2016年08月03日

短評(ちえりとチェリー/トランボ)


ちえりとチェリー
[55点]
@ユーロスペース
 「チェブラーシカ」で知られる中村誠氏のオリジナル新作。
 これマジでストップモーション? と驚く流麗なアニメーションは、背景まで丁寧に作り込まれており、「コララインとボタンの魔女」くらいは比肩できる素晴らしい出来。特に「死神」のガチ怖さは異様。
 ……なのですが。
 ポスターではユーリ・ノルシュティンが「脚本がすばらしい」と褒めてんですが、どんなリップサービスかあるいは海外向けの字幕or吹替がよほどうまく刈り込まれていたのか? プロットは間違ってないのに、状況も気持ちも話の意味も、映像で見ればわかることをセリフでも畳み込んでぜーんぶ説明する、邦画の悪いところを詰め込んだような吐き気を催すシナリオに、「この人本当にアニメーション作家の自覚あるのか?」と軽く絶望しました。
 セリフと過去回想削って作り直してください、話はそれから。アニメってのは、それでも伝えられる表現手法だからこそ、世界で愛されるのだと信じてます。


トランボ -ハリウッドに最も嫌われた男-
[60点]
@TOHOシネマズシャンテ
 赤狩り時代に創作を禁じられた脚本家ダルトン・トランボの境涯を描く作品。「これは映画ではない」のような、それでも創作せずにはいられないクリエイターの矜持……を期待して見に行ったのですが。
 20年に及ぶ歴史に主要人物だけでも20人以上が絡み、年齢や立場や流行の変化によって容姿がどんどん変わる中、物語の視点はあっちにブレこっちにフラフラ、トランボ自身も意図がブレて一貫しませんし(人間性の証左ではある)、「家族大事」話も当然のごとく割り込んでくる非常にごちゃついた作り。すごいことやってるイメージはあるのに、あまり伝わってきません。
 「表現者への弾圧」が、人間の尊厳とか精神論より先に、訴訟と失業で語られるというのは、アメリカだなぁとは納得しましたが……僕自身の受け皿不足で理解が及ばない部分もありますので、これから見る方はせめて「予習必須」で臨んだほうがよいかと。

 ……ジョン・ウェインが年取ってもジョン・ウェインだったのはなんかカッコよかったです。いや、この映画では悪役の側なんですが。



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これは映画ではない [DVD]
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2016年08月01日

シン・ゴジラ

[90点]@TOHOシネマズ新宿

 凄かった。おそらく今年のベスト。

 ハリウッド版ゴジラでも書いたけれども、本作もとにかく「こんなん来たらもう人類にはどうしょうもない」絶望感がハンパないです。序盤でさえそうなのに、中盤のあのシーンの圧倒的熱量ときたらもう……。
 それでも人類は、ずーずーしくも何かしなきゃいけない池田華奈なのです。ハリウッド版はそこを「軍人」に託すわけですが、日本では、軍事力の前に「政治家」が背負わねばなりません。

 スタッフロールに「岡本喜八(写真)」と出て驚きました。はっきりと覚えていないので間違っていたら何なのですが、この作品で写真しか登場していないのは「博士」のみ。そして博士が託す印象的なメッセージ。
 「3/11」を経験した日本で、「日本のいちばん長い日」を下敷きに、「エヴァ」の手法を駆使して描く、ゴジラ。庵野秀明が培ってきたすべてをぶっ込んだ、まさしく「好きにやった」真骨頂。ツッコミどころや細かいウンチクをこれでもかと詰め込みながら、圧倒的な情報量とスピードで「状況」を一気に押し流していく。
 錯綜する情報、役立たずの常識、序盤ではややコミカルに右往左往しながらも、明らかになっていく犠牲の生々しさに、「関わらざるをえない人たち」の覚悟と意志が次第に固まり、その先に知識と技量が集結していく、状況。
 本作に、「情念」や「ドラマ」はありません。
 真の危機に、そんなものを描いている余裕はないのです。

 ただゴジラがいる。
 奴がやってくる。
 一切のことわりの通用しない相手に、それでも人間は、ことわりをもってせねばならぬ。人の人たるは理性以外にないのだから。




細かい余録。

○唯一あれれと引っかかったのは、「循環冷却剤である血液を凝固させた」のになんで「凍結」したんだろう? 熱暴走で殺すんじゃないの?

○ひたすらマジに見える世界観の中で、監督の中の小学生魂が炸裂した「新幹線爆弾」に「在来線爆弾」をたたみかける天丼にもうなんか涙が出そうでした。アレ絶対「ぼくのつくったさいきょうのごじらのたおしかた」みたいな、常人なら黒歴史級の過去のアイディアを引っ張り出してやったと思う。
 なお、

 本作の協賛企業・協力企業に「JR」は入っておりません。

 勝手にやったのか! すげぇな。

○石原さとみは完璧でした。見事なまでに「特撮に登場する謎の女性」です。予告編だけで dis ってすんませんでした。
 石原さとみについて友人と話したこと。
 「海外から唐突にやってくる混血の強気女子、あれってつまりアスカだよね
  +こんだけのテクノロジーあれば実写版エヴァンゲリオンとか考えちゃうよね
  =つまり石原さとみにプラグスーツ着せたら最強

○見える画面の多くが自分の生活圏で、それでアガった部分もあります。
 しかしながら、ぼくんちは壊されてませんでした。ちぇっ。
 予告編、南から来る映像かと思ってたら西からだったのか。

○この映画に対し「政治パートが退屈」「安倍政権のプロパガンダ」なんという感想が散見されるけども、それはたぶん「政治家は政治という仕事をしている」という本質的な理解ができてないかわいそうな人なので、生暖かく見守りましょう。

○本作は、百ヶ国以上で公開されるそうです。
 大変にめでたいことですが、……あのシナリオをどうやって翻訳するのか、翻訳家が絶望してる顔が目に浮かぶ……ご愁傷様です。



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2016年07月26日

ワンピースフィルム ゴールド

[75点]@チネチッタ

 最初に……これチネチッタじゃなくて東映の宣伝担当が悪いと思うんだけど、
 予告編を「プリキュア」→「湊かなえ」→「仮面ライダー」の順で流すのヤメレ。
 東映は持ち玉少ないせいで、こういう無茶予告をよくやるよな……。


 「ストロングワールド」「」感想。
 さて。
 相変わらずの、ケレン味たっぷりの総花演出。お祭り作品と割り切るのが吉。
 今回は、導入も世界観も対立軸もしっかりまとまっていて、すんなりひたれるのが楽しいです。

 ストーリー的には、「だまし切るのはナミ」が結論なのは予定調和みたいなもんですが、それにしてはガバガバっつーか無理筋なのはまぁしかたないか。
 「初めからフランキーを最下層へ到達させるのが目的」って、北大路欣也キャラの出会いや奮闘に無意味感が漂うんですけど……加えて、彼がらみの「海軍&革命軍」はおまけにすらなってないというね……。唯一意味を見出すならば、「子供でも倒せる敵としてスパンダムを出す」ためです。ヒデェなおい!

 セリフ中にそれぽい単語をいくつ積み上げても、本質的にカジノとかギャンブルとか関係ないのは、むしろよかったと思います。麦わら一味が金儲け否定する話になったらどうしよう、と思っていたので。そこはちゃんとワンピースらしい「敵キャラ」設定がテゾーロになされていました。天上人との関係をもう少し踏み込めたら奥行きがあったと思いますが、あまり深く突っ込んで麦わら一味の活躍にブレーキをかけてもいけないし、あれくらいがちょうどよかったかもしれません。
 中盤の、ルパン三世みたいなスパイコメディ演出とか、やっぱり楽しかったですもん。「ラキラキの実」のアイディアも面白かったなぁ。

 ともあれ、もはや最大公約数で作らざるをえない「ワンピース」を、きちんと娯楽として作りこめている以上は、こっちも面白がって見るのが正解だと思います。
 あと、僕個人は、メガネロビンが麗しかったので満足です。


 ゲスト声優もほぼ問題なし。
 満島ひかりやケンドーコバヤシがうまいのはまったく驚きませんが、菜々緒に驚きました。寿美菜子かと思ってた。
 おそらく、芸能界の力関係で押し付けられた「ダメなゲスト声優」は、前哨戦のテレビスペシャル「ハートオブゴールド」にぶっこまれたと思しき割り振りにGJ!
 ハートオブゴールド、あの棒読みヒロインを悠木碧に置き換えるだけで、まったく別作品になってたと思うぜ!



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2016年07月24日

短評(ファインディングドリー/インデペンデンスデイ2/だColor)


 いよいよ週末から庵野ゴジラですが、どうなりますか。
 とりあえず、石原さとみは見なかったことにしようと思っています。
 あと、予告見る限り、ぼくんちはゴジラに踏みつぶされるみたいです。きゃー!


ファインディング・ドリー
[55点]
@ユナイテッドシネマ豊洲
 安定した良いデキだとは思いますが、正直イマイチでした。完全に子供向けのアトラクション・ムービーなのに、ドリーの記憶があまりにご都合主義で、義務的にイベントが発生し、登場人物がしかたなくそれをこなしていく感があって、あんまり楽しくありません(楽しいのはハンクの擬態くらい、かなぁ)。結果、クライマックスたる「再会」シーン前後で、客席の複数の子供がグズり始めた、というのが、本作のわかりやすい問題点だと思います。
 ドリーだけを暗い画面の中で迷走させ、どんどん悪い状況に転がった果てに、子供が喜ばしい何かを期待するワケないんです。やるなら、「貝の道」だけはドリーの記憶に完全に焼きつけて、「貝殻=幸福」と条件反射するように演出すべきでした。また、こんな中途半端な立ち位置にするくらいなら、社会現実を織り込まず、人間をはっきり「悪」と置いてしまえばわかりやすかったのでは。
 「ズートピア」もギリギリまで暗いモチーフを盛り込もうとしていたと言うし、かのアニメ業界も、迷走期のトンネルに突っ込んでますかね。

 逆に、短編の「ひな鳥の冒険」は綺麗すぎました。あれ、最後に「ヤドカリを食う」がオチじゃねぇのかよ!


インデペンデンスデイ リサージェンス
[50点]
@ムービル
 前作は見たはずなんだけど記憶にありません。……多分本作もすぐ忘れると思います。何せローランド・エメリッヒ最大の強みである「ハッタリ効かせる」があまりに脆弱なので。
 「大西洋全域を覆う宇宙船!」という大ネタがなんの役にも立ってない衝撃(マジにそんなの来たら、着陸だけで地球の軌道が狂って人類滅亡すると思いますが)! 前作より小さくても全く問題なかったんじゃないでしょうか。
 ていうか、「地球の既成技術で、(実際はアメリカ一国で十分だった記憶がありますが、建前上は)地球人類一丸となってやっとこさ戦う」が前作の凄みだったはずですが、今回は「エイリアン技術」があって地球側がなんでもアリ状態になってるため、まるでピンチに陥ってるように見えないという……。


だColor? THE脱獄サバイバル
[40点]
@ヒューマントラストシネマ渋谷
 脚本・福田雄一に心理ゲームなんて期待したこっちが馬鹿だったわけで、単なる長たらしい笑えもしないコント。吉本興業の小遣い稼ぎに協力させられたみなさま、ご愁傷様。
 とはいえ、「必ず裏切る/裏切られる」が「政治犯の定義」で、「最後まで裏切らなかったら政治犯じゃないから釈放」というロジック(それも「子供に言わせる」という趣向)はちょっと面白く、日本だから逮捕されずにすむトラブルをいくつもやらかしているパヨク界隈の方々には、是非見ていただきたいと思います。



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2016年07月23日

劇場版アクセル・ワールド -INFINITE∞BURST-

[50点]@チネチッタ

 テレビシリーズをどう評価するか、と言われたら、これはもう「日高里菜のベストアクト」しかないんであって、

 で、本作は総集編パートと新作パートに分かれており、新作パートにはテレビシリーズでやってないキャラやら設定やら、何の説明もなしにワラワラ出てきやがって和気藹々で何この「顔見世オンリー」状態、それこそ総集編パートでやっとかなアカンのちゃうん、と考えたとき、

 2クールを30分ほどに圧縮した総集編パートにおいて、他の重要な設定やバトルをすべて端折ってなお、地上波における「怪光線なし」の限界に突っ込んだ「あのシーン」だけはがっつりきっちりやっちゃった以上は、本作は「総集編のほうが本編」と判ぜざるをえず、

 その点、製作者たちは本作の本質というか真骨頂というか、よくわかってんなぁ、素晴らしいなぁと、「本編はもしかして劇場版SAOの予告編だったんじゃねぇの」という疑念を払拭するためにも、オレだけはひたすらに思い込みたいのであります。

 以上。

 ニコかわいいよニコ。



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2016年07月15日

ペレ 伝説の誕生

[80点]@TOHOシネマズシャンテ

 あれ。おかしいぞ。なんで僕はこの作品をシャンテなどというオシャレ映画館で見ておるのだ? で、公開回数が、シャンテ以外はどこも二週目で日に二回とか?
 アホだろ関係者。「リオ五輪始まるし、ブラジルっぽいの需要あるかなー」くらいにしか考えてないだろ。ふざけんな。

 これ、少年マンガですぜ。サッカーの神様の実話が、激アツスポ根マンガ脚色ですぜ。
 どん底のスラムから這い上がるべく、エリートに立ち向かい、父から誇りと「必殺技」を受け継ぎ、努力! 友情! 家族愛! 挫折! 再起! そして勝利も勝利、世界の頂点ワールドカップ優勝まで駆け上がるのだ!
 このアツい展開が、リズムの良い音楽に乗せてガシガシ突き進んで、そして最高潮に達するあるポイントでペレ本人がカメオ出演するに至って、オレマジで涙ちょちょぎれるかと思ったわ!

 ブラジルのナショナリズムがちょっと入ってくるけど(でも全編英語なのが不思議)、スポーツの話なんだからそこは許したれ。
 間違いなく、子供のため、サッカー少年のために作られた映画。逆に、彼ら以外の観客には「ふーん」で終わる懸念があるには違いなく、世間的には実際そうなっちゃってる感じがするのがもったいない。ペレの「10歳から17歳までしか描かない作品」ってだけでも、関係者にはそこを読み取ってほしかった。

 まず、子供でもわかる吹き替え版作れ。そんで、Jリーグと結託して、全サッカー少年に優待鑑賞券配るくらいのことせぇ。夏休み中公開しとけ!
 埼玉の公開劇場が幸手と富士見って何だよ。埼玉、サッカー王国じゃねぇのか。TOHOシネマズが少ないからか。だったら千葉の市原と柏はなんだ。Jリーグ本拠地で、この作品を公開していないのは恥だと思え。
 あとな、マンゴー生産日本一の宮崎県も引き込め。マジなサッカー少年が見たら、明日からマンゴーでリフティング始めるからな! それくらい洗脳能力あるぞコレ!



