2016年09月29日

短評(オーバーフェンス/亜人3/BFG/HighLow)


 「ペット」が、公開後に予告編CM打ってたのがせつなかった……今年は相手が悪かったね。


オーバー・フェンス
[60点]
@テアトル新宿
 冒頭の空の表現とかゾクッとするし、オダギリジョーと蒼井優の魂こもった演技が冴え、高品質な作品とは思うのですが。
 空気を切り取る天才・山下敦弘監督をしてここに作られた空気は、原作ありきの作品なのでしかたないかもしらんのですが、「低予算邦画の五本に一本はこんな感じだよね?」と思う何かで、やや退屈です。というか、山下監督はこれまで「社会の閉塞感」をもっと深くリアルに醸成してきたはずなのですが、本作の場合「サワヤカな函館シティー」を前面に出さねばならぬ都合上か、そこを「蒼井優の異常性」にあらかた押しつけていて、嘘くさいのです。
 メンヘラ女がギャアギャア泣き叫ぶ奇行をスクリーンで見たい需要なんて、この世にビタイチ存在しないと思うんだけど、世間のプロデューサー連中は、「シンゴジ」「君の名は。」のヒットを見ても、こういう愚行をまだ続けるのでしょうか。本作には、山下監督の過去作品の印象に近いシーンがあちこちに見えるのですが、集大成というより、キャリアを巻き戻して絞り出した出がらしのようで、なんだか寂しいです。


BFG(ビッグ・フレンドリー・ジャイアント)
前半[45点]後半[70点]@109シネマズ川崎
 スピルバーグ監督&アンブリンエンターテイメントの「E.T.」な組み合わせで、ロアルド・ダール原作の児童文学を映像化。
 どうにもこの両者のかみ合わせが悪い感じで、エグい展開もどこか上品に描かれてしまい、期待ほど盛り上がりません。BFGの家の中で、期待よりもずっとチマチマした動きと会話が続く序盤は、正直眠いです。
 しかしその「エグいのに上品」という特徴を一気にひっくり返す、「女王」登場シーンはすばらしかった。もうこの映画、「女王が屁をこく」ためだけにあるんじゃないかと思えるオモシロ展開、コレができるイギリスがホントに羨ましいです。


亜人 -衝戟-
[65点]
@ヒューマントラストシネマ渋谷
 第一章第二章
 今回は、テレビシリーズの二期が始まる前に、全部見せちゃうよという趣向で。これ見たらもう見なくていいのかな? とか思ってたら、前章の超圧縮と違い、今回はツボは押さえつつもハッキリ端折られてるっぽく、オグラさんどーなったんや? カイトそれで終わりかい! という物足りなさで、どうやらテレビ見なきゃダメみたいです(それとも、もう1エピソード入るのか? ちょっとカタルシスに欠ける終わり方だったし)。くそ、商売うまいな。
 ストーリー上真っ先に端折れそうなのは「女の子バトル」、でもムリだったのはわかりすぎる。下村さんの乙女モードが、凛々しい顔つきのまま炸裂するのが最大の見どころ。


High&Low the Movie
[55点]
@ユナイテッドシネマ豊洲
 いろいろバズってたし、友人からも勧められたので、終映前に見てみました。個人的には、ヤンキーが「仲間」連呼しながら殴り合う映画なんて、興味の埒外ですが。
 ……まぁ、これが評価されるのはいいことなんでしょう。「国産の海外映画」って表現は言い得て妙。最終的に「ザ・レイド」っぽくなるし。「全部カッコイイ絵作り」みたいな評価がありますけど、それでもって「標準的なアクション映画」って言えるようになるなら、その嚆矢として十分な価値があるのだと思います。とはいえ、香港映画だったら、あのクライマックスの集団乱闘で、三分くらいの長回しを余裕でやると思うんだけども。
 で、その絵作りにおいて、相変わらず「汚さの表現がキレイ」なのが違和感なんですよね……イケメンさんにキレイな顔のまま小芝居されてもな。女性陣に至っては、もう存在自体違和感というしかない。
 そんな中、圧倒的に堂に入った存在感を示すのが例の「琥珀さん」なわけですが……、ストーリー上はどう控えめに言い繕っても「祭り上げられたカカシ」なので、「すごい人でした回想」をいくら入れてもらってもどうにもこうにも。彼の立ち位置にもう少し説得力があれば、全然印象が違ったろうなぁ、と思わずにいられません。



