2017年07月26日

怪盗グルーのミニオン大脱走

[80点]@ユナイテッドシネマアクアシティお台場

 月泥棒危機一髪ミニオンズ
 おなじみイルミネーションスタジオの最新作。今回は「泥棒を止めたグルーには実は泥棒志望の双子の弟がいて、ともに共通の敵に立ち向かう」……的な話、なんだけども。

 いやもう……今回の感想を一言で言うと、

 「中だるみが始まったと思ったらクライマックスだった」

 「危機一髪」に比べて断然面白く、テンポがいい。体感時間が短いのなんの。

 僕は、「伏線が収束していく」展開って大好きなのだけど、このシリーズに限っては例外。
 ストーリーと呼ぶべきものは、あるにはあり、例によってグルーと三姉妹の視点をまったく違えて進行していくのだけど、すこぶる浅いです。浅いので、もう「月泥棒」のような泣ける感覚はなく、「マーゴはこのままチョロインの道を歩むのか(笑」なんという反応くらいしか湧いてきません。

 しかして本作は、「ミニオンズ」同様、とにかくアホネタのラッシュラッシュ畳み込み。クライマックスに至って、話を畳もうとするがためにネタの勢いが止まり、中だるみに似た感覚を覚えるという。

 「大脱走」のシーンなんて、ストーリーにビタイチ関係しないのに面白いし、一方でグルーの方も、本シリーズ共通のネタである「敵アジト侵入」が、アホのドルーと二人三脚の展開にすることで寸断なく笑いを取る方向に作りこまれています。コントの原点とも言えそうなネタなのに、まだまだできるもんですねぇ。凄いわホント。


 声優陣のこと。松山ケンイチと生瀬勝久が「聞いても彼らとわからない」レベルのハマりぶり。すばらしかったです。芦田愛菜は相変わらずうまいけど、そろそろアグネスは卒業させてあげましょうよ。
 なので、主役夫婦の滑舌が悪いのがなんとも……。鶴瓶はもうアレが味なんでかまわないのですが、中島美嘉は切り捨てる勇気が必要だったんでは、と思います。ていうか、「続編が出て続投させなきゃいけないリスク」を、芸能人キャスティングする人たちによーっく考えていただきたい。

 ……あと、今回は宮野真守って何やってたっけ? ネタ枠でないのが残念だとても残念だ。



ミニオンズ (吹替版) -
ミニオンズ (吹替版)
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2017年07月20日

パワーレンジャー

[45点]@109シネマズ川崎

 本国アメリカではヒットしたものの、中国市場で大コケ、続編が作られるかは日本の興行成績にかかっている……てな話が伝わってきてるわけですが……。

 こりゃムリだよ。
 ポリコレに配慮されたキャラ配置、キャラ設定の根っ子にあるスクールカースト、とりあえず意味もなくカーチェイス、唐突なプロダクトプレイスメント、何やってんのか全くわからないCG戦闘、ひたすらグジグジ悩む主人公たちがヒーローとして活躍を始めるまでに1時間半! こんなの許容できるの、ハリウッドのお約束に理解のある&ヒーローのビギニングものがいつもこういうパターンになるって知ってるアメリカ人だけだって!

 ていうかさ、アメリカでもパワーレンジャーって子供向けの番組だべ? ディズニーアニメだったらもうエンドロールが始まる時間が経過してもまだパワーレンジャーが出てこない、この拷問みたいな内容にアメリカのキッズは耐えたの? 感心するわー……。
 そんで出てきたと思ったら、いちばん盛り上がる「パワーレンジャーのテーマ」が流れた時間が5秒あるかないか、とか馬鹿か?! どういう編集だよアレ!

 5体合体のシーンだけはちょっと面白かったけど、この映画全体に対しての相対的な良さとしか……歌舞伎の見栄が根底にある日本の特撮の方が、はるかにカッコよいキメかたを知ってると思います。つーか、「スーパー戦隊」輸出の中心人物たるプロデューサーのサバン氏がそこらへん一番わかってるはずなのに、どうしてこうなっちゃったんだ……?
 日本のコンテンツホルダーは自信を持って、「おれらのやり方の方が面白いんだ!」と主張しながら輸出すべき頃合いでしょう。


