2015年08月18日

短評(共犯/バトルヒート/チャップリンからの贈りもの/中村智道の世界)


共犯
[80点]
@新宿武蔵野館
 台湾発の、一風変わった学園ミステリー。
 同じ学校の女生徒の死体を、偶然見つけた高校生三人。いじめられっ子、優等生、不良。つながりのなかった三人が、警察の聴取やカウンセリングをともに行動するうち、「死の真実を突き止めよう」と意をひとつにする。やがて疑わしい人物が浮上し、その人物に対して報復しようとしたとき、「別の事件」が起きる……。
 「別の事件」の方が物語の核なのでこれ以上のネタバレは無理ですが、いずれにせよ、ミステリーといっても、思春期における友情や孤独といった「つながり」の情景を、丹念に映し出していく物語です。

 物語もぐいぐい来ますが、それを支えるみずみずしい映像はもっとすばらしいです。邦画の学園ものでよく感じる、「こんなもんでいいだろ」感が全くありません。ひとつひとつのシーンで、どのように撮れば最も効果的に見えるのか、照明や美術に徹頭徹尾意識が込められています。
 かけているのは、金ではなく手間です。邦画でも、やろうと思えばできるはずです。しかし、日本で本作に一番近いのは賞をいくつも取った「桐島、部活やめるってよ」だと思いますが、そのクラスの作品でもひれ伏して教えを請うべき格差があると感じられました。かの作品を絶賛した人は、本作を襟を正して見るように。


バトルヒート
[75点]
@丸の内TOEI
 ドルフ・ラングレンとトニー・ジャーが共演でバトルアクションというだけでこりゃヤベェ感あるのに、東南アジアの社会問題である人身売買という重いテーマを扱った、硬派な作品。見ごたえありです。
 バディものかと思っていたら、復讐鬼と化したドルフをトニーが追うという展開。「いまさらドルフ・ラングレンがアクション?」と思う方もいるかもしれませんが、「銃・パワー・打たれても立ち上がるタフネス」なドルフと「格闘・スピード・手数で勝負のテクニック」なトニー、と明確にキャラ付けられており、ふたりの再三に渡るガチマッチが熱いの何の! もうひとり、リード捜査官役の黒人さんも、強くて蹴りがカッコよく映える動き。すばらしかった(彼は、トニー・ジャーですらスタント使ってるこの作品で、スタントを使ってなかったように見えました。今後アクション俳優としてもっと表に出てくるかな?)。
 また、「安く上げる・スタントをわかりにくくする」のが最大の理由と思いますが、バトルステージの陰影のつけ方が非常にうまく印象に残ります。日本もこういう工夫をすれば、面白いアクション映画がもっと作れそうなのにな。


チャップリンからの贈りもの
[55点]
@恵比寿ガーデンシネマ
 チャップリン死後の遺体盗難事件を題材にしたヒューマンドラマ。オマージュが込められているだけでなく、チャップリン家全面協力で、遺族が出演もしているという、チャップリン愛にあふれた映画。
 ……愛にあふれてるのはいいんだけど、構成で大失敗してます。だって、「盗難事件を題材にしたヒューマンドラマ」なので、事件自体は一種のマクガフィンで、「起きたことがわかればいい」程度のものです。よし盗むぞ! と決めたら、5秒後には よし盗んだ! てことにして身代金要求の電話をかけててまったく問題ない内容です。
 なのに、車準備して・掘る道具準備して・墓場に移動して・掘って・棺を引き上げて・車に載せて・別の場所に移動して・掘って・棺を下ろして・埋めて・道具捨てて・車で家帰る、20分くらいかけて全部やるんだもん萎えたのなんのって。そんなことするくらいだったら、ローサさんやあの相方との出会いや交流に、もっと時間を割くべきだったのでは? と思えてなりません。


中村智道の世界
[採点不能]
@下北沢トリウッド
 ……ごめん、まずもって、
 起きていられるものを作ってはくれまいか。
 体感で15分くらいしか見ていた記憶がない。「Limit Cycle」以来の絶望。どうしてアートアニメーション界というヤツは、笑えもしない不条理ものを評価したがるのか。



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posted by アッシュ at 16:16| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画感想 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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