2016年09月29日

短評(オーバーフェンス/亜人3/BFG/HighLow)


 「ペット」が、公開後に予告編CM打ってたのがせつなかった……今年は相手が悪かったね。


オーバー・フェンス
[60点]
@テアトル新宿
 冒頭の空の表現とかゾクッとするし、オダギリジョーと蒼井優の魂こもった演技が冴え、高品質な作品とは思うのですが。
 空気を切り取る天才・山下敦弘監督をしてここに作られた空気は、原作ありきの作品なのでしかたないかもしらんのですが、「低予算邦画の五本に一本はこんな感じだよね?」と思う何かで、やや退屈です。というか、山下監督はこれまで「社会の閉塞感」をもっと深くリアルに醸成してきたはずなのですが、本作の場合「サワヤカな函館シティー」を前面に出さねばならぬ都合上か、そこを「蒼井優の異常性」にあらかた押しつけていて、嘘くさいのです。
 メンヘラ女がギャアギャア泣き叫ぶ奇行をスクリーンで見たい需要なんて、この世にビタイチ存在しないと思うんだけど、世間のプロデューサー連中は、「シンゴジ」「君の名は。」のヒットを見ても、こういう愚行をまだ続けるのでしょうか。本作には、山下監督の過去作品の印象に近いシーンがあちこちに見えるのですが、集大成というより、キャリアを巻き戻して絞り出した出がらしのようで、なんだか寂しいです。


BFG(ビッグ・フレンドリー・ジャイアント)
前半[45点]後半[70点]@109シネマズ川崎
 スピルバーグ監督&アンブリンエンターテイメントの「E.T.」な組み合わせで、ロアルド・ダール原作の児童文学を映像化。
 どうにもこの両者のかみ合わせが悪い感じで、エグい展開もどこか上品に描かれてしまい、期待ほど盛り上がりません。BFGの家の中で、期待よりもずっとチマチマした動きと会話が続く序盤は、正直眠いです。
 しかしその「エグいのに上品」という特徴を一気にひっくり返す、「女王」登場シーンはすばらしかった。もうこの映画、「女王が屁をこく」ためだけにあるんじゃないかと思えるオモシロ展開、コレができるイギリスがホントに羨ましいです。


亜人 -衝戟-
[65点]
@ヒューマントラストシネマ渋谷
 第一章第二章
 今回は、テレビシリーズの二期が始まる前に、全部見せちゃうよという趣向で。これ見たらもう見なくていいのかな? とか思ってたら、前章の超圧縮と違い、今回はツボは押さえつつもハッキリ端折られてるっぽく、オグラさんどーなったんや? カイトそれで終わりかい! という物足りなさで、どうやらテレビ見なきゃダメみたいです(それとも、もう1エピソード入るのか? ちょっとカタルシスに欠ける終わり方だったし)。くそ、商売うまいな。
 ストーリー上真っ先に端折れそうなのは「女の子バトル」、でもムリだったのはわかりすぎる。下村さんの乙女モードが、凛々しい顔つきのまま炸裂するのが最大の見どころ。


High&Low the Movie
[55点]
@ユナイテッドシネマ豊洲
 いろいろバズってたし、友人からも勧められたので、終映前に見てみました。個人的には、ヤンキーが「仲間」連呼しながら殴り合う映画なんて、興味の埒外ですが。
 ……まぁ、これが評価されるのはいいことなんでしょう。「国産の海外映画」って表現は言い得て妙。最終的に「ザ・レイド」っぽくなるし。「全部カッコイイ絵作り」みたいな評価がありますけど、それでもって「標準的なアクション映画」って言えるようになるなら、その嚆矢として十分な価値があるのだと思います。とはいえ、香港映画だったら、あのクライマックスの集団乱闘で、三分くらいの長回しを余裕でやると思うんだけども。
 で、その絵作りにおいて、相変わらず「汚さの表現がキレイ」なのが違和感なんですよね……イケメンさんにキレイな顔のまま小芝居されてもな。女性陣に至っては、もう存在自体違和感というしかない。
 そんな中、圧倒的に堂に入った存在感を示すのが例の「琥珀さん」なわけですが……、ストーリー上はどう控えめに言い繕っても「祭り上げられたカカシ」なので、「すごい人でした回想」をいくら入れてもらってもどうにもこうにも。彼の立ち位置にもう少し説得力があれば、全然印象が違ったろうなぁ、と思わずにいられません。



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2016年09月24日

レッドタートル -ある島の物語-

[80点]@ユナイテッドシネマ豊洲

 スタジオジブリの名前ばっかり表に出てて、そのわりにはつまらないとか売れてないとか散々な言われようだけど、ジブリは(というか高畑勲は)昔っから海外の良質なアニメーションを日本に仕入れてくれてたのを、みんな知らんのですかね……。
 ジブリが自力で良作を作れなくなって、この方向に転換するよって話なら、個人的には願ったりです。あんまり叩かんで見守って欲しいし、作品は作品としてぜひ見に行って欲しい。それだけの価値はある作品なので。

 でも、140スクリーンはやり過ぎだぜ東宝。今は亡きシネマアンジェリカだけで、ほそぼそやってた頃が懐かしい……。


 というわけで、名作「岸辺のふたり」のドゥ・ヴィット監督による初の長編です。8分に人生を凝縮させる手腕の持ち主が描き出す、無人島に流れ着いた男の物語。
 冒頭の海のダイナミックなアニメーションからして、ポニョにケンカ売ってそうな凄まじいデキでした。かと思えば、カニのチマチマしたアニメーションもいちいち可愛いです。セリフがなく展開の緩い本作で、決して飽きさせないよう下支えするすばらしい存在感でした。

 内容は、予告編等から想像するより、はるかにファンタジックな物語です。ちょっと驚くと同時に、なんというかこう、グッと腹の底に来る、見てよかったと思えるものでした。ネタバレのため「続きを読む」以降に隠しますけど、「君の名は。」を見てる少年少女たちにはまだわかんない、非常に深い内容です。




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シネマアンジェリカでは、こういう傑作がかかっていたのです。

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2016年09月20日

聲の形

[75点]@新宿ピカデリー

 9月第三週も「君の名は。」の圧勝。すげぇなまだ伸ばすのか、と思っていたら、本作の旗艦の新宿ピカデリーでさえ、夕方以降は最大のスクリーン1を「君の名は。」に明け渡しているではないですか。
 ……松竹、おまえらがあきらめてどうすんだああああ!


 さて。ある意味すごい作品でした。
 いうなれば、「君の名は。」で本作の予告を見て、「あ、またジュブナイルアニメやるんだー」と軽い気持ちで来た中高生を、ドン底に叩き落とす2時間。しかし、10年後に「どっちを覚えてる?」と訊いたら、こちらを答えるのではないかしら。

 なにしろ恋愛話も「聴覚障害」も、重要そうに見えて単なる物語のパーツ。中心になるのは、「いじめがどのように人間を壊すか」の話。最初っから最後まで、コミュニケーション不全のまま、心を万力でギリギリじわじわと締めつけ続けるような苦痛をぶっこんで来ます。
 カタルシスのある展開はなく、主人公は結局、世界には良くも悪くもさまざまな人がいる事実を知るだけです。キツい。キツすぎる。警告する、一人で見ないほうがいいぞ!

 逆に言えば、「感動ポルノ」の要素は一切ありません。聴覚障害や手話は、この物語の中で「当たり前の要素」として溶け込んでいて、その点はすばらしい。

 山田尚子監督は、「アニメだから許される、美しく描ける」ということを確信的にやっているようです。パステル調の軽いビジュアルの一方で音の演出にはものすごい重圧をかけ、ヤバいバランスを成立させつつヘヴィーな内容を描き出してねじ伏せてきます。ここらへん、狂気すら感じる凄み。
 「たまこラブストーリー」で穏やかな恋愛を描いた直後の作品が、このパワフルさ。こういうこともできる人だったんだ……。


 特徴的な「バッテン」の表現がいささか直截過ぎてあまり効果を感じなかったのと(これ原作踏襲なのか……)、昭和の邦画テイストを突き詰めたのか、時間経過の表現が曖昧でわかりにくいのが難点。
 また、結果的に「入野自由ひとり芝居」に近い作品になっているので致命傷ではないけど、個人的には「早見沙織は熱演だがキャスティングミス」だと思います。声に色気が出てきちゃってるんだよね。素直に、聾唖の学生で芝居をやっている方を捜してつれてきたほうが、リアリティになったんじゃないかな。

 あと、この世界における「人間関係の破壊」は、「硝子が悪い」となって彼女が罪悪感を感じていく展開になるんだけど、これ、どう考えても「根本的に悪いのは小学校時代の教師」よね。テーマ的に似通った話である「心が叫びたがってるんだ。」も根幹の原因は同じだったよなー、と思い出しました。



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2016年09月17日

短評(キングオブエジプト/スーサイドスクワッド)


キング・オブ・エジプト
[70点]
@TOHOシネマズ川崎
 現代基準から見たら安っぽいCG(ていうか「すっごい牙狼」)、タメとか整合性とか一顧だにしないくっちゃくちゃの展開、エジプト神話を深く考察しつつぶん投げ倒す世界設定(神と人の身長差とかアレ何?!)、一言で言って超カオス。でもそのカオスこそ神話の真髄とも思え、なんだかんだで上へ下への、ダイナミックで予想のつかない展開に圧倒される二時間で、「chaos, chaos, I wanna chaos!」って感じでした! ……ってそれ別の神話や!


スーサイド・スクワッド
[50点]
@TOHOシネマズ川崎
 コイン入れてからゲームが始まるまでに1時間もかかる「ベルトフロアアクションゲーム」(アベンジャーズはデコが作ってたなぁ)。中盤から終盤にかけての絵作りはまあまあ面白かったと思うけど、そこまでが……。
 アメコミヒーローのビギニングものはこういう展開になりがちとはいえ、前半にうだうだと愛や絆の「彼らの事情」のゴタク並べるので盛り下がるのなんの……そんで、「悪にもウェットな話がある」的な話をしといて、倒されるべきもっと悪いボスにいちばん情状酌量の余地があるので、「えー、戦うの?」という本末転倒な感覚があるという……。
 悪が悪をぶっ倒すピカレスクものなんだから、問答無用で「でも死ね」が見たかったヨ! その点で、ジョーカーとハーレイクインの関係性だけはちょっとよかった。



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2016年09月12日

みつばちマーヤの大冒険

[65点]@109シネマズ二子玉川

 ドイツで3DCG化された「リメイク」版の映画化。ただ不思議なことに、キャラデザが明らかに日本アニメーション版を踏襲してんのに、エンドロールにそこらへんの情報の提示がなかったので、向こうとしてはあくまで原作児童文学に沿ったオリジナルという意識なのかもしれません(でも原作は、こんな牧歌的な話じゃないらしい……)。ちなみにこの制作会社は「ハイジ」「ビッケ」も作ってるんですが……大丈夫なのかな?

 観客が6人、うち4人がおっさんでした。いやマジで。入場者プレゼントっぽく渡されたのが、どう考えても「余った販促グッズ」です。なんだこりゃ。
 ガンバがコケたのは、デキやデザインの話じゃなくて、もはや版権的価値しかない、年末特番とかで特集されたりする「懐かしアニメ」に、日本人全体でまったく興味ないのが現実、って気がしました。


 しかし、配給側はもう少しやる気を出してプッシュしてもよかったんじゃないでしょうか。完全に子供向けとはいえ、期待以上の面白さはありました。
 丁寧な描写でたいへんにわかりやすく、しかし決して説教くさくはない。「広い外の世界に飛び出していく」楽しさが十分に伝わってきます。一方で、「秩序だったミツバチ社会」を否定するわけでもない。映像としては、巣の中の表現がいちばん楽しいのです。
 また、「種族」として悪い虫はいない、という描写が現代的(カエルなど、完全に対話の通じない脅威は存在する)。スズメバチが遊牧民のような設定にされており、決して悪者じゃないですし、クモに捕食されかかるシーンが出たかと思いきや、後半のミュージカルパートで別のクモがドラム叩いてたりします。
 悪いのは個人で、それもミツバチの中にいる。秩序だった社会自体は悪くないが、誰かが悪用をたくらむとその硬直ゆえ悪い方向へ向かうという表現になっているあたり、ヨーロッパらしい結論です。


 マーヤ役を、はるかぜちゃんこと春名風花が演じたことでも少し話題になりました。今後、声優方向でもっと露出が上がるかな?
 そして野沢雅子はほんまバケモノです。アレ何も知らずに聞いて「15歳と80歳が並んで共演してる」ってわかる人はこの世にいないと思う。



みつばちマーヤの冒険 (小学館児童出版文化賞受賞作家シリーズ) -
みつばちマーヤの冒険 (小学館児童出版文化賞受賞作家シリーズ)
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2016年09月10日

短評(セルフレス/弱ペダスペアバイク)&その他


セルフ/レス
[70点]
@TOHOシネマズシャンテ
 アイディア勝ちの一本です。年寄りが若返るため別人の肉体を乗っ取る、というのは、悪役の手管としてありがちですが、意図せずその状況になったため二つの人格の間で悩む話、は意外に新機軸。そうしたストーリーを象徴するように、時間軸を分け、その両軸をキリキリカメラが切り替わる手法が繰り返されるのが面白いです。
 また、アイディアは荒唐無稽ながら、それ以外はリアルというかアナログというか(ラボの構造とか、擬闘というより単なる取っ組み合いな格闘戦とか、最強武器が火炎放射器とか)、いかにもありそうな範囲で演出されているのは、狙いだったかそれとも安く仕上げるためか? 僕には好印象でしたが、実際どうだったんでしょうか。


弱虫ペダル -SPARE BIKE-
[50点]
TOHOシネマズ川崎
 弱虫ペダルのサイドストーリー三本立て……だけど、実質「巻島&東堂」ファンムービー(一部荒北)。内向きのモノローグばっかりで、イマイチでした。そうして抑圧したものを、自転車競技のスポ根演出による爽快感が上回らない感じです。せめて、東堂が「マキちゃぁん!」と叫ぶようなカラミを、回想映像でいいから出しておけば、観客の女の子たちももう少しアガったんじゃないかなぁ。
 まぁ、マキちゃんは実質的にヒロインだから、むしろ鬱屈してたほうがいい、な層は一定数いるんだろうけど……いやでもそれだと、今回のお相手役完全に寒咲さんだし、そちらのクラスタにはむしろ辛い内容なのでは……(笑。




 「Planetarian」は見ません。
 事前の Web 配信分だけ見て、ヒロインのウザさに死にそうになりましたので。
 あれでも、葉鍵系のファンなら楽しめるのだそうです。ホントに?



 ところで、来週末が面白いことになりそうな予感。
 松竹が満を持して「聲の形」を投入しますが、いかんせん松竹、公開館数は「君の名は。」の半分以下。まだ勢いを残してそうなかの作品との軍配がどうなるかは、東宝が「レッドタートル」にどこまで肩入れするかにかかっているようにみえます。個人的には期待してるけど、さすがに今回はジブリブランドの押し売りじゃねぇかと(人を選ぶ作品に見えるんだけどなぁ)……。



 全然別の話。
 国籍は、政治家の資質それ自体には関係ありゃしません。だから、「単一国籍しか認めない日本の法律こそおかしい、変えていく」って最初からハッキリ言やぁいいんです。国会議員なんだから。法律を作る立場なんだから。そう堂々と言えるか、そして「あとは有権者の判断ですよね」ってニッコリ笑って言えるかどうかが「政治家の資質」でしょうよ。
 それを、いかにも後ろめたそうな反応をして、生まれたときから日本人だの国籍抜いただの、よく調べもせずに口からでまかせ言ったことが「燃料投下」になりました、ってだけじゃないんですか。ただでさえ信頼を失っている民進党が、「党首選」という最大のチャンスに、信頼回復から遠のく方向に全力疾走する滑稽さ、そりゃネトウヨさんたち面白がっておもちゃにしますわさ。



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2016年09月02日

短評(鷹の爪8/ソングオブザシー/ねむれ思い子/ダーティーコップ)


鷹の爪8 -吉田くんの×ファイル-
[70点]
@TOHOシネマズ川崎
 エックスファイル、じゃなくて「バッテンファイル」。
 上映時間40分を無料公開した前作と、ほぼ同質なのに68分で正規額の本作。「鑑賞料金」とは何なのかちょっと問い詰めたくなるね! つーか、オカルト系以外のネタはあらかた島根の観光案内なんだから、島根県は税金で補填してくれ!

 今回は、メディアミックスでコロコロで連載されたものの映像化(のはずなのに、上映時間がどこも午後〜夜に偏ってるのはなぜだ?)。これまでにも増して、精神年齢小学生レベルのくっだらないネタの連打です。
 いや、でも、それがいい。何度も言うけど、こういう頭からっぽにしてケラケラ笑うだけの、ストレス何もない映画が、FROGMAN の独壇場である邦画の現状がおかしいんですよ。「シンゴジは恋愛要素排除してウケた」と同ベクトルの話で、こういうのがウケると思うのになんで作られないのかな。

 今回はいつものお説教も小学生レベルなんで、くどくなくちょうどいい感じ、それどころかかなりキマっててカッコいい。しかも、ラストにはさりげなく「シリーズ全体を知ってる人向けの泣かせ」まで織り込まれている、いい按配でした。


ソング・オブ・ザ・シー 海のうた
[75点]
@恵比寿ガーデンシネマ
 アイルランド産の長編アニメーション。本国アイルランドのアカデミー賞では、あらゆる実写作品を押しのけて「作品賞」を受賞したそうな。「動く絵本」的なアニメで、絵本風のデフォルメされた背景やキャラが、そのままグリグリ動きます。冒頭の「灯台の光」だけで心つかまれる美しさ。

 ケルト民話の「アザラシ女房」(日本の「天女の羽衣」と同類)をベースにした、妖精の母を持つ幼い兄妹の物語は、「我が家へ還るロードムービー」と「妖精の世界を救う冒険譚」をうまく織り交ぜており、派手さはなくとも、表現が豊かで飽きがきません。かつ、どこにも悪人がいない優しい世界が形づくられています。嫌な人悪い人にみえても、そこにちゃんと意味がある。途中で出会う妖精シャナキーが示すように、誰もが物語を持っている、そこが伝わってくるよいおはなしです。夏の文部省選定作品になったようですが、子供たちにも伝わるといいなぁ。
 ただ、ラストは、「世界一の兄になった」とちゃんと褒めてあげて欲しかった。そもそもアンタが何も言わんと去るのがあかんのやし、民話の登場人物ってそんなもんとはいえ、オレあの母ちゃんちょっと好かんよ……。

 ところで、登場する妹の名前が「シアーシャ」なのね。シアーシャ・ローナンと同じ。アイルランド語で「自由」という意味なのだそうです。


ねむれ思い子 空のしとねに
[65点]
@下北沢トリウッド
 タイトルを忘れてしまいそうなので、書いて残しておきたいインディーズ3Dアニメ。
 この持って回ったタイトルと、主人公の境遇をはっきりさせない序盤から唐突に宇宙に飛ぶ展開に、いかにもインディーズ的な独りよがりかと思ったら、描きたいものを描くだけじゃない練ったストーリーが繰り広げられて、想像以上に面白かったです。あのストーリーであのエンドロールはけっこうキツかった、いい意味で。

 ところで、あの役に井上喜久子を配したのは、絶対作者が強く希望した結果に違いなく、思いは通じるものなのだなと(笑 そこかよ!)


ダーティー・コップ
[65点]
@角川シネマ新宿
 いやぁ年に一度はニコラス・ケイジ見とかんとね。
 しかも「悪徳警官」のニコケイっすよ! 表は善人ヅラで内心は腐りきった、ゲス野郎な警官っすよ! もうそれだけで最高じゃん!
 さらに、今回はほぼイライジャ・ウッドとの二人芝居。こちらも悪徳警官だけど、普段からワルな奴に見えて、内心はまだ煮え切らないとこがある若手。この二人で、もっとワルな麻薬売人どもの資金の横取りを企てる……という筋立て。
 いやぁいいコンビだわ。どっちもイチモツありそうすぎて。

 説明的セリフなしに演技合戦でガシガシ進めてくタイプの作品なので、あんまりゴチャつかせてもつまらなくなるだけとはいえ、正直、ストーリーにはもうひと押し欲しかったのが本音です。
 絶対ニコケイの父親(ジェリー・ルイス!)は何か噛んでると思ったんだけど、何も出てこないし……(邪推するならば、最後に映った「2枚のチケット」、イライジャは「自分の分」と思ってはっとするけど、あれ「もう1枚は親父の分」だったんじゃあ……)。
 あと、「売人の黒幕が準備した隠し金庫」に武器がある、って別に驚くことじゃないよね。そんで、その建物に住人がいたら、「見張り」と考えるのが当然じゃないのかなぁ?



いやホント10年もよぅ続いたなぁ……。

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2016年08月28日

君の名は。

[85点]@TOHOシネマズ新宿

 おぉぉぉ……。
 言わずと知れた新海誠監督の最新作ですが、従来作品と比べて作品世界が広すぎる気がして、きちんとさばけるのか、見る前はめっちゃ不安でした。しかし、結論からいえば素晴らしかったのひとことです。
 全面的に「続きを読む」以下に隠します。未見の方はこの先読まないようにね。

 ミステリでもないのになぜ隠すかって、新海誠監督は「ハッピーエンドかバッドエンドかさえ見るまでわからない、先の読めない」作り手で、この作品でもそこが楽しみのひとつであり、語らずにはいられないからです。



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2016年08月24日

ゴーストバスターズ(2016)

[55点]@チネチッタ

 男女転換させてのリブートが話題となった新生ゴーストバスターズ、かなり期待して見に行ったのですが……1984年版旧作の印象が強いせいかもしれないけど、微妙。

 個人的には、男女逆転は特に斬新とは思わなかったので、「ゴーストバスターズ」としてどうなのか……という視点だったのですが、旧作をなぞる構成なのに、かの作品にあった爽快感を失う方向にアレンジされているので拍子抜けです。唯一良くなったのは、「黒人キャラの扱い」くらい?
 旧作のオマージュやカメオ出演を優先して、ストーリー進行をぶっ壊す愚行にあきれました。ビル・マーレイのキャラの存在も、彼に関連してゴーストを逃がすイベントも、全体に何ら影響しないのにビックリです。

 何より「お仕事をやり遂げた」達成感がまったくないのが致命的。異端視されながらも新たな技術開発により事業を立ち上げ、困難があっても何とか成し遂げ、その結果富と名声を手にする、アメリカらしいサクセスストーリーがきっちり描かれているから、旧作は面白いんじゃないですか。
 本作では、旧作のホテルに該当する「ゴースト退治に成功する」シーンまでに1時間以上かかり、それが終わるといきなり市長による完全隠蔽。富もへったくれもないです。資金や機材をどうやって手当てしてんのかわからない中、テクノロジーはアホみたいに向上してパワーアップするから、バトルものとしてもどっちらけ。

 「サクセスストーリーこそ男性主体の発想だから、今回は女性同士の友情がメインです」ってことかもしれないけど、エリンとアビーの二人は最初から最後まで普通に仲いいじゃん。なにかその点でカタルシスのある展開ってありましたっけ? オレが女性だったら伝わってきたのかね?


 ところで、旧作の何がスキって、僕の場合「アニー・ポッツ」なんですよ!
 本作でアニー・ポッツに該当するのがクリス・ヘムズワース。うん、そういうキャラ付けでそういうストーリーになったのはわかる、

 でも違うんだそうじゃないんだ。



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2016年08月20日

短評(ペット/ニュースの真相/傷物語2/魔法使いの嫁前編)


 以前、ちらと話題にしたのでいちおうフォローしておくと、
 築地市場の豊洲移転で問題視されていたことは、少なくとも建造物としての観点ではおおむね論破されており、運用で対応できる話になっているようです。

 ……ていうか、言いがかり的な「指摘」がかなり多かったみたいね。
 最終的には、反対派の人が「冷房病になる」とか「絆が失われる」とか、本質からかけ離れたことを言い出して、かなり見苦しいことになってました。しかし、ことここに及んで、都議連の問題と関連して、反対派を鵜呑みにしつつマスコミが盛り上がってきているので、ちょっとやばいです。



ペット
[65点]
@109シネマズ二子玉川
 イルミネーションスタジオだからしかたないんだけど、例によってバカやりっぱなし。
 「ルドルフとイッパイアッテナ」を見た直後ってこともあり、わりとナイーブな題材なのに荒唐無稽さが行き過ぎてる感じがして、ちょっとノレませんでした。捨てペットがあんなにウヨウヨしてる世界観で、動物管理局をやられ悪役にしちゃかわいそうだよ!
 色々仕込まれてる小ネタが楽しい人向け。主人公ズよりギジェットルートのほうが楽しいです。あと、「日本語版キャスト」が出てやっぱりオチをつける宮野真守。


ニュースの真相
[65点]
@TOHOシネマズシャンテ
 あぁ……これ、バランスが取れてるというか、リトマス試験紙というか……僕なんかは、「裏取りに失敗したまま拙速に報道した結果、酷いしっぺ返しを食らった話」(しかもその『拙速になった理由』がヘド吐きたくなるほど醜い)が主に見えて、それをよくもまぁこんなにカッコつけてドラマチックに描くなぁ、と思っちゃったんだけど、多くの人は───特に、これに登場する調査委員会的なものを敵に回したことなどなかろうから、偏向してようが勝手気ままなはずの日本の報道屋さんたちは───「政治家の悪の真相に迫ったのに、権力に押しつぶされた悲劇」を主に受け止めるんだろうな、と。ヒロインが調査委員会で言う最後の「私はそうは思いません」は、決め台詞じゃなくて、「解雇を確定させた最大の失言」だからね!
 いかような見方にも堪えうるかたちで現実を詳らかにした、真にジャーナリズム的な作品で、ケイト・ブランシェットも迫真の名演。映画として見応えのある一本ですが、さてあなたはどう受け止めますか。


傷物語II -熱血編-
[60点]
@ブルク13
 前回に比べ、バトルシーン中心の回のはずなのに、アーティスティックなアニメーションは控え目になり、しかし「羽川さんとのエロトークは全開」で記憶に残るのはおパンツと乳袋、という、シリーズ全体としては正しいがこの「傷物語」としてはそれでえぇのん? という内容でした。眼鏡巨乳委員長の属性がない人にとっては、戦って勝ったので忍がもとに戻りつつある、以上の進展はほとんどないと言ってもいいです。羽川さんにはあれやこれやあるんですけども。


魔法使いの嫁 -星待つ人:前編-
[評価不可]
@ブルク13
 あー、うん、噂には聞いてたんですが、これは酷い。サービス精神満載の「イベント上映」にずっと甘えてきてたから、愕然としちゃった。
 最近ではニャル子さんが酷かったように、本来「OVAのイベント上映」ってこういう殿様商売が当たり前かもしらんのですが、ハイテンション阿澄佳奈が既にファンをがっちり捕まえてたかの作品とは違い、本作はこれが初のアニメ化、なんですよね……。
 なのに、原作既読前提、背景や状況の説明をしないまま始まる前日譚サイドストーリーを、30分物(実質20分)3本に分割して別々にイベント上映、残りの上映時間は「映像特典」なメイキングフィルムで水増しするという、ご新規さんの獲得は一切眼中になくファンからは搾り取る思想は、近年稀に見るギラギラ感にあふれておりまして。
 とりあえず、「残りは見ねぇよ」と言ってやるのが礼儀ではないですか?


 ところでブルク13は、6階に10台発券機があるのに、1階に発券機を1台だけ放置してるせいで、知らない人がエレベーターホールに大行列を作る状況を、いいかげんなんとかしたら?



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2016年08月13日

ルドルフとイッパイアッテナ

[75点]@109シネマズ川崎

 ガンバで大失敗した?「児童文学を3D化」路線再び。新たな地雷の出現かと思いましたが、「ポケモンの監督」と「妖怪ウォッチの脚本家」の組み合わせ、というふれこみの本作、さすがによく理解しているというべきか、期待よりもずっと良かったです。

 題材が題材なため派手なところはほとんどなく、子供たちがどれだけ喜ぶかはちょっと微妙ですが、説明過剰にならない安定した語り口で描かれる「猫の世界」は、とても居心地が良いです。デフォルメされた3Dモデルなのに、動きが実に自然体なのも、「猫の世界」の表現を豊かにしています。この点、コミックリリーフだけ根本的な挙動が違う、というのもよいアクセントでした。
 また、日本映画って「俯瞰ショット」を苦手とする印象がありますが、本作は、子猫の低い目線と狭い世界を、上下からのカメラワークで丁寧に切り出しており、世界が広がること、そして「名前が増えること」の持つ意味が、自然と伝わるつくりになっていると思います。

 惜しむらくは、ルドルフがわりとあっさり「りえちゃん」への郷愁を失ってしまう点か。もう少し、街になじむための日常パートが欲しかった気がします。猫って、もっと「秘密の場所や通り道」を持ってると思うんです。
 あとは、やっぱり声優かなぁ……善戦してるとは思いますが、鈴木亮平にはもう少し迫力が要ったし、井上真央は「女の子」を消してほしかった。サブに大塚明夫と水樹奈々が構えているんで、その両名のバージョンも聞きたいかも?



ルドルフとイッパイアッテナ 全4巻 (児童文学創作シリーズ) -
ルドルフとイッパイアッテナ 全4巻 (児童文学創作シリーズ)
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2016年08月12日

ハイ・ライズ

[45点]@ヒューマントラストシネマ渋谷

 わりと期待してたのですが、70年代SFを映像化するとこうなるってことなのか……ポスターの推薦文が妙に「主演のトム・ヒドルストンかっけー」に偏っていると思ったら(この肉体美は確かにすごい! ソレで人妻寝取りを繰り返すので、そういう性癖の方はぜひどうぞ)、なるほど、それ以外に何も言えないレベルでワケがわからない。
 40階建てタワーマンションがそのまま階層社会になってて、リソース不足(停電)をきっかけに格差の拡大が止まらなくなり、秩序の崩壊へ至る……という話なのですが。

 1970年代の小説とはいえ、いかにも「現代に通じる題材」であり、なればこそ期待したのに、70年代設定をそのままやっちゃうとは思いませんでした。なんたってこれみよがしに掲げられるチェ・ゲバラ! 2016年にやってどーすんの?!
 むしろ、より悪い方向にこじらせている、ともいえます。当時のヒッピー映画にあったような、理解させる気のないゲージツ的カッティングが繰り返され、何が何やらで眠くなるばかり。「崩壊」のシーンはまさに全部ソレで、主人公のいる階層がほんの数分でスラム化してしまうのには口あんぐりでした。
 そのくせ、(この映画には「軍」「警察権力」が登場しないので、下層社会の治安悪化はダイレクトに上層まで波及するにもかかわらず)上層の連中は、「下層の連中をいがみ合わせとけばいいんじゃね」とか、まるで安全圏にいるみたいなヌルいことを言うのです。
 逆に、「映画監督」が15階の住人だっけ? それ以下の住人についてはマジでビタイチ描写されません。これが格差社会、ねぇ……。

 正直、「金持ちが憎たらしいのでメチャクチャにしてやったぜ」以上のことを言ってる感じがしませんでした。



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2016年08月03日

短評(ちえりとチェリー/トランボ)


ちえりとチェリー
[55点]
@ユーロスペース
 「チェブラーシカ」で知られる中村誠氏のオリジナル新作。
 これマジでストップモーション? と驚く流麗なアニメーションは、背景まで丁寧に作り込まれており、「コララインとボタンの魔女」くらいは比肩できる素晴らしい出来。特に「死神」のガチ怖さは異様。
 ……なのですが。
 ポスターではユーリ・ノルシュティンが「脚本がすばらしい」と褒めてんですが、どんなリップサービスかあるいは海外向けの字幕or吹替がよほどうまく刈り込まれていたのか? プロットは間違ってないのに、状況も気持ちも話の意味も、映像で見ればわかることをセリフでも畳み込んでぜーんぶ説明する、邦画の悪いところを詰め込んだような吐き気を催すシナリオに、「この人本当にアニメーション作家の自覚あるのか?」と軽く絶望しました。
 セリフと過去回想削って作り直してください、話はそれから。アニメってのは、それでも伝えられる表現手法だからこそ、世界で愛されるのだと信じてます。


トランボ -ハリウッドに最も嫌われた男-
[60点]
@TOHOシネマズシャンテ
 赤狩り時代に創作を禁じられた脚本家ダルトン・トランボの境涯を描く作品。「これは映画ではない」のような、それでも創作せずにはいられないクリエイターの矜持……を期待して見に行ったのですが。
 20年に及ぶ歴史に主要人物だけでも20人以上が絡み、年齢や立場や流行の変化によって容姿がどんどん変わる中、物語の視点はあっちにブレこっちにフラフラ、トランボ自身も意図がブレて一貫しませんし(人間性の証左ではある)、「家族大事」話も当然のごとく割り込んでくる非常にごちゃついた作り。すごいことやってるイメージはあるのに、あまり伝わってきません。
 「表現者への弾圧」が、人間の尊厳とか精神論より先に、訴訟と失業で語られるというのは、アメリカだなぁとは納得しましたが……僕自身の受け皿不足で理解が及ばない部分もありますので、これから見る方はせめて「予習必須」で臨んだほうがよいかと。

 ……ジョン・ウェインが年取ってもジョン・ウェインだったのはなんかカッコよかったです。いや、この映画では悪役の側なんですが。



これは映画ではない [DVD] -
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2016年08月01日

シン・ゴジラ

[90点]@TOHOシネマズ新宿

 凄かった。おそらく今年のベスト。

 ハリウッド版ゴジラでも書いたけれども、本作もとにかく「こんなん来たらもう人類にはどうしょうもない」絶望感がハンパないです。序盤でさえそうなのに、中盤のあのシーンの圧倒的熱量ときたらもう……。
 それでも人類は、ずーずーしくも何かしなきゃいけない池田華奈なのです。ハリウッド版はそこを「軍人」に託すわけですが、日本では、軍事力の前に「政治家」が背負わねばなりません。

 スタッフロールに「岡本喜八(写真)」と出て驚きました。はっきりと覚えていないので間違っていたら何なのですが、この作品で写真しか登場していないのは「博士」のみ。そして博士が託す印象的なメッセージ。
 「3/11」を経験した日本で、「日本のいちばん長い日」を下敷きに、「エヴァ」の手法を駆使して描く、ゴジラ。庵野秀明が培ってきたすべてをぶっ込んだ、まさしく「好きにやった」真骨頂。ツッコミどころや細かいウンチクをこれでもかと詰め込みながら、圧倒的な情報量とスピードで「状況」を一気に押し流していく。
 錯綜する情報、役立たずの常識、序盤ではややコミカルに右往左往しながらも、明らかになっていく犠牲の生々しさに、「関わらざるをえない人たち」の覚悟と意志が次第に固まり、その先に知識と技量が集結していく、状況。
 本作に、「情念」や「ドラマ」はありません。
 真の危機に、そんなものを描いている余裕はないのです。

 ただゴジラがいる。
 奴がやってくる。
 一切のことわりの通用しない相手に、それでも人間は、ことわりをもってせねばならぬ。人の人たるは理性以外にないのだから。




細かい余録。

○唯一あれれと引っかかったのは、「循環冷却剤である血液を凝固させた」のになんで「凍結」したんだろう? 熱暴走で殺すんじゃないの?

○ひたすらマジに見える世界観の中で、監督の中の小学生魂が炸裂した「新幹線爆弾」に「在来線爆弾」をたたみかける天丼にもうなんか涙が出そうでした。アレ絶対「ぼくのつくったさいきょうのごじらのたおしかた」みたいな、常人なら黒歴史級の過去のアイディアを引っ張り出してやったと思う。
 なお、

 本作の協賛企業・協力企業に「JR」は入っておりません。

 勝手にやったのか! すげぇな。

○石原さとみは完璧でした。見事なまでに「特撮に登場する謎の女性」です。予告編だけで dis ってすんませんでした。
 石原さとみについて友人と話したこと。
 「海外から唐突にやってくる混血の強気女子、あれってつまりアスカだよね
  +こんだけのテクノロジーあれば実写版エヴァンゲリオンとか考えちゃうよね
  =つまり石原さとみにプラグスーツ着せたら最強

○見える画面の多くが自分の生活圏で、それでアガった部分もあります。
 しかしながら、ぼくんちは壊されてませんでした。ちぇっ。
 予告編、南から来る映像かと思ってたら西からだったのか。

○この映画に対し「政治パートが退屈」「安倍政権のプロパガンダ」なんという感想が散見されるけども、それはたぶん「政治家は政治という仕事をしている」という本質的な理解ができてないかわいそうな人なので、生暖かく見守りましょう。

○本作は、百ヶ国以上で公開されるそうです。
 大変にめでたいことですが、……あのシナリオをどうやって翻訳するのか、翻訳家が絶望してる顔が目に浮かぶ……ご愁傷様です。



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2016年07月26日

ワンピースフィルム ゴールド

[75点]@チネチッタ

 最初に……これチネチッタじゃなくて東映の宣伝担当が悪いと思うんだけど、
 予告編を「プリキュア」→「湊かなえ」→「仮面ライダー」の順で流すのヤメレ。
 東映は持ち玉少ないせいで、こういう無茶予告をよくやるよな……。


 「ストロングワールド」「」感想。
 さて。
 相変わらずの、ケレン味たっぷりの総花演出。お祭り作品と割り切るのが吉。
 今回は、導入も世界観も対立軸もしっかりまとまっていて、すんなりひたれるのが楽しいです。

 ストーリー的には、「だまし切るのはナミ」が結論なのは予定調和みたいなもんですが、それにしてはガバガバっつーか無理筋なのはまぁしかたないか。
 「初めからフランキーを最下層へ到達させるのが目的」って、北大路欣也キャラの出会いや奮闘に無意味感が漂うんですけど……加えて、彼がらみの「海軍&革命軍」はおまけにすらなってないというね……。唯一意味を見出すならば、「子供でも倒せる敵としてスパンダムを出す」ためです。ヒデェなおい!

 セリフ中にそれぽい単語をいくつ積み上げても、本質的にカジノとかギャンブルとか関係ないのは、むしろよかったと思います。麦わら一味が金儲け否定する話になったらどうしよう、と思っていたので。そこはちゃんとワンピースらしい「敵キャラ」設定がテゾーロになされていました。天上人との関係をもう少し踏み込めたら奥行きがあったと思いますが、あまり深く突っ込んで麦わら一味の活躍にブレーキをかけてもいけないし、あれくらいがちょうどよかったかもしれません。
 中盤の、ルパン三世みたいなスパイコメディ演出とか、やっぱり楽しかったですもん。「ラキラキの実」のアイディアも面白かったなぁ。

 ともあれ、もはや最大公約数で作らざるをえない「ワンピース」を、きちんと娯楽として作りこめている以上は、こっちも面白がって見るのが正解だと思います。
 あと、僕個人は、メガネロビンが麗しかったので満足です。


 ゲスト声優もほぼ問題なし。
 満島ひかりやケンドーコバヤシがうまいのはまったく驚きませんが、菜々緒に驚きました。寿美菜子かと思ってた。
 おそらく、芸能界の力関係で押し付けられた「ダメなゲスト声優」は、前哨戦のテレビスペシャル「ハートオブゴールド」にぶっこまれたと思しき割り振りにGJ!
 ハートオブゴールド、あの棒読みヒロインを悠木碧に置き換えるだけで、まったく別作品になってたと思うぜ!



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2016年07月24日

短評(ファインディングドリー/インデペンデンスデイ2/だColor)


 いよいよ週末から庵野ゴジラですが、どうなりますか。
 とりあえず、石原さとみは見なかったことにしようと思っています。
 あと、予告見る限り、ぼくんちはゴジラに踏みつぶされるみたいです。きゃー!


ファインディング・ドリー
[55点]
@ユナイテッドシネマ豊洲
 安定した良いデキだとは思いますが、正直イマイチでした。完全に子供向けのアトラクション・ムービーなのに、ドリーの記憶があまりにご都合主義で、義務的にイベントが発生し、登場人物がしかたなくそれをこなしていく感があって、あんまり楽しくありません(楽しいのはハンクの擬態くらい、かなぁ)。結果、クライマックスたる「再会」シーン前後で、客席の複数の子供がグズり始めた、というのが、本作のわかりやすい問題点だと思います。
 ドリーだけを暗い画面の中で迷走させ、どんどん悪い状況に転がった果てに、子供が喜ばしい何かを期待するワケないんです。やるなら、「貝の道」だけはドリーの記憶に完全に焼きつけて、「貝殻=幸福」と条件反射するように演出すべきでした。また、こんな中途半端な立ち位置にするくらいなら、社会現実を織り込まず、人間をはっきり「悪」と置いてしまえばわかりやすかったのでは。
 「ズートピア」もギリギリまで暗いモチーフを盛り込もうとしていたと言うし、かのアニメ業界も、迷走期のトンネルに突っ込んでますかね。

 逆に、短編の「ひな鳥の冒険」は綺麗すぎました。あれ、最後に「ヤドカリを食う」がオチじゃねぇのかよ!


インデペンデンスデイ リサージェンス
[50点]
@ムービル
 前作は見たはずなんだけど記憶にありません。……多分本作もすぐ忘れると思います。何せローランド・エメリッヒ最大の強みである「ハッタリ効かせる」があまりに脆弱なので。
 「大西洋全域を覆う宇宙船!」という大ネタがなんの役にも立ってない衝撃(マジにそんなの来たら、着陸だけで地球の軌道が狂って人類滅亡すると思いますが)! 前作より小さくても全く問題なかったんじゃないでしょうか。
 ていうか、「地球の既成技術で、(実際はアメリカ一国で十分だった記憶がありますが、建前上は)地球人類一丸となってやっとこさ戦う」が前作の凄みだったはずですが、今回は「エイリアン技術」があって地球側がなんでもアリ状態になってるため、まるでピンチに陥ってるように見えないという……。


だColor? THE脱獄サバイバル
[40点]
@ヒューマントラストシネマ渋谷
 脚本・福田雄一に心理ゲームなんて期待したこっちが馬鹿だったわけで、単なる長たらしい笑えもしないコント。吉本興業の小遣い稼ぎに協力させられたみなさま、ご愁傷様。
 とはいえ、「必ず裏切る/裏切られる」が「政治犯の定義」で、「最後まで裏切らなかったら政治犯じゃないから釈放」というロジック(それも「子供に言わせる」という趣向)はちょっと面白く、日本だから逮捕されずにすむトラブルをいくつもやらかしているパヨク界隈の方々には、是非見ていただきたいと思います。



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2016年07月23日

劇場版アクセル・ワールド -INFINITE∞BURST-

[50点]@チネチッタ

 テレビシリーズをどう評価するか、と言われたら、これはもう「日高里菜のベストアクト」しかないんであって、

 で、本作は総集編パートと新作パートに分かれており、新作パートにはテレビシリーズでやってないキャラやら設定やら、何の説明もなしにワラワラ出てきやがって和気藹々で何この「顔見世オンリー」状態、それこそ総集編パートでやっとかなアカンのちゃうん、と考えたとき、

 2クールを30分ほどに圧縮した総集編パートにおいて、他の重要な設定やバトルをすべて端折ってなお、地上波における「怪光線なし」の限界に突っ込んだ「あのシーン」だけはがっつりきっちりやっちゃった以上は、本作は「総集編のほうが本編」と判ぜざるをえず、

 その点、製作者たちは本作の本質というか真骨頂というか、よくわかってんなぁ、素晴らしいなぁと、「本編はもしかして劇場版SAOの予告編だったんじゃねぇの」という疑念を払拭するためにも、オレだけはひたすらに思い込みたいのであります。

 以上。

 ニコかわいいよニコ。



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2016年07月15日

ペレ 伝説の誕生

[80点]@TOHOシネマズシャンテ

 あれ。おかしいぞ。なんで僕はこの作品をシャンテなどというオシャレ映画館で見ておるのだ? で、公開回数が、シャンテ以外はどこも二週目で日に二回とか?
 アホだろ関係者。「リオ五輪始まるし、ブラジルっぽいの需要あるかなー」くらいにしか考えてないだろ。ふざけんな。

 これ、少年マンガですぜ。サッカーの神様の実話が、激アツスポ根マンガ脚色ですぜ。
 どん底のスラムから這い上がるべく、エリートに立ち向かい、父から誇りと「必殺技」を受け継ぎ、努力! 友情! 家族愛! 挫折! 再起! そして勝利も勝利、世界の頂点ワールドカップ優勝まで駆け上がるのだ!
 このアツい展開が、リズムの良い音楽に乗せてガシガシ突き進んで、そして最高潮に達するあるポイントでペレ本人がカメオ出演するに至って、オレマジで涙ちょちょぎれるかと思ったわ!

 ブラジルのナショナリズムがちょっと入ってくるけど(でも全編英語なのが不思議)、スポーツの話なんだからそこは許したれ。
 間違いなく、子供のため、サッカー少年のために作られた映画。逆に、彼ら以外の観客には「ふーん」で終わる懸念があるには違いなく、世間的には実際そうなっちゃってる感じがするのがもったいない。ペレの「10歳から17歳までしか描かない作品」ってだけでも、関係者にはそこを読み取ってほしかった。

 まず、子供でもわかる吹き替え版作れ。そんで、Jリーグと結託して、全サッカー少年に優待鑑賞券配るくらいのことせぇ。夏休み中公開しとけ!
 埼玉の公開劇場が幸手と富士見って何だよ。埼玉、サッカー王国じゃねぇのか。TOHOシネマズが少ないからか。だったら千葉の市原と柏はなんだ。Jリーグ本拠地で、この作品を公開していないのは恥だと思え。
 あとな、マンゴー生産日本一の宮崎県も引き込め。マジなサッカー少年が見たら、明日からマンゴーでリフティング始めるからな! それくらい洗脳能力あるぞコレ!



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 ……いや、これは何か違う。
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2016年07月13日

短評(フラワーショウ/キングスグレイブ)&選挙後ゴニョゴニョ


フラワーショウ!
[50点]
@ヒューマントラストシネマ有楽町
 失敗した。期待したのと違った。でも想定してしかるべき範疇で、これはこれで好きな人はいる内容です。僕に合わないというだけで。
 ガーデニングもので、既製の園芸に若い女性が自然志向で風穴を開けるという実話ベースの作品ですが、「プラダを着た悪魔」や「イン・ハー・シューズ」と同じ「お気楽極楽」路線だったのです。汚いところや醜いところは見ずに、上澄みだけすくい取った仕上がりになってます。
 ものすごくエコ方面に意識高いモノローグがべらべら入りますが、この作品における「自然」は、ほぼ主人公の言いなり。その点の苦労はなきに等しく、人間がなべてコントロール可能という思想のうちにある欧米的な作りです。
 じゃあ主人公はいかなる挫折や困難に直面するか? というと、アフリカの砂漠緑化の使命に燃えるイケメン園芸職人をいかに振り向かせるか? に中盤のほとんどを費やすという……なんかもう、背中ムズムズしたわー。


KINGSGLAIVE FINAL FANTASY XV
[65点]
@シネ・リーブル池袋
 150億円かけた駄作から15年、ファイナルファンタジーが再び映画になった! ……今回は、シリーズ最新作の前日譚、のようです(なお、自分のFF経験は6まで)。
 日本人メインで制作したフル3D映画だから、またどうせ少人数で世界の運命をこねくり回すんだろうな、と期待せずに臨んだら、一都市(新宿が未来都市化されている!)の攻防のみに話を限定しつつ、いくつもの視点が入り乱れて進む、なかなかどうして中身の濃い作品で、充実感がありました。このクオリティならもっとやってほしい。また、近年のFFファンからは絶賛されている模様なので、気になっている方は是非。
 個人的には、手放しで面白いかと言われると微妙ですが……なんでタコそんなとこおんねん、とかね……お姫さま救出ミッションが単なる陽動ってことは、序盤で死んだあの黒髪お姉ちゃんが報われなさすぎじゃんかさ……。
 アクションの大半が何やってんのかわからない出来なのも、ちょっと残念。ただこれは、「剣投げワープ」という独自のアクションが超カッケー、てことさえ伝われば、ゲームの販促としては問題ないんでしょう。「第一魔法障壁」が巨大ロボットばりに動き出してそれをおっぱじめたのは、なかなかアツかったです。

 芸能人声優について。綾野剛は素晴らしかったですが、忽那汐里はちょっと……お姫様な声ではありますが、演技にほぼ感情が乗らないので、この超重要役をあてがうべきではなかったと思います。



 選挙後ゴニョゴニョ。

○「オタクは必ず否定形から入るから嫌われる」みたいなこと、よく言うでしょ。オタクに限らず、否定的な人間は信頼を得られない。
 野党&その支持者は、主張が間違っているのではなく「信頼されてない」現状を強く認識して、否定の言葉を封印しない限り、どんなに正論を積み上げても浮上できないと心得るべし。

○あと、与野党関係なく、ふだん欧米基準欧米基準言うてる政治家は、選挙で「敗北を認めて対立候補を賞賛する態度」も基準にして欲しい。その文化がなく罵り合う国を憂えます。少なくとも、二大政党制とか永久に無理。

○次は都知事選だけれども、もう都民ではないので好き勝手不謹慎を言わせてもらえれば、都政の喫緊の問題は築地市場だと思うので、当選したらポピュリズム的に得点を取るための行動だけを起こして築地の計画をつぶしてくれて、そんで即ぽっくり行くかまたスキャンダルで再選挙、となりそうな方を選ぶのがよろしいかと思います。
 その後は、特に1960年代のインフラがぐちゃぐちゃしてるエリアの方は、ちゃんと土建公共事業を推進する知事を選ばないと、マジでそろそろヤバイよ。老朽インフラが壊れて人死にが出てから計画立ててるようじゃ手遅れだよ。ていうか、東京五輪てそのための誘致と思ってたんだけど、ここんとこは自民さえあてにならんという悲惨状況に合掌するしか。

○ところで、「インデペンデンスデイ」は、続編公開前に旧作が当然地上波放送されるであろうと踏んでいたのに、テレ東の午後ローでパチモンやっただけっぽいんだよね。……まさかと思うんだけど、「選挙前だから」って理由じゃないよね?



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2016年07月08日

疑惑のチャンピオン

[55点]@シネリーブル池袋

 ツール・ド・フランス7連覇を達成したランス・アームストロングの薬物使用疑惑問題の映像化。

 うーむ、いろいろ演出に凝ってるのはわかるんだけど……史実ベースの話を時系列通りに並べてるので仕方ないとはいえ、とにかく抑揚に欠け、ちっとも盛り上がりません。
 昨日今日で語られているように見えて実はロングスパンな話で、ジャーナリズム・薬物検査技術側による追及の進展のなさが酷く、ほぼ無能にしか見えないのが難点の一。
 それから、「ツール・ド・フランスに優勝することそれ自体がどれほどの栄誉か」という根源の描写が欠けていて、そこが薬物で汚されることの重みがあまり伝わってこないのが主因だと思います。

 「えぇやん、ドーピングくらい。今までもみんなやってたんやし。それで金と名誉手に入るんやし」てくらいにカジュアルなんですよね。彼が「癌の克服者」であることから、「どん底から這い上がるハングリーさ」は否定せず、「薬に耐えるのも人間の度量のうち」的な認識もさりげなく出ていたり。
 アメリカ人は自転車競技自体には興味ねぇよって割り切りつつ、薬物問題については、他の分野でもカジュアルに薬物が蔓延するアメリカの問題意識を真摯に切り取って作ったのであろう、とはわかるのですが……。

 結果、競技そのものや、その影響で敗者に甘んじた競技者たちへの目配せはほぼありません。そういう勝者のみをピックアップする姿勢が、勝利絶対主義からの薬物蔓延を助長しちゃうんじゃないかな、と思ってしまいます。これでいいのかなぁ?


 それにしてもなんだな、この邦題で自転車モノっていうと、……「弱虫ペダル」は全然関係ないからね!



劇場版 弱虫ペダル[Blu-ray] -
劇場版 弱虫ペダル[Blu-ray]
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