2015年02月06日

ミルカ

[80点]@TOHOシネマズシャンテ

 またスポ根!

 パンフを見ると、存命のミルカ・シン本人が「8割くらい実話」とか言ったそうですが、嘘でしょ。
 ……これは非難してるんじゃなくて、いい意味で。面白かったです。
 50年以上前の話とはいえ、よもや「古タイヤ引きずってトレーニング」をこの時代にスクリーンで見るとは思いもよらなかったぜ!


 基本的には、ものすごく重い話です。そもそもインド映画で「実話ベース」というのは、僕は初めてです。
 歌と踊りも最小限で、インド映画らしからぬ部分が多いこの作品……というか、実在の英雄を描くにあたって「今のインド映画で(ウケること、でなく)できることのすべてをつぎ込んだ」印象すらあるこの大作が、が、ちゃんとインドの国民的な支持を受けたというのは、価値が大きいのではないかと思います。

 ミルカ・シンはかつての陸上400mの世界記録保持者で、インドでは伝説的なアスリート。ローマオリンピックでは、金メダルを目されながら4位に終わりました。
 このときの敗因が「レース途中で振り向いたこと」といわれているのですが、物語は「なぜ振り向いたのか」を、彼の半生を語るとともに、シーク教徒である彼が子供時代、印パ分離独立によって生じた内戦に巻き込まれた恐ろしい過去へさかのぼって、真摯に紐解いていきます(主にヒンズー教のインド、主にイスラム教のパキスタンの間で国境線を引いてしまったため、少数派のシーク教徒の居場所がなくなった→結局インド側に帰属したため、パキスタン領内にいたシーク教徒は土地を奪われて難民化した)。

 親善試合のため遺恨の地パキスタンに入ったミルカが誰に出会い、なぜ走る意志を取り戻すか。それらをさらりと提示した後ライバルとの対決に挑むクライマックスは、展開がおよそ読めるにもかかわらず、ぐっと来ました。


 その一方で、やたら惚れっぽかったり、なぜか人生各所に「相棒役」が配されていたり、わずかしか登場しないにもかかわらずライバルをものすごく魅力的に描ききっていたりと、インド映画らしい娯楽要素で中をがっちり固めていて飽きるところがありません。
 ましてや妥協のない肉体美を見せ付けるレースシーンの見事さといったら!

 あと、音楽がいいんだ!
 予告編でも流れたテーマソングは無論ですが、子供のケンカにロックなBGMつけてるアホさが実に気持ちよかった。


 惜しいのは、これもインド映画らしいといえばらしいのだけれど、少年時代/選手時代/ローマ五輪後、のそれぞれの時系列を例によって切り刻みまくって混ぜてくるので、もうすこしすっきりさせられなかったかな? と思える点。

 それと、邦題が「ミルカ」だけ、というのが少し気になります。
 この作品の題名、原題直訳すると「走れミルカ走れ」になり、日本には「走れメロス」という印象も近い非常にいいコンテンツがあるので、「走れミルカ」が最適な邦題だったと思うのですが、結局「ミルカ」だけになったのは、

 ……「ミルカを見るか」ってダジャレツイートがいっぱい出回るに違いない!

 とかいう、内容の真摯さを無視したつまらんネタ狙いだったんじゃねぇかな、と思えてならんのですがどうなんですか。
 逆に検索しにくくなる結果に終わっただけのように思いますが。



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posted by アッシュ at 16:29| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画感想 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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