2011年01月29日

ソーシャルネットワーク

[80点]渋谷シネパレス

 世界最大のSNSサービス「フェイスブック」の創業過程を、発生した訴訟問題の審理を中心にまとめた作品。

 以前、登場人物が「最善の選択」をする物語が好きだと書きました。
 この作品はまさしくそれで、生まれる軋轢はすべて、登場する人物それぞれが、自らの価値観に照らして最善と考える行動を採った結果なのです。

 デヴィッド・フィンチャー監督の妥協を許さぬ演出、主役ジェシー・アイゼンバーグによるマーク・ザッカーバーグのキャラ造形、「彼の価値観」の表現のすばらしさ。
 これらが相まって、「最善の選択」が狂気すらはらむ皮肉な展開の完成度が極めて高く、まさに「クール」。腹の底からぞくぞくくるものがありました。内容はきわめてドキュメンタリー的なのに、普通の会話をしているだけなのにサスペンスフルです。

 オープニングで5分ほど繰り広げられる、主人公そしてナードの生態のなんたるかを示す超早口の会話が圧巻でした。隣に座ってた、SNSの意味も存じ上げなさそうなチャラい感じのあんちゃんが、あのシーンだけで音を上げ、席を立ったきり戻ってこなかったのが印象的(笑。


 ただ、実話が元という事情もありましょうが、全体を俯瞰してみると、なんかムリに話を大きく見せようとしてるなぁ、という感覚も否めません。
 ウィンクルボス兄弟の存在は、社交クラブに対する主人公らの斜め向きの嫉妬に関して重要なアイコンではありましょうが、物語全体からみると割愛してよかったのでは。あのクラブという前時代的な空間は、フェイスブックと対比するには脆弱に過ぎました。
 むしろ、IT時代のビジネスモデルを理解できない、「サマーズ元財務長官の無能っぷり」をさらけだすために必要なキャラだった、と考えたほうがしっくりくるかも。

 あと、マークが西海岸に来たとき、ショーンがなぜエドゥアルドをつれてこなかったのかと非難めいたことをいうシーンがあったような気がしたのですが勘違いかな。
 そのせいで「ショーンは(自分の失敗を繰り返さないためのストッパーとして)エドゥアルドの存在を高く評価している」と理解していたので、ショーンがエドゥアルド追放の黒幕的存在であるという落としどころが、唯一「最善の選択」からはずれている感じがしました。
posted by アッシュ at 19:10| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画感想 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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