2015年09月21日

心が叫びたがってるんだ。

[75点]@TOHOシネマズ渋谷

 「あの花」の制作スタッフが送る、新たな青春群像劇、という触れ込みの作品。「あの花」は「鈍器で頭殴って泣かせるような作品だったが、今回はそうではない」との監督の弁でしたが、さて。

 ……なるほど。これは「泣く」とか「感動」とか、そういう次元の話ではないようです。では何かというと。
 邦画は最近、このように揶揄されることが多くなりました。
 気持ちを全部言葉で表現してしまうので、映像化した意味がない、と。
 けど、はたしてほんとにそれは悪なのか?
 と言わんばかりにそこを突き詰め、「気持ちを言葉にすること」に徹底して突っ込んでいった、チャレンジャーな作品。

 「言葉を発することがトラウマになった女の子」を主軸にしたこの物語は、あらゆる手段を用いて───わたわたとかわいらしいボディランゲージで、モノローグで、書き文字で、メールで、歌詞で、歌声で、やがてはっきりと誰かに向かって、少しずつ「言葉」を発していきます。
 映像やアクション、そして構築されていく周囲との人間関係もまた隙なく組み合わせ、彼女の言葉をこれでもかと引っ張り出す手管は、セリフ以外であってもものすごく饒舌で、正直疲れました。
 僕の苦手なフォント表現もふんだんですし、また、提示されるミュージカル知識がややわざとらしく、この作品世界における高校生の域から逸脱してる感じがするのもマイナスで、手放しでは喜べないのですが。
 しかし、建て前と本音を自然体で使い分けながら、ここぞで劇的な本音のセリフを爆発させずにはおかない、岡田麿里脚本の真骨頂といえましょう。

 この、演じるにあたっては恐ろしく面倒くさい「成瀬順」というキャラクターに、全霊を乗せきった水瀬いのりはお見事でした。でも、真面目にやれば日本の役者もこれくらいできる人はナンボもいるでしょうから、「あの花」も実写化したことだし、これこそ実写化して、日本の映画界は「言葉」について映画評論家どもに逆襲してやったらどうでしょうか。


 それにしても……岡田麿里といえば残酷なリアリズムに走って「鬼畜」と表現されることもありますが、この作品は冒頭に「鬼畜」のすべてが凝縮されてる気がします。悪いの全部父親じゃんかよぅ。
 この作品は「あの花」に続いての秩父聖地な作品(内容が濃いので舞台背景を気にしてる暇があまりないんですが)……あの「山のお城」にモデルがあって聖地化したら笑えるな。



あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。 Blu-ray BOX(通常版) -
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posted by アッシュ at 22:37| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画感想 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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