2006年12月13日

エンロン 〜巨大企業はいかにして崩壊したのか?

[80点]@ライズX

 ライズXに60歳以上の人がいるの初めて見たよ!
 つーか平日昼間いってこの入りですか! ライズXの定員(38人)では捌けない状況のようなので、これからご覧の方はチネチッタやK'sCinemaのレイトショーを利用した方がいいかもです。


 アメリカの巨大企業破綻事件を追ったドキュメンタリー。
 ただし、粉飾会計のトリックなど、経済学的な解説はあまりなく、あっても突っ込んだものではないので、そのへん期待していくと肩すかしを食らいます。ひどい部分だと、「要するに、巨額の利益をもたらす会計操作です」で終わり(ただし、節目節目の日にこの日にどれくらい株価が動いたかというテロップが出ています)。
 もっともこれは、作品の冒頭で「複雑な会計操作でなく、人間的ドラマを追った」と明示されているので、制作意図のうち。

 エンロン幹部が三人、悪の三巨頭といったふうに登場し、彼らがどのように不正を試み、どのように周囲をそれに巻き込んでいったかが、時系列でつらつらと並べられていきます。彼らは、自社を破綻に追い込みながら、自分たちは高値のうちに自社株を売りぬけたってことで、公聴会の尋問を交えて徹底的に糾弾されます。
 かなり一面的で、ドキュメンタリーとしては片手落ち。登場する元社員やトレーダーたちにも、売り抜けた人はいるだろうになぁ。

 しかし、彼らの手管だけが破綻を招いたわけではないことは、鮮やかに示されます。悪の三巨頭の一人スキリングは、自分が推進した強引な手法を制御できなくなったことから、やがて自滅していくのです。
 制御不能な状況を端的に示すのが、カリフォルニア電力危機のさなか、エンロンのトレーダー同士が交わした会話の録音が流れるシーンです。
 ここは圧巻です。ハンパでなく怖い。心胆寒からしむとはまさにこのこと。人間はここまで視野が狭くなれるものなのだと。そしてそういう状況に人間を追い込むために必要なことは、上司が示す方針、たったそれだけなのだと。

 だからこの事件を日本に当てはめるときに、ライブドア事件の原点、とかいうのはいささか短絡過ぎな気がします。むしろ談合とか牛肉偽装事件とかの不祥事に近いでしょう。
 頭の中ではわかっていても、こうして実例をたたきつけられるとホントに怖い。オカミの言葉に流されやすい日本人、必見の一作。


 この映画で、日本人として感服すべきはもう一点あります。公聴会が文字通り公に、包み隠さず開放され、その映像がドキュメンタリー映画の核として機能する事実です。アメリカの奥深さをまざまざと思い知らされますね。
posted by アッシュ at 01:25| Comment(0) | TrackBack(2) | 映画感想 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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