2016年09月24日

レッドタートル -ある島の物語-

[80点]@ユナイテッドシネマ豊洲

 スタジオジブリの名前ばっかり表に出てて、そのわりにはつまらないとか売れてないとか散々な言われようだけど、ジブリは(というか高畑勲は)昔っから海外の良質なアニメーションを日本に仕入れてくれてたのを、みんな知らんのですかね……。
 ジブリが自力で良作を作れなくなって、この方向に転換するよって話なら、個人的には願ったりです。あんまり叩かんで見守って欲しいし、作品は作品としてぜひ見に行って欲しい。それだけの価値はある作品なので。

 でも、140スクリーンはやり過ぎだぜ東宝。今は亡きシネマアンジェリカだけで、ほそぼそやってた頃が懐かしい……。


 というわけで、名作「岸辺のふたり」のドゥ・ヴィット監督による初の長編です。8分に人生を凝縮させる手腕の持ち主が描き出す、無人島に流れ着いた男の物語。
 冒頭の海のダイナミックなアニメーションからして、ポニョにケンカ売ってそうな凄まじいデキでした。かと思えば、カニのチマチマしたアニメーションもいちいち可愛いです。セリフがなく展開の緩い本作で、決して飽きさせないよう下支えするすばらしい存在感でした。

 内容は、予告編等から想像するより、はるかにファンタジックな物語です。ちょっと驚くと同時に、なんというかこう、グッと腹の底に来る、見てよかったと思えるものでした。ネタバレのため「続きを読む」以降に隠しますけど、「君の名は。」を見てる少年少女たちにはまだわかんない、非常に深い内容です。




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シネマアンジェリカでは、こういう傑作がかかっていたのです。

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 予告編に登場した「女性」がどこからどうやって現れるのか、がいちばん気になるところだったんですけど、いやまさかカメが変身してアザラシ女房的な話になるとは……。あまつさえさっくり子供が生まれてさっくり成長するとは。
 ヨーロッパの作品はこういう「世代を経てわかる」という主題が多いですが、この作品も「世代の物語」だったとは予想の埒外でした。

 本作のポイントは、「なぜ主人公が嵐に巻き込まれたか提示されない」こと。主人公の力では、荒波を越えられない。カメがイカダを壊すのは、無力なまま島の外に出ないよう、「止めてる」のでしょうね。その無力さゆえにカメに八つ当たりしても、カメは怒らず、逆にああなる。
 そして、主人公自身は無力でも、カメとのハーフである息子は越えてゆけるのです。島の中の同じ場所を、父がめぐるのと子がめぐるのとで、全然意味合いが違う。ここに感じるものがありました。

 さて、本作における「カメ」とはなんぞや。そういう、問いかけ。


 あと、常識的に「波打ち際に竹林」なんて植生は考えにくく、テキトーだなぁ、高畑勲の「かぐや姫」リスペクトしたんかなぁと思ってたら、その謎が解ける瞬間に衝撃を受けました。あれが頻繁にくるので熱帯雨林が根付かなくて、結果的にそうなったってことね……。実際にああいう島、あるんでしょうか。
posted by アッシュ at 16:03| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画感想 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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