 109シネマズ川崎は吹き替え版のみだったけど、どうも字幕と吹き替えの公開数が館によってバラバラなのは、大人向けか子供向けかよくわかんないからでしょう。
 なお吹き替えは、ゲスト芸能人含めてほぼ問題なしでした。アレアレな勝地涼はともかく(笑、地雷かと思えた広瀬アリスが、平野文っぽい感じで意外に良かったです。

<追記>
うん、やっぱ本来はこうなんじゃないか! 映画だけなぜこうなった。



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2017年07月19日

銀魂 (2017実写版)

[65点]@109シネマズ川崎

 さて、これまで低予算をウリにして安いコメディを量産してきた、当たりはずれの甚だしい福田雄一監督に、待望のビッグバジェットが渡されての実写版「銀魂」です。
 アクションとVFXにめっちゃ金がかかってるようで、見目はすごくアップグレードされてるし、下手な尺引き延ばしや顔芸要素も薄くテンポよく進むので、面白いといえば面白いです、が。

 うーん……、これ、まるっきりアニメの「新訳紅桜編」じゃね?
 どこらへんがって、まずもってワーナーブラザーズのロゴ天丼」をやってる時点で、影響を受けてないなんて言わせねぇぞこの野郎、ってなもんで。

 もちろん、「銀魂」をネタにしておいて、「豪華なコスプレ大会」なんて批判が的外れなのはわかってます。が、キャラ再現性というだけでなく、構図とかデザインとか色彩とか演出の間の取り方とか、松陽先生の声が山寺宏一・定春の声が高橋美佳子とか橋本環奈が定春を呼ぶ時のイントネーションが釘宮理恵とか(いや、これはよかったんだけども)
 「原作」じゃなくて「アニメ」から、「リスペクト」を超えてまんま引っ張った「実写化」になってる気がするんですよね(当然サンライズに話は通ってるのでしょうが)。

 福田雄一オリジナル、といえるのは、序盤のメタネタを除けば、パロディ小ネタのみに見えました。それもシャアとかナウシカとか不発ばかりです。エリザベスをオバQネタでいじっても無価値ってわかってないのは致命的。今の若い人オバQ知らないよ! ドロンパもっと知らないよ!

 下手にいじって、オレサマ色に実写化されるよりはマシなんですけども。
 すでに型ができあがったアニメがあるこの作品に対し、「追従するしかない」って白旗揚げて安易に流れた感じがして、正直「福田作品」としてはデキの悪い部類に入ると思います。ビッグバジェットでも駄目なのか……面白い時と面白くない時の基準がホント見えんわこの人は。


 ただし、橋本環奈as神楽は絶品。ゲロインを再現してなお誇り咲く千年に一人のカワイさ、他のキャラが全部霞むレベル。もう一生チャイナでいてくれ!




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2017年07月18日

短評(ノゲラゼロ/ジョンウィック2)


ノーゲームノーライフ・ゼロ
[55点]
@TOHOシネマズ川崎
 うーん、「ロボットが人間性を得ていく」タイプの話を初めて見る中高生ターゲットには、新鮮な経験ができたろうよくできた話だと思いますが……もともと「異世界チート」の走りであり、それも知略戦で無双するタイプの話を劇場版化するにあたり、誰がこの鬱展開を望んでおったのか、ニーズをよく確認すべきだったんではと思います。


ジョン・ウィック : Chapter 2
[80点]
@TOHOシネマズみゆき座
 前作で「アクションはこだわりすぎて地味」と書いたわけですが。
 ……振り切れてキター! 最高!
 とにかく無茶ぶりと猪突猛進にもほどがある笑うしかないアクション、サイッコーに面白くご都合主義をブン回す主人公補正ぶり、「シューテム・アップ」かよ! 闇と光のコントラストも美しい……。
 「世界中の殺し屋に狙われる」シチュエーション、世界中というからにはもう少し人数が欲しかったとこだけど……その絞り込まれた中に「スモウアサシン」とか……おまえらアホやろ! いいぞもっとやれ。
 そしてそのライバルたちの頂点にいて颯爽と立ちはだかる手話ねーちゃんの、カッコカワイイのなんのってめっちゃゾクゾクした。ルビー・ローズって女優さん、トリプルXXXにも出てたらしいけど、覚えておこう。



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 ……そっちじゃありません。

xXx トリプルX:再起動 (字幕版) -
xXx トリプルX:再起動 (字幕版)
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2017年07月13日

