2017年03月22日

ひるね姫

[55点]@新宿ピカデリー

 破壊屋さんの誰映2016の結果が発表されてます!



 さて。
 ……。
 まぁ、うん、僕の場合、比較対象が「東のエデン」だから。「君の名は。」じゃないから。
 面白かったですよ?


 「話」としては、導入、進展、対立軸、クライマックスなど、きちんと形になっています。サイボーグ009のような念仏もなく(「セリフで説明してしまう」気になる部分はいくつか。たとえばココネが「心羽」であることは、名札なり通知表なりを出せばそれですむ話)、むしろ往時の子供向け冒険アニメ(未来少年コナンとか)の影響が感じられ、わかりやすく明るく、不快感はありません。
 映像的にもオーソドックスな面白さがあり、物語リテラシー低い中高生くらいまでならあれで十分楽しめるのかな、と思います。

 その意味では、「君の名は。」の直後に公開されたのは、注目度は上がったかもしれませんが、作品評価的には残念でした。


 ……今回の場合、神山監督が何を言いたかったのかも、なぜこういう表現にしたかも、なんとなくわかるのです。しかし、その表現をどう受け止めて欲しかったかがよくわかんない、というのが率直な感想です。
 よもや「眠ると強制的に夢の異世界に入り、リアルとは別の冒険行が始まる」という設定全般に、何の必然性もないとは思わなかったです。
 じゃあなぜ「異世界」があるのかというと、例によって監督がメカやガジェット描きたかっただけ、という結論に落ち着けるしかなさそうです。
 リアル側で描かれるハードウェアとソフトウェアの相克・融合、という話が主軸で、異世界側はあくまで比喩でしかない。しかしそれらテクノロジーを監督自身がどう咀嚼したらそういう構造になるのかが見えません。というか、某所で見た「トヨタ自動車によるエル・カンターレ映画」という評がけっこう的を射ているかもしれません。テクノロジーをリスペクトした比喩でなく、宗教思想的に捉えた結果なのかな、と。

 いずれにせよ、ソフトウェアをああいう魔法扱いしたら、ソフトウェア関係者は不快だろうし、序盤の「魔法を禁じた世界」の表現は、ハードウェア関係者にとって不快だと思います。
 そんでもって、リアルでは「オリジナルコード」ができて18年経っても、あの悪役どもはそれを超えるものを作れなかった、しかしそれさえ手に入ればたった2日で実用化してしまいます、とか言うてるわけで、それやっぱり「技術者をどんだけバカにしてんだ」てコトにしかならんと思うんですが。
 少なくとも、本作を見て、「自動運転車すごい! 僕は将来エンジニアになる!」と言う子供はいないでしょう、残念ながら。


 その他、キャラにせよイベントにせよ世界観にせよ、奥行きが浅いor婉曲すぎて何も伝わらないです。
 「お姫様=母親であって自分ではない」という最大の「謎」がまったく謎たりえてないです。学校にも友人にも町にも町の人々にも存在理由が薄く、悪役キャラは存在感はあるものの行動が軽すぎ、駆使する権限とのバランスが取れていません。
 終盤「祖父と母の対立」が明確化するシーンあたりまでは、どこにも重みがなく、それぞれにどんな意味がこめられているか考えても、「たいしたこと考えてないよね?」という回答しか見当たらないのです。
 で、逆にいちばん「重みのある」ことを伝えているのが「エンドロール」なんです。軽重を見誤っています。あの「母親」を女子高生年齢にまで下げて主人公設定して、才能ある彼女が親と確執しながら、メカニックの彼氏と出会い自動運転車を作り上げるまで、って映画にしたほうが、たぶん監督の思うことがストレートに伝わったのでは?

 こうした理解の浅さ、話の浅さ、そしてこれまでの神山監督の経歴を考えるに、やっぱりこの人も「娯楽を作る」という点に大きな欠落があって、押井守監督同様、「他人の世界を借りる」でないと持ち前の映像感覚を「映画」にまで昇華できないタイプの人だ、という判断に誤りはないと思います。
 つぎはどうぞ原作ありきでよろしくお願いします。



 ついでにいうと、もちろん「倉敷市」を名指しする必然性もありませんでした。絵面的に、「大きな橋のたもとの町」にしたかったのはわかりますが。聖地巡礼を当て込んで思いっきりタイアップした倉敷市のみなさんは残念でした。

 あと、すごく気になった点がひとつ。日テレがらみなのに、「バイクの運転時にヘルメットかぶらない」という、テレビで公開できないシーンがあるんだけど大丈夫なの?



『東のエデン』 Blu-ray "Noblesse Oblige" BOX -
『東のエデン』 Blu-ray "Noblesse Oblige" BOX
posted by アッシュ at 16:20| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画感想 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:

この記事へのトラックバックURL
http://blog.seesaa.jp/tb/448245864

この記事へのトラックバック