドリメイク。
 発端は13年前の殺人事件。被害者が警察官の娘、容疑者が警察に情報を売る情報屋、という組み合わせ。情報屋を守るために事件は握りつぶされてしまい、それを不服としていったんは警察を辞めた主人公は、その容疑者が別件逮捕後釈放されたのを探り当て、担当検事に再捜査を求める……という筋立て。
 率直に言って、これは元となったアルゼンチン版が見てみたいです。たぶん、警察内の腐敗した派閥と正義感のある派閥の抗争、みたいなシンプルな設定がベースだと思うんですよ。しかし本作は、発端の事件がアメリカ中がテロ再発に怯える911直後に設定され、情報屋が「モスクの情報の提供者」になっているため、焦点がぼやけてるし、最終的に「なぜあんなにも守りたかった情報屋が消えたことが問題視されてないのか」疑問が残ります。
 しかしながら、ほどよくダマされた感を味わえるうまいミスリードがなされていて、後味悪い終わり方が後味いいです。13年前の犯人と現在追っかけてる人物は別人」というのは、「性癖の違い」ゆえに見てる側にはほぼ序盤から明らかなのに、主人公はそこを無視して行動するので、違和感も彼を中心にできあがります。しかし提示される真相は至ってシンプルにしてもっと残酷なのです。



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2016年06月26日

帰ってきたヒトラー

[85点]@TOHOシネマズシャンテ

 傑作である。
 素晴らしいタイミングで公開された、まさに今見るべき映画。政治的主義主張は関係なく、誰もが見るべき。
 何より映画としてのデキが抜群だ。非常にテンポよく進み、ストレスがまるでない。2時間あっという間に経ってしまう。笑えるシーンも多いが(「最期の12日間」のパロディのぶっ込み方なんか最高なんだけど、アレ人を選ぶよなぁ。パロディのシーンは他にもいろいろありそうな)、基本的にはマジメに、目を凝らして見た方がいい。


 このたび英国のEU離脱が決まった。市場は大荒れだった。日本でも猛烈に円高が進み、株価は一時1200円も下げた。
 これほどまでに世界が動揺した理由は何か?
 移民の問題? 貧富の問題? 貧困層はみんな民族主義のレイシストか? それともEUの法制? ココアの甘さまで決められちゃうから?

 問うたのはそこじゃない。なぜ動揺したか、だ。
 誰も離脱を想定していなかったのだ。政治家とか、資本家とか、アナリストとか、そういう偉い人たち、世界を動かす側にいる人たちが、離脱を想定していなかった。残留を前提に経済は動き続けていた。だからいま世界中が騒然としている。
 なら彼らはアホだったのか? 驕っていたのか? まさか。彼らの情報感度や解析力の高さは、素人とは段違いで、普段なら彼らは、何が起きてもある程度「織り込み済み」で、淡々と行動する。それでこそ世界を動かせるのだし、その優秀さを舐めてかかる庶民が「また政治家が」とぶぅたれるのを、これまでは巧みにかわしながら、自分たちの思う方向に誘導していた。
 しかし、彼らの能力をもってしても埋められないほどに、格差が開きすぎたのだ。所得の話だけじゃない。思想とか、価値観とか、人権意識とか、「ヒトがヒトである」域でさえ乖離してしまった結果なのではと、思わずにいられない。


 本作は、現代にヒトラーが甦ったらどうなるか、という物語。
 ヒトラーはもちろん、歴史が示す通り、情報戦の重要さを知っている。プロパガンダの重要さを知っている。彼の設定したゴールは、開幕当初からあまりに明確だ。彼の振る舞いが「笑い」に見えるのは、彼が現代社会について無知なだけだ。人は無知を笑う。しかして彼は言う、「まずは情報収集だ」。
 彼は新聞を知っている。映像の威力を知っている。インターネットを知って驚愕する。
 そして。
 彼は市井の人々から丁寧に話を聞いていく。

 本作はユニークな構成である。
 ここでドキュメンタリーになるのだ。
 ものまね芸人と思い込んだテレビマンの若者とともにドイツ国内を巡り、ヒトラーはごく普通の素人と話し合う。すると人々はいっせいに政治への不満をぶちまける。
 彼はまた、既存のメディアや政治批判もまた骨抜きにする。実在のテレビ番組に出演し、実在のネオナチと相対し、言葉をぶつけ合わせる。
 その多くは、「タブーに触れる」話である。

