2010年06月03日

月に囚われた男

[85点]@恵比寿ガーデンシネマ

 「9(ナイン)」を見に行ったとき、同時上映のこちらの方が賑わっているのが目に留まり、紹介文を読んで見たくてたまらなくなった作品。終映2日前にようやく見られました。

 月面を舞台にしたシチュエーションサスペンスで、サム・ロックウェルの事実上ひとり芝居。「フロスト×ニクソン」に出てたことが引き合いに出されますが、どんな役だったか思い出せません。それより、「銀河ヒッチハイクガイド」の大統領と言ってくれた方が、本作の場合食指が動く人が多いんじゃないでしょうか。
 また、ケヴィン・スペイシーが声をあてている人工知能ロボット・ガーティも、世間的には HAL2000 を引き合いに出すんでしょうが、作ってる側は「銀河ヒッチハイクガイド」の鬱ロボットと対比していたんじゃないかしらん。


 月の資源採掘基地で、3年の契約でたったひとり働く男。あと2週間で契約満了、地球に帰れる、というところで事故を起こしてしまう。目覚めてみると───。
 これ以上ストーリーは説明できません。したら全部ばらすのと同じだから。

 見終わって、なんといえばいいのか。
 傑作、ではない。佳作。
 感動、じゃない。ただ、せつない。

 作り込まれた世界観。その中で、たったひとつだけのアクシデント。あとは、起きるべきことが起きるべくして起きるだけ。
 よけいなものは、何もありません。

 序盤は、「プラネテス」を彷彿とさせる、「宇宙で働く」ことのリアルな描写。その過程で、必要な情報をすべて提示する手堅い演出。そして、普通に労働の観念があれば、交代要員も緊急要員もなく「たったひとりで働く環境」に違和感を覚えるところ、それをきれいに打ち崩す中盤以降の展開。「3年」という時間の妙───。
 すべて計算されつくしているがゆえに、なんというか、気持ちの逃げ場がない。登場人物に感情移入すると、ひしひしと追い詰められていく展開を受け入れるしかないのですよ。


 それはどうなのかなぁ、と思ったのは、「通信を妨害する塔をわざわざおったてている」という点くらいか。全部フェイクなんだから、通信可能な機器自体置いておく必要ないのに。
 ただ、この設定でないと、いちばん切ないシーンが生きないのは確か。

 また、基地内の無機質な様子は、古いSFの影響を受けすぎていて、オマージュに特に価値を感じない場合、やや味気なさを感じてしまいます。

 それにしても、韓国の企業って、やることがえげつないのな(笑。
posted by アッシュ at 22:38| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画感想 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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