2016年10月24日

金メダル男

[60点]@TOHOシネマズ渋谷

 内村光良監督第三作目。これまでの「ピーナッツ」「ボクたちの交換日記」がいずれも個人的には傑作だったので、急いで見に行きました。

 「一等賞」を目指す男の、50年以上に及ぶ人生物語、だけれど……僕の見立てでは、特に前半の知念くんパートは、「社会にコミットしきれず芸人を目指した若者」あるある話の集合体。内村監督だからこそわかる、痛々しい挫折の塊とあてどなく闇雲な希望を、うまくすくい上げ、ユーモアに包んで、いい意味で弄んでいます。
 今回は、そこから一歩進んで、紆余曲折の人生讃歌へとつないでいきます。「過去の栄光」からキレイに「切り離されて」からが本番。
 「秋田泉一とはそういう人物」なんだ。もう、狂おしいほどもどかしく、どうしょうもなく、だけど何かせずにはいられずに、挫折と再起を繰り返す。

 僕の記憶に間違いなければ、この作品では、「夢」も「希望」も、「挑戦」という言葉すら、印象づける言葉としては出てきません。このストーリーでそういう選択をして、それでこそ人生讃歌たりうるのが、内村監督らしいです。
 逆に「がんばれ」の使い方が素晴らしく印象的。そう、「がんばれ」はこういうときに使う言葉なの。自分にできないことを、誰かに託すときに。


 ただ、今回は、一人舞台の脚本が先にあるせいか、それともジャニーズの知念くんを連れてきて観客年齢層が下がることを見越してか、説明過多で「わかりやすすぎる」きらいがあり、個々の演出やモノローグにウザさが強いのが難点。特に「喝采」の表現があまりにわざとらしく、鼻白むものになっており、まったく感動できません。「ピーナッツ」と比べると雲泥の差です。
 また、モノローグは、「元の舞台の脚本から、『ここで入れるとさすがに邪魔だろう』というところだけ削除して、あとは全部残した」ようにみえます。しかしながら、映像で伝えればモノローグは要らないので、「ほぼ全部邪魔」が正解です。

 結果、コメディというより「児童向け」かってくらい拙い印象が強く、なのに昭和ノスタルジーてんこ盛りなので、「知念くん目当て」にどれだけ伝わったかは微妙という、すごくバランスの悪いことになっていました。アイディアは好ましいのに料理に失敗した、ちょっと残念な作品です。


<追記>
 書き忘れてた。めっちゃ細かいですが、本作は「鉄道警察」案件でもあります。
 1983年において中央本線が非電化だと? 長野県民は激怒してヨシ!
 まぁ、今なお非電化の、九州山間部出身の内村監督には譲れなかったのかもしれませんが……あれ撮ったの、何駅だよ……?



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posted by アッシュ at 17:29| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画感想 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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