2010年07月23日

借りぐらしのアリエッティ

[85点]@渋東シネタワー

 人間社会に知られぬようにひっそりこびとが住んでいる、なんてのはありふれた発想で、最近でもミニモイのシリーズがあります。人の見てないところで小さな何かが冒険してる、という話に広げれば、屋根裏のポムネンカという傑作がありますし、そもそも今年はトイ・ストーリーが直撃してるわけです。
 「小さな世界の冒険」を、トイ・ストーリーがテクノロジーによって、ポムネンカがイマジネーションによって実現したのに対し、本作はディテールのおそるべき緻密さでもってリアリティを与えてきました。アニメに対する国民性の違い……というよりは「男鹿和雄無双」って言った方がいいのかしら。

 ボビンや糸巻き、灰皿といった人工物が、彼らの生活に溶け込んでいるその自然さに感服すると同時に、とても楽しい気分になれます。粘着テープで上り下り、のアイディアは衝撃的でした。音の演出もよかったですよね。


 本作は宮崎駿監督作でないことでも話題なわけですが、確かにその影響の小ささは、従来作に必ずあった「空を飛ぶ」「海を渡る」に類するダイナミズムに満ちた構図やシークエンスが欠けていること、従来作にはまずなかった「母親を危機から救う」という展開からも伺えます。他人にまかせたからそうなったのか、自分好みのものが描けそうにないから他人に任せたのか、どっちが先かはわかりません。

 ならば完全に身を引けばいいものを、脚本は担当していて、彼の思想が浮き出る「種族が滅びる・滅びない」とかいう大仰な会話が、起承転結をくっきり分けた「規模の小さな物語」から明らかに逸脱しています。これが至極残念な部分で、本作の最大の欠点といえましょう。

 本作はいろいろな意味で「規模が小さい」のが長所だと思うのです。端的に言うと「地味」です。特にストーリーの起伏の小ささは、これまでのジブリアニメやいわゆる大作映画の描写しか知らない人には物足りなくなるでしょうが、個人的には、90分ならこれくらいの起伏でじっくり描く本作がちょうどいいです。
 アクションが足りないって話があるんですが、アリエッティの性格づけ(好奇心や未熟さはあれど、基本的にまじめで手堅い)と、人間サイドがどうやっても派手にできない内容で「翔とアリエッティの共闘」をクライマックスに持ってくる以上、あれくらいの抑制されたアクションでまとめたのは妥当な判断だと思います。
 ただ、伏線になりうるディテールがほとんど伏線として機能しないのは、ちょっと残念。せめて待ち針はもう少し何かに使えたと思うんだけどなぁ。


 さてここらへんまでマジメに書いてきたことをぶち壊しにすると、

 アリエッたんがカワイすぎてキュンキュンする。

 ナウシカ、魔女宅、耳すまあたりを総合して「ジブリアニメにおける萌え・エロスの限界線」ギリギリまで突っ込んだ「借り装束アリエッたん」に悶えまくりで終始ニヤニヤ。垂直移動用の鉤爪が、最初は釣り針だったのに翔の前では「ピアス」に変わっていて、「女の子だー!」という妙な感動が湧いたのが、なんかすっごくうれしかったよ(w
posted by アッシュ at 00:06| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画感想 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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