2016年12月24日

ポッピンQ

[50点]@チネチッタ

 日本における永遠の謎のひとつ。なぜ小学生男子にコロコロで圧倒的シェアを誇る小学館が、その読者層を維持できず、少年誌ではジャンプマガジンの後塵を拝するのか。
 ……この作品もそういうことなんだろうなぁ。
 狙いはすごくわかる。プリキュアで小学生女子をガッチリ押さえてる東映アニメーションが、「次の年代」を、プリキュアの手法とラブライブの路線をミックスさせて、取り込もうとしたのである。

 でも、売り方を間違えると……。
 「ダンスで異世界を救う」がガッチガチのメインプロットなのにそれを隠し、「異世界に飛ぶ」に違和感が生じるような、そして石塚運昇が「ダンスじゃ」と言った瞬間に「なんでやねん」とツッコまざるを得ないような、そんな予告編を作ったりすると。

 この、明らかに中学生女子だけしかターゲットにしてない作品の初日に、30以上のおっさんばかりが押し寄せるという事態が発生するのである。


 いやさ……開幕30秒で、大人の見るもんじゃないと思い知らされまっせ。正確にいえば、「物語リテラシーの低い人を相手にしています」という限りなくあからさまな主張……かな。それでも、あのテロップは出さずに組み立てるのがまともな演出家でしょうよ。
 以降、東映アニメーションが本気を出しているのでアニメにまったく瑕疵はないですし、個々のイベントはきっちりツボを抑えてはいるのですが、イマイチ乗り切れません。映像でなくセリフで説明していく例のパターン多いし、「世界の危機」にまったく説得力が無いので、あの異世界における主人公たちの行動は、「ただ言われたとおりやる」で終わっている。


 では、それだけわかりやすく中学生レベルの物語を組み立てた結果として、予告編で強調した「彼女らの卒業前の不安」についてうまく描けたか? って話です。そこさえ描けてればこの作品は成功だったはずなんですが。

 僕はね、中高生がいちばん悩むのは、それなりに歳を重ねて世界が広がってきたときに、どんなにがんばってもより優れた人がいる、上を見たらきりがない、という「才能の差」が見え始めることだと思うんです。それはもう、「心の持ちよう」ではどうにもならない。だから苦しい。
 (強制的に老化させられるシーン、あれだけはよかった。だけどそれは「老い」そのものが恐ろしいのではなく、「何もなせずに老いる」のが恐いのだということを、制作陣はわかっていたか?)

 恐ろしいことに本作では、登場人物全員「才能の壁」が存在しないの。より秀でた存在がおらず、「彼女らに見える世界の範疇で、自身がそのジャンルで最優秀であると自他共に認めてる状況」なんだよ。
 で、彼女らのうち3人は「優秀すぎて敵を作ってしまった」という、贅沢すぎる悩みを抱えていて、残りの2人は、持てる才能に対してあまりに低次元な「普通の女の子でいたい!」的な悩みを訴えるのですわ。
 加えて、まったく別のジャンルであるダンスに手ェ出して、世界を救う奇跡のレベルにたった10日で到達してミッションクリアですよ。才能有りあまりすぎてて気色悪い。

 この「子供の全能感」の延長線≒プリキュアを継承したままのキャラ描写で、一年代上に共感してもらえると思う? 本気で?
 完全に勘違いしてできあがってるものを見るのは、哀しくすらあるよ。


 あとひとつ書いておきたいこと。
 東映アニメーションは、地方のアニメ制作会社で地方を舞台にしまくる京アニや PAWorks が、セリフになぜ方言を使わないのか、聞いたことないのかな。
 好きな声優だからあまり言いたくないけど、実質ほぼ標準語のイントネーションで、ときどき思い出したように語尾が変わるだけの瀬戸麻沙美の土佐弁は、キャラ個性として確立できておらず、聞いてて苦痛。使うべきではなかった。


 いま東映アニメーションなら、「虹色ほたる」が配信されてるそうだから、そっち見ようみんな。



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posted by アッシュ at 12:47| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画感想 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする