2015年11月04日

1001グラム -ハカリしれない愛のこと-

[75点]@文化村ル・シネマ

 はじめに、この作品を見るにあたっては、予備知識としてWikipedia見とくといいかもしれません。そうか、重さだけはまだ原器で定義してるのね。メートルみたく、原器を用いない手法でとっくに再定義されてると思ってた。


 さて、超久々のル・シネマで、ベント・ハーメル監督の最新作。
 ……やっぱ好きだわー、北欧映画のこういうテンポ、気持ちいい。「キッチン・ストーリー」見てないのがつくづく惜しい。どこか特集上映してくれないかしら。
 本作は基本、「ホルテンさんのはじめての冒険」の同系統同プロットの作品。説明ゼリフなんかなくてもひと目でわかる「生真面目で四角四面で融通の効かない主人公」を、「40年遅刻したことのない老運転士」から「ハカリが正確かチェックする計量の専門家の女性」に置き換えただけ、といっても過言でないです。
 (違いといえば、前作は「鉄道」がフィーチャーされていたけど、本作は「電気自動車」。エコも何も関係なく、ごくフッツーに個人の所有する乗用車として登場するの、初めて見たかも!)

 しかし、「ホルテンさん」が結局個人の話にとどまり、老境に至った主人公の来し方行く末を問うたのに対し、本作は、主人公を「国際会議」に連れ出して、世界中の学者がそろって「キログラム原器」を持って並ぶ姿を見せて、こうした話は世界どこでもありふれてる、と話を広げます。
 人はそれぞれに等しい命を持ち、けれど、同一に定義されるべき「キログラム」が温度や圧力で(あるいは「洗浄したかどうか」でさえ)ほんの少しずつ違ってしまうように、その外にある「人間」は違う。些細な差であっても、同じ物事に同じ解釈はなく、同じ行為で積み上がる経験値も異なるのです。
 要するに「みんな違ってみんないい」なんだけど、それをうまーいこと穏やかに可視化した、素直に受け止めたくなる人生賛歌です。


 ただ、北欧映画の味といえる「そこはかとないおかしさ」についてはやや弱く、「淡々と進む、盛り上がらない」感覚は強め。開幕十分経たずに、前の席の人の首がこてんと倒れたほどなので、そこは覚悟めされ。
 オチは最高! 「単位」って、型にはまった話のようでいて、結局人体を基準にしたものがほとんどだよねー、という流れから、……そこかぁーーーい!!



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posted by アッシュ at 16:46| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画感想 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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