2013年03月19日

短評(クラウドアトラス・フライト他)


クラウドアトラス
[55点]
@109シネマズ川崎
6つの時と場所で起きる、「格差や束縛からの自由と解放」をテーマとする、異なるエピソード(SF、サスペンス、時代劇、現代劇と、ジャンルも異なる)が、相互に関連し合い、つながる物語。役者も二役三役当たり前で個々のエピソードに分散して登場し、演技合戦の様相も呈しています。
複数のエピソードが相関する、という構成は大好物です。逆に、「時間軸を切り刻む」物語は苦手なのですが、本作はたいへんにわかりやすく、次から次へと物語の時間軸を切り替えてつないでいきます。この「つながる」を徹底して追求した構成力は驚嘆に値します。
が。
つながってるだけなんだ、これが。だから何? 感が強いです。
つながってるだけで、172分。いくらなんでも長い。飽きる。
しかも、着地点がどれも似たようなことになると読めてくるので、だんだん6つの物語すべてを受容するのがめんどくさくなってきます。

これは思想的な部分もあるのかな。「境界とか格差とかはなべて乗り越えるべき悪」だと、精神論なグローバリズムでクリアしようとされても困ります。てゆーか、それで「行き着く先は遠い宇宙」という結論になっちゃあ、普通は「あぁ、やっぱり実現不能なファンタジーなのね」という感想になると思うんだけど、それでいいの?


フライト
[65点]
@TOHOシネマズ渋谷
こんなにがっつりアル中克服の話だったとは……。
不時着シーンのスペクタクルはすばらしかったけど、あれも要するに「酔っぱらい&ヤクでキレキレだったからできた」というオチを見るにつけ(どう考えても主人公は「ジャマイカ行きのセスナ」で背面飛行を実体験済み)、この映画が陰で主張していることは、「才能はラリってこそ開かれる、神だの法だのクソ食らえ」だと思います。


ザ・ワーズ
[70点]
@ヒューマントラストシネマ渋谷
物語はある人気作家による新作の「朗読」から始まる。その物語は、「著名な作家になりたいあまりに、偶然見つけた古い原稿を盗作して発表した若者が、真の作者たる老人と出会う」という内容だった……。
凝った多重構造の物語と、そのオーバーラップを楽しむ作品で、最終的に物語の「正解」は提示されません。

自分の解釈は、
ローリー=ジャンセンとクレイトン=ハモンドが同一人物なのは間違いないでしょう。ただし、「老人」まで含めて「The Words」は彼の創作。
もはや現実を虚ろにとらえるクレイトンは、「自分」の言葉は「老人」が持っていってしまった、いわば「もう書けない言い訳」として作品を作ったのに対し、ラストでダニエラが「そうじゃないでしょう、あなたは何のために書いていたのか」と責めたわけですね。
posted by アッシュ at 21:36| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画感想 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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