2006年04月20日

立喰師列伝

[65点]@シネクイント

 渋谷のスペイン坂を登り切った先、シネマライズの向かい、渋谷パルコ3の8階がシネクイント。シネマライズが目立つうえ、作品紹介の垂れ幕を隣のパルコ1の建物で掲げているので、初めて行って迷わず一発でたどり着ける人はあまりいないんじゃないかと思えるわかりにくい映画館(渋谷の映画館って、わかりやすいところにある方が少ないんですけどね)。
 「マインドゲーム」や、確か「TAMALA2010(ひどい映画だった……)」もここでした。実験的なアニメをけっこうやってくれる映画館です。で、今回は押井作品、と。

 その立地のせいか、しゃれたイメージを出そうと努力している印象があるのですが、実際利用する立場としては特に印象には残りません。設備的にはごくフツーだと思います(音響設備とかを改良したらしいんだけど、新橋文化劇場で満足できる人に比べさせてはいけない)。
 ちょっと前までは、映画サービスデーが毎月一日じゃなくて三ヶ月に一回だった記憶がありますが、さすがに不評だったのか、今は毎月やってるみたいです。

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 あぁ。そうか。そういうことなんだ。
 この作品の、自分にとっての最大の意味は、押井守監督っていう人の取っつき悪いイメージが、少し晴れた点にあります。
 押井守は、自らの哲学を広げたり、解を求めたりしているのではないんだ。
 押井守は、自らの哲学を入れる器を探しているだけなんだ。
 どうすれば形になるのか。どんなふうに自分の脳みそから外に出せば、最も自分の望む表現になるのか。
 哲学にそれほど興味を持たない自分にとっては、その「器」が何なのかある程度見極めればいいのかなって気がしました。

 「攻殻機動隊」「イノセンス」は、士郎正宗が独自に作り上げた「器」を借りて、失敗したのでしょう。なぜって、士郎正宗の世界の方が遥かに器が広いから。

 今回のは、(彼にとってはおそらく)純然たるコメディという器であり、大きさも彼に合っていた。それならば、自分を含めた一般人は、「もっともらしい膨大なテキスト、でもところどころでありえねーよそんなもんと突き放す」テクニカルなコメディにとりあえず笑うことができます。その向こうに透ける哲学を垣間見ながら。


 ときに、この制作決定の経緯って、単にこういうことのような気が……↓
 石川プロデューサー「あのさぁ、イノセンスって採算的にかなりヤヴァかったんだよね。ちょっと低予算で一本、信者がカネ落としてくれれば穴埋めできそうなの作ってくんないかなー」
 押井監督「オレだけのせいじゃないだろ。じゃーさ、連帯責任っての、どう?」
posted by アッシュ at 03:07| Comment(0) | TrackBack(2) | 映画感想 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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Excerpt: [ 立喰師列伝 ] @渋谷で鑑賞。 [ 立喰師列伝 ]。なんとも風変わりなタイトルである。 この作品は、押井守監督が25年以上前から創造し、構想し てきたまさにライフワーク的存在。 立..
Weblog: アロハ坊主の日がな一日
Tracked: 2006-04-29 19:31

『立喰師列伝』
Excerpt: 実験的。 まず浮かんだのはその言葉だった。 押井監督くらいになると、こういう作品を映画で作れるんだなあ。 監督本人があちこちで語っているように、立喰師たちの歴史は古い。そもそものはじまりはお..
Weblog: てぃーちゃーのプライベート
Tracked: 2006-06-15 20:28