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 ……いや、これは何か違う。
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2016年07月13日

短評(フラワーショウ/キングスグレイブ)&選挙後ゴニョゴニョ


フラワーショウ!
[50点]
@ヒューマントラストシネマ有楽町
 失敗した。期待したのと違った。でも想定してしかるべき範疇で、これはこれで好きな人はいる内容です。僕に合わないというだけで。
 ガーデニングもので、既製の園芸に若い女性が自然志向で風穴を開けるという実話ベースの作品ですが、「プラダを着た悪魔」や「イン・ハー・シューズ」と同じ「お気楽極楽」路線だったのです。汚いところや醜いところは見ずに、上澄みだけすくい取った仕上がりになってます。
 ものすごくエコ方面に意識高いモノローグがべらべら入りますが、この作品における「自然」は、ほぼ主人公の言いなり。その点の苦労はなきに等しく、人間がなべてコントロール可能という思想のうちにある欧米的な作りです。
 じゃあ主人公はいかなる挫折や困難に直面するか? というと、アフリカの砂漠緑化の使命に燃えるイケメン園芸職人をいかに振り向かせるか? に中盤のほとんどを費やすという……なんかもう、背中ムズムズしたわー。


KINGSGLAIVE FINAL FANTASY XV
[65点]
@シネ・リーブル池袋
 150億円かけた駄作から15年、ファイナルファンタジーが再び映画になった! ……今回は、シリーズ最新作の前日譚、のようです(なお、自分のFF経験は6まで)。
 日本人メインで制作したフル3D映画だから、またどうせ少人数で世界の運命をこねくり回すんだろうな、と期待せずに臨んだら、一都市(新宿が未来都市化されている!)の攻防のみに話を限定しつつ、いくつもの視点が入り乱れて進む、なかなかどうして中身の濃い作品で、充実感がありました。このクオリティならもっとやってほしい。また、近年のFFファンからは絶賛されている模様なので、気になっている方は是非。
 個人的には、手放しで面白いかと言われると微妙ですが……なんでタコそんなとこおんねん、とかね……お姫さま救出ミッションが単なる陽動ってことは、序盤で死んだあの黒髪お姉ちゃんが報われなさすぎじゃんかさ……。
 アクションの大半が何やってんのかわからない出来なのも、ちょっと残念。ただこれは、「剣投げワープ」という独自のアクションが超カッケー、てことさえ伝われば、ゲームの販促としては問題ないんでしょう。「第一魔法障壁」が巨大ロボットばりに動き出してそれをおっぱじめたのは、なかなかアツかったです。

 芸能人声優について。綾野剛は素晴らしかったですが、忽那汐里はちょっと……お姫様な声ではありますが、演技にほぼ感情が乗らないので、この超重要役をあてがうべきではなかったと思います。



 選挙後ゴニョゴニョ。

○「オタクは必ず否定形から入るから嫌われる」みたいなこと、よく言うでしょ。オタクに限らず、否定的な人間は信頼を得られない。
 野党&その支持者は、主張が間違っているのではなく「信頼されてない」現状を強く認識して、否定の言葉を封印しない限り、どんなに正論を積み上げても浮上できないと心得るべし。

○あと、与野党関係なく、ふだん欧米基準欧米基準言うてる政治家は、選挙で「敗北を認めて対立候補を賞賛する態度」も基準にして欲しい。その文化がなく罵り合う国を憂えます。少なくとも、二大政党制とか永久に無理。

○次は都知事選だけれども、もう都民ではないので好き勝手不謹慎を言わせてもらえれば、都政の喫緊の問題は築地市場だと思うので、当選したらポピュリズム的に得点を取るための行動だけを起こして築地の計画をつぶしてくれて、そんで即ぽっくり行くかまたスキャンダルで再選挙、となりそうな方を選ぶのがよろしいかと思います。
 その後は、特に1960年代のインフラがぐちゃぐちゃしてるエリアの方は、ちゃんと土建公共事業を推進する知事を選ばないと、マジでそろそろヤバイよ。老朽インフラが壊れて人死にが出てから計画立ててるようじゃ手遅れだよ。ていうか、東京五輪てそのための誘致と思ってたんだけど、ここんとこは自民さえあてにならんという悲惨状況に合掌するしか。

○ところで、「インデペンデンスデイ」は、続編公開前に旧作が当然地上波放送されるであろうと踏んでいたのに、テレ東の午後ローでパチモンやっただけっぽいんだよね。……まさかと思うんだけど、「選挙前だから」って理由じゃないよね?



