2017年02月14日

ミス・ペレグリンと奇妙なこどもたち

[80点]@バルト9

 評価が二分しそうな作品。僕は「凄い」と思う派。

 まず凄いのは、予告編において、「奇妙なこどもたち」にのみフォーカスしてよくある異能譚と見せかけて、実は「日本で一番人気があるといってもいい定番ジャンル作品」であることを、いっさいバラさずに宣伝しきったことです。

 「定番ジャンル」であるにもかかわらず、従来の定石・常識を完璧にぶっ壊す、まったく斬新なパターン。そして誰が見ても「監督はティム・バートン」と一発でわかる個性。
 「懐かしいどこにでもある物語」と、「今までに見たことがない斬新な物語」とが違和感なく同居して、個性的な映像の中に織り込まれている。マジ衝撃。

 ただ、過不足なく説明されるとはいえ本当に複雑。かつ、日本映画なら間違いなく三部作にするであろう長い話を2時間に圧縮。微妙な矛盾は放置で進められるので、「何が起きてんのかわからないのが不快」という人は多いと思います。

 以下、超ネタバレ。



シザーハンズ (字幕版) -
シザーハンズ (字幕版)




 それにつけても凄い。
 「タイムループ」もの数あれど、こんなの見たことないです。

 「唯一の時間軸」は厳然としてあり、「それとは別に」ループする時空間を任意に作れる能力者の存在。それは一種の砦として機能し、「時間」から子供たちを守っている。
 ループものなればこそ描ける「子供の未来が理不尽に奪われることへの抵抗」の物語、しかしこの世界では、未来を奪うのも守るのも、明確に「大人の意志」なのだ!
 しかしその中で、間違いなく子供は成長し、自立を選んでいくストーリー。

 ラストシーンが象徴的です。
 「時間軸」と「ループ」は、隠された出入口でつながっているだけの、いささか硬直した関係に見えます(入る時間+ループ内経過時間=出る時間)。また、「ループが閉じる」が起きると、その時間に取り残されてしまう現象が、アクシデントとして描写されます。
 ……この設定で、よもや自在な時間旅行が可能とは!

 つまり「自分の意志でループは抜けられる」ということ。それは、序盤の謎である「祖父エイブが、ループをなぜどうやって抜けたか」の答えでもある。意図的なのか、字幕がはしょった結果かよくわからないけど(あるいは説明があったけど気づけなかったか? 吹き替えならわかる?)、僕はラストで初めてそれに気づいて、打ちのめされました。
 いやまぁ、パラドックス? 何それ食えるの? 的な割り切りはヒドイっちゃあヒドイんだけど。あとジェイクの「過去でエマとともに生きる」選択が賢明といえるか、首をひねりもするんだけど。

 こんなやりかたがあったのか! と、「定石を壊す」ひとつの成功例として、日本のラノベ作家たちは全員これを見て腰を抜かすべきでしょう。

posted by アッシュ at 17:20| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画感想 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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