ライフ

[65点]@109シネマズ川崎

 ……えー……いい意味でひどい映画でした。

 ゼロ・グラビティはやはり各所に衝撃を与えたのでしょう。しかしそこで、あの設定と映像技術で「エイリアン」撮ったらウケるんじゃね? と考えるのがハリウッドクオリティ。
 実際には、無重力移動がゼロ・グラビティほど自然に見えなくて、技術的に少し劣る印象を受けましたが、アバンタイトルのISS内から見る無重力長回しなどは、決して負けてないです。あるいは、地球外生命をなんとか目覚めさせようとする序盤のシークエンスは理系的にゾクゾクしたので、ずっとそれで行ってくれたらどんなによかったか。「地球外生命よ、めざめよ!」だけで十分映画になるはずなのに……。

 で、全体的にキャラクターの掘り下げが淡泊で、かつイベントもかなりのご都合主義なのでカルビンあっさり再侵入のシーンは、いつ分裂したの? とワケがわからなかった)、エイリアン展開が始まって以降は結局、高度な知性をもつキャラクターがリアルなテクノロジーに沿った行動を取る設定のはずなのに、頭の悪いやつらが右往左往するヒャッハーなパニックムービー仕様でまとまっていて、「そーゆーのが好きなんだろオマエラ?」といわんばかりの……まったくハリウッドってヤツはー!


 あと、真田広之が出演してるのに話題になってないんで、最初に死ぬようなチョイ役かなと思っていたら、ほぼ最後まで出ずっぱりの重要役だったので驚きました。逆に主役級にクレジットされてるライアン・レイノルズが、そのポジションでした。



ゼロ・グラビティ(字幕版) -
ゼロ・グラビティ(字幕版)
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2017年07月11日

メアリと魔女の花

[75点]@新宿ピカデリー

 面白かったです。
 正直、あからさまに「自然原理主義・反原発」な思想には鼻白むし、前半でかっちり描いた「大学」が後半影も形もなくすあたり、モチーフの多くは借り物に過ぎず、掘り下げが浅いのにバランスが悪く、完璧さや凄みにはほど遠いものです。
 しかしながら、構成力というか、物語の盛り上げ盛り下げのタイミングと、宮崎駿のくびきから解放されて(?)弾けるアクションパートがうまく、見ごたえがあります。前二作と比してここは段違い。

 それにもまして素晴らしいのは、これもう僕はアリエッティのころから絶賛してるわけですが、米林宏昌監督が宮崎監督に圧倒的に勝るのは、「女の子の描き方」。宮崎駿はなんだかんだで古い時代の人で、女性キャラクターを「作品世界の秩序に従うおとなしい存在」として描くことが多く、殻を破り新たな世界へ導くストーリーの場合、男性主人公が牽引しているように思えます(ナウシカ/サンはおとなしくはないが、強く「作品世界の破壊」を試みるクシャナ/烏帽子様が対峙するという点が興味深い)

 本作は明確に「女の子の冒険」であり、(ささやかな表現だし、個人的には「それを目指してはいけない」のですが)様々な体験を経た女の子が、自らの判断で、世界の枠を破壊して次のステージへ至ります。
 ラピュタの性別逆転版……というより、ディズニーの最近の女の子向け映画にもそんな方向性があって、「女性の自立」云々を語るまでもなく本作はそうした現代の潮流に乗っている印象があります。ジブリの継承者としてだけでなく、面白くて売れる「女性もの」を、米林監督が自らの持ち味を発揮しつつ目指した結果と考えていいんじゃないでしょうか。

 ……えぇ、だからそう、ポッピンQが「プリキュア卒業後の女の子」を狙うのなら、こういうとこ目指さなきゃいけなかったんだよ!



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2017年07月07日

忍びの国

[60点]@チネチッタ

 リアリティライン、て言葉があるじゃないですか。
 この作品は、「忍者」を、「土豪が統括する傭兵集団」という史実に近いかたちで描きつつ、人間離れしたアクションやスキルを駆使するフィクショナルな超人像も併せ持たせています。原作の和田竜氏か中村義洋監督かわかりませんが、非常にユニークで面白い線を引いたなぁと感心します。
 なのに。
 冒頭のツカミ、忍者同士の白兵戦から始まるんですこの作品。「真っ昼間」「白く見えるほど乾いた砂地」の「集団戦」で、忍者が全員、全身黒ずくめの忍者装束。

 ギャグまんがだよね?