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2016年07月08日

疑惑のチャンピオン

[55点]@シネリーブル池袋

 ツール・ド・フランス7連覇を達成したランス・アームストロングの薬物使用疑惑問題の映像化。

 うーむ、いろいろ演出に凝ってるのはわかるんだけど……史実ベースの話を時系列通りに並べてるので仕方ないとはいえ、とにかく抑揚に欠け、ちっとも盛り上がりません。
 昨日今日で語られているように見えて実はロングスパンな話で、ジャーナリズム・薬物検査技術側による追及の進展のなさが酷く、ほぼ無能にしか見えないのが難点の一。
 それから、「ツール・ド・フランスに優勝することそれ自体がどれほどの栄誉か」という根源の描写が欠けていて、そこが薬物で汚されることの重みがあまり伝わってこないのが主因だと思います。

 「えぇやん、ドーピングくらい。今までもみんなやってたんやし。それで金と名誉手に入るんやし」てくらいにカジュアルなんですよね。彼が「癌の克服者」であることから、「どん底から這い上がるハングリーさ」は否定せず、「薬に耐えるのも人間の度量のうち」的な認識もさりげなく出ていたり。
 アメリカ人は自転車競技自体には興味ねぇよって割り切りつつ、薬物問題については、他の分野でもカジュアルに薬物が蔓延するアメリカの問題意識を真摯に切り取って作ったのであろう、とはわかるのですが……。

 結果、競技そのものや、その影響で敗者に甘んじた競技者たちへの目配せはほぼありません。そういう勝者のみをピックアップする姿勢が、勝利絶対主義からの薬物蔓延を助長しちゃうんじゃないかな、と思ってしまいます。これでいいのかなぁ?


 それにしてもなんだな、この邦題で自転車モノっていうと、……「弱虫ペダル」は全然関係ないからね!



劇場版 弱虫ペダル[Blu-ray] -
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2016年07月04日

ウォークラフト

[評価保留]@TOHOシネマズ川崎

 「月に囚われた男」「ミッション8ミニッツ」と立て続けに傑作をものしたダンカン・ジョーンズ監督の新作は、自身もヘビープレイヤーだという海外の超有名ゲームの映像化。
 ……なんだが……海外での評判めっちゃ悪いとは聞いていたのだが……うーん……なんというかこれ……。
 つまり、2時間かけてやっと「舞台説明が終わった」状態で、解決すべき「葛藤」を積み上げて、「それを解決する主人公が登場するのは次回作以降」ってこと……だよね?
 もしダンカン・ジョーンズ流のトリッキーな仕掛けがあるとしたら、構想されている「三部作全体で」なんかやらかすんじゃないか、という期待はあります。

 とはいえ本作だけを見ると……序盤の「お使い一本道JRPG」かよ! とすら思ったあまりに酷い物語進行に腰が砕けそうになり、それすらまともにこなせないままあっちこっちへ視点をブラすのでもう何がなんだか……。
 特にオーク側が、裏切りに裏切りを重ねる展開なのに「各キャラの見た目に大差がない」ので誰が何やってんだかつかみづらく……。
 「単純な勧善懲悪でない」「一筋縄ではない」複雑な世界を構築したかった意図はわかるのだけれど、その複雑さを提示するだけで手一杯で、掘り下げには限界があった印象です。考えてみると、ジョーンズ監督は「視点が複数ある」作品はこれが初めてなわけで、もしかすると世界全体を把握し切れてない可能性が……あるかもしれない?

 映像やアクションシーンも……ゲームの世界観の再現はきっちりできている、という話らしいのですが、LotKシリーズとかと比べるとあんまり凄みはなく……。
 率直に言って、集団戦の殺陣にキレを感じなかったんだよねぇ。フルCGであろうオークvsオークはそれなりだったけれども。


 続編を待ちます。今回用意された舞台装置の上で、今後登場する主人公視点で引き締まった物語が展開されるのなら、無駄ではなかったと信じたい。



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2016年06月28日

短評(ガンダムサンダーボルト/エクスマキナ/10クローバーフィールドレーン/シークレットアイズ)


機動戦士ガンダム サンダーボルト -December Sky-
[75点]
@新宿ピカデリー
 ウェブ配信された作品の総集編。だけど、これは劇場で観てナンボといっていい作品。音響や作画もさることながら、本作は主人公両名がガチで「殺す」の感情剥き出しでぶつかり合い、かつその熱量・脳内麻薬放出量が先に進むほどにえらい勢いで上がっていくので、ぶつ切りで見るのは絶対もったいないです。
 「命の価値」の扱い方も、従来作品とは一線を画し、まさにお子様お断りの「戦争」するガンダム。面白かった!
 

エクスマキナ
[80点]
@チネチッタ
 これじゃないよ。本年度アカデミー賞視覚効果賞を受賞したSF作品。
 ひとこと、傑作。……なんだけど、説明する言葉が追いつかなくて困ってます。ドラマのほとんどが高水準の理系&哲学的会話で構成された知的フィクション。といっても、小難しい専門用語で眩惑することなく、物語としても興を引く「裏をかく」「その裏をかく」の心理戦を成立させながら、「人間」と「人工知能」の差異を探り当てるべく深く潜っていくので、最後まで目が離せません。
 もっとも、実質四人しかいない登場人物が、ほぼ会話で絡み合うだけなので、娯楽作だと思ってたり「わーい美少女アンドロイドだー」とか思ってライトな気分で見ると死にます。注意されたし。
 音楽と映像も素晴らしいです。日本では絶対に撮れない作品。あぶない刑事の感想でも書いたけど、あぁいう未来的な印象のある建築物がないからね!


