2009年12月24日

戦場でワルツを

[75点]@シネスイッチ銀座

 国民皆兵制のイスラエルで、20年前の従軍の記憶を失った監督本人が、当時の出来事を追っていく、アニメーションによるドキュメンタリー。

 この実写に限りなく近いアニメがロトスコープじゃないというのが驚きですが、それは別に見てる側にとっては重要じゃない。ただ、アニメーションでなければ表現し得なかったのはわかります。
 監督は「むさいおっさんが映っていても退屈だから」などと謙遜していますが、「表現したいものがあるが、権利、法律、国境、そういったしがらみゆえ直接表現しえないとき、いかにすれば『表現したいもの』に限りなく近づけうるか」を考えた結果が、ドキュメンタリーをアニメーションにする、という選択だったのでしょう。
 つか、アニメーションでも退屈な部分は退屈。ドキュメンタリーだからしかたないとはいえ、全面的に心奪われたかというとそうでもないのは確か。

 徴兵はおろか軍もない国の者がわけしり顔はできない領域ですが、ここで描かれるのは、わけもわからず戦う兵士、一撃もせず逃げ出す増援戦車部隊、酒盛りしてる士官、「惨め」とさえ表現したくなる、彼らが「した」戦争と「しなかった」戦争。それによってもたらされる悲劇について。
 それを「忘れてしまった」都合のいい兵士からのメッセージは、強烈………というか、使命感を強く感じます。

 とりわけ、アメリカ映画では、たとえ反戦映画でもありえないであろうこと……精神的にも、身体的にも、練兵的にも、自軍の兵士がどれだけ弱いかを活写した点、エポックメイキングな作品といえるのではないでしょうか。
posted by アッシュ at 05:32| Comment(0) | TrackBack(1) | 映画感想 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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