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2016年09月24日

レッドタートル -ある島の物語-

[80点]@ユナイテッドシネマ豊洲

 スタジオジブリの名前ばっかり表に出てて、そのわりにはつまらないとか売れてないとか散々な言われようだけど、ジブリは(というか高畑勲は)昔っから海外の良質なアニメーションを日本に仕入れてくれてたのを、みんな知らんのですかね……。
 ジブリが自力で良作を作れなくなって、この方向に転換するよって話なら、個人的には願ったりです。あんまり叩かんで見守って欲しいし、作品は作品としてぜひ見に行って欲しい。それだけの価値はある作品なので。

 でも、140スクリーンはやり過ぎだぜ東宝。今は亡きシネマアンジェリカだけで、ほそぼそやってた頃が懐かしい……。


 というわけで、名作「岸辺のふたり」のドゥ・ヴィット監督による初の長編です。8分に人生を凝縮させる手腕の持ち主が描き出す、無人島に流れ着いた男の物語。
 冒頭の海のダイナミックなアニメーションからして、ポニョにケンカ売ってそうな凄まじいデキでした。かと思えば、カニのチマチマしたアニメーションもいちいち可愛いです。セリフがなく展開の緩い本作で、決して飽きさせないよう下支えするすばらしい存在感でした。

 内容は、予告編等から想像するより、はるかにファンタジックな物語です。ちょっと驚くと同時に、なんというかこう、グッと腹の底に来る、見てよかったと思えるものでした。ネタバレのため「続きを読む」以降に隠しますけど、「君の名は。」を見てる少年少女たちにはまだわかんない、非常に深い内容です。




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シネマアンジェリカでは、こういう傑作がかかっていたのです。

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2016年09月22日

「君の名は。」はなぜメガヒットしたか


 「君の名は。」がなぜかくもヒットしたのだろうか。
 作品の良さについては、もうすでにいくらも言及してる人がいるし、僕はいいものが売れて当然と思うので、気にするまでもない。

 だが本作は、「初日初回から」「地域の偏りなく」「若年層だけで」満席を連発した。この動きは異様だった。ここが気になるのだ。



 「初日初回から」であるから、作品の内容はほぼ関係ない。それ以前の情報で、彼らは映画館に来た。

 「地域の偏りなく」ヒットをなしとげたのは、これまで公開館が限定されていた新海誠監督のネームバリューではとうていありえない。オタクが盛り上がって満席連発、な作品はこれまでにいくつもあるが、それは情報が速い都会に限定され、地方には波及しきらないことが多い。
 そもそも、人口が少ない地方郊外のシネコンが「満席になる」自体レアだ。

 そして、観客は「若年層ばかり」だった。事前情報は少なかったとはいえ、幅広い年齢層に知名度が高く、東宝自身の熱量も高く、タイアップも大量に行われた「シン・ゴジラ」を、完全に若年層をターゲットにしたいしたタイアップもなかった「君の名は。」が、あっさりとぶち抜いた。


 つまり、作品の良し悪し以前に、我々にはもはやわからない、若年層だけに通じる動きが公開前にあって、それは東宝にすら予測不能かつ制御不能だったと考えられる。その異様で巨大な初動が、軒並み「よい作品」というリアクションを拡散したからこそ、現在につながっている。
 それが何か、なのだ。



 要因のひとつは、やはり「RADWIMPS」だろう。RADWIMPSは、露出が少ない点がむしろウケて、現在若年層に絶大な人気を誇る。一説には、全国ツアーをやれば、動員は100万人はカタイそうな。
 彼らは、映画の公開直前に同名アルバムを出すなど、プロモーションにも全面協力している。彼らのツイッターのフォロワーはバンドの公式で50万、ボーカルの野田洋次郎個人で25万を超える。彼らの存在は相当大きいと思っていいだろう。

 ただ、野田洋次郎が主演した別の映画「トイレのピエタ」が大きくヒットしたという話は聞かないし、実際、そういうプロモーション的なツイートに多大な反応がある感じもしない。若年層は、売らんかなの言葉を嫌うもんだしね。
 これほどのメガヒットに直結したかと問われると、?なのだ。


 で、一つ提唱したい説が、「ONE PIECE FILM GOLD」の影響である。
 かの作品は、その絶大な知名度により、「ふだん映画館には来ない若年層」を、大量かつ全国的に映画館に引き込んだ。今年おそらくダントツの700スクリーン以上で公開されており、そのうち「君の名は。」を公開予定だった映画館は、間違いなく上映前に予告編をかけている。

 しかし「ONE PIECE FILM GOLD」は、良くも悪くも「ワンピース」だった。「予定調和で型どおりの面白さ」を提供することを旨として作られている。
 「背伸びしたい年頃」には響かなかった。物足りなかった。
 だから、

 「予告編のアレの方がよさそうじゃなかった? RAD だし!