10 クローバーフィールド レーン
[60点]
@TOHOシネマズ日劇
 「クローバーフィールド」の続編……というか、同一世界観で、POVからシチュエーションサスペンスに「ジャンルを変えた」別作品。こういう展開の仕方は面白い。
 サスペンスとしては普通。真新しいところは特にないけど、話の抑揚といい伏線の置き方といいキッチリ作り込まれ、低予算なりに時間忘れて見入ってしまう良い娯楽作でした。「SAW」みたいな導入が安直過ぎたのと、「過酸化塩素酸」の登場のイキナリ感はマイナスかも。
 僕はヤツが出てくることは百も承知で見てたわけだけども、……というか、もっと早く出てくるかと思ったら、今回も最後だけかいっていう……知らない人はアレどう思ったんでしょうか。すごいオチ……とは感じないんじゃないかな……。


シークレット・アイズ
[65点]
@TOHOシネマズシャンテ
 アルゼンチンで大ヒットしたという作品の、ハリウッドリメイク。
 発端は13年前の殺人事件。被害者が警察官の娘、容疑者が警察に情報を売る情報屋、という組み合わせ。情報屋を守るために事件は握りつぶされてしまい、それを不服としていったんは警察を辞めた主人公は、その容疑者が別件逮捕後釈放されたのを探り当て、担当検事に再捜査を求める……という筋立て。
 率直に言って、これは元となったアルゼンチン版が見てみたいです。たぶん、警察内の腐敗した派閥と正義感のある派閥の抗争、みたいなシンプルな設定がベースだと思うんですよ。しかし本作は、発端の事件がアメリカ中がテロ再発に怯える911直後に設定され、情報屋が「モスクの情報の提供者」になっているため、焦点がぼやけてるし、最終的に「なぜあんなにも守りたかった情報屋が消えたことが問題視されてないのか」疑問が残ります。
 しかしながら、ほどよくダマされた感を味わえるうまいミスリードがなされていて、後味悪い終わり方が後味いいです。13年前の犯人と現在追っかけてる人物は別人」というのは、「性癖の違い」ゆえに見てる側にはほぼ序盤から明らかなのに、主人公はそこを無視して行動するので、違和感も彼を中心にできあがります。しかし提示される真相は至ってシンプルにしてもっと残酷なのです。



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2016年06月26日

帰ってきたヒトラー

[85点]@TOHOシネマズシャンテ

 傑作である。
 素晴らしいタイミングで公開された、まさに今見るべき映画。政治的主義主張は関係なく、誰もが見るべき。
 何より映画としてのデキが抜群だ。非常にテンポよく進み、ストレスがまるでない。2時間あっという間に経ってしまう。笑えるシーンも多いが(「最期の12日間」のパロディのぶっ込み方なんか最高なんだけど、アレ人を選ぶよなぁ。パロディのシーンは他にもいろいろありそうな)、基本的にはマジメに、目を凝らして見た方がいい。


 このたび英国のEU離脱が決まった。市場は大荒れだった。日本でも猛烈に円高が進み、株価は一時1200円も下げた。
 これほどまでに世界が動揺した理由は何か?
 移民の問題? 貧富の問題? 貧困層はみんな民族主義のレイシストか? それともEUの法制? ココアの甘さまで決められちゃうから?

 問うたのはそこじゃない。なぜ動揺したか、だ。
 誰も離脱を想定していなかったのだ。政治家とか、資本家とか、アナリストとか、そういう偉い人たち、世界を動かす側にいる人たちが、離脱を想定していなかった。残留を前提に経済は動き続けていた。だからいま世界中が騒然としている。
 なら彼らはアホだったのか? 驕っていたのか? まさか。彼らの情報感度や解析力の高さは、素人とは段違いで、普段なら彼らは、何が起きてもある程度「織り込み済み」で、淡々と行動する。それでこそ世界を動かせるのだし、その優秀さを舐めてかかる庶民が「また政治家が」とぶぅたれるのを、これまでは巧みにかわしながら、自分たちの思う方向に誘導していた。
 しかし、彼らの能力をもってしても埋められないほどに、格差が開きすぎたのだ。所得の話だけじゃない。思想とか、価値観とか、人権意識とか、「ヒトがヒトである」域でさえ乖離してしまった結果なのではと、思わずにいられない。


 本作は、現代にヒトラーが甦ったらどうなるか、という物語。
 ヒトラーはもちろん、歴史が示す通り、情報戦の重要さを知っている。プロパガンダの重要さを知っている。彼の設定したゴールは、開幕当初からあまりに明確だ。彼の振る舞いが「笑い」に見えるのは、彼が現代社会について無知なだけだ。人は無知を笑う。しかして彼は言う、「まずは情報収集だ」。
 彼は新聞を知っている。映像の威力を知っている。インターネットを知って驚愕する。
 そして。
 彼は市井の人々から丁寧に話を聞いていく。

 本作はユニークな構成である。
 ここでドキュメンタリーになるのだ。
 ものまね芸人と思い込んだテレビマンの若者とともにドイツ国内を巡り、ヒトラーはごく普通の素人と話し合う。すると人々はいっせいに政治への不満をぶちまける。
 彼はまた、既存のメディアや政治批判もまた骨抜きにする。実在のテレビ番組に出演し、実在のネオナチと相対し、言葉をぶつけ合わせる。
 その多くは、「タブーに触れる」話である。

 (別の話だが、「ボーグマン」は移民について活写した映画である。
 だけど監督は、移民の映画だとはひとことも言っていない。今の欧米で、移民を非難することはタブーだからだ。)
 (偶然知った面白い話がある。現在のドイツでは「ナチスを想起させるもの」が法律で禁止されているが、「ヒトラー本人」だったら禁止しようがなく、本作はその法の穴を突いているのだという)

 話す相手が「タブーに触れる存在」であるヒトラーだからこそ、彼らは素直に胸襟を開けたのだし、ヒトラーを描く映画だからこそ、その直截な言葉を批判や皮肉として世に出せている。僕にはそう見える。
 ヒトラーを介さなければホンネが通わない世界。なんだそれは。
 この絶望的な状況が、実に面白い、というさらなる絶望的状況。うはぁ……言葉にならない。


 彼は最終的に、優生主義者の邪悪な一面を露わにし、そこから物語の幕引きへ道筋がつけられる(この幕引きが恣意的に感じるのが難……というか、「彼」に、この結末しかなかったかなぁ?)
 この物語はフィクションであり、映画は終わる。しかし、「終わった後」、つまり彼の設定したゴールが強く示唆されている。そして、1939年のドイツにもしも自分がいたら、間違いなく彼に投票していたろうと、本心から思う。

 それは僕が邪悪だから? レイシストだから? あるいは、邪悪な政治家たちに騙された、可哀想なポピュリズムの被害者?
 それでもいいよ。でも、そうしたレッテル貼りや悪者探し・吊し上げに執心な人たちにはたぶんわからない、「情報」に関する絶望的な乖離を、ヒトラーは嘲笑いながらねじ伏せて我がものとし、すべてを掌中にするだろう。

 それをなせる「現代のヒトラー」はいるや否や?
 わからない。
 それでも、政治家を選ぶときの最低限の基本常識は、「無能な善人より有能な悪人」だ。僕らは、「ヒトラー」のリスクを覚悟しながら、より有能と思える人を注意深く選ばなければならない。


<追記 6/30>
 衝撃の日々から一週間、公約違反がどうの再投票がどうの、未だにメディアの論調はまさしくこの状態。「中の人」たちは、本当に何もわかっていないし何も感じていないのだと空恐ろしい。
 マジでヒトラーが現れなければ変わらないんじゃないかと思えてならない。向こう十年ほどは、世界は不安定で危険な状態が続くと予測します。みなさま防衛意識を強く持たれますよう。



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2016年06月16日

ロイヤル・ナイト 英国王女の秘密の外出

[80点]@109シネマズ二子玉川

 あなた! は! お姫さまが! 好きですか!
 好きですね!
 なら観なさい! 見ないと後悔するぞ。


 「ローマの休日」のモチーフとなったとされる、英国王室の王女姉妹が、戦勝記念日にお忍びで外出した史実のエピソードを、もちろんほぼ創作で映画化。監督は「キンキーブーツ」の、というか個人的にはこの作品のジュリアン・ジャロルド。
 ドキュメンタリーぽくなるかと思ったら、めっちゃコメディ。これ一本見るだけでも、英国王室がいかに寛大で人々に愛されてるかわかろうというもの。というか、当のエリザベス女王は本作を見たのか見てないのか、すごく知りたい。

 妹のマーガレット王女のほうがぽっちゃりで貫禄があって、最初はどっちが姉かわかりません。しかしすぐに「初めての外出」にはっちゃけまくる妹と、従軍して戦勝の重みを知り、王位継承者の自覚が芽生えつつあるまじめな姉、そのギャップがあらわになって、それだけですごく楽しいです。
 そりゃあオードリー・ヘップバーンの尋常ならざるかわいらしさには及びませんが、エリザベス王女を演じるサラ・ガドンには、自然体の美しさがあって、当時の感覚をまさに再現していて、観客を画面に引き込む力があります。
 あと、一生懸命スピーチ原稿に取り組むとーちゃん(「英国王のスピーチ」のジョージ六世。今回はルパート・エヴェレット)も魅力的。


 間抜けな護衛の目を盗み、怪しげな士官についてっちゃった妹を探して、偶然出会った空軍兵士の助けを借りながら姉もロンドン中を駆け巡る。でもどっちも世間知らずには変わりなく、地理はわからないし、お金の使い方も知らない。
 勝利に湧いたロンドンの一夜、その陰に残る無視できないいくつもの爪跡、そして姉妹が醸し出す、「これが最初で最後の自由」という寂寥感も重ね合わせながら、目くるめくドタバタ珍道中と一夜のロマンス。
 アクションシーンなどないのに、全編見どころまた見どころのノンストップムービーです。