 (別の話だが、「ボーグマン」は移民について活写した映画である。
 だけど監督は、移民の映画だとはひとことも言っていない。今の欧米で、移民を非難することはタブーだからだ。)
 (偶然知った面白い話がある。現在のドイツでは「ナチスを想起させるもの」が法律で禁止されているが、「ヒトラー本人」だったら禁止しようがなく、本作はその法の穴を突いているのだという)

 話す相手が「タブーに触れる存在」であるヒトラーだからこそ、彼らは素直に胸襟を開けたのだし、ヒトラーを描く映画だからこそ、その直截な言葉を批判や皮肉として世に出せている。僕にはそう見える。
 ヒトラーを介さなければホンネが通わない世界。なんだそれは。
 この絶望的な状況が、実に面白い、というさらなる絶望的状況。うはぁ……言葉にならない。


 彼は最終的に、優生主義者の邪悪な一面を露わにし、そこから物語の幕引きへ道筋がつけられる(この幕引きが恣意的に感じるのが難……というか、「彼」に、この結末しかなかったかなぁ?)
 この物語はフィクションであり、映画は終わる。しかし、「終わった後」、つまり彼の設定したゴールが強く示唆されている。そして、1939年のドイツにもしも自分がいたら、間違いなく彼に投票していたろうと、本心から思う。

 それは僕が邪悪だから? レイシストだから? あるいは、邪悪な政治家たちに騙された、可哀想なポピュリズムの被害者?
 それでもいいよ。でも、そうしたレッテル貼りや悪者探し・吊し上げに執心な人たちにはたぶんわからない、「情報」に関する絶望的な乖離を、ヒトラーは嘲笑いながらねじ伏せて我がものとし、すべてを掌中にするだろう。

 それをなせる「現代のヒトラー」はいるや否や?
 わからない。
 それでも、政治家を選ぶときの最低限の基本常識は、「無能な善人より有能な悪人」だ。僕らは、「ヒトラー」のリスクを覚悟しながら、より有能と思える人を注意深く選ばなければならない。


<追記 6/30>
 衝撃の日々から一週間、公約違反がどうの再投票がどうの、未だにメディアの論調はまさしくこの状態。「中の人」たちは、本当に何もわかっていないし何も感じていないのだと空恐ろしい。
 マジでヒトラーが現れなければ変わらないんじゃないかと思えてならない。向こう十年ほどは、世界は不安定で危険な状態が続くと予測します。みなさま防衛意識を強く持たれますよう。



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2016年06月16日

ロイヤル・ナイト 英国王女の秘密の外出

[80点]@109シネマズ二子玉川

 あなた! は! お姫さまが! 好きですか!
 好きですね!
 なら観なさい! 見ないと後悔するぞ。


 「ローマの休日」のモチーフとなったとされる、英国王室の王女姉妹が、戦勝記念日にお忍びで外出した史実のエピソードを、もちろんほぼ創作で映画化。監督は「キンキーブーツ」の、というか個人的にはこの作品のジュリアン・ジャロルド。
 ドキュメンタリーぽくなるかと思ったら、めっちゃコメディ。これ一本見るだけでも、英国王室がいかに寛大で人々に愛されてるかわかろうというもの。というか、当のエリザベス女王は本作を見たのか見てないのか、すごく知りたい。

 妹のマーガレット王女のほうがぽっちゃりで貫禄があって、最初はどっちが姉かわかりません。しかしすぐに「初めての外出」にはっちゃけまくる妹と、従軍して戦勝の重みを知り、王位継承者の自覚が芽生えつつあるまじめな姉、そのギャップがあらわになって、それだけですごく楽しいです。
 そりゃあオードリー・ヘップバーンの尋常ならざるかわいらしさには及びませんが、エリザベス王女を演じるサラ・ガドンには、自然体の美しさがあって、当時の感覚をまさに再現していて、観客を画面に引き込む力があります。
 あと、一生懸命スピーチ原稿に取り組むとーちゃん(「英国王のスピーチ」のジョージ六世。今回はルパート・エヴェレット)も魅力的。


