2017年04月10日

GHOST IN THE SHELL

[65点]@TOHOシネマズ新宿

 あーっ! あーっ! なるほど。なんかこう、せつないというかはがゆいというか。
 言わずと知れたスカヨハ攻殻。すごくわかる。攻殻機動隊って、海外じゃこういう受け止められ方してるんだなって。

 この作品、ひとことでいえば「アメリカナイズされた押井版攻殻」です(まったく同じ構図がバリバリ出てきます。でもエンドロールに押井守の名はなかったような……大丈夫なのか?)それは結局、「ブレードランナーへの先祖返り」へ帰着している。

 博覧強記に裏打ちされた未来世界で、むくつけき男どもを従え圧倒的なハッキング能力を駆使してサイバー犯罪を制圧する、僕らの思う「草薙素子少佐」像の魅力からはほど遠い作品ではありますが、これまでのジャパニーズコンテンツの安易な取り込みとは少し違い、「欧米が需要とみなすのはそこではない」とはっきり突きつけられた印象です。
 ブレードランナーを嚆矢として、以降いくつも後追いで作られた、猥雑な世界観でストイックかつウェットに進行するダークSFの一亜種。その視点でとらえれば、よくできた作品といえるのでは、と思えます。

 そして、「アメリカナイズ」つまり欧米でマスに向かって売ることを意識したとき、攻殻機動隊の世界観で最も重要といえる、「自らを情報化してネットワークに溶かし、それをもってなお生きているとする」結末は選択できない、は前提であったのだと思います。生命と自我を切り離す思想は伝わらない、と。これはもはや宗教や倫理の国民性で語る域でしょう。
 押井攻殻で人形使いにダイブするシーンを模したラストで、はっきりと「それはできない」と言ってのけるだから、意図的というか明確な差別化というか……製作陣の側にも、本来の結末が特色でありオリジナリティたりうると理解する人もいたでしょうから、悔しさがにじみ出ているというか。
 フル義体なんだから、人種は無論、見目そのものすらまったく本質にないのに、ホワイトウォッシュ問題でも敵視されて評価を下げたというのもまた欧米的です。「攻殻機動隊」というコンテンツをもってしても越えられない、高い壁がまだまだ存在するのですね。


 個人的には、「そうなるのかー」と歯がゆく思いつつも、あるていどは予想の範囲内でしたし、本作が作られたことに満足してます。
 本作が出る前に、比較的ウェットな ARISE シリーズが挟まれていたのも、個人的な許容レベルを上げるのに一役買ったかもしれません。本作の吹替は田中敦子・大塚明夫のオリジナル座組と聞きますが、坂本真綾の方がウェット感が出たのでは(自分が見たのは字幕版)。

 ビートたけしの荒巻課長が、全編日本語で演技していたのはちょっと意外でした。違和感がなくて助かりました(ビートたけしは割舌が悪いので、英語字幕が出る方がわかりやすい。吹き替えでちゃんと馴染んで聞けたのでしょうか?)
 ただ、だとすると、あの世界では自動翻訳が普通に成立してる設定だと思うので、もっと各国語が飛び交ったほうが面白かったと思うし、ホワイトウォッシュの話も薄れたんでないのかな?

 最後に、この作品で最も dis りたい点。
 ラスボス多脚砲台が……デザインといい武装設定といい、戦闘アクションのスケールの小ささといい、おまけに、悪役がニヤニヤしながら単にリモコンで動かすだけの仕様とか、何十年前の発想だよというレベル。あれだけは、あらゆる士郎正宗映像化の最下層と言わざるをえません。



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posted by アッシュ at 17:30| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画感想 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする