2010年11月10日

怪盗グルーの月泥棒

[70点]@TOHOシネマズ有楽座

 有楽座は初めて。内装が凝ってて上品な館でした。銀座地区の東宝系列館としてはいちばん微妙なポジションにあって、なかなか見たい映画がかからないのが難です。


 さて本作。
 たいした実績のない自称大泥棒、子供嫌いのグルーが、月を盗む計画をぶち上げ、その手管として孤児の三姉妹を引き取ったはいいが、その姉妹がおてんばでてんやわんや、さて計画はなるやならざるや、という話。

 驚いた。原恵一クレしん映画とはいわないまでも、ここまで大人を泣かせるつもりで作られた作品とは思わなかったです。

 即物的に笑う子供向けには末っ子のアグネス目線で見せて、あるいはミニオンズのかわいらしさや細かいギャグでつないできます。この点は、正直あんまりおもしろくない。本当に子供向け。伏線のように出てきた「ふわふわ薬を飲んだミニオンズ」が、再登場してもまったく役に立たずに終わるのは寂しいなぁ。
 また、序盤の展開がだらだらして印象に残らないわりに、グルーの立ち位置や人間関係をしっかり固めない点はかなり弱い。犬、博士、ミニオンズですら、なぜそこにいるのかがわからない、ただのお飾りの状態で、「家族愛」物語のフォーマットに落とし込みにかかります。

 ところが、それなら平凡な話で終わってしまうのかと思いきや、従来の「家族もの」と違うベクトルを持っているのがちょっと面白いのです。




 僕は、この物語が、グルーが子供たちから信頼を得て、家族愛で一体となり、協力して何かを成し遂げる話だと思っていました。「Mr.インクレディブル」みたいな。
 でも、違うの。親と子は他人なの。見ている世界も、生きる目的も違うの。
 ここ、予告編にはまったく登場しなかったグルーのママが、キーパーソンになっていい味を出してます。

 グルーはきちんと、やると決めたことを自分の力でやり遂げます。ある意味で、「大人の責任」を果たすことを優先します。その上で、子供たちへの愛も見いだすのです。
 最後にグルーは、「心を変えました」とはいうけど、「泥棒をやめました」とはいわないんですよね。

 そして物語は、最後の最後で、「グルーと長女マーゴ」の関係で締めにかかります。ここ、マジでうるっときた。この作品でいちばん辛い立場に居続け、愛情のない世界に苦しんでいたのは、間違いなくマーゴだからです。
 アグネスやエディスが屈託のない愛でグルーの「心を変える」に寄与できたのは、マーゴがきっちり三人分の主張をして妹を守り、自由が奪われないように立ち回っているからです。彼女には彼女の自覚する責任があり、それを果たすことを優先します。

 思い込みかもしれないんだけど、ハリウッドにあふれる「家族」ものは、家族全員が同じ世界観や一貫した主張を共有するッてことが強要されてる気がするんです。この作品はそうではない。
 グルーとマーゴが見る世界は違う。でも、愛情で結ばれる。家族って、本来そういうものじゃないのか。

 願わくば、マーゴのお姉ちゃんぷりをもう少し見たかったな、と思いました。クールというより影が薄いんだよね……。もう少しきっちり「キャラを立てる」シーンがほしかったです。


 ときに、「縮ませ光線銃」を開発した研究所の位置は明らかに日本をロックオンしているんだけど、研究者の服装が人民服というのはあんまりだと思ったヨ!
posted by アッシュ at 02:34| Comment(2) | TrackBack(0) | 映画感想 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
確かにぼくもなんども確認しましたが、間違いなく日本をロックオンしているにもかかわらず服装や特徴は中国っぽいですよね。
時代の移りを描写しているのかと深読みしてしまいます笑。
Posted by at 2011年06月08日 00:54
コメントありがとうございます。
中国に乗っ取られちゃうのはやだなぁ(w
Posted by アッシュ at 2011年06月08日 23:12
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