 という反応に結びついた可能性はないだろうか。
 「男女入れ替わりはジュブナイルの定番」であるが、そこで古典や大林宣彦の名作を引き合いに出すのは年寄りの思想だ。単純に、異性に興味を持ち始めた若年層にとって、どうしようもなく魅力的で斬新に響く設定だからなのだ。

 つまり、若年層のうち「ワンピースのファン層」の厚みが、「ワンピースよりすごそうで興味深いもの」の存在を知って、シフトしたのではないか……という推測である。


 当然ながらこれは僕の主観であって、アンケートとか採って調査したわけではないので、あくまでネタとして。
 できれば(たぶんもうどっか始めてると思うけど)、たとえばベネッセとか、中高生にネットワークを持っている企業は今すぐ、「『君の名は。』がいかに若年層にリーチしたか?」をきちんと調査して、コンテンツとして公開していただきたいですね。すごく興味深いものになると思う。



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君の名は。(通常盤) - RADWIMPS
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2016年09月20日

聲の形

[75点]@新宿ピカデリー

 9月第三週も「君の名は。」の圧勝。すげぇなまだ伸ばすのか、と思っていたら、本作の旗艦の新宿ピカデリーでさえ、夕方以降は最大のスクリーン1を「君の名は。」に明け渡しているではないですか。
 ……松竹、おまえらがあきらめてどうすんだああああ!


 さて。ある意味すごい作品でした。
 いうなれば、「君の名は。」で本作の予告を見て、「あ、またジュブナイルアニメやるんだー」と軽い気持ちで来た中高生を、ドン底に叩き落とす2時間。しかし、10年後に「どっちを覚えてる?」と訊いたら、こちらを答えるのではないかしら。

 なにしろ恋愛話も「聴覚障害」も、重要そうに見えて単なる物語のパーツ。中心になるのは、「いじめがどのように人間を壊すか」の話。最初っから最後まで、コミュニケーション不全のまま、心を万力でギリギリじわじわと締めつけ続けるような苦痛をぶっこんで来ます。
 カタルシスのある展開はなく、主人公は結局、世界には良くも悪くもさまざまな人がいる事実を知るだけです。キツい。キツすぎる。警告する、一人で見ないほうがいいぞ!

 逆に言えば、「感動ポルノ」の要素は一切ありません。聴覚障害や手話は、この物語の中で「当たり前の要素」として溶け込んでいて、その点はすばらしい。

 山田尚子監督は、「アニメだから許される、美しく描ける」ということを確信的にやっているようです。パステル調の軽いビジュアルの一方で音の演出にはものすごい重圧をかけ、ヤバいバランスを成立させつつヘヴィーな内容を描き出してねじ伏せてきます。ここらへん、狂気すら感じる凄み。
 「たまこラブストーリー」で穏やかな恋愛を描いた直後の作品が、このパワフルさ。こういうこともできる人だったんだ……。


 特徴的な「バッテン」の表現がいささか直截過ぎてあまり効果を感じなかったのと(これ原作踏襲なのか……)、昭和の邦画テイストを突き詰めたのか、時間経過の表現が曖昧でわかりにくいのが難点。
 また、結果的に「入野自由ひとり芝居」に近い作品になっているので致命傷ではないけど、個人的には「早見沙織は熱演だがキャスティングミス」だと思います。声に色気が出てきちゃってるんだよね。素直に、聾唖の学生で芝居をやっている方を捜してつれてきたほうが、リアリティになったんじゃないかな。

 あと、この世界における「人間関係の破壊」は、「硝子が悪い」となって彼女が罪悪感を感じていく展開になるんだけど、これ、どう考えても「根本的に悪いのは小学校時代の教師」よね。テーマ的に似通った話である「心が叫びたがってるんだ。」も根幹の原因は同じだったよなー、と思い出しました。



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2016年09月17日

短評(キングオブエジプト/スーサイドスクワッド)


キング・オブ・エジプト
[70点]
@TOHOシネマズ川崎
 現代基準から見たら安っぽいCG(ていうか「すっごい牙狼」)、タメとか整合性とか一顧だにしないくっちゃくちゃの展開、エジプト神話を深く考察しつつぶん投げ倒す世界設定(神と人の身長差とかアレ何?!)、一言で言って超カオス。でもそのカオスこそ神話の真髄とも思え、なんだかんだで上へ下への、ダイナミックで予想のつかない展開に圧倒される二時間で、「chaos, chaos, I wanna chaos!」って感じでした! ……ってそれ別の神話や!


スーサイド・スクワッド
[50点]
@TOHOシネマズ川崎
 コイン入れてからゲームが始まるまでに1時間もかかる「ベルトフロアアクションゲーム」(アベンジャーズはデコが作ってたなぁ)。中盤から終盤にかけての絵作りはまあまあ面白かったと思うけど、そこまでが……。
 アメコミヒーローのビギニングものはこういう展開になりがちとはいえ、前半にうだうだと愛や絆の「彼らの事情」のゴタク並べるので盛り下がるのなんの……そんで、「悪にもウェットな話がある」的な話をしといて、倒されるべきもっと悪いボスにいちばん情状酌量の余地があるので、「えー、戦うの?」という本末転倒な感覚があるという……。
 悪が悪をぶっ倒すピカレスクものなんだから、問答無用で「でも死ね」が見たかったヨ! その点で、ジョーカーとハーレイクインの関係性だけはちょっとよかった。



図説 エジプトの神々事典 -
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2016年09月12日

みつばちマーヤの大冒険

[65点]@109シネマズ二子玉川

 ドイツで3DCG化された「リメイク」版の映画化。ただ不思議なことに、キャラデザが明らかに日本アニメーション版を踏襲してんのに、エンドロールにそこらへんの情報の提示がなかったので、向こうとしてはあくまで原作児童文学に沿ったオリジナルという意識なのかもしれません(でも原作は、こんな牧歌的な話じゃないらしい……)。ちなみにこの制作会社は「ハイジ」「ビッケ」も作ってるんですが……大丈夫なのかな?

 観客が6人、うち4人がおっさんでした。いやマジで。入場者プレゼントっぽく渡されたのが、どう考えても「余った販促グッズ」です。なんだこりゃ。
 ガンバがコケたのは、デキやデザインの話じゃなくて、もはや版権的価値しかない、年末特番とかで特集されたりする「懐かしアニメ」に、日本人全体でまったく興味ないのが現実、って気がしました。


 しかし、配給側はもう少しやる気を出してプッシュしてもよかったんじゃないでしょうか。完全に子供向けとはいえ、期待以上の面白さはありました。
 丁寧な描写でたいへんにわかりやすく、しかし決して説教くさくはない。「広い外の世界に飛び出していく」楽しさが十分に伝わってきます。一方で、「秩序だったミツバチ社会」を否定するわけでもない。映像としては、巣の中の表現がいちばん楽しいのです。
 また、「種族」として悪い虫はいない、という描写が現代的(カエルなど、完全に対話の通じない脅威は存在する)。スズメバチが遊牧民のような設定にされており、決して悪者じゃないですし、クモに捕食されかかるシーンが出たかと思いきや、後半のミュージカルパートで別のクモがドラム叩いてたりします。
 悪いのは個人で、それもミツバチの中にいる。秩序だった社会自体は悪くないが、誰かが悪用をたくらむとその硬直ゆえ悪い方向へ向かうという表現になっているあたり、ヨーロッパらしい結論です。


 マーヤ役を、はるかぜちゃんこと春名風花が演じたことでも少し話題になりました。今後、声優方向でもっと露出が上がるかな?
 そして野沢雅子はほんまバケモノです。アレ何も知らずに聞いて「15歳と80歳が並んで共演してる」ってわかる人はこの世にいないと思う。



みつばちマーヤの冒険 (小学館児童出版文化賞受賞作家シリーズ) -
みつばちマーヤの冒険 (小学館児童出版文化賞受賞作家シリーズ)
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2016年09月10日

