2016年11月05日

カゲロウデイズ -in a day's-

[25点]@TOHOシネマズ川崎

 よっしゃ来たぁ!
 この、映画大豊作の、2016年において!

 ぶっちぎりのワースト orz



 「世界初のMX4D専用新作アニメーション」
 とだけ聞くと、なんかすごそうな気がするじゃない? 自分、MX4D未経験だし、これを機に試してみようか、と思ってもムリないじゃない? TOHOシネマズも、こういう時間調整に使えそうな短編MX4Dコンテンツが欲しかったのだろうし、それなりに期待かけてそうな気がするじゃない?


 でもさ。さんざん悩んだ。見るかどうか。

 題材がよりによってカゲロウプロジェクト。
 ニコニコ動画で一世を風靡し、小説・マンガ等に少しずつ設定を変えて手を広げるも、時宜を逸したテレビアニメ化が極まりついた駄作で、たちどころにオワコン化したコンテンツ。の、さらに時宜を逸した映画化。

 当時ボカロにはまってたから曲はほぼ全部知ってるし(「サマータイムレコード」は今でもサビを口ずさむ名曲だ)、テレビシリーズは全部見た。過去エネのエピソードはマジ泣きモンだった。その上で言っている。念のため。
 なお、自分の認識では、カゲロウプロジェクト全体における「最人気キャラクターはアヤノ」なのだが、本作においては過去時間軸には一切入らず回想シーンもない。したがってアヤノはまったく登場しないので注意されたし。

 監督はニコニコで各曲のPVを作ってたしづ、要するにPV止まりの人でアニメ作家としての実績は皆無。普通に考えて期待より心配の方が大きい。つーか脚本もなの?! そこは嘘でもじんって入れとけよ!
 予告編はいっさい目を引くところなし。中身のないサイドストーリーでしかないことをごまかしてるの丸わかり(実際にはテレビシリーズ序盤の焼き直しだった。「それができる」のがこの作品世界の特色とはいえ、別に面白さが増すわけはない)。
 そもそも、この作品のキャラクター群は、「視線で他人を操る」能力者なので、絵的には絶対に派手にならない。そのうえMX4D向けのアトラクションに? 無茶な!

 とどめが「20分で1900円」(1500円+3Dメガネ代)
 ……この作品って、ファン層の中心、中高生かそれ以下なんですけど。
 出せと。この額を。信じらんねぇ。

 オレ同日に上映時間79分のマジェプリも見たから、正規料金だと100分以下で3700円という、一日中居座っても800円だった新橋文化劇場ユーザとしては鼻血が出るコスパに、くらくらしたよ!



 そんなわけで、1900円と時間をムダにしてよいものかさんざん悩んだあげく、最終的に「悩むくらいならトライすべき」という判断に従った。
 そして見た。後悔はない。後悔してないから dis るくらいは許せ。

 まず第一に、本作を見るなら、内容をどう受容するかによらず、映画館においては最悪といえる体験を共通して味わうことになるので覚悟して欲しい。
 なんとなれば、山崎紘菜&予告編はキッチリあり、MX4D向け諸注意とデモも流れるから、ガチで「関係ない映像を見せられる時間のほうが本編よりも長い」という本末転倒がそこにあるのだ。



 で。中身はもはやMX4D以前の問題で、どうしようもなかった。

 絵。
 なんだこのテレビシリーズのまんまの線ふっとい作画クオリティ! これ、映画館で流すつもりで作ってねぇだろ!
 時宜を逸していることといい、どうやって売ろうか、企画が迷走に迷走を重ねたのだろうと察する。どうにかしてつけた「付加価値」が、MX4Dだったと。了解。

