2015年10月23日

短評(ボーダレス/23年の沈黙/白い沈黙/009vsデビルマン)


ボーダレス -僕の船の国境線-
[75点]
@新宿武蔵野館
 久々にイラン映画。
 イラク国境に近い川の廃船で、一人で暮らす子供。突然イラク兵の姿をした別の子供が現れて彼の生活圏の半分を奪い、船の中に「国境線」を作ってしまう……という予告編を見て、僕はてっきり、彼らがイランイラク戦争になぞらえた擬似戦争を始めて、そこからどのように融和していくのか……という話だと思っていました。
 違った。全然違ったわ。確かに序盤は二人の擬似戦争なんですが、「融和」は、中盤に起きるあるきっかけで一瞬で果たされてしまいます。ここ、後からチラシを見たら、「三人目の乱入」も含めてバッチリあらすじに書いてあったんだけど、何も知らんで見るとビックリしたわホント。
 しかし、どうしてその展開に至ったかの背景を考えるととても痛々しいのは確かだけれど、「それ」を出せば争いが止み宥和に至るのは、古今東西どこにでも、またこれ以上の状況のものもある(「ツォツィ」とかね)物語の一類型なんで、せっかくの「擬似国境線」というアイディアが意味をなくしてしまったのが残念。
 というか、監督は「国境線をなくしたい」みたいな意識で本作を作ったと思うのだけれど、この内容だと逆に「プライバシー領域は必要で、国境ってその拡張に過ぎないよね?」という解を示してはいませんか。
 ラストシーンは秀逸でしたね。何も語らず起きる「喪失」から、主人公の決意を示すラストカットが鮮やか。ああ、ここもなんとなく「ツォツィ」に似てる。


23年の沈黙
[60点]
@シネマカリテ
ピエロがお前を嘲笑う」の監督の旧作がオトカリテで公開。ものすごく後味の悪いサスペンス。
 23年、という期間に何か意味があるかと思ったらまったくなかった。そんで、82年と86年の両方のリストに載ってて、かつ「ティモの生活圏」で絞り込めば、容疑者はおそらく5人以下になったと思うんで、ヤーン君はそこでキレる前にもう一押し必要だったのではないですか。


白い沈黙
[40点]
@TOHOシネマズシャンテ
 失敗した。僕の大っ嫌いな「時系列切り刻み」でした。本作の場合、切り刻んで先に提示された情報は伏線として機能するので、無意味とまでは言いませんが、それでも、サスペンス部分をわかりにくくして、煙に巻いたり尺を膨らます意図しか感じられません。
 そんでさ。監督の前作は「デビルズノット」なわけだけど、本作でも、社会問題ものを手がけながら、描くべき根っこがまるで見えてないので腹立たしいったらないです。この作品で最も「救わねばならない」のは誰ですか。
 ……「カサンドラによって『調達された』子供たち」だろうが!
 刑事なんかどうだっていいんだよ! カーチェイスいらねぇだろこの題材で! この作品世界の範疇で解決できる問題じゃないのはわかる、でもアクション娯楽作の「バトルヒート」でさえ、そこのところをきっちりやるせなく締めてみせるのに、社会派っぽく見せてる本作がなぜできないのか。
 サスペンス部分をそんな「小細工(と書いてギミックと読む)」まみれにしてかえって作品世界を貶めているので、肝心の「児童誘拐や虐待に巻き込まれた人々の心理」を、寒空のもと熱く演じきった人たちの苦労が報われてない感じです。もったいない。
  
 ……ときに、期せずして似た題材で連続して沈黙することに。「23年」の方は原題がそうなので仕方ないけど、本作は何が沈黙だったん? セガールじゃあるまいし。


サイボーグ009vsデビルマン
[60点]
@バルト9
 どう考えても相容れない2つの世界観をどうやって混ぜるのか? という点はうまくできてる……というか誰がやってもそうなるよなって感じで、それをOVA三本分に押し込んでまとめたと考えると、良くも悪くも期待通りです。
 ただ、どうも詰めが甘くてだらしない部分があちこちにみられます。最たるところは、一本の話をむりやり三本にぶった切って所定の時間に収めてるので、各話の区切りが変なところへ持ってきて、ご丁寧にED&OPを挟むのですごく萎えました。せっかくのイベント上映なんだから、ちょっとは編集入れろよ!


 それにしてもバルト9、いつの間に料金体系変えたん?
 シネマチネをやめた、というか時間をずらして「夕方割」になってます
ね。個人的にはめっちゃありがたいです。TOHOシネマズ新宿への対抗策だと思われ、遅きに失した感はあるけど、正しい判断でしょう。シネマチネの時間に映画を見るような生活をしてる人は、映画に割引なんて求めちゃいないか、それより先にシニア割が適用されてると思うんで。



イラン映画をみに行こう -
イラン映画をみに行こう
posted by アッシュ at 13:09| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画感想 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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