短評(セルフレス/弱ペダスペアバイク)&その他


セルフ/レス
[70点]
@TOHOシネマズシャンテ
 アイディア勝ちの一本です。年寄りが若返るため別人の肉体を乗っ取る、というのは、悪役の手管としてありがちですが、意図せずその状況になったため二つの人格の間で悩む話、は意外に新機軸。そうしたストーリーを象徴するように、時間軸を分け、その両軸をキリキリカメラが切り替わる手法が繰り返されるのが面白いです。
 また、アイディアは荒唐無稽ながら、それ以外はリアルというかアナログというか(ラボの構造とか、擬闘というより単なる取っ組み合いな格闘戦とか、最強武器が火炎放射器とか)、いかにもありそうな範囲で演出されているのは、狙いだったかそれとも安く仕上げるためか? 僕には好印象でしたが、実際どうだったんでしょうか。


弱虫ペダル -SPARE BIKE-
[50点]
TOHOシネマズ川崎
 弱虫ペダルのサイドストーリー三本立て……だけど、実質「巻島&東堂」ファンムービー(一部荒北)。内向きのモノローグばっかりで、イマイチでした。そうして抑圧したものを、自転車競技のスポ根演出による爽快感が上回らない感じです。せめて、東堂が「マキちゃぁん!」と叫ぶようなカラミを、回想映像でいいから出しておけば、観客の女の子たちももう少しアガったんじゃないかなぁ。
 まぁ、マキちゃんは実質的にヒロインだから、むしろ鬱屈してたほうがいい、な層は一定数いるんだろうけど……いやでもそれだと、今回のお相手役完全に寒咲さんだし、そちらのクラスタにはむしろ辛い内容なのでは……(笑。




 「Planetarian」は見ません。
 事前の Web 配信分だけ見て、ヒロインのウザさに死にそうになりましたので。
 あれでも、葉鍵系のファンなら楽しめるのだそうです。ホントに?



 ところで、来週末が面白いことになりそうな予感。
 松竹が満を持して「聲の形」を投入しますが、いかんせん松竹、公開館数は「君の名は。」の半分以下。まだ勢いを残してそうなかの作品との軍配がどうなるかは、東宝が「レッドタートル」にどこまで肩入れするかにかかっているようにみえます。個人的には期待してるけど、さすがに今回はジブリブランドの押し売りじゃねぇかと(人を選ぶ作品に見えるんだけどなぁ)……。



 全然別の話。
 国籍は、政治家の資質それ自体には関係ありゃしません。だから、「単一国籍しか認めない日本の法律こそおかしい、変えていく」って最初からハッキリ言やぁいいんです。国会議員なんだから。法律を作る立場なんだから。そう堂々と言えるか、そして「あとは有権者の判断ですよね」ってニッコリ笑って言えるかどうかが「政治家の資質」でしょうよ。
 それを、いかにも後ろめたそうな反応をして、生まれたときから日本人だの国籍抜いただの、よく調べもせずに口からでまかせ言ったことが「燃料投下」になりました、ってだけじゃないんですか。ただでさえ信頼を失っている民進党が、「党首選」という最大のチャンスに、信頼回復から遠のく方向に全力疾走する滑稽さ、そりゃネトウヨさんたち面白がっておもちゃにしますわさ。



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2016年09月02日

短評(鷹の爪8/ソングオブザシー/ねむれ思い子/ダーティーコップ)


鷹の爪8 -吉田くんの×ファイル-
[70点]
@TOHOシネマズ川崎
 エックスファイル、じゃなくて「バッテンファイル」。
 上映時間40分を無料公開した前作と、ほぼ同質なのに68分で正規額の本作。「鑑賞料金」とは何なのかちょっと問い詰めたくなるね! つーか、オカルト系以外のネタはあらかた島根の観光案内なんだから、島根県は税金で補填してくれ!

