2017年05月15日

スプリット

[65点]@ユナイテッドシネマ豊洲

 M・ナイト・シャマラン監督の新作は、多重人格者が女子高生を誘拐する、という内容のシチュエーションホラー、なんですが……。
 あー……うーん……そーかぁ……。


 いやさ、まさかシャマラン監督作品で、「続編が決まっている」ので「含みを持たせて終わる」というエンディングを見ることになろうとは夢にも思わなかったですよ……。つーか、そのクロスオーバーする旧作、オレ知らんし!
 ヒロインのケイシーちゃんも「虐待を受けていた」のは明らかなので、「ビースト同士の殺し合い」か「つがいになる」か、どちらの終わりを選択するのだろう、と思って見ていた自分としては、どちらにも至らないのは消化不良としか言いようがないです。「続編」のせいでそういう中途半端に陥ったのだとしたら、あまりにもったいない。


 とはいえ、「製作費のうち最も高額なのはジェームス・マカヴォイのギャラ」としか思えない超安い絵面ながら、最後まで目を離せない緊迫感。これも「ヴィジット」同様、安易なパターンのB級映画を、実力者が全力でぶん殴りにいった感があります。

 しかもジェームス・マカヴォイを使って、「超能力者がいかにして生まれるか」という「X-MEN」を連想せざるをえない内容を、すごく卑近な観点からやってのけるあたり職人芸なツボの押さえ方で、アメリカでヒットしたのも当然、という気がしました。



ヴィジット (字幕版) -
ヴィジット (字幕版)
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2017年05月02日

短評(フリーファイヤー/3月のライオン後編)


フリー・ファイヤー
[35点]
@チネチッタ
 見る直前に、実はあの駄作「ハイ・ライズ」の監督の作品と気づきました。でも、まさかチンピラがパカスカ銃撃戦するだけの内容に下手打つまい、だったらあのザラザラした質感の映像は合うんじゃないかな、と思っていたら。
 冒頭に出た「監督からのメッセージ」の言い訳がましい内容からして、手ごたえが変だったんですが。いやもう……退屈だった。
 だって、誰が誰を何の意図で撃つか、という表現がほとんどないんだもん。これ、銃撃戦て言わないよ! やたらに銃声がしてるだけだよ! パンパン音がしてる合間にみんな独り言をぐだぐだ並べてるのと何も違わないよ!
 あー、この監督の作品は二度と見ません。確実に時間の無駄。



3月のライオン -後編-
[70点]
@チネチッタ
 前編。
 いやはや今回も「対局シーン」が圧巻。今回は主人公がその立場に立つので、圧巻度合いがいや増しています。新キャラは伊勢谷友介くらいで、前編が前提にあれば「キャラが立ってない」感もなく、非常にのめり込んで見られました。
 ただ「対局」が凄いってことはつまり、大友監督は「強い孤高の男同士の勝負」にリキを入れている感じで、周辺にある「家族話」とは乖離しててバランスが悪い気はします。

 そこらへんの家族話がいまひとつピリッとしない理由は別にもあって、「中学生に見えない清原果耶」「年上に見えない有村架純」が主犯だと思います(特にあのイジメシーン、まんまチープな学園ホラーに突っ込みそうな気がしたヨ!)。神木隆之介や伊藤英明の凄みも、撮影は単に顔どアップにしてるだけ、と考えると、監督の力量と言うよりは俳優個々人の演技力、と思われ、うーん、正直まだ大友監督は信頼しきれない。
 というか、彼には変にウェットな要素のある作品を与えない方がいいのでは。升田幸三あたりのガチ勝負師を勝負師としてのみ撮るような作品の方が……、あ、そうか、この撮り方で「月下の棋士」を見てみたいかも!



 あと、映画の内容とは全然関係ないんだけど、前編でも書いたとおり、自分の目的の一つは、スピッツをカバーした、エンディングの「春の歌」でした。

 ……予告編の段階で気づいてろよって話ではあったのですが。
 これ、「愛と希望より前に響く」じゃなく「愛と希望を、より前に響く」って歌ってない? 愛と希望というものが存在して、それをもっと響かせよう、というニュアンスに変えてない?

 ふざけんなよファッキン編曲者。原曲と意味が真逆じゃネェか。ていうかその後の「愛も希望も作り始める さえぎるな」と合わなくなってるだろうが。
 愛も希望もない(あるいは、陳腐で価値がない)ところに春の歌は響いているのであって、そこでガムシャラに進んでいく詞が、まんま「将棋しかねぇんだよ」な桐山零に合致するからテーマ曲たりえてるんじゃねぇのかよ!



スーベニア - スピッツ
スーベニア - スピッツ
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2017年04月27日

短評(Free!/アニメたまご2017/人生タクシー)


 転売ヤーの話が話題になっていますが、ふっと思ったのは「立川シネマシティはキャンセルが上映20分前まで可。キャンセル料金はかからない神仕様」だってことです。キャンセル不可になった時刻をもって支払い確定。
 物理的な発券開始をそれ以降、会場内のみに設定すれば、転売可能な状況が極めて限定されるのでかなり抑止になると思うのですがどうでしょうか。シネマシティのシステムを作った会社は、汎用性を高めて、発券インフラも合わせて各種イベント会場に売りつけたらすごく喜ばれると思います。



劇場版 Free! -Timeless Medley- 絆
[50点]
@チネチッタ
 あ、この二部作って「総集編と新作の組み合わせ」じゃなくて「総集編2本」で、その先に新作を作るのか……じゃあ次は見ないな……。
 「フォトセッションつき舞台挨拶」という上映前特典映像の謎っぷりと、それよりさらに前「キンプリ新作の予告編」がいちばん面白かったので、本編はもはや必要なかったかもしれません。


アニメたまご2017
[75点]
@テアトル新宿
 アニメミライを後継している企画の一般公開が、テアトル新宿で1週間限定、レイトショー1回のみで実現。しかし平日だったとはいえ、もう少し入ってほしい……。
 で、今年は……面白いかどうかはまったく別として(ていうか他の3作品のほうがよほど面白いし出来もよかったはずなのだが)最後の「ずんだホライずん」が、目も耳も魂も記憶も根こそぎ全部持っていく破壊的なインパクトなので、もう少しバランスを取ったほうがいいと思いました(笑!


人生タクシー
[評価不可]
@新宿武蔵野館
 イランで20年の「映画製作禁止」の刑に服しているはずのパナヒ監督の新作は、もっと「法の抜け穴」的に撮った作品かと思ったら、「映画ではない」とした曖昧さを脱してはっきり「映画」でした。
 複数のカメラを使いカットを割ってきりきり切り替わる映像といい、序盤に張った伏線が終盤に生きる展開といい、同様に車内のカメラだけで撮った「逃走車」かそれ以上に「映画」です。無論、意図的でしょう、中盤以降ハッキリと、監督が現況に不満と抗議をぶつける「主張」があらわになっていきますから。そりゃイランでは上映許可出ませんわな。ちょっと意外でした。
 ただ、姪っ子ちゃんの言動そして存在感は素晴らしいのだけど、彼女に業を背負わせる形でこの作品に巻き込むのは個人的には好かない……というのは日本人の感覚かな。


 ところで、この作品は尺が短いためか、本編の前に日本人監督による短編が2本差し挟まれます。しかし、松江哲明監督はともかく、森達也のものは、「本作をおススメしたい」気持より「この森達也の愚行を誰にも見てもらいたくない」気持ちが上回るひどさのため[評価不可]としました。
 それを「日本で」表に出したって、厚顔無恥なひけらかしでしかないだろうに。「イランで」やってこい、話はそれからだ。
 でもそうしたところで、相手にすらされるまい。「映像作品」としてみたとき、撮影技術から脚本から、撮って何を伝えるかというカメラに込める意志の強さから、すべてにおいて、本編内で示される「イランの子供のその場の思いつき」に劣る惨憺たる内容だからだ。
 これが日本のドキュメンタリー映像作家のトップレベル? 日本の映画界はどこまで堕ちれば気が済むのだ。



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2017年04月17日

夜は短し歩けよ乙女

[80点]TOHOシネマズ新宿

 急に忙しくなって、更新滞りそうです……「人生タクシー」をいつ見られるかわからない……



 まず最初にすごく思うのは、湯浅政明監督が「デビルマン」を作るという話で。
 うがった見方かも知らんけど、超一流アニメ監督連れてきて/前哨戦にその監督の作品の新作を2本も公開/なおかつその2本が、「すでに評価の高い作品を作った座組」と「監督が好き放題やる完全新作」という組み合わせ、と、デビルマン映像化を再度企画として成立させるにはこれだけのみそぎが必要だったのか、と思わずにはいられず……。
 業が深すぎるぜデビルマン。


 で、まず公開されたのが本作。原作森見登美彦/脚本上田誠(劇団ヨーロッパ企画、個人的には「サマータイムマシンブルース」も忘れられない)と組んだ、週アニメの傑作「四畳半神話大系」とほぼ同一世界観の作品で、「黒髪の乙女」と彼女に恋する「先輩」の一夜の追いつ追われつ。……一夜のはずなのに一年が過ぎているキテレツな時間軸。

 いやもうスゴいわ。
 語彙乏しくって申し訳ないけど、湯浅監督の場合、どこがどうとか詳しく説明できる人そんなにいないと思うんで、許して。
 とりあえず、サイケで人智の想像及ばぬ凄まじいアニメーションが描き出すキテレツ時間軸に、大量の伏線とその回収を仕込んでなんら違和感なく、しかも重要なポイントは逃さず伝えてくる恐ろしい手際。
 見た目は全部無駄で大仰なことばかりしているように見えて、まるで無駄なところがないです。

 予告編を見ていて不安だったのは声優・星野源でした。どう聞いてもただのおっさんだったので。「聖☆お兄さん」はおっさんでよかったのだけども。
 坂本真綾→花澤香菜は、「乙女」のキャラが別物になっているので理解できます。「先輩」もだいぶキャラが違うとはいえ、四畳半神話大系における浅沼晋太郎の「こじらせた学生」演技は絶品なので、星野源が果たしてその域に到れるや否や。
 が、この作品って、実は乙女の方がメインで、先輩はあまり出番がない。少しずつ慣らしていって、ラストに一気に脳内会議、という弾けかたなので、納得のデキでした。あのシーンの浅沼晋太郎版も聞いてみたい気がしますけども。


 いずれにせよ、湯浅政明がいよいよメジャー級評価を受けはじめたようで喜ばしい限り。
 次の「夜明け告げるルーのうた」も楽しみです。一見してポニョみたいな設定に、わりと普通の話を載せてるぽいのが意外なのですが……さぁどうでるか。



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2017年04月11日

バーフバリ 伝説誕生

[80点]@新宿ピカデリー

 あと3日しか機会がない。すぐに書きおおせねばならぬ。
 これが、この作品が、都心では1週間限定1日1回しか上映されないだと?!
 映画界馬鹿じゃねーの?!


 インド歴代興収ナンバー1、そしてインド映画で初めてアメリカでの週末興収ベスト10に入ったという、インドの古代叙事詩における伝説の戦士を描いた一大スペクタクル……とかいう惹句はこの際置いといて。

 ハッキリ言う。
 インド映画の主人公はだいたいみんなヒーローでイケメンだが、本作の主人公は突き抜けてイケメンである。
 よくありがちな貴種流離譚だのに、そのありがちなストーリーを、ここまで超カッコよく描写した作品にはそう滅多にお目にかかれない。境遇、性格、行動、戦いぶり、肉体美、女の手玉の取り方に至るまで、すべてのイケメンぶりに説得力がある恐るべきイケメンである。
 あらゆる女子は、壁ドンとか顎クイとか、そこらのスイーツなラブコメを見てる場合じゃない。ヒゲが生理的にダメというのでもない限り、絶対に今週中に新宿ピカデリーに駆けつけて本作を見るべきである。そして惚れよ。鼻血を吹け。高橋一生やら星野源やらジョニデやらあんなヤサくてチャラいの、どうっでもよくなること請け合いである。

 惜しむらくは、本作は、終盤の合戦シーンがヌルい。
 いや、本当はスゴいのだ。合戦全体を俯瞰し、作戦をきちんと説明した上で緻密に描写し、すべてのキャラクターに目配せをしつつ、大量のエキストラによる組んずほぐれつの迫力ある集団戦を演出するという、現代の日本映画の合戦なんか鼻毛で吹き飛ばす、ハリウッドでさえここまできちんとやっているのは少ないと思えるくらい、完璧な合戦シーンである。
 だがしかし、本作に限っては、(説明された作戦通りに進行するので)だいたい予想の範疇で収まる上に視点をあちこち切り替えるので、主人公のイケメン度が薄れる、という意味でヌルいのである。
 もっとイケメンぶりを見せよ! バーフバリ! バーフバリ!

 なお、本作は二部作の前半であり、がっつりクライマックスを見せた後にすさまじく完璧なヒキを入れた上で「次回に続く」である。日本で安易に前後編公開をやっている連中は土下座しつつ刮目すべきである。


 後半はせめてもっとちゃんと公開してくれ。頼む。
 あとできれば、今回かかっているのは例によって英語圏向けの編集されたバージョンに見えるので(明らかにブツ切られた部分がある)、完全版の公開もお願いしたい。



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2017年04月10日

GHOST IN THE SHELL

[65点]@TOHOシネマズ新宿

 あーっ! あーっ! なるほど。なんかこう、せつないというかはがゆいというか。
 言わずと知れたスカヨハ攻殻。すごくわかる。攻殻機動隊って、海外じゃこういう受け止められ方してるんだなって。

 この作品、ひとことでいえば「アメリカナイズされた押井版攻殻」です(まったく同じ構図がバリバリ出てきます。でもエンドロールに押井守の名はなかったような……大丈夫なのか?)それは結局、「ブレードランナーへの先祖返り」へ帰着している。

 博覧強記に裏打ちされた未来世界で、むくつけき男どもを従え圧倒的なハッキング能力を駆使してサイバー犯罪を制圧する、僕らの思う「草薙素子少佐」像の魅力からはほど遠い作品ではありますが、これまでのジャパニーズコンテンツの安易な取り込みとは少し違い、「欧米が需要とみなすのはそこではない」とはっきり突きつけられた印象です。
 ブレードランナーを嚆矢として、以降いくつも後追いで作られた、猥雑な世界観でストイックかつウェットに進行するダークSFの一亜種。その視点でとらえれば、よくできた作品といえるのでは、と思えます。

 そして、「アメリカナイズ」つまり欧米でマスに向かって売ることを意識したとき、攻殻機動隊の世界観で最も重要といえる、「自らを情報化してネットワークに溶かし、それをもってなお生きているとする」結末は選択できない、は前提であったのだと思います。生命と自我を切り離す思想は伝わらない、と。これはもはや宗教や倫理の国民性で語る域でしょう。
 押井攻殻で人形使いにダイブするシーンを模したラストで、はっきりと「それはできない」と言ってのけるだから、意図的というか明確な差別化というか……製作陣の側にも、本来の結末が特色でありオリジナリティたりうると理解する人もいたでしょうから、悔しさがにじみ出ているというか。
 フル義体なんだから、人種は無論、見目そのものすらまったく本質にないのに、ホワイトウォッシュ問題でも敵視されて評価を下げたというのもまた欧米的です。「攻殻機動隊」というコンテンツをもってしても越えられない、高い壁がまだまだ存在するのですね。


 個人的には、「そうなるのかー」と歯がゆく思いつつも、あるていどは予想の範囲内でしたし、本作が作られたことに満足してます。
 本作が出る前に、比較的ウェットな ARISE シリーズが挟まれていたのも、個人的な許容レベルを上げるのに一役買ったかもしれません。本作の吹替は田中敦子・大塚明夫のオリジナル座組と聞きますが、坂本真綾の方がウェット感が出たのでは(自分が見たのは字幕版)。

 ビートたけしの荒巻課長が、全編日本語で演技していたのはちょっと意外でした。違和感がなくて助かりました(ビートたけしは割舌が悪いので、英語字幕が出る方がわかりやすい。吹き替えでちゃんと馴染んで聞けたのでしょうか?)
 ただ、だとすると、あの世界では自動翻訳が普通に成立してる設定だと思うので、もっと各国語が飛び交ったほうが面白かったと思うし、ホワイトウォッシュの話も薄れたんでないのかな?

 最後に、この作品で最も dis りたい点。
 ラスボス多脚砲台が……デザインといい武装設定といい、戦闘アクションのスケールの小ささといい、おまけに、悪役がニヤニヤしながら単にリモコンで動かすだけの仕様とか、何十年前の発想だよというレベル。あれだけは、あらゆる士郎正宗映像化の最下層と言わざるをえません。



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2017年04月07日

短評(レゴバットマン/ハードコア)


 今回は無理です……
 対決もので、両方がタイトルに含まれてるというと、記憶にあるのは……モンスターvsエイリアンくらい?



レゴ バットマン・ザ・ムービー
[50点]
@シネ・リーブル池袋
 実は前作も見てるんだけど感想を書いてません。ラストの展開に感動した人はいるようだけど、自分にはあれが最低限の予定調和にしか見えなかったんですよね。
 ……そうなると、「本当にレゴ組み立ててるならすごい」のだろうけど、CGまるわかりなアニメーションは単調で魅力に乏しく、スピード感でごまかされてる印象なのが正直なところで……。わちゃわちゃおもちゃを動かすのはアニメーションの原初だから、もっと魅力を出せるはずなのに、主人公がレゴ人形なために自分で表現に限界を作っているような……。

 本作は輪をかけて魅力に欠け、「レゴを組み立てる」面白ささえ完全抹消。ストーリーも「家族大事」の凡百パターンで(バットマンの孤独表現はちょっとよかった)、レゴ&アメコミのネタを笑えない人が見る価値はたぶんないと思われます。
 いやはや……まさかこの高速テンポのCGアニメーションで寝落ちした自分にビックリだ。ゴメン、バットマンはどうやって「ファントム・ゾーン」から戻ったの?

 次は「ニンジャゴー」らしいけど、もう見ないです……。
 というかそもそも自分はダイヤブロック派だったんだっ!



ハードコア
[60点]
@ヒューマントラストシネマ渋谷
 「観るではなく同期する」がウリの、ヘッドマウントカメラで撮影し、全編通して主人公の目線がそのまま観客目線となるPOV映画。……なんですが。
 この視点自体は、海外のゲームは今やほとんど全部そうと言ってもいいし、映画でも「DOOM」のように部分的に採用したものも多いわけです。「全編」になってどんなこだわりの差別化が図られたか……ってコレ……むしろ優位性をグチャグチャに壊してない?
 だって、ブッツブツにカットを切るんだもの、まったく体験の共有になってない。音声は継続してるのにカットは切れている、なんてシーンもやたらある。今の技術なら、カットを切ってもCG処理で長回しのように見せられるはずなのに、その措置も雑。
 また、何かを見たとき、対象を目に留め認識する「間」があるべきなのにそれがなく、何をしてるかわからないところが多すぎ。体に動きを覚えさせたスタント目線そのままでは? と推測します。白兵戦のシーンになると、「演技ではインパクトさせられない」ので、対象との距離感が変、という違和感も出てくる始末。
 ストーリーも、襲われて切り抜けようとしてピンチになると助けが入る、を何度も繰り返すワンパターン。総じて、同期どころか、「作品世界に没入させたくないのでは」と思うくらい、他人事にしか見えなくなってしまった、残念な作品です。

 逆に、ピンチの先に現れる「ジミー」のアイディアと、演じるシャールト・コプリーが素晴らしすぎて、もはや彼が作品全体を乗っ取ってるも同然の状態になっています。「彼主演で一本作ればよかったのに」と思うことしきり。



diablock BASIC 350 -
ダイヤブロック BASIC 350
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2017年04月04日

わたしはダニエル・ブレイク

[50点]@ヒューマントラストシネマ有楽町

 んー、モヤモヤすんなぁ。パルムドールはまたこんな感じか。

 いやさ、これ、役所の論理のほうがすごくわかるもん。求職実績が証明できない者に、求職手当が出るわけないじゃないか。実直さとかテメェの尊厳とか関係ねぇよ。
 仮にかつてはそれが通じるはずの優しい世界だったとしても、経済情勢の悪化で、そんなワガママはもはや通せないと突き上げた連中がいるんだろう? そこで福祉を維持するために、より合理的なシステムを取り込まざるを得なくなり、職員やコールセンターの回線が削られ、厳格なルールが作られ、情に流される前例を作ることが禁じられたんだろうに。因果関係が逆だ。

 ちょっと面白かったのは、イギリスでは福祉の手続きがあらかたオンライン化されており、デジタルディバイドゆえにダニエルは福祉を受けづらい立場にあること。オンライン化が進まない非合理さが福祉の質を落とす日本とは、対照的だと思いましたね。
 とはいえ、ダニエルは「助け合いを知っている」んだから、チャイナくんに「君のビジネスに住所を貸すから、俺のオンライン手続きを最後まで助けてくれ」って言えば、この話全部終わりじゃないか。コミュニケーション能力がある人をわざとコミュニケーション不全に描いて「ネガティブな人間模様」を捏造する、ミヒャエル・ハネケと同じやり方。

 この作品で一番辛い立場にいるのは、両者の論理の板挟みになるアンで、正しい意味で尊厳を傷つけられたのは「ハリー」だと理解しなくてはいけない。「自分と同じ立場の者がいくらでも居るであろう」ことに思い至らないダニエルの不正直な態度によって、ハリーがどれだけ苦い思いをしたか想像せよ。

 それを考えもせずに、「わたしはダニエル・ブレイク」だ? どんだけ自分は特別だと思ってんだよ。おまえが生きているのと同じように、融通の利かない公務員は生きているし、庭に犬のフンまき散らすやつは生きているし、合理化の必要性につけこんで福祉を民営化して儲けたい事業家が生きているんだ。個人の集合が社会なんだよ。「個人は大事だ」「個性は大事だ」そんなもの全部、言挙げするまでもない大前提として飲みこんだ上に、「社会」を構築すんだよ。
 だからこそ、一人一票の民主主義に価値があるんじゃないか。行政に八つ当たりすんな、議員に言え。


 で、社会の変化についていけない俺様でも望むとおりに福祉を受けられるようにしろ! という内容を見てか、本作のチラシには左翼方面の有名人の大絶賛コメントがずらりと並んでいるわけですが、このような行政に怒ったイギリスの大衆が選んだのは結局「ブレグジット」、という事実は全力スルーなのが爆笑ポイント。
 現地の人のほうが、「逆の因果関係」をよく理解している、ということですなぁ。



 ソッチ方面の話になったから、ついでに、森友問題の個人的総括しとく。

 この問題、はじめから「贈収賄がない」「近畿財務局の措置が不正でない」ならば、誰も何も突き上げられるいわれがない。そしてその正否は、まだまったく定まっていない。確固たる前提に欠けているんだ。前提を間違えた議論は必ず結論も間違っている。時間の無駄だ。
 ブラックな臭いはぷんぷんするよ、でもそれを断じていいのはオマエラじゃない。裁判所だけだ。

 法の裏付けがない状態で、誰かを公に断罪せんとする行為、それは「人民裁判」という。まともな法治国家の住人なら、絶対に避けるべき行為だ。それを恥ずかしげもなくやっている連中が政治家を名乗っている。マスコミもそれに乗っかる人々も、助長して臆面もない。嘆かわしい。
 自分が政治家なら一秒たりとも関わりたくないし、関わってるとみなされるのはたとえようもない屈辱だし、ましてそんな奴らのお望み通りに情報を提供するなんて、恐ろしくてできない。

 今回政権側が、証人喚問から偽証罪の告発、という路線に乗せたのは、いい判断だと思う。これを「司法に委ねようぜという意思表示」の観点で見る人が少ないのに驚く。彼らだってやりたかないだろうが、このまま国会を空転させるよりはなんぼかマシだ。
 (たとえば「この問題」を知っている人がいま日本に何人いる? 食の問題だから、きちんと深堀すれば世論にはすぐ火が付くだろうし、農政問題だから世論が動けば自民党議員の離反も確実に見込める。安倍政権を追い詰めるにはうってつけのネタなのに、野党の幹部は、この法案が審議されていることすら知らないのだろうよ。)

 アキエもツジモトも現段階ではまったくどうでもいい。そんな程度のことを、予算委員会で問う価値が微塵でもあると思う人間は、狂っている。心底軽蔑する。
 国会でやるな、裁判所でやれ! 話はそれでおしまい!



愛、アムール(字幕版) -
愛、アムール(字幕版)
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2017年03月30日

キングコング -髑髏島の巨神-

[80点]@ムービル

 最高かよ。

 あー、もう、わかるわー。
 ギャレス・エドワーズが GODZILLA で……ていうかローランド・エメリッヒも、「KAIJU」でやりたかったのは、こういうことなんだなって。アメリカがたどりついたモンスター映画の極致であり、そりゃあマーベルばりに「ユニバース」作ってキングオブモンスターズ決めようぜって発想にもなるよね。いやもう、今からゴジラとの対決が待ち遠しすぎる。
 日本の「ゴジラ」における、戦争や災害の観点を「どうしても入れざるを得ない」感覚が、アメリカ人には伝わっていないのは、ちょっと悔しくあると同時に、その割り切りこそが娯楽においては必要なんだろうな、とも思います。日本でだって、ゴジラが長命のコンテンツになったのは、なんだかんだで「怪獣大決戦」の路線が一役買ってるわけで。


 本作のコングさんはわりと人間に優しいし、ナパーム攻撃ごときでうろたえるので、言うほど絶望感はなかったんですが、超アクティブで闘志剥き出しで暴れるので、躍動感あふれててチョーかっけえ。

 ゴジラの場合、明確に「人類よりはるかに強い怪物」という脅威でしたが、この作品では、「人類ははるかに弱くてバカ」に描いてコングの脅威を増しています。掘り下げていくとホラー映画のテンプレが出てきそうな印象はありますが、凡百のホラーなんてメじゃないです。
 ベトナム戦争直後に時代を設定して、「敗戦を認められない兵」をとりわけ愚かに描いて、「人間=ゴミカス以下」みたいな価値観に説得力を与えているのがうまい。いいの、この作品に限ってはゴミカスで。
 逆に、ゴミカスにすぎない人間たちの背景、彼らがなぜどのようにあの島に行くか……という説明に30分近くかけちゃうのはちょっと長かった気がします。最小限にして、少しでも早く髑髏島に行こうとしている努力は見えるんですが、意外に登場人物が多いから……。もう少し絞ってもよかったのでは。

 ちなみにもちろん字幕版です。さすがにあのメンツで吹き替えを見る勇気はないぜ!



GODZILLA ゴジラ(吹替版) -
GODZILLA ゴジラ(吹替版)
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2017年03月29日

パッセンジャー

[70点]@ユナイテッドシネマ豊洲

 よくできた佳品SF。ここでの「SF」はサイエンス・フィクションではなく、「スペース・ファンタジー」です。宇宙っぽいカッコよさげな絵作り(無重力プールは最高だった!)になってますが、考証を気にしてはいけないタイプの話。決して、「気圧順応の時間短すぎじゃね?」とか言ってはいけません。

 そんでもって「ファンタジー」です。クリス・プラットとジェニファー・ローレンスが宇宙ふたりぼっちになってしまう話で、ふたりきりですから当然あれやこれやあるわけですが、進展がびっくりするほどピュアピュアです。ヒロインの名前が「オーロラ」で、つまり「眠れる森の美女」を重ねてくるという念の入れよう。
 クライマックスはともかく序盤から中盤にかけての展開は、ふたりの関係だけに的を絞ったロマンス。「現代において、いっさい邪魔を入れないラブロマンスは構築可能か」というチャレンジだったのでは? とさえ思います。
 孤独な宇宙の中で、どういう感情が生まれどのように変遷していくのか。本当にそれだけを描写していく丁寧な作りに見ごたえがありました。


 序盤の「助産師」「メッセージ送信」という単語が伏線に見えて、そうすると「乗客乗員全員起こして『飛べ! 人類2』路線に入る」が結末かと思っていたので、そこらへんはっきりさせないラストはちょっとマイナスでしょうか。
 (推測ですけど、「全員起こす」でない場合、あのふたりから始めて80年以上世代を重ねる=キリスト教的にはタブーであろう近親相姦が必須になる、ってのがネックだったのかも?)。

(<4/11 追記>
  あ、なるほどそういうことだったのか!


 もうひとつ、これも担当者が内容を見てないレベルの酷い邦題です。ふたりの物語なのだから、原題通り複数形でないと意味が通りません。「パッセンジャーズ」で何が問題なの?



尾瀬あきら選集 1~最新巻 [マーケットプレイス コミックセット] -
尾瀬あきら選集 1~最新巻 [マーケットプレイス コミックセット]
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2017年03月28日

3月のライオン -前編-

[60点]@チネチッタ

 ……決して面白くないわけではないのですが。
 「るろうに剣心」同様、大友監督はマンガ的な表現を排し、ストイックにまとめてきました。それどころか「将棋」すら瞬間的にしか見せず、顔のアップを多用した心理表現合戦の様相で、特に後藤vs島田は圧巻。

 しかし、それが行き過ぎていて何か手ごたえが変。黙々としかし対峙して進める将棋という競技の特性上、この作品で「モノローグの多用」は適切な心理表現の手法であるにもかかわらず、大友監督はそれさえ最小限に切り捨ててしまっています(逆に使わなくていいところで使っている)。そのため説明不足が限界を超えています。

 「幸田家の過去」以外、各キャラの背景を全く出さないのでキャラが立ち切りません。将棋のクラス分けを一切説明せずに「A級なめんな」とか言っても意味がありません。
 「見た目不健康だから」二階堂は病気で、いきなり闘病を始め、「山形出身だから」島田はまじめな善人キャラ、その程度しか背景がないんです。それでいいの?
 とりわけ大きいミスは、この脚色だと、主人公桐山が「伸び悩んでいる」が表現できていません。るろ剣で佐藤健まかせだった部分、今回は神木龍之介に丸投げにしたつもりなのでしょうか。
 というか、将棋シーンは連戦連勝で、島田戦で「初めての敗北を喫した」という表現ですから、「周囲を置き去りにするほど将棋が強すぎて孤高になった」という設定に変えた、としか見えません。なのに、格下に見える二階堂がいきなり、「自分の将棋をしろ、伸び悩んでる」とか言い出すわけです。

 二階堂は原作に寄せすぎて熱演すぎて、キモい(誉めてる)くらいなんですが。染谷将太がここまでやれるとは思わなかったです。一方、有村架純はミスキャストでしょう。子供時代を演じた子の方が圧倒的に怖く、負けています。


 後篇どうしようかなぁ……イジメシーンがある作品とか、今あんまり見たくないんだけどなぁ。でも、個人的にこの作品を見る最大のモチベーションは、スピッツの名曲「春のうた」が後篇主題歌になってるってところでもあり……。



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2017年03月24日

シング

[70点]@ユナイテッドシネマ豊洲

 「ペット」が、昨年のシンゴジ君の名は。の連発に完全に飲み込まれたせいか、やたら宣伝がしつこい、イルミネーションスタジオの新作。
 とはいえ、思ってたよりずっと良かったです。ガース・ジェニングス監督を調べてみたら、「銀河ヒッチハイクガイド」の人って、マジですか。


 だって、ねぇ、題材的に、「動物カートゥーン」といちばん相性が悪そうな気がして。見る前の期待は低めでした。
 どう考えても、「人間が歌う」方が説得力があるでしょ。日本だと、それに足る役者や歌手を探すくらいならアニメでやっちゃえ、って話になるかもだけど、ハリウッドでそれはありえんし。実際、「歌のコンテスト」の映画としては、歌唱・演奏がすごいとは思えないのです。予選のシーン、予選通過するメインキャラの、どこが抜きん出ていたのかちっともわかりませんでした。

 ゴリラがギャングでクマがマフィアとか、動物にあてがわれるステレオタイプもありきたり。ズートピアの奥深さを見習え……というよりは、脚本がもともとアニメを想定してなかった、と考えた方が腑に落ちます。
 実写でやったら、3時間を超えてしまいそう。「脚本が長すぎるから刈り込め」と言われて、刈り込むくらいなら、ハイテンポの演出が可能なアニメ向けに改変した方がいいんじゃないか? となったのでは。

 アニメゆえのザクザク切っていくテンポのよさと、見た目のおもしろさだけで突っ切る潔さ、容赦なさ。
 演出が速いというだけでなく、「ジェバンニがやってくれました」級の、各キャラの行動の速さも小気味良い(ロジータは、あのピタゴラスイッチを一晩で作るスキルを生かした方が絶対いい人生になる・笑)。もちろんこれも、アニメだから許されるスピード。
 
 むろん一本調子でなく、巧みにギアチェンジもするわけで。
 なぜ主人公にコアラが選ばれたか、なぜ相棒がヒツジなのか、それがわかる瞬間の、あの泣けて笑えるシーンすっごい好き。


 十分面白かったから、映画終わったあとにまで、「吹き替え版も見よう」(←自分は字幕版で見た)とか宣伝入れるのやめれ。続編があるのも夏に怪盗グルー&ミニオンの新作やるのもわかった! わかったから!
 逆に、なぜあのアライグマ?ガールズを日本で宣伝に使わなかったのかがわからん……もしかして、吹き替えだと英日逆になってて、かえって使えなかった? あの「足が臭い」云々のシーンで、バスタームーンは本当は何と言おうとしてたのでしょうか……?



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2017年03月23日

短評(黒バス/ゆゆゆ1)&ゴニョゴニョ


アニメ2題。

劇場版黒子のバスケ -LAST GAME-
[70点]
109シネマズ二子玉川
 黒子のバスケの最終章が劇場版アニメ化。お約束通りの、キセキの世代再結成、ドリームチームで一戦、の話。先週の興行ランキング見てたら、3月のライオン・ひるね姫より上だったのでビックリしました。

 アメリカチームを、救いようのない悪役として配置。それも、白人リーダー1人がカラード4人を、エンペラーアイを超える能力で従える(しかも最後は赤石同様、俺1人いれば十分とか言い出す)とか、アメリカ人が見たらブチ切れそうな気がしますが、日本では少年ジャンプが正義です。実にわかりやすい少年誌展開。噛ませの人選も含めて(笑)、ほぼ完璧だったのでは。

 で、僕はこの作品について、バスケという球技だけで考えれば、最強は火神でも青峰でもなくて、「やる気出した紫原」じゃね? と思っていたんですが、まさしくそういう展開になったので満足感があります。


結城友奈は勇者である 鷲尾須美の章 -第一章 ともだち-
[50点]
@Tジョイプリンス品川
 えっと、この作品は基本まどマギフォロワーで、えげつない話なわけで、テレビシリーズ見てた人は今回の主人公鷲尾須美がどういうえげつない状況に至ったかみんな知ってるわけで、そんで今回の公開は、全三部構成なわけで、その第一部をこんな、いかにも導入! だけの内容にして大丈夫なんですか。
 ……率直に言って、もう少しヒキを意識しないと、自分みたいに「こりゃ秋のテレビ放映を待てば十分だわ」という反応になっちゃいますよ? てなわけで、本作はここから先は見ません。

 ところで、なぜ品川で公開しているんだ……新宿/川崎/横浜/日本橋でやってんのに、どうやったら品川に客が来ると……。



 例によって精神衛生上悪いから吐き出しとくけども。

 「ひるね姫」の感想で、「軽重を見誤っている」と書いたけど、あ、これ、森友問題もそういうことだなって。

 かの作品が、「ハードウェアとソフトウェアの対立」というメインの問題より、「メカ」「ファンタジー」「女子高生」みたいな、見た目派手なところを、まるでそれをメインのようにした結果、「どんだけ技術者をバカにしてんだ」と思えるほどグダらせてしまったように、
 森友問題も、「国有地の取引に不正があったか」というメインの問題より、「右翼教育」「安倍政権打倒」「道義的責任」みたいな、聞こえのいいところをメインのようにした結果、「どんだけ政治をバカにしてんだ」という末期的状況に至った、と。
 その国有地取引の問題すら、司法で論じるのが優先であるべきで、国会で責任追及云々は憶測と感情論がすぎる。国会はいつからスクープを披歴する場所になった?

 というわけで、森友問題でガタガタ言ってた(そのうえ今思い出したように共謀罪についてガタガタ言っている)輩は全員、「私は物事の軽重がわかりません」というプラカード掲げながら暮らしたほうがヨイ。真偽や善悪ではなく、軽重だ。たぶんそのほうが心安らかに生きられると思うよ?



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2017年03月22日

ひるね姫

[55点]@新宿ピカデリー

 破壊屋さんの誰映2016の結果が発表されてます!



 さて。
 ……。
 まぁ、うん、僕の場合、比較対象が「東のエデン」だから。「君の名は。」じゃないから。
 面白かったですよ?


 「話」としては、導入、進展、対立軸、クライマックスなど、きちんと形になっています。サイボーグ009のような念仏もなく(「セリフで説明してしまう」気になる部分はいくつか。たとえばココネが「心羽」であることは、名札なり通知表なりを出せばそれですむ話)、むしろ往時の子供向け冒険アニメ(未来少年コナンとか)の影響が感じられ、わかりやすく明るく、不快感はありません。
 映像的にもオーソドックスな面白さがあり、物語リテラシー低い中高生くらいまでならあれで十分楽しめるのかな、と思います。

 その意味では、「君の名は。」の直後に公開されたのは、注目度は上がったかもしれませんが、作品評価的には残念でした。


 ……今回の場合、神山監督が何を言いたかったのかも、なぜこういう表現にしたかも、なんとなくわかるのです。しかし、その表現をどう受け止めて欲しかったかがよくわかんない、というのが率直な感想です。
 よもや「眠ると強制的に夢の異世界に入り、リアルとは別の冒険行が始まる」という設定全般に、何の必然性もないとは思わなかったです。
 じゃあなぜ「異世界」があるのかというと、例によって監督がメカやガジェット描きたかっただけ、という結論に落ち着けるしかなさそうです。
 リアル側で描かれるハードウェアとソフトウェアの相克・融合、という話が主軸で、異世界側はあくまで比喩でしかない。しかしそれらテクノロジーを監督自身がどう咀嚼したらそういう構造になるのかが見えません。というか、某所で見た「トヨタ自動車によるエル・カンターレ映画」という評がけっこう的を射ているかもしれません。テクノロジーをリスペクトした比喩でなく、宗教思想的に捉えた結果なのかな、と。

 いずれにせよ、ソフトウェアをああいう魔法扱いしたら、ソフトウェア関係者は不快だろうし、序盤の「魔法を禁じた世界」の表現は、ハードウェア関係者にとって不快だと思います。
 そんでもって、リアルでは「オリジナルコード」ができて18年経っても、あの悪役どもはそれを超えるものを作れなかった、しかしそれさえ手に入ればたった2日で実用化してしまいます、とか言うてるわけで、それやっぱり「技術者をどんだけバカにしてんだ」てコトにしかならんと思うんですが。
 少なくとも、本作を見て、「自動運転車すごい! 僕は将来エンジニアになる!」と言う子供はいないでしょう、残念ながら。


 その他、キャラにせよイベントにせよ世界観にせよ、奥行きが浅いor婉曲すぎて何も伝わらないです。
 「お姫様=母親であって自分ではない」という最大の「謎」がまったく謎たりえてないです。学校にも友人にも町にも町の人々にも存在理由が薄く、悪役キャラは存在感はあるものの行動が軽すぎ、駆使する権限とのバランスが取れていません。
 終盤「祖父と母の対立」が明確化するシーンあたりまでは、どこにも重みがなく、それぞれにどんな意味がこめられているか考えても、「たいしたこと考えてないよね?」という回答しか見当たらないのです。
 で、逆にいちばん「重みのある」ことを伝えているのが「エンドロール」なんです。軽重を見誤っています。あの「母親」を女子高生年齢にまで下げて主人公設定して、才能ある彼女が親と確執しながら、メカニックの彼氏と出会い自動運転車を作り上げるまで、って映画にしたほうが、たぶん監督の思うことがストレートに伝わったのでは?

 こうした理解の浅さ、話の浅さ、そしてこれまでの神山監督の経歴を考えるに、やっぱりこの人も「娯楽を作る」という点に大きな欠落があって、押井守監督同様、「他人の世界を借りる」でないと持ち前の映像感覚を「映画」にまで昇華できないタイプの人だ、という判断に誤りはないと思います。
 つぎはどうぞ原作ありきでよろしくお願いします。



 ついでにいうと、もちろん「倉敷市」を名指しする必然性もありませんでした。絵面的に、「大きな橋のたもとの町」にしたかったのはわかりますが。聖地巡礼を当て込んで思いっきりタイアップした倉敷市のみなさんは残念でした。

 あと、すごく気になった点がひとつ。日テレがらみなのに、「バイクの運転時にヘルメットかぶらない」という、テレビで公開できないシーンがあるんだけど大丈夫なの?



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2017年03月17日

コクソン -哭声- & コラム

[50点]@チネチッタ

 前評判高かったし、國村隼の演技も素晴らしい、と聞いて見に行ったわけですが……苦手なタイプの話という以前に……ゴメン何をしたかったのかわかんない。
 序盤に「状況説明してるように見せて、実は夢でした」という展開を2回もやるので、あ、これもう話を理解させる気ねぇな難しいことやんないだろうな、と思ってたら、捏ねくり回すのなんの……えーっと、つまり最終的に「悪魔は祈祷師に擬態する」、ひいては「疑心暗鬼を生み地域社会を壊すのはオカルティズムである」ってとこに落とし込みたいのかな、あれは?
 にしても、相互にあまり関連しない断片を連ねていく作劇の中に、ホラーのシチュエーションを中途半端に、かつさも重要そうにいろいろ盛り込んでるせいで(「韓国社会の病理」的なことを指し示してるのだろうとは推察できるが)、逆に物語への吸引力が失われてしまったように思います。
 演技はよかった! 國村隼以上に、ヒジョンちゃんの熱演が……あんなに声を張り上げて、喉痛めてなきゃいいな、てのが、本作に対していちばん率直に出てくる感想です、ホントに。




 TOHOシネマズ行ったら、山崎紘菜タイムに、「ララランドがアカデミー賞作品賞を取るの前提」で作られたとおぼしき宣伝映像が流れて笑う。ヒラリー前提でいろいろやらかした米メディアみたい。これもハリウッドの逆襲か(笑?



 シネマメディアージュ、ユナイテッドシネマが買い取ったのか。
 職場からなら、豊洲より行くのラクなんだけど……交通費がな……。
 会員金曜1000円デーを踏襲してくれれば、何とか使えるかな? メディアージュ時代は、TOHOシネマズ系なのにサービスが共通化されてなかったから使いづらかったんだよねぇ。



 「心が叫びたがってるんだ」実写映画化のニュース。まったく想定の範囲内だし、むしろそうしたほうがいいと感想に書いたとおりだけども。
 なぜ「中島健人:主演」になるんだ。これだけで期待感がゼロになった。この作品の主人公は成瀬順で、どんな演技で彼女を表現するかにすべてがかかる作品なんだから。それを朝ドラヒロインがやるんなら、そっちが先だろ……。



 いやいやいやこういう話って、別に「日本が」問題なのと違うって、ナウシカやメガマンで僕ら知ってるはずだぞ。逆に、キングコングは日本のポスターが絶賛されたわけでしょ。
 元記事読むと、ちゃんと配給元の許可は取ってるそうだから、「元のデザイン無視して自由に作らせてもよい、そうさせてかまわない人材がいる」と認知されてるなら、くさすよりも、アドバンテージだと前向きに取るのが吉なのではないでしょうか。

 つまりは日本の慣習が悪いんじゃなくて、デキの悪いデザイナーと頭の悪い宣伝担当がいるとそうなる、というだけなんだ。クソ邦題とかクソ邦題とかクソキャッチコピーとかな。



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2017年03月16日

モアナと伝説の海

[50点]@TOHOシネマズ日劇

 えー……なんで評判いいの、コレ。
 アナ雪で、導入が豪速すぎるって書いたわけですが。だからってさ。
 ディズニーアニメで導入に30分かけるとか初めて見たわ! 逆に遅すぎるだろ! それも、「過去にどんな事情があり、現在どういう問題があり、それを踏まえて主人公がこれから何してどうする必要があるかってメインプロット」を、おばあちゃんの昔語りを使って1分足らずで全部説明し終えてから、そのメインプロットに入らないままグダグダ30分。
 マジでイライラして死にそうでした。

 だからマウイが登場して、一気にコメディに舵を切ったときは、「面白い」より「救われた」が先に来ました。マウイは、台詞回しといいキャラ立てといい歌といい刺青ネタといい、「ラスト直前で釣り針壊れるのいやがってひとりで逃げ出す」以外はすべて秀逸。ウォーボーイズとスマウグさん(笑)など、彼の絡むアクションシーンはすばらしく、実に溜飲を下げました。

 しかし、それらのアクションはどれも単発で、終盤にまったく繋がりません。
 「モアナは海のマッドマックス」ってネタがえらく話題になってるけど、「そこしか面白くない」って意味合いでもあるからね? 全然重要なシーンじゃないのに。

 結局、ストーリーが、「凡百」以外の表現がないところに落ち着くのでどうもこうも。
 あの展開で、ニワトリはおろか、「意志ある海」さえ単なるコミックリリーフの役にしか立たん(つまり、「海」さえ存在感が薄い=航海自体が冒険たりえてない)とか、真逆の方向に想像を絶したわ。
 (これさぁ……もしかして、「子供をひとりで行動させると虐待になる」ていうアレな主張に配慮してるのかな? マウイ登場以降は「マウイとモアナの同行を強制」してるのもそういうこと? つまり、この作品での「海」は、第一に「保護者」の役割でなくてはならなかった?)


 自分ならこの話、「おばあちゃん」を全部切り捨てます。えぇっおばあちゃんがいちばん涙腺攻撃してくるのに、とか思う人もいるでしょうが、「おばあちゃんが認めてくれるからオールOK」じゃ、この話なんも意味ネェじゃん。
 こういう「私は私!」な「アイデンティティ」ものはもう食傷気味です。ていうか本作の場合、「I am Moana」でなくて「I am Voyger」と違うの?

 「心」を手に入れたモアナは、海と意思疎通ができるようになる。しかし島外に出たことがなかった彼女ははじめ海を恐れているので、海も少ししか応えてくれない。そのため船を自由に動かせず危険に巻き込まれ、それが冒険行となる。
 マウイと出会い、操船とともに「自らの目的のため、何を考えどうすべきか」を教わるほどに、恐怖が消え「海」がよい反応を返すようになる。そして最後に海と完璧に意思疎通した結果として「海割り」を起こす……。
 ほらこれなら、ばあちゃんいらないから序盤がスッキリするし、彼女の成長&冒険の軌跡がそのままアイデンティティに直結するでしょ?

 万人向けを目指すのもいいですが、そのために「海洋もの」という最大の特色をつぶして元も子もなくしてしまった、そんな作品に思えます。



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2017年03月10日

短評(汚れたミルク/人類遺産/アニメーションの神様)


 「塔の上のラプンツェル」がこの時期に金曜ロードショーか……。
 震災と公開が重なってしまった不遇のタイトルだけに、ちょっと感慨深いな。


汚れたミルク あるセールスマンの告発
[70点]
@シネマカリテ
 よくできた「フィクション」である。と、述べておきます。自分が売り込んできだ商品が、実は有害であると知ったセールスマンが、怒りに燃えて逆にメーカーを告発する、社会正義の「フィクション」です。
 「社会派フィクション」に過ぎないにも関わらず、2014年に完成していたフィルムが、このたびのシネマカリテの上映をもって「世界初公開」なのだそうです。フィクションなのにやけに複雑な構成、やけに生々しい映像、そもそもなぜこれはフィクションなのか?
 面白いか面白くないか以前に「多くの人が見るべき」を望まれている作品と思うので、ともあれ自分からは、「めっちゃ面白いフィクションだから見てみ!」と言うに留めます。見てみて!

 でも正直、百パー共感はしないほうが……問題は「水道の質」「欧米信仰」がより大きい点は間違えたくないところ。



人類遺産
[65点]
@シアター・イメージフォーラム
 傑作「いのちのたべかた」のニコラス・ゲイハルター監督の新作。今回は世界中の廃墟を、ガチガチの固定カメラでひたすら撮っていきます。音楽も説明も一切なし、映像だけです。人っ子ひとりなく、時間が止まっているように見えて、画面のどこかで、雨なり風なり鳩なり蛙なり、何らかの自然が動いている、という趣向。

 タイトルの後に映し出されるのがいきなり「浪江町」で、日本人としてビビることうけあい。しかしその後、娯楽施設・医療施設・宗教施設……と、テーマのある章立てで廃墟の映像が連なる中、中盤で「戦車や戦艦の残骸」を次々映した後に来るのが「軍艦島」というのは……、日本人として醒めちゃったのがホンネ。そこからの映像に明確に退廃感が増し、「滅亡」のイメージになるので、外国人はアレ、空襲かなんかで吹っ飛んだと思うに違いないわけで。だとすれば「浪江町」も単に、「いちばん生活臭が残ってる絵面」だから最初に選ばれたんですね。
 この「ストーリー」には正直首をひねる、というか、砂漠を見て虚無や退廃を感じるより、「砂がいっぱいあるねー!byサーバルちゃん」と言える世界のほうが、たぶん今は求められていると思うのです。

 映像の切り取り方は見事なので、廃墟に限らずそうした印象派絵画的な映像に興味がある向きはどうぞ。単調には違いなく、カフェイン摂取しとくのが吉。



アニメーションの神様、その美しき世界
[80点]
@シアター・イメージフォーラム
 名匠ノルシュティンのアニメーションがデジタルリマスターされ、昨年末から特集公開中。少し余裕ができたので見に行きました。
 ほとんど見たことあるので書くこともないかと思ってたら、たぶん初見の「ケルジェネツの戦い」がすさまじかったです。古いフレスコ画を模写か写真に撮って、切り絵にしてのアニメーション。ガチで生きてる集団戦で斬り合ってる。恐ろしい迫力。平和になった後の麦打ちのシーンとかも、きちんと物理的な挙動を理解しての作り込み。
 50年近く前の作品(1971)ですがレベルが違いすぎる。「アリス・イン・ドリームランド」の作者がこれを見たら、羞恥と絶望で首をくくると思います。

 すぐ混同するので備忘。絵として一番有名な「ハリネズミのユジク」が主人公なのは「霧の中のハリネズミ」。タイトルが有名な「話の話」の主人公はつぶらな瞳の灰色オオカミの子供。



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2017年03月08日

ラビング -愛という名のふたり-

[80点]@TOHOシネマズシャンテ

 「テイク・シェルター」「MUD」のジェフ・ニコルズ監督新作。
 正直、あまり期待してませんでした。前2作は、ネガティブな何かを「隠れたところから暴き出す」手管に魅力がありましたが、本作は、異人種間の結婚が違法だった時代、それを覆す裁判を起こした夫婦の実話がベース。
 当時の人種差別は、何も隠れてない周知の事実。それをニコルズ監督がどう表現するか。ありきたりのお涙頂戴に堕してしまわないか、不安だったのです。


 やられた。
 傑作。必見。


 なんとなれば、この作品には、「不特定の黒人が迫害を受けている」シーンは、一秒たりともありません。
 物語の結論も、「人種差別が解消した」とは表現しません。
 もっと南部の州であればもう少し苛烈だったろうとは思いますが(本作の舞台はバージニア州)、「分離すれども平等」とされた当時の白人と黒人の関係が、現実にはあれくらいの距離感であったのだとすれば。


 差別の本質とはなんなのか。
 誰が、誰を侮り貶め、何をしたならば、「差別」となるのか。

 その意味では、「人種差別」なんてものはこの世に存在しません。
 そうラベルを貼りたい奴がいるだけなんだ。

よく差別を語る文言の中で、反差別を訴える人でさえ「黒人 or 女性を『劣ったものと決め付けて』見下す差別があった」とものすることがある。そのロジックだと、「劣っていれば差別してよい」と言っていることに気づかずに。
 この作品に登場する「被差別者」は「底辺労働者」であり、彼らは「劣ったものがのさばっている」とみなされているのだ。そして実際彼らの多くは愚かで、優れた者を「優れている」という理由で信用せず、いつも逃げ道を捜している。思い至るべきは、現代において、トランプに投票したのもそうした人々であること。


 この作品は、穏やかにしかし鮮烈にそれを暴いて、腹の底に何かずぅんと来るものをぶちこんできます。


 うん、これこそジェフ・ニコルズ監督の真骨頂! 一生ついていくって決めたよ僕は(「ミッドナイト・スペシャル」日本公開してくれー!)。
 でも彼は、たぶん一生、アカデミー賞を取れないでしょう。むしろケンカ売ってるからね。
 いちおう本作で、奥さん役のルース・ネッガが主演女優賞にノミネートされてるけど、この作品で評価すべきは、不器用で小心者で無学で、法律家もメディアも信用できない卑近な男にすばらしい輝きを与えた、ジョエル・エドガートンの方。

 相変わらず終盤がもたつくのが、玉にキズですけどね。この作品は(現実に裁判にめっちゃ時間がかかったのはわかるけど)、ACLUが絡んで以降は、一気呵成に描き切るべきだったんじゃないかと思います。



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2017年03月02日

アイヒマンの後継者 ミルグラム博士の恐るべき告発

[55点]@シネマカリテ

 実験のきっかけになったアイヒマン裁判の映像が少し出てきますが、本作はミルグラム博士の半生を綴る伝記もので、映画の内容にはナチスは関係ありません。原題は「Experimenter」。この題材で、「題名に偽りあり」を感じるのはどうなのかなぁ。

 「ミルグラム実験の映像化」が興味深くて見にいき、その部分は十分に興味深かったとはいえ、それ以外のシーンは、ほぼ中身がなくて面白くないのでキツイです。象を出したり書き割りで撮ったり、へんな表現をいろいろやってて、「何か心理実験が仕込まれてるのかな?」とも思えたのに、結局のところ何か驚くような仕掛けは最後まで出てきませんでした。
 それで、あの、第四の壁を越えて観客に話しかける演出は、今はデップーさん思い出して笑えてくるからやめてほしかったです。

 本作の中で最も重要と思うのは、「人間の行動を決定するのは、思想でも感情でもなく、状況という言葉です。これだけは、感情的に思想を訴える人々に、何度でも繰り返し伝えたく思えます。あなたにそれができるのは、それが許される「状況」があるからなのです。そしてその状況の多くは、自明自得ではないのです。
 「電気ショックを与える」実験の中で、その「状況」を破り、実験の中断を選択できた被験者の一人は、「電気技師」でした。彼は、与えるショックがどれほどの苦痛となるか、身につけた知識をよりどころに判断したのです。



服従の心理 (河出文庫) -
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2017年02月27日

宇宙戦艦ヤマト2202 愛の戦士たち -第一章 嚆矢- &コラム

[65点]@新宿ピカデリー

 2199 に続いての新シリーズ開幕。
 一説にはスタッフが「復活編」寄りになったと言われ不安視されていましたが、まっとうな2199の続編でした。まずは一安心。
 ただ、オリジナルと2199との設定差を埋める注力が大きいようで、結果、今回の公開ではヤマトが発進すらしないのは寂しい。「できあがったとこまで出しました」感は否めず、今んとこは様子見ですね。
 なお、地球から離れたら見せにくくなるだろうから今のうちとはいえ、古代と森雪のイチャイチャが、髪色も近いしSAOのキリトとアスナにしか見えませんでした。爆発しろ。


短い感想になったのでもう少しゴニョゴニョ。



 超・邪推であることを承知の上で……。
 アカデミー賞のハプニングって、わざとやったんだろうなぁ……。
 今のハリウッドはたぶん、「白人同士が恋愛する古きよきタイプのミュージカル」に賞をあげたいと思ってないんだよ……。それこそが偏見なのにね……。



 オザケンが星野源をシメにきたのと同じように宮崎駿が新海誠をシメに来た、とか言われてるけど、新海誠をシメるには「耳をすませば」「コクリコ坂から」の路線を探らにゃならんわけで、それどっちも自分でやってねぇじゃん、ていう。



 森友なんちゃらの話は、そりゃ問題はあるんだろうけど、「それをなぜ国会で問題にするのか」感が日に日に高まっていって、バッカじゃねーのという感慨しか沸かない。「国会議員の仕事は総理大臣を引き摺り下ろすこと」としか考えてないやつらに、国会にいて欲しくない。
 安倍総理を下ろすのにスキャンダルなんかいらない。現代の基準でまじめに経済問題を論じて、軽視されている分野の自民党議員を味方に引き入れれば、すぐに辞任に追い込める。野党議員の勉強が足りてないだけなんだ。いつになったらわかる?



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