2015年08月16日

進撃の巨人 前編

[75点]@109シネマズ川崎

 凄いじゃん! よかったよ!

 僕は実写映像作品としての樋口真嗣監督との出会いが「キャシャーン」だったという不幸な人間なので、あまり期待してなかったんですよ。
 でも、そりゃハリウッド並みは無理としても、日本映画でこれほど細部まで「迫力」を意識して作った特撮映像を僕は他に知りません。立体起動もアニメと遜色ないスピード感を出せてるのは驚いた。空を飛んでるだけ、という話もあるけど、じゃあリアルにブランコにしたらよかったん?

 巨人に群衆が襲われるシーンも出色。限られたセットしか使ってないのは明白なのに、逃げるエキストラと上手く組み合わされており、CGの大型巨人よりも絶望感が出ています。あそこまでゴアムービーにせんでも、とは思ったけど、あれはその系統としてはたいへん斬新かつ恐怖を煽る描写で、映画史に残ると言っていいです。


 じゃあ、なんでこの作品がネット界隈で蛇蝎のごとく叩かれてるのか? なんで?

 脚本だろ?
 樋口監督はもとよりストーリーには頓着しない人だから、面白い映画になるかは脚本が鍵を握ります。

 で、本作は、いま日本随一のクソ作品量産脚本家として名を馳せる渡辺雄介と、それを糾弾する立場のはずの町山智浩がタッグを組んだ、というのがひとつ話題でした。
 どうかみ合うかなぁ、と思っていたのですが、意外なところで意見の一致を見た模様です。なんとなれば、町山氏の文章は面白いですが、基本的にうんちくタレで、「読者に一定の知識を要求する」人です。
 結果、「この映画を見に来る人は、『マンガかアニメですでに進撃の巨人を知っている』でかまわない」と言う前提をとり、「だったら、知っていると思われる情報はオミットして問題ないよね?」という共通認識に立ったに違いないのです。

 んなわけあるか! キャラ全部、今の若い役者や顧客に合わせて再構築したんでしょうが。だったら世界観含めて一から語り直さなきゃダメでしょ! そこをやってないから、見た人が「別物」と理解せず「原作との違い」を強く問題にしちゃうんでしょうに。
 よもやのNTR展開で「このキャラに『リヴァイ』を名乗らせたら総スカン来るよね」という小知恵は回るくせに、どうしてそういう根幹がわからんのだ!


 だから、「訓練シーンが全カット」という信じがたい構成になり、クライマックスでエレンがいざ立体機動したときに、赤ちゃん立ち上がるみたいに「生まれて初めて立体機動した」印象になるような、奇怪なことになっているのです。
 (『イマドキの子供は訓練シーンなんか好まない』とか、入れ知恵されたのかもな。でも、好き嫌いによらず「ストーリーに必要な説明」として訓練シーンが必要です、これは。
 「ハンジをあの性格のままリーダー」というキャラ配置にしたせいで、教官役を立てられず描きにくかったのもあるかも知れない。ハンジはおかげですごく稚拙で物足りないキャラになってしまった。石原さとみ本人は熱演なのにね。)


 本作に限って言えば、僕は物語よりも映像のすごさに感服して見てたので、十分楽しめたんですが、アニメ版の小林靖子を連れてくるだけで評価が段違いに上がったろうな、とは思いますよ。


 あと、何か関係者が「後編は伏線が回収されてスゴいよ!」とかのたまったらしいけど、現代兵器で巨人ぶっ飛ばして、最後は「人間がいちばん怖い」って展開になるんだよね? 敵がシキシマか国村隼かその両方か知らないけど。「反乱」とかなんとかいってたけど、「この世界における社会体制」を一切説明してないからどうしようもないね。たぶんそれ以上のビックリはないでしょ。
 で、「物語中に根幹の問題が片付いたような描写は一切ないのに、なぜかミカサが海を見てる」がラストシーンだと思います。賭けようか?
posted by アッシュ at 08:50| Comment(2) | TrackBack(0) | 映画感想 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
「キャシャーン」って紀里谷監督では?…
Posted by 名無し at 2015年08月17日 07:37
コメントありがとうございます。

作品自体はキリヤ監督ですけど、アクションシーンは樋口監督が手がけている、というのが、ウリのひとつでした。
5分もなかったけど。それ以外の部分はデビルマンより苦痛だったけど。
Posted by アッシュ at 2015年08月18日 10:50
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