 今回は、メディアミックスでコロコロで連載されたものの映像化(のはずなのに、上映時間がどこも午後〜夜に偏ってるのはなぜだ?)。これまでにも増して、精神年齢小学生レベルのくっだらないネタの連打です。
 いや、でも、それがいい。何度も言うけど、こういう頭からっぽにしてケラケラ笑うだけの、ストレス何もない映画が、FROGMAN の独壇場である邦画の現状がおかしいんですよ。「シンゴジは恋愛要素排除してウケた」と同ベクトルの話で、こういうのがウケると思うのになんで作られないのかな。

 今回はいつものお説教も小学生レベルなんで、くどくなくちょうどいい感じ、それどころかかなりキマっててカッコいい。しかも、ラストにはさりげなく「シリーズ全体を知ってる人向けの泣かせ」まで織り込まれている、いい按配でした。


ソング・オブ・ザ・シー 海のうた
[75点]
@恵比寿ガーデンシネマ
 アイルランド産の長編アニメーション。本国アイルランドのアカデミー賞では、あらゆる実写作品を押しのけて「作品賞」を受賞したそうな。「動く絵本」的なアニメで、絵本風のデフォルメされた背景やキャラが、そのままグリグリ動きます。冒頭の「灯台の光」だけで心つかまれる美しさ。

 ケルト民話の「アザラシ女房」(日本の「天女の羽衣」と同類)をベースにした、妖精の母を持つ幼い兄妹の物語は、「我が家へ還るロードムービー」と「妖精の世界を救う冒険譚」をうまく織り交ぜており、派手さはなくとも、表現が豊かで飽きがきません。かつ、どこにも悪人がいない優しい世界が形づくられています。嫌な人悪い人にみえても、そこにちゃんと意味がある。途中で出会う妖精シャナキーが示すように、誰もが物語を持っている、そこが伝わってくるよいおはなしです。夏の文部省選定作品になったようですが、子供たちにも伝わるといいなぁ。
 ただ、ラストは、「世界一の兄になった」とちゃんと褒めてあげて欲しかった。そもそもアンタが何も言わんと去るのがあかんのやし、民話の登場人物ってそんなもんとはいえ、オレあの母ちゃんちょっと好かんよ……。

 ところで、登場する妹の名前が「シアーシャ」なのね。シアーシャ・ローナンと同じ。アイルランド語で「自由」という意味なのだそうです。


ねむれ思い子 空のしとねに
[65点]
@下北沢トリウッド
 タイトルを忘れてしまいそうなので、書いて残しておきたいインディーズ3Dアニメ。
 この持って回ったタイトルと、主人公の境遇をはっきりさせない序盤から唐突に宇宙に飛ぶ展開に、いかにもインディーズ的な独りよがりかと思ったら、描きたいものを描くだけじゃない練ったストーリーが繰り広げられて、想像以上に面白かったです。あのストーリーであのエンドロールはけっこうキツかった、いい意味で。

 ところで、あの役に井上喜久子を配したのは、絶対作者が強く希望した結果に違いなく、思いは通じるものなのだなと(笑 そこかよ!)


ダーティー・コップ
[65点]
@角川シネマ新宿
 いやぁ年に一度はニコラス・ケイジ見とかんとね。
 しかも「悪徳警官」のニコケイっすよ! 表は善人ヅラで内心は腐りきった、ゲス野郎な警官っすよ! もうそれだけで最高じゃん!
 さらに、今回はほぼイライジャ・ウッドとの二人芝居。こちらも悪徳警官だけど、普段からワルな奴に見えて、内心はまだ煮え切らないとこがある若手。この二人で、もっとワルな麻薬売人どもの資金の横取りを企てる……という筋立て。
 いやぁいいコンビだわ。どっちもイチモツありそうすぎて。

 説明的セリフなしに演技合戦でガシガシ進めてくタイプの作品なので、あんまりゴチャつかせてもつまらなくなるだけとはいえ、正直、ストーリーにはもうひと押し欲しかったのが本音です。
 絶対ニコケイの父親(ジェリー・ルイス!)は何か噛んでると思ったんだけど、何も出てこないし……(邪推するならば、最後に映った「2枚のチケット」、イライジャは「自分の分」と思ってはっとするけど、あれ「もう1枚は親父の分」だったんじゃあ……)。
 あと、「売人の黒幕が準備した隠し金庫」に武器がある、って別に驚くことじゃないよね。そんで、その建物に住人がいたら、「見張り」と考えるのが当然じゃないのかなぁ?



いやホント10年もよぅ続いたなぁ……。

クソアニメと呼ばれて10年~『秘密結社 鷹の爪』10年史 (扶桑社ムック) -
クソアニメと呼ばれて10年~『秘密結社 鷹の爪』10年史 (扶桑社ムック)
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