2010年03月18日

イヴの時間 劇場版

[75点]@テアトルダイヤ

 個人制作アニメから頭角を現した吉浦康宏監督が、ウェブ限定で、15分の連作として制作し公開された作品をまとめた劇場版。インタビューで新海誠フォロワーを明言したこともあるらしい人。

 人とほぼ見分けがつかないアンドロイドが一般に普及しているが、見分けるためのリングの着用を義務づけられ、人間とは相容れぬ機械として峻別されている世界。「人とロボットを区別しない」というルールを掲げ、人間とリングを外したアンドロイドが交流する喫茶店の話。

 ストーリーもよいのだけれど、自分が感じたのは、「アイディアで一点突破した」感。そのアイディアとは、「ロボット三原則の<ロボットは人を傷つけてはならない>を、<心の傷>にも適用したらどうなるか」。
 アイディア一点突破はそれ頼みになってしまいがちな諸刃の剣ですが、本作はアイディアを提示した後の世界構築がすばらしく、どういう物語があり得るのか、ささやかなんだけど、よく練られていると思いました。

 ただ、そのアイディアのすごみを理解しているのは監督本人ではない気がするんですよ。「吉浦康宏WORKS」も見ましたが、本作につながる「水のコトバ」の時点では、すごみに気づいてない。「ペイル・コクーン」はアイディアで突破しようとして失敗した作品にみえます(筒井康隆の「人口九千九百億」を思い出したのは自分だけかしら……)。

 演出や描写全般にもてらいが見え、発展途上な感。ウィンクで星飛ばすっていつのセンスだよ。
 惜しいのは第四章で、これ、連作の段階では唯一のコミカルな話としてよいアクセントになったと思うのですが、長い物語の一部分に組み込まれてしまうと、演出が仰々しくなりすぎて違和感ありでした。
 良質なアイディアを練り上げ、最適な演出を選択できるようになれるか、それとも「イヴの時間だけ傑作だった」で終わるか、今後に期待、というまとめで。


 ところで、「東のエデン2」の公開延期の影響もあるんだろうけど、今回は東京テアトルがやっとアニメを正しく上映してくれました。公開初週だけ、テアトル新宿も使って1日8回上映という大盤振る舞い(結果、テアトルダイヤの観客動員記録を更新したとか)。そんで2週目以降はレイトショー1回だけという……これはこれで極端すぎる気もするんですが。
posted by アッシュ at 02:04| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画感想 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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