 あと、「3Dである理由」はホントにひとっかけらもなかった。せめて、3Dメガネ代を観客全員に返却する誠意を求めたい。



 ストーリー。
 当然ながら、各キャラの説明なんてものは皆無のまま、事件に突っ込んでいく。もともとカゲロウプロジェクトに触れているファンのための作品だ。それも生半可では足りぬ。
 プロジェクト全体の傾向として、もとより「能力者もの」としてはグダグダである。というか、彼らにとって基本的に能力はコンプレックスで、積極的に使わないものだ。繊細なキャラづけこそが命と言っていい。「誰がどんな能力を持ってるか」なんて、わかってなくても楽しめる。
 なのに本作は、「各自の能力を駆使して切り抜ける」というプロット
であり、見てる側が「誰がどんな行動原則を持ち、どんな能力を持っているか、説明しなくても完全に理解しているファンである」という前提で作られている。

 はっきり言って、誰が何をやっているのかよくわからなかった。
 MX4Dのエフェクトを借りてさえ、「特殊能力を使い、その効果が現れた」と明確に表現し切れているのは、マリーの石化と、人間じゃないコノハの身体能力くらいじゃなかったろうか。
 それ以前の問題として、なぜその人物がその行動に出るのか、彼らの意志や認識の程度も、俯瞰的な状況説明も一切表現されない。とにかくキャラが動くだけだ。

 そんで、物語のオチが、「キドと敵の主犯が入れ替わっていた」というものなのだが、……。
 登場人物にとっても観客にとっても、「『敵の主犯』なるものを意識する必要性がまったくない」というオハナシでね。主犯がいようがいまいが、シンタローがエネを管理室とやらに連れていけば、事態は収束する。
 そのうえ、ただでさえキャラデザの見分けがつけにくく、やっぱり「性格」こそがキャラの差異として重要であるべきなのに、「見た目似てる人が実は入れ替わってました」といわれても、「そんなの気にして見てる奴いねぇよ」としか言いようがない。
 「誰が何をやってるかよくわからない」は、この敵さんにも当てはまる話だったという。

 本作で唯一褒められるところは、20分という時間制約上、1イベントを、起きてから終わるまで一気に描き切ることだけに徹していて、ダレる部分はさすがになかった、という点である。



 そして、ビックリしたのは音楽。
 「君の名は。」で、「前前前世」の軽快なノリに合わせて、入れ替わり現象がザクザク説明されていく流れは実に興奮したものだ。
 なのに、そもそも「歌」が底流にあるはずのこの作品が、その手法を使わない!
 IA使えとは言わないが、歌に合わせてアクションするシーンが当然あるだろうと。そして、音楽PVの体裁に近づけ、3曲くらいは流して、疑似的な音楽ライブ感を出すのが、MX4Dを採用した目的だろうと、勝手に思っていた。
 なのに、歌が流れたのはエンドロールだけだった(曲をアレンジしたBGMはあった)。……しづを監督にしたのはなんのためだったんだ……単なる名義貸しか……。



 いちおうMX4Dにも触れておくと、この作品ではそれくらいしかやることがないとはいえ、たかが「人が移動する」くらいで席を揺らされると、むしろ想像力が阻害されるようでうっとうしく思える。今の観客はそういうのを求めているのだろうか。
 ……これはさすがに、「イマドキの若者は」的な言いがかりかもしれないけど。

 ただ、「ガラスを割って破片が飛び散る」「何かをぶちまける」シーンでミストが吹き出すのってMX4Dではデフォなの? あれを筆頭に、なんか、ちょっと、いろいろ間違ってる感じが強くて、アトラクションの楽しさはまったく感じなかった。
 そんでエンドロールで歌が流れ出すと、バスドラに合わせて?いちいちケツを突き上げてくる振動入れるのやめれ。



 これくらいかな。とりあえず、これが興行側の目指すところというなら、もうMX4Dはこりごりだ。二度と行かない。
 1900円はそれを知るための勉強代であり、TOHOシネマズはこの作品で、将来有望な顧客層となってくれるべき中高生を中心に、MX4Dの観客をがっつりと減らしたものと確信する。

 何しろ。
 MX4Dの威力が存分に活かせそうな、大爆発! のシーン直前で突然ブッタ切り!
 画面に燦然と輝く「To be Continued」の文字!
 ……コンコルド効果って奴ですか。誰か止めてあげてー!



メカクシティレコーズ - じん
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posted by アッシュ at 21:12| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画感想 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする