2008年04月27日

非現実の王国で ヘンリー・ダーガーの謎

[55点]@チネチッタ(川崎)

 65年もの引きこもり生活の間に、15000ページにおよぶ世界最長の長編小説とその膨大な挿絵をものした───その小説は七人の女の子が主人公で、しかし挿絵に男性器が描かれているため、女性の裸を一度も見たことがなかったのでは、といわれている───ネ申な引きこもりの評伝映画。ナレーションにダコタ・ファニングを連れてきている時点で成功とか何とか。
 いちおう仕事はしていて、自分で稼いでいたので、現代日本では「社会人引きこもり」のカテゴリのお方。しかし幼少期の経験がすさまじく、自分の世界にとどまりつつも、そうして社会とコミットできたことがむしろ奇跡だったのかも。日本のニートと比較するのは失礼か。

・意外にも、従軍経験がある。
・実は絵画作品のほとんどがいわゆる「トレス疑惑」。
・小説は、ありがちなことに、先に進むほど設定が増えて収拾がつかなくなっている。
・戦争などで多人数が登場するシーンでは、その人数に具体性を持たせた描写がないそうだ。「無数の」「たくさんの」ばかり。

 とかまぁいろいろなことはわかるものの、丁寧なインタビューや資料の多さのわりには、突っ込んだ言及がなく、ちょっと物足りないです。「まぁこんなもんか」の域を出ず、ダニエル・ジョンストンと同じで、関係者が稼ぎの総仕上げに作った感が否めません。

 心に残ったフレーズを一つ。
 「同じ状態でも、金持ちなら変人で、貧乏人なら狂人だ。彼は貧しかったので狂人と呼ばれた」
posted by アッシュ at 10:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画感想 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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