 間抜けな護衛の目を盗み、怪しげな士官についてっちゃった妹を探して、偶然出会った空軍兵士の助けを借りながら姉もロンドン中を駆け巡る。でもどっちも世間知らずには変わりなく、地理はわからないし、お金の使い方も知らない。
 勝利に湧いたロンドンの一夜、その陰に残る無視できないいくつもの爪跡、そして姉妹が醸し出す、「これが最初で最後の自由」という寂寥感も重ね合わせながら、目くるめくドタバタ珍道中と一夜のロマンス。
 アクションシーンなどないのに、全編見どころまた見どころのノンストップムービーです。

 それだけに、終盤のまとめに少しもたつき、きれいにオチがつかない部分が多いのが惜しいですが、ラストの「守衛の視線」に免じてヨシとしましょう。
 すでにフィリップ殿下とはおつきあいしている時期だからね、まぁアレでね、あの演出はうまかった。



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2016年06月15日

マネーモンスター

前半[75点]後半[35点]@TOHOシネマズ川崎

 いやぁ……なんと言おう。
 オレほんとジョージ・クルーニーと相性悪いな。「ゼロ・グラビティ」以外、当たりがない。

 ジョージ・クルーニーが司会を務める生放送の金融情報番組に、彼が推奨した銘柄の暴落にブチ切れた男が乱入、放送を継続しながらふたりの駆け引きが始まる……という導入は、傑作「テロ、ライブ」を彷彿とさせてひたすらアガったもんですが。
 面白かったのは「犯人の彼女の罵倒」により、どっちも人生で得たはずの何かの価値が吹っ飛んで、奇妙な協調が生まれるあたりまでかなー。

 そこから先、「真相」がヒドい。

 悪いのは脚本家か監督のジョディ・フォスターか製作のジョージ・クルーニー本人なのかわからんが、ダメなリベラルの典型で、批判したいものを感情論でしか理解せず、まるで勉強してないことだけはよくわかった(あるいは観客がそのレベルでしか見ないとたかをくくっている)。
 それではどんなに批判したって、ウォールストリートには「あぁ娯楽だねぇ」と鼻で笑われて終わりだ。こんなので溜飲を下げるから、いつまでも勝ち組負け組の構造が変わらないんだ。

 えーっと、問題となってるアイビスキャピタルは、アルゴリズムによる株の高速取引を売りにする「投機会社」なわけだ。株式の発行で資金調達、それをそのまま市場にぶっこみ、株売買益を配当として還元する仕組みだろう。
 ならば、この会社の価値は「アルゴリズムの信頼性」にあるはずだ。そこが投資対象だ。「アルゴリズムの誤動作で損失出しました」などと認めた瞬間に社運が尽きる。「原因不明」までついたらなおさらだ。この会社は、作品冒頭の時点で倒産するや否やの瀬戸際にある。
 ……という危機感が、あまり感じられないまま、まずはサスペンスが進む。ようやく主人公が、「暴落の原因を確かめよう」という方向に物語を誘導する。さぁ、ここからだ、となるわけだが。

 その上で「真相」があの通りであるならば、あのCEOは、馬鹿とか愚行とかそういう次元を超えている。やってること起きてることがあらかた理屈に合わず、どこからツッコんでいいのかわからない。
 あの「企み」は、天才にも馬鹿にも富豪にも貧者にも考えつかない。「どうにか話をまとめなくては」と追い詰められた作り手の頭の中以外では、絶対に成立しないロジックだ。そして彼らにとっての大前提は、「『アルゴリズムの誤動作』は、すべてを煙に巻ける無敵で魔法の言葉」なのだ。……ンなわけあるか!
 そんで、「金融アルゴリズム」を語るそばで、「ハッカーは万能、世界中の監視カメラにぜーんぶアクセスできてものの数分でなーんでもわかっちゃう! すげー!」な世界も確立されているという……。どういう思考回路があればこんな話が構築できるんだ……。狂ってる……。

 本作ではいちおう、民衆側の欲望や、すべてをネタ消費してフレームを起こす群集心理にもフォーカスしている。が、それらの点は、「テロ、ライブ」のようにスタジオ内だけで話を完結させるかに見せる手法が災いして、スタジオ外にある貧者の側の怒りや狂騒がよく伝わってこず、批判として成立しきっていない(3月6日に何が起きたのか、から始めるべきだったと思う)。
 それならそれで、POVっぽく作り込めば緊迫感だけは強まったはずなのに、あっちこっちフラフラするカメラのせいで魅力激減。特に、「警察の動き」を逐次描写するのは、語るべきテーマから乖離している。そのくせ、狙撃のチャンスなんぼでもあったのに実行しないし、犯人の素性はあっさり突き止めるわりに、「遠隔爆弾を手に入れるコネやスキルがあるか」は想像もしないし、総じてアホで邪魔。

 そしてラストシーンだ。
 お・ま・え・も詐欺の片棒担いだんじゃろがボケぇーーーっ! 何でちょっと幸せそうにしてんねん!
 ジョージ・クルーニーはあの世界ズッポリの「富める1%」の側やから、それでも抜け出せない、の結論でしゃあない。でもジュリア・ロバーツは「二度とこんなのはゴメン、向かいの局へ行く」
結論と違うの……?


 とりあえず、投資は自己責任で。
 自分がオカネについていろいろ見聞して得た最大の教訓は、「人生を賭けた勝負は必ず負ける」だ。勝てるのは、「たった六万ドル」と言ってのける余裕が、精神的にも資金にもある側だけ。そういう世界。
 それが理解できない人は、手を出しちゃダメです。損しても自業自得です。



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2016年06月13日

マイケル・ムーアの世界侵略のススメ

[70点]@角川シネマ新宿

 マイケル・ムーア監督も年齢相応に、体型だけでなく丸くなったようです。オバマ政権で国民皆保険や軍縮はいちおう端緒につき、次も民主党政権がほぼ確定てことで、あんまり声高に叫ぶ必要もないんでしょう(でもヒラリーはウォールストリートとべったりという話も聞くしなー、格差是正する方向の施策は後退するんじゃないかとちと心配)
 アメリカの暗部にガリガリ切り込んでいった突撃志向は影を潜め、今回はこれまで「比較対象」であった他国へ出向いて、この国はアメリカと違ってこんないい制度なんだよーと紹介していく、「なるほど・ザ・ワールド」な内容。「INVADE」という強い言葉を使うわりに、実に緩くて和やかです。

 ところがこれが意外に面白い。第一に、テンポのいい編集はこれまで通りですから、純粋に見てて飽きません。
 例によってアメリカとの比較しかしておらず、文化や歴史の相違は無視して他国の「よいところ」しか紹介しないので、ツッコミどころは多々あります。しかし、労働問題から教育問題犯罪問題、さらには政治や金融の問題へと、多様な視点の移動がスムーズで、かつだんだん深刻になっていく流れが鮮やか。そしてその流れの中で、ツッコミどころがある一点に収束していく構成にうなります。
 ホント、「その事実」を当のアメリカ人がぶち壊しまくって、今はもうきれいさっぱり、てわけだからねぇ……。


 知らなかったこと。
 ポルトガルでは薬物使用しても逮捕されない、という話の中で、「アメリカはなぜドラッグを敵視し、厳しく取締るのか」「なのになぜいつまで経ってもドラッグが撲滅できないのか」という点に、監督はちょっと意外な理由をつけます。うがって見すぎな気もするけど、そういう見解もあるのか。ふーむ。



ボウリング・フォー・コロンバイン(字幕版) -
ボウリング・フォー・コロンバイン(字幕版)
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2016年06月08日

神様メール

[60点]@TOHOシネマズシャンテ

 旧来の宗教観とそれに根ざす社会のあり方を問う奇作。
 ホントに、いつから「神」というものは(「権威」や「国家」と言い換えてもよい)、「悪いことしかしない」という理解が当たり前になったんでしょうか?
 些細な悪事(マーフィーの法則作り)しかしなくなった「神」への嫌がらせのため、「神の娘」が「新・新約聖書」を作るべく、地上へ降り立って「使徒」を捜すコメディ。その過程でボッコボコにされていく「神」の哀れな姿が見もの。ここは素直に笑えます。

 しかし、「使徒」になる人々は要するに「自由恋愛主義者」で、「愛の形はいろいろ、旧来の価値観にとらわれるな」という内容なんですが、個人的にはあまりにリベラル&アナーキーに過ぎて、受け付けない部分が正直多かったです。
 「現代ではリベラル主張こそ神のお告げである。従え!」っていう過激な主張をしているわけで、ものすごくヤバい。

 カトリーヌ・ドヌーブの不倫相手が「黒人少年→サーカスのゴリラ」というのはまったく笑えないし、「神の恩寵」を受けて平和になる世界に「ウズベキスタンは含まれない」というラストシーンは悪意しか感じない(要するにボラット」と同じだよ!)

 「世界の中心は自分たちである」という傲岸さを隠そうともしていない、というか、その手前勝手な歪さを「ピュアな子供を主人公」にすることでカモフラージュしてるつもり、っぽいのがなお不快です。
 ブラックジョーク的に受け止めてね、という意図の可能性もあるけど、……素でわかってない気がするんですよねぇ。

 ウィットに富んだ、スキのないコメディには違いなく、ツボ入る人はドッカンドッカンいくタイプの作品なので、そういうこと気にしない方はどうぞ。


 にしてもなんだな、洗濯機がワープゲートってアイディアはどっかで見たことあるよ、な……。



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posted by アッシュ at 16:22| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画感想 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年06月02日

短評(デッドプール/ガンダムORIGIN3/殿、利息でござる)


 今日は Google ロゴが「ロッテ・ライニガー」だ!


デッドプール
[70点]
@TジョイPRINCE品川
 珍しく初日に鑑賞。
 序盤の路上ハイスピードアクションだけは、速さの緩急といいタイミングよく挟まれる小ネタといいサイッコーにキレるので、ここは必見といわざるを得ません。すばらしかったです。
 しかしそれ以降はトーンダウンするので、注意されたし。「マーベルユニバースにしては異端」であるだけで、キャラクターもプロットもそんなに珍しくはない、ていうかデッドプールさん以外は敵も味方も魅力が皆無な上に過去話は無駄に長いだけで、ストーリー派としてはいささか物足りないです。むしろマーベルを逸脱できない限界が足を引っ張っている感が強いです。
 コメディとしても、むりくり楽屋ネタとシモネタを連ねながら転がしていくだけなので、ネタの大半がわからない日本人には、ツウの皆さんがもてはやすほどには面白くないとしか……。リーアム・ニーソンの脇の甘さはまったくもってそのとおりだが!

 あと、本作のエンドロール後オチは、「眼帯のおっさんなんか出てこねーよ」て話よりも、あのインド人運ちゃんが、忘れてった銃器をどう処理したかって方がはるかに気になるのですが。


機動戦士ガンダムTHE ORIGIN III -暁の蜂起-
[75点]
@新宿ピカデリー
 第一章第二章
 シャアとガルマの出会いという、ファースト知っていると特に感慨深いエピソードを、バランスよく綺麗にまとめていて実に面白く、これまでの章と違い、余計なこと考えずにのめりこんで見られました。ガンダムやモビルスーツが出てこなくても、シンプルな架空戦記としてのよさが、白兵戦のリアリティによってより高まった感。邪悪なシャアが素晴らしいのなんの!

 ルウム戦役どうすんの? と言われてたんだけど、分割されることも判明して一安心。
 あと、見た後で、あの士官同期の女の子誰だっけ、記憶にはあるのになーと言ったら、ミネバのお母さんじゃん、と友人に返されて絶句。そうか、この時点のドズルはまだ結婚してないんだ! あのツラで!


殿、利息でござる!
[50点]
@109シネマズ川崎
 ピンとこない。劇中、瑛太が「あんたはどっちを向いているんだ!」と叫ぶシーンがあるけど、まさしくそんな感じ。中村義洋監督なので、個々のシーンの作り込みに手落ちはないのですが……。
 そもそもタイトルが間違ってるんです。史実がどうあれ、そして劇中でどんなに通貨価値の説明をしても、「利息」が話の中心にありません。
 「困窮する村を救う」目的に対する手段が「有力者が喜捨する」だけ。この作品には思惑の差こそあれ悪人は出てこないので、確執も弱い。娯楽のフォーマットに乗る物語ではないのを、どうにかごまかしている印象です(山崎努・妻夫木聡親子を「悪役」と思って欲しかったんだろうか? いやそれ、アバンで山崎努が悪人だと理解した人いねーべ? だから彼らの意図がわかっても「はぁそうだよね」でしかなく、人情ものとして成立しきらない)。
 最初から最後まで損得勘定でしか動かない、だがそういう冷血漢なりの処世術を見せ付ける、松田龍平の立ち位置はちょっと面白かったです。しかしそれゆえ、クライマックスでまた軸足がぶれてしまうというね……。



ロッテ・ライニガー作品集 DVDコレクション【3枚組】 -
ロッテ・ライニガー作品集 DVDコレクション【3枚組】
posted by アッシュ at 13:43| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画感想 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする