2017年09月10日

関ヶ原

[70点]@Tジョイプリンス品川

 まず、本作において真っ先に褒められるべきところ。
 エンドロールの、役名を含めた和英併記。
 邦画を見る回数が多くないので、どれくらい浸透しているのかわからないけど、「邦画の大作」では初めて見たと思います。「海外で売る」ならやって当たり前の作業なのですが、日本のコンテンツ展開のガラパゴスっぷりはここにもあるのです。

 本当に久々に見た、人海戦術で描いた戦国大合戦もので、それだけで満足できるわけですが、つまりは海外に売れないとペイしないくらい予算突っ込んだってことでもありましょう。困ったことに、そもそも「海外でウケる内容か」という視点なしにその方針で突っ込んだように見えます。……司馬遼太郎時代小説を海外に売ろうとか考えたの、誰だよ?

 結果、何が起きたかというと。

 セリフの多くが聞き取れません。
 ……黒澤映画かよ! 字幕なら大丈夫ってか!

 合戦だけやる作品かと思ってたら、秀吉と三成の出会いから始まって、秀吉の後継をめぐる家康との確執を全部描いてから大合戦ですから、本来の時代劇の所作からかけ離れた超高速展開、飽和する情報量、必然的にセリフ回しも速くなります。全員超早口で、司馬遼ベースの堅苦しい雅語漢語を振り回すもんだから、歴史マニア以外はついていけません。例の「母衣がわかってない評論家」騒動も、問題の根源はここにあります。
 「ちくじょう」って何だよ! ……「竹杖」か!

 本格合戦活劇と、らちもないラブロマンスのどっちを描きたいのかよくわからないのも辛いところ。ただ、ラブロマンス削っちゃうと、歴史マニアでない観客(本作の場合外国人客も)を完全に放り出しちゃうので、ここは評価が難しいです。
 ただなー、こういうシリアスな話に、おたふくで童顔な有村架純をどうして連れてくるかなー。岡田准一の相手に全然合わない。タッパある分まだ榮倉奈々のがマシ。

 「真田丸」で多くの国民が、また「軍師官兵衛」によってジャニーズクラスタですらも、この物語の時代背景がわかる程度には「歴史マニア」側の観客であり、それが多数派であろうと思われるのが幸いです。いつ頃から本作の企画が始まっていたか知りませんが、これだけの規模だと1年とかじゃきかないでしょうから、本作関係者はNHKに足を向けて寝られませんね(笑。



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2017年09月09日

短評(ガンダムORIGIN5/スラッカー/スキップトレース/ザ・ウォール)

機動戦士ガンダム THE ORIGIN V -激突! ルウム会戦-
[評価不可]
@新宿ピカデリー
 第一章第二章第三章第四章

 なぜそこで終わった。

 そりゃないぜおいー。その先を見に来たんだよ俺らはー。こんなん、その先見なきゃ何か言えるわけないじゃんかよー。
 「コロニー落とし」も「シャアがいかに出世し赤い機体を得たか」あたりもあっさりすませて、ルウムでの対立に描写を注力するように見せて、わりと戦略面もきちっと説明して、……それでこれかぁ。
 次回のツカミに見せていただけるということで。



スラッカー
[70点]
@下北沢トリウッド
 リチャード・リンクレイター監督の、初期インディペンデント作品が日本初公開、ということで、気になって見に行きました。
 先に言っとくと、「スクール・オブ・ロック」でなく確実に「ウェイキング・ライフ」寄りの作品だと予測し、眠くならないよういろいろキメて見に行ってます。実際そうなので、レイトショーのみの本作、お仕事帰りの疲れた頭で見るのはオススメしません。冒頭から、リンクレイター監督ご本人が登場して、やくたいもない話をウゼェほど語りやがるので、下手をするとここだけで熟睡できます。

 しかし、揺れる画面でダラダラ喋るだけの「ウェイキング・ライフ」と異なり、次から次に「主人公」が切り替わって、ありとあらゆる立場の若者が、ありとあらゆる方向性の会話を繰り広げます。共通するのは、閉塞した街(1990年のテキサス州オースティン)で、誰一人建設的な「行動」を起こさず易きに流れていること。
 堂々巡りを繰り返すかのようなこの構成そのものが、若者の行き場のなさを端的に表現しており、快不快は別として異才の発露に違いありません。



スキップ・トレース
[60点]
@Tジョイプリンス品川
 ジャッキー・チェンとレニー・ハーリンという組み合わせでちょっと話題……なんだけど、見てみたら普通に香港アクション&バディもの映画。
 バディものとしては、中国大陸縦断を敢行する、馬鹿馬鹿しいほどのダイナミックさが楽しいです。アクションものとしては、ジャッキー衰えたし太ったし、そんなにすごくはないですが、かわいそうに最後まで付き合わされるロシアン・マフィアのみなさんがヨイ。いずれにせよ、脳みそ空にして、ただ楽しむタイプの作品。
 まぁ、今年のジャッキーは「カンフー・ヨガ」が本番ではないかと……予告編を見る限りでは、インドのテイストを再現するにはちょっと足りてない印象なのですが……。



ザ・ウォール
[50点]
@ユナイテッドシネマアクアシティお台場
 Netflixと並んで昨今コンテンツ増強に余念がないAmazonによる、ダグ・リーマン監督のシチュエーションサスペンス。イラクの砂漠で狙撃手に狙われた兵士、隔てるのはたった1枚の小さな石壁だけ、無線通信で繋がったふたりの駆け引き…て内容なんだけど、正直イマイチ。
 狙撃手と主人公に差がありすぎて、緊迫感と呼べるものになってないのです。狙撃手側から見ると、「いつでも殺せる主人公をわざと生かして情報を引き出したい」なのはすぐにわかります。この油断を突くのがこういう話の醍醐味ですが、本作に限っては、狙撃の能力と威力、武器や無線機の性能、距離の隔たり、何よりメンタルの強さ、どこをとっても狙撃手にスキがなく、イベントはあれこれ起きても、主人公が状況を覆す期待がいっこうに湧きません。……中盤に至る頃には、「これで主人公が勝ったら、状況無視のご都合主義以外にありえんやろなぁ」と諦めがついてしまいました。
 実際、終盤に至って「軍曹生きてた」だもの、完全にご都合主義であきれはてました。その展開(軍曹の救出)はこの物語の「最初の困難」以外にあり得ず、ラストシーンの「救援に来たヘリが撃墜される」が中盤で、それを利用(距離を詰める/道具・武器を手に入れる)して最後の逆転に賭ける、が妥当な展開だったかと。



機動戦士ガンダム THE ORIGIN ルウム編 V 激突 ルウム会戦 -
機動戦士ガンダム THE ORIGIN ルウム編 V 激突 ルウム会戦
posted by アッシュ at 12:41| Comment(0) | 映画感想 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする