2014年09月09日

テロ、ライブ

[80点]@ヒューマントラストシネマ渋谷

 最近は、鬱・暴力・残酷系の作品にあまり興味が湧かなくて、しかるに韓国映画にも食指が伸びていません。しかし、それよりシチュエーションサスペンスが好きってのがあって、本作は予告編見た瞬間に見る映画リスト入り。そして期待に違わぬ傑作でした。

 花形のTVニュースキャスターだったのに、聴取者参加のラジオ番組の担当に左遷されたアナウンサーのもとに、番組中にテロ予告の電話がかかってくる。予告通りに橋が爆破されるのを見た彼は、これをスクープとしてものにすれば再起できると考えてテレビカメラを持ってこさせ、独占生中継でテロリストとの交渉を始める……。という発端から、ほぼ全シーンがスタジオ内で進展するサスペンス。

 韓国映画の例によって、「事件」自体は無理筋。あれ全部、犯人が「工学技術に精通してる」のひとことで実行可能にしちゃいますか。よしんばできたとしても、「狙った相手のイヤホンに爆弾をつける」のは局内に潜入していないと不可能で、それだと「橋の上を観察している」という条件と矛盾しますよね。何らかのかたちで局内に共犯がいる、と踏んでいたのですがそこらへんはガン無視。
 (<追記>局内にあるイヤホンすべてが爆弾で、主人公のだけニセモノにした、ならば、よりリスキーだけど矛盾ではなくなるか?)
 ただ、これも「韓国映画の例によって」といっていいと思うのですが、この際事件の内容やフーダニットはどうでもいい。

 名誉欲に駆られ、自分はヒーローになれると信じて「テロ中継」に臨む主人公を、「報道生中継」という舞台装置をあらゆるかたちで駆使して、次から次に困難にぶつけて打ちのめしていく流れがえぐい。犯人とはむろんのこと、電話が途切れる中継の合間ですら、上司、スタッフ、他局の報道、政府関係者との駆け引きが寸断なく続き、欲、傲慢、悪意に満ちた局内の緊迫感は、一瞬たりとも緩むことがありません。
 そして緊迫感とともにがりがり露わにしていく社会の負。

 ここまでやるか! というか、日本人の作る映画だったら絶対に超えらんないだろうなぁ、というラインを、韓国映画は簡単に超えてきますね。
 この作品は、ヒューマントラストシネマ渋谷の「容赦なき韓国映画の世界」という特集の一本なんですけど、そうした韓国映画特有の、悪意をベースに容赦なく鋭く切り込むセンスは、特殊な芸術の才能の発露というんではなくて、「それが観客にとってのリアリティ」というかの国の実情なんじゃないかな、と思うくらい多くの作品で共通してる。文化は文化として尊重するとしても、あまり友達にはなりたくない(w


 そして物語がほぼすべて終わり、「あぁこれでエンディングか」と思った矢先にいきなり「物語のステージを一段上げる」、シチュエーションサスペンス好きにはこたえられん展開が素晴らしいです。
 で、どうでもいいと書いたフーダニット、つまり「テロ犯人が誰か」がそこでわかるんですが、息詰まるテレビ局内の雰囲気があまりにすばらしいので、伏線と言うべくもない、「この人が犯人です」といわんばかりのあからさまなシーンがあったにもかかわらず、その人が犯人だという想定がまったくできませんでした。本当に「あぁっ、こいつかぁ!」と口から漏れそうになりましたよ!



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posted by アッシュ at 07:13| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画感想 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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