2016年08月03日

短評(ちえりとチェリー/トランボ)


ちえりとチェリー
[55点]
@ユーロスペース
 「チェブラーシカ」で知られる中村誠氏のオリジナル新作。
 これマジでストップモーション? と驚く流麗なアニメーションは、背景まで丁寧に作り込まれており、「コララインとボタンの魔女」くらいは比肩できる素晴らしい出来。特に「死神」のガチ怖さは異様。
 ……なのですが。
 ポスターではユーリ・ノルシュティンが「脚本がすばらしい」と褒めてんですが、どんなリップサービスかあるいは海外向けの字幕or吹替がよほどうまく刈り込まれていたのか? プロットは間違ってないのに、状況も気持ちも話の意味も、映像で見ればわかることをセリフでも畳み込んでぜーんぶ説明する、邦画の悪いところを詰め込んだような吐き気を催すシナリオに、「この人本当にアニメーション作家の自覚あるのか?」と軽く絶望しました。
 セリフと過去回想削って作り直してください、話はそれから。アニメってのは、それでも伝えられる表現手法だからこそ、世界で愛されるのだと信じてます。


トランボ -ハリウッドに最も嫌われた男-
[60点]
@TOHOシネマズシャンテ
 赤狩り時代に創作を禁じられた脚本家ダルトン・トランボの境涯を描く作品。「これは映画ではない」のような、それでも創作せずにはいられないクリエイターの矜持……を期待して見に行ったのですが。
 20年に及ぶ歴史に主要人物だけでも20人以上が絡み、年齢や立場や流行の変化によって容姿がどんどん変わる中、物語の視点はあっちにブレこっちにフラフラ、トランボ自身も意図がブレて一貫しませんし(人間性の証左ではある)、「家族大事」話も当然のごとく割り込んでくる非常にごちゃついた作り。すごいことやってるイメージはあるのに、あまり伝わってきません。
 「表現者への弾圧」が、人間の尊厳とか精神論より先に、訴訟と失業で語られるというのは、アメリカだなぁとは納得しましたが……僕自身の受け皿不足で理解が及ばない部分もありますので、これから見る方はせめて「予習必須」で臨んだほうがよいかと。

 ……ジョン・ウェインが年取ってもジョン・ウェインだったのはなんかカッコよかったです。いや、この映画では悪役の側なんですが。



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posted by アッシュ at 16:22| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画感想 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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