2016年11月11日

ぼくのおじさん

[70点]@新宿バルト9

 わはは。なんだこれ。
 山下敦弘監督による、サザエさんと寅さんとジャック・タチを足してマッシュポテトにしたようなコメディ。いや違うな、そういう既存の作品の枠から妙にズレてて説明が難しいのですが。
 冒頭の小学生同士の会話からして、もう小学生じゃない。こまっしゃくれたとかそういう表現を超えた、ワケわからなさ。何かがおかしな世界が構築されている。

 山下監督はこれまでダメなあんちゃんを多く描いてきましたが、共通して、「そのダメな境遇から抜け出せないor抜け出さない」点を否定する空気が醸成されていました。だから彼らはモヤモヤして生きづらいのだと、表現されていたわけです。
 でも本作はそれが肯定……じゃないな、見た目は現実世界なのに、そういうのの肯定とか否定とか関係なくって、空気中にユーモアとペーソスがゆったりと満ちている、そういう世界。ひたすらくっそ真面目な面構えで、屁理屈と見栄をぶちまけ続ける松田龍平の存在感がいとしくすばらしく、変だけれど確かに「彼がいる世界」なのです。

 北杜夫の原作の力が大きい、といやそれまでなんだけど、それでも、具象化されると「なんだこの異世界は!」とのけぞるしかないのですわ。ワオ!


 惜しむらくは、物語後半ハワイへ行ってしまうと、リアルで異世界なのでそのキテレツな異世界感が薄れて大幅にパワーダウンします。それになぜあのシナリオで、「大ムカデに出くわす」というシーンが存在しないのでしょうか。

 いずれにせよ、この話は日常の範疇だけでやったほうが、おじさんのキャラが際立つので、その方向でシリーズ化していただけないでしょうか。とりあえず次のマドンナ役は戸田恵梨香先生で。子役を代替わりさせてくのが大変そうだけど、うまくやれば寅さんに比肩しうるかも?



ぼくのおじさん (新潮文庫) -
ぼくのおじさん (新潮文庫)
posted by アッシュ at 16:16| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画感想 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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