2006年04月10日

SPL/狼よ静かに死ね

[85点]@新宿トーア

 歌舞伎町周りで異彩を放つ、個人的には日本最大のミニシアター(なんか日本語変だ)だと思っている映画館が新宿トーア。他の東亜興行チェーン(オデオンとかオスカーとか)からは離れたパチンコ屋の地下一階です。
 たぶん、建てられた頃と今とでは構造が違うんでしょう。入り口から劇場までは細い階段が1本、その間の、明らかに「踊り場」の分しかないスペースに、チケット売り場とモギリの台が備えてあって非常に狭苦しい。
 そのモギリの台でパンフとかも売るのだから、もし劇場が満員になろうものなら、パニック必至ですよここ。300人以上入る劇場なのに、絶対に売れそうにない映画ばっかりかかってる(笑)のは、たぶんそのためなんでしょう。

 設備は普通に劇場系。カップホルダーとか荷物置ける場所はなし。椅子の背はやや低めだけど辛くはない。スクリーン位置がやや低めで、前に人がいたら頭がかぶりそうだけど、ここの場合混雑自体がありえないので、前に人がいない席を選べばいいだけです。

 ハーゲンダッツの売り娘さんが休憩時間に席の間を歩いてたんだけど、客少ないしアイス食いたがる客層でもないし、誰にも相手にされてなくてマッチ売りの少女状態でした。カワイソス。

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 僕は映画を見るにあたり、得意技をひとつ持っています。
 それは周囲に吹聴したくなるような傑作を公開最終週に見るってことです。800発の銃弾もそうだった。
 今回など、新宿トーアの最終日最終回でしたよ。だから今これ書いてもしょうがないかもしれないけど、ゼッタイ新橋文化劇場でいつかやるからさ。そう確信してたから見るの後回しにしてたんですが、結局いま見てしまいました。


 ホントこれは傑作です。もう、おなかいっぱい。
 香港カンフーアクションってこれほどスゴイものだったのか!と感動できる一本。ワイヤーなんか一切使ってないハイスピードバトルの応酬が堪能できます。

 バトルそのものだけでなく、事件をじっくり追っていく静かな過程から、突然格闘シーンへと切り替わる、緩急のメリハリがすばらしい。そして、緩・急のどちらのシーンでも「容赦のなさ」が一貫していてゾクゾクすること請け合いです。


 話は実に単純。残忍非道なマフィアのボスと、彼を逮捕する目的のためには手段を選ばない、血も涙もない刑事5人との対決。
 おもしろいのは、刑事たちはボスふたりに部下3人という構成だということ。これまでのボスのチャンが新ボスのマーに引継ぎをする、そのさなかに物語が進行するのです。これにより巧妙にしかしさらりと、キャラを立てることに成功しています。
 マフィアのボス、ポーも、実に魅力的な極悪人です。双方が魅力的に、しかも容赦のない悪人として描かれているのだから、見ている側は否応なく「対決」に引き込まれていくというものです。

 そして、そのキャラ構築の断片として組み込まれる、「子供」とか「家族」とかが、あてのない希望というか、遠い輝きというか、ぶっちゃけていうと「死亡フラグ」になっている。
 キャラたちも見ている我々も、引き込まれていくのは逃れることのできない真っ暗な闇の世界の底の底。どうぞ溺れてくださいという、なんとも濃厚な作品です。


 唯一、しかしかなりきついマイナス点が、ストーリーにおける理解しにくいミスリード。いや、マフィアがカネにうるさいのは「運命じゃない人」で神田探偵も言ってたしすごくよくわかるんですが、「ソレ」が「直接の理由」になってしまうっていうのが……前半で説明された「双方の因縁」を全否定してしまった感じで、ちょっともったいなかったですね。
posted by アッシュ at 00:29| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画感想 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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