2011年07月09日

THE KING OF FIGHTERS

[40点]@シネマメディアージュ

 海外人気があるとはいえ、映画化されるだけでも「なんで?」の声が大半だったのに、主人公が不知火舞=マギーQ(御年32歳)という情報に「誰得?!」の怨嗟だけが飛び交っていた本作。日本公開されましたよ! みなさん気づいてましたか!
 ……って、東京圏でさえメディアージュ1館だけ、日に三回の公開で、一週目にして観客3人でした! んで、来週には公開終了です! こんだけ規模が小さいと新橋でもかかるかどうか怪しく、制作側はもうDVD化を発表してオワコン化する気満々なので、気になってる人は急ぎましょう。

 ときに、窓口のお姉ちゃんは「当館では吹替版のみの上映ですがよろしいですか?」と言ってたんだけど、逆に字幕版は存在してるんでしょうか?


 日本原作の、世界的にはサブカルであるコンテンツが海外で映画化するとダメになる、というのは逃れられない宿命になりつつありますが、パターンは様々です。
 原作の無理解だったり、力量・バジェット不足だったり、ムリヤリなアメリカナイズだったり、監督がオレ色に染めたりするわけですが、コレは違うね! 権利関係でもめたんだね! いざとなったら「別の作品です」と主張するって前提で作ったねきっと!

 本作で原作に準拠しているのは、人名と、オロチがらみの草薙・八神の対立設定、最終的に三人対ボスのチーム戦になる(ここの持っていき方はわりと好き)ことくらい。
 あとは笑えるくらい別物なので、笑え。


 原作のまま使われるのは「人名」であって、間違っても「キャラ」ではありません。ここポイント。
 本作における不知火舞はCIAの女エージェントであり、三〇代のマギーQは、普通に三〇代の役を演じてます(見る前は「武田梨奈使えばいいのに……」とか思ってたけど、そういう問題じゃなかったわ)。
 冒頭がいきなりシャワーシーンで、そこから出てきてタオルを体に巻くのが、不知火舞の「母親」ではなく「本人」と理解した時点で、KOFを知っている鑑賞者全員、「これはネタ映画」という割り切りを否応なくさせられるはずです。ついでにいうと、次のシーンで舞がキスする相手はアンディではなく八神庵です(アンディは登場しません)。

 さぁ頑張ってツッコんでいこう。それが本作に対する正しい姿勢。

草薙京が日本人じゃなくてハーフって設定はこの際驚かないけど、回想シーンに出てくる彼自身の子供時代が、どうみても純アジア人です。すげぇ草薙の血は人種まで変えちまうのか。

・その回想シーンで彼は道着で空手の特訓をしてるんですが、話の筋としては「最強の剣豪」です。剣を持つといきなり強くなります。作品全体における格闘描写のレベルも推して知るべしってことでよろしく。

・この映画はボストンの設定で撮影はバンクーバー。思いっきり雪です。フォーカスを舞に合わせつつ、その背景で京が歩いて去っていく……ってシーンがあるんだけど、京が滑ってコケそうになってんのがそのまま映ってます。撮り直せ撮り直せ。どんだけ余裕なかったんや君ら。

・テリーはおっさん。舞の上司兼コミックリリーフ。ストーリー上何の役にも立ちません。緊迫するラスボス戦の真っ最中、ボコボコにされている彼のカットが一瞬だけ挟まるのが笑える。

・勝ちセリフを言う機会に恵まれるのはテリー、京、舞の三人。キャラごとの必殺技すら出てこない本作における、おそらくは吹替時点でのなけなしのファンサービス。
 テリーは「それ勝ったって言うか?」というシーンで言い、京は「それ燃えたって言うか?」というシーンで言い、舞に至っては、……えと、小清水亜美に「にっぽんいちぃ!」を言ってもらえたのはすごくうれしいんですけど、……なんか、もう、切ないよ。

ボスは「ホッケーマスクかぶったり野球したりしてふざけてるジローラモ」です。ルガールのつもりらしいです。「ギース」と言ってくれた方がまだ許せます。

・舞が最初に戦う敵が誰かわかりません。髪型的には山崎だけど、「別次元」の服だけは、男性キャラに限りゲーム準拠なんだよねこの作品……コート着てトンファー……Mr.BIG?

・原作からの再現率が最も高いのは草薙柴舟。出てきてすぐ死ぬので粗が出なかったともいえるかも。柴舟の墓は必笑。

・庵、マチュア、バイスはまあ許せる再現率。ただ、庵役の俳優は韓国系なんだけど、公式サイトで彼のプロフィールだけがなぜかベタボメ状態になっているところに、なんとなーくこの映画の裏が見えてくるよ。

どこのおばちゃんやろと思ったら神楽ちづるだった……このヒトは、いろんな意味で、その……えっと……とりあえず、灯籠流しはふつう川に流すんだぜ……。


 グラインドハウス的なB級狙いの低バジェット格闘映画で、90分の暇つぶしとしては十分、という程度の、普通につまんない映画です。そういうのを作る弱小プロダクションが、看板の奪い合いをした、っていうのが、本作やチュンリーや TEKKEN が作られた真相なんでしょうね。
 困ったことに、そう割り切って「オリジナル作品」としてみると、ストーリーや撮影はつまんないなりにまともで、変なトコは多々あるけど気にせずするっと見られる、不快さはない作品です。

 KOFの看板が得られなかったとしても、とりあえずコスト比で稼げるものを作る意識はあって、ここらへん日本の原作レイパーの方々が見習うべき(笑)業界人のたくましさかなぁ、なんて思いましたね。

 ま、話のネタとして、こんな長文のエントリが書ける程度の価値はありますので、興味がある向きはお早めに。
posted by アッシュ at 11:42| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画感想 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:

この記事へのトラックバックURL
http://blog.seesaa.jp/tb/213993650

この記事へのトラックバック