 そういうふうにツカまれた僕の、本作に対する総評は、「笑えないギャグ映画」です。
 そこで「忍者の服装」ごときでひっかかったりしない方にとっては、……いや自分も、アレがせめてカーキか焦げ茶くらいのカラーリングであったなら、史実の天正伊賀の乱を、娯楽アクションへと換骨奪胎した見事な作品として評価できるのではないでしょうか。



映画「のぼうの城」【TBSオンデマンド】 -
映画「のぼうの城」【TBSオンデマンド】
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2017年07月03日

ジーサンズ -はじめての強盗-

[70点]@チネチッタ

 僕の好きなタイプの老人娯楽映画。マイケル・ケイン、モーガン・フリーマン、アラン・アーキンが強盗する話。
 動機が、「元勤め先が買収(実質倒産)、資産を銀行が押さえたために、年金の支給が停止された」なので、ラストベルトの悲惨な現況を表に出してくるかと思ったら、あるにはあるけど全然控え目。中盤以降はひたすらクライムコメディです。
 その割り切りが実に軽妙で面白いです。不要な情報がなく、すべて回収されます。巧みで気持ちよいオチを三段階くらいかぶせてくる、後味のいい作品。ラストシーンの出費の金の出どころを考えると、「年金以上の贅沢」してる感じで、探られるとかなりヤバいんじゃねぇかと思いますが、まぁ些細なことですかね。
 ただ、その割り切りには逆に弱みもあって、「クライム」の部分に老人が主役である必然性はあまりありません。ていうか70代には不可能でしょうアレ。「体を鍛えた」は免罪符にはならんよ、札束があまりにも軽すぎる……。

 ちょっと面白かったのが、スーパーの警備員が全員カラードなうえ、捜査に協力する見返りに「ばあちゃんが逮捕されたから釈放して」とか言い出す皮肉なシーン。警備員の身内が犯罪者なわけで、それでも社会が成り立っちゃうのはいいのか悪いのか?

 あと、1回だけ場違いなラップ調が入る以外、音楽がいかにも古き良き娯楽コメディ! って感じですごく良かったです。



RED/レッド(字幕版) -
RED/レッド(字幕版)
posted by アッシュ at 22:42| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画感想 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年07月02日

短評(ヤマト2202-2/世界にひとつの金メダル/ドッグイートドッグ)


宇宙戦艦ヤマト2202 愛の戦士たち -第二章・発進編-
[65点]
@新宿ピカデリー
 面白かったし、ヤマトの発進はやっぱめちゃめちゃアガる、のだけども。
 群像劇としての演出がひどく雑で、ちょっとノリ切れない部分も多めです。また旧アニメを知ってる友人の言によると、2というのは「テレサの声に導かれた」以外の導入がなく、本作のここまでは「ほとんど全部辻褄合わせ」らしいです。
 ここからは、登場人物も固定されるはずだし、戦闘寄りになるのだろうから、も少し盛り上がると思いますが、さて。



世界にひとつの金メダル
[70点]
@恵比寿ガーデンシネマ
 久々のウマ映画。といっても馬術競技。フランスでは著名な金メダリストピエール・デュランと、騎乗馬ジャップルーの物語。
 事実ベースのせいかやや起伏も内容も浅い印象はあるものの、フランス映画らしからぬ傲慢でヤンチャな主人公(人馬ともに!)の成長が素直に好ましい作品です。
 何より、馬の飛越のモーションがとにかく美しい! そう思える時点でこの作品は価値があります。日本では馴染みの薄いジャンルですが、「銀の匙」あたりで興味を抱いた方は是非。



ドッグ・イート・ドッグ
[45点]
@ヒューマントラストシネマ渋谷
 タクシードライバーの脚本・ラストリベンジの監督の新作ですが……ニコケイをヤク中のクズに配して面白くない、って、ある種の才能でないの? 彼もウィレム・デフォーも、素でキレッキレのヤク中になりきってくれるだろうに、なんであんなありがちな画面効果かぶせるのさ。
 おそらく、「会話劇」として面白い原作&脚本だったのではと推察するけども、その映像化は、会話シーンをむしろ退屈にさせる妙な撮り方を繰り返し、結果として何も伝わってこないという、まさかアメリカ映画でコレみたいな不細工な感覚を味わうとは思わんかったよ!



銀の匙 Silver Spoon コミック 1-13巻セット (少年サンデーコミックス) -
銀の匙 Silver Spoon コミック 1-13巻セット (少年サンデーコミックス)
posted by アッシュ at 18:20| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画感想 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする