2014年03月12日

銀の匙 -Silver Spoon-

[55点]@チネチッタ

 現代のコミック実写化日本映画、と考えればどうにか及第点……というか、「原作を知らず、かつ、淡々と出来事を並べていくだけという作り込みの映画を許容できる人」なら受け入れられるんじゃないか、という感じですね。
 荒川弘の天才的なキャラメイクやストーリーテリングに比するものを期待すると、絶望すると思います。

 もっとも、現在放映中のアニメ版では逆に、原作のマンガ演出に引きずられてアニメーションの良さがまったく出ていない事実があって、実写化するにあたって「イベントを淡々と置いていく」っていう形にしたのは、「農業を描く」にあたってそんなに悪くない判断だったと思うし、実際まとまりはよかったと思います。
 「豚の屠殺」を、許される範囲でがっつりスクリーンに出して見所にするような作品ですからね。ストーリーを変に盛り上げたら、ここが浮いちゃってたと思うんです(「いのちのたべかた」を思い出しました)。

 駒場に関するまとめ方(「何もなくなった」ヤツに「やればできる!」とか言い放っちゃう)は、原作知ってると「安易過ぎでない?」と思うんだけど、この映画単体での落としどころとしては、そうするしかなかったんかなぁ。


 俳優陣の、原作再現率はすばらしかったです。
 中島健人は大健闘で、たいへんに八軒らしさが出ていました。
 常磐や駒場も、姿は似てなくても雰囲気はすごく出てたし、校長が上島竜兵と聞いて「そりゃ顔と身長だけで決めただろ」と思ってたんですが、悪くなかったです。
 そして、最も再現率が高いと思ったのは、予告編見たときから衝撃的だったタマコ……を超えて、「二野と三空の双子」でファイナルアンサー。

 まぁ、「そこまで再現にこだわったくせに、なぜ吉野だけがそうなるのかぁ!」とか、御影アキにセクシャルな属性をつけギャル演技をさせたのは、どんな判断だとかは思ったけど。

 そんで、こんな牧歌的な映画で哀川翔と竹内力を競演させるというやらかしっぷり、この作品のキャスティング担当は天才なのかアホなのか?


 でも、許せないところも多いんだ……。
 もう、昨今の邦画では我慢しなきゃしゃあない部分もあるんだけど……。

・メインの俳優陣は素晴らしかったけど、少し端役になると壊滅的にこなれていない奴らばっかり。冒頭から、「生徒が移動している」ではなく「エキストラがだらだら歩いてる」でしかないのはひどかった。
・原作の名台詞「生きるための逃げはアリです」を出すタイミングが……そこか? そこで出すセリフなのか?
・ベーコン食うシーンは笑えよ! そこに説明セリフ入れたら、「映像化」した意味が台無しだろ!
・輓馬コースを造るシーンさぁ、なんで誰も重機使おうとしないんだろう。汗流す姿がカッコいいとか思ってそうしたんだったら、この作品では何の意味もない根性論だよね。レースには何の前振りもなく全然関係ない高校が紛れ込むし、せっかくのクライマックスがかなりどっちらけ。


・そんで、細かいことだけれどいちばん驚いたシーン。個人的には致命的な原作クラッシュ。
 「御影アキが銀の匙の由来を知らない」って、原作をどう読んだらそうなるんだよ馬鹿!



銀の匙 Silver Spoon 11 (少年サンデーコミックス) [コミック] / 荒川 弘 (著); 小学館 (刊)銀の匙 Silver Spoon 11 (少年サンデーコミックス) [コミック]
posted by アッシュ at 18:49| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画感想 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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