2016年08月01日

シン・ゴジラ

[90点]@TOHOシネマズ新宿

 凄かった。おそらく今年のベスト。

 ハリウッド版ゴジラでも書いたけれども、本作もとにかく「こんなん来たらもう人類にはどうしょうもない」絶望感がハンパないです。序盤でさえそうなのに、中盤のあのシーンの圧倒的熱量ときたらもう……。
 それでも人類は、ずーずーしくも何かしなきゃいけない池田華奈なのです。ハリウッド版はそこを「軍人」に託すわけですが、日本では、軍事力の前に「政治家」が背負わねばなりません。

 スタッフロールに「岡本喜八(写真)」と出て驚きました。はっきりと覚えていないので間違っていたら何なのですが、この作品で写真しか登場していないのは「博士」のみ。そして博士が託す印象的なメッセージ。
 「3/11」を経験した日本で、「日本のいちばん長い日」を下敷きに、「エヴァ」の手法を駆使して描く、ゴジラ。庵野秀明が培ってきたすべてをぶっ込んだ、まさしく「好きにやった」真骨頂。ツッコミどころや細かいウンチクをこれでもかと詰め込みながら、圧倒的な情報量とスピードで「状況」を一気に押し流していく。
 錯綜する情報、役立たずの常識、序盤ではややコミカルに右往左往しながらも、明らかになっていく犠牲の生々しさに、「関わらざるをえない人たち」の覚悟と意志が次第に固まり、その先に知識と技量が集結していく、状況。
 本作に、「情念」や「ドラマ」はありません。
 真の危機に、そんなものを描いている余裕はないのです。

 ただゴジラがいる。
 奴がやってくる。
 一切のことわりの通用しない相手に、それでも人間は、ことわりをもってせねばならぬ。人の人たるは理性以外にないのだから。




細かい余録。

○唯一あれれと引っかかったのは、「循環冷却剤である血液を凝固させた」のになんで「凍結」したんだろう? 熱暴走で殺すんじゃないの?

○ひたすらマジに見える世界観の中で、監督の中の小学生魂が炸裂した「新幹線爆弾」に「在来線爆弾」をたたみかける天丼にもうなんか涙が出そうでした。アレ絶対「ぼくのつくったさいきょうのごじらのたおしかた」みたいな、常人なら黒歴史級の過去のアイディアを引っ張り出してやったと思う。
 なお、

 本作の協賛企業・協力企業に「JR」は入っておりません。

 勝手にやったのか! すげぇな。

○石原さとみは完璧でした。見事なまでに「特撮に登場する謎の女性」です。予告編だけで dis ってすんませんでした。
 石原さとみについて友人と話したこと。
 「海外から唐突にやってくる混血の強気女子、あれってつまりアスカだよね
  +こんだけのテクノロジーあれば実写版エヴァンゲリオンとか考えちゃうよね
  =つまり石原さとみにプラグスーツ着せたら最強

○見える画面の多くが自分の生活圏で、それでアガった部分もあります。
 しかしながら、ぼくんちは壊されてませんでした。ちぇっ。
 予告編、南から来る映像かと思ってたら西からだったのか。

○この映画に対し「政治パートが退屈」「安倍政権のプロパガンダ」なんという感想が散見されるけども、それはたぶん「政治家は政治という仕事をしている」という本質的な理解ができてないかわいそうな人なので、生暖かく見守りましょう。

○本作は、百ヶ国以上で公開されるそうです。
 大変にめでたいことですが、……あのシナリオをどうやって翻訳するのか、翻訳家が絶望してる顔が目に浮かぶ……ご愁傷様です。



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posted by アッシュ at 16:44| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画感想 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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