 それだけに、終盤のまとめに少しもたつき、きれいにオチがつかない部分が多いのが惜しいですが、ラストの「守衛の視線」に免じてヨシとしましょう。
 すでにフィリップ殿下とはおつきあいしている時期だからね、まぁアレでね、あの演出はうまかった。



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2016年06月15日

マネーモンスター

前半[75点]後半[35点]@TOHOシネマズ川崎

 いやぁ……なんと言おう。
 オレほんとジョージ・クルーニーと相性悪いな。「ゼロ・グラビティ」以外、当たりがない。

 ジョージ・クルーニーが司会を務める生放送の金融情報番組に、彼が推奨した銘柄の暴落にブチ切れた男が乱入、放送を継続しながらふたりの駆け引きが始まる……という導入は、傑作「テロ、ライブ」を彷彿とさせてひたすらアガったもんですが。
 面白かったのは「犯人の彼女の罵倒」により、どっちも人生で得たはずの何かの価値が吹っ飛んで、奇妙な協調が生まれるあたりまでかなー。

 そこから先、「真相」がヒドい。

 悪いのは脚本家か監督のジョディ・フォスターか製作のジョージ・クルーニー本人なのかわからんが、ダメなリベラルの典型で、批判したいものを感情論でしか理解せず、まるで勉強してないことだけはよくわかった(あるいは観客がそのレベルでしか見ないとたかをくくっている)。
 それではどんなに批判したって、ウォールストリートには「あぁ娯楽だねぇ」と鼻で笑われて終わりだ。こんなので溜飲を下げるから、いつまでも勝ち組負け組の構造が変わらないんだ。

 えーっと、問題となってるアイビスキャピタルは、アルゴリズムによる株の高速取引を売りにする「投機会社」なわけだ。株式の発行で資金調達、それをそのまま市場にぶっこみ、株売買益を配当として還元する仕組みだろう。
 ならば、この会社の価値は「アルゴリズムの信頼性」にあるはずだ。そこが投資対象だ。「アルゴリズムの誤動作で損失出しました」などと認めた瞬間に社運が尽きる。「原因不明」までついたらなおさらだ。この会社は、作品冒頭の時点で倒産するや否やの瀬戸際にある。
 ……という危機感が、あまり感じられないまま、まずはサスペンスが進む。ようやく主人公が、「暴落の原因を確かめよう」という方向に物語を誘導する。さぁ、ここからだ、となるわけだが。

 その上で「真相」があの通りであるならば、あのCEOは、馬鹿とか愚行とかそういう次元を超えている。やってること起きてることがあらかた理屈に合わず、どこからツッコんでいいのかわからない。
 あの「企み」は、天才にも馬鹿にも富豪にも貧者にも考えつかない。「どうにか話をまとめなくては」と追い詰められた作り手の頭の中以外では、絶対に成立しないロジックだ。そして彼らにとっての大前提は、「『アルゴリズムの誤動作』は、すべてを煙に巻ける無敵で魔法の言葉」なのだ。……ンなわけあるか!
 そんで、「金融アルゴリズム」を語るそばで、「ハッカーは万能、世界中の監視カメラにぜーんぶアクセスできてものの数分でなーんでもわかっちゃう! すげー!」な世界も確立されているという……。どういう思考回路があればこんな話が構築できるんだ……。狂ってる……。

 本作ではいちおう、民衆側の欲望や、すべてをネタ消費してフレームを起こす群集心理にもフォーカスしている。が、それらの点は、「テロ、ライブ」のようにスタジオ内だけで話を完結させるかに見せる手法が災いして、スタジオ外にある貧者の側の怒りや狂騒がよく伝わってこず、批判として成立しきっていない(3月6日に何が起きたのか、から始めるべきだったと思う)。
 それならそれで、POVっぽく作り込めば緊迫感だけは強まったはずなのに、あっちこっちフラフラするカメラのせいで魅力激減。特に、「警察の動き」を逐次描写するのは、語るべきテーマから乖離している。そのくせ、狙撃のチャンスなんぼでもあったのに実行しないし、犯人の素性はあっさり突き止めるわりに、「遠隔爆弾を手に入れるコネやスキルがあるか」は想像もしないし、総じてアホで邪魔。

 そしてラストシーンだ。
 お・ま・え・も詐欺の片棒担いだんじゃろがボケぇーーーっ! 何でちょっと幸せそうにしてんねん!
 ジョージ・クルーニーはあの世界ズッポリの「富める1%」の側やから、それでも抜け出せない、の結論でしゃあない。でもジュリア・ロバーツは「二度とこんなのはゴメン、向かいの局へ行く」
結論と違うの……?


 とりあえず、投資は自己責任で。
 自分がオカネについていろいろ見聞して得た最大の教訓は、「人生を賭けた勝負は必ず負ける」だ。勝てるのは、「たった六万ドル」と言ってのける余裕が、精神的にも資金にもある側だけ。そういう世界。
 それが理解できない人は、手を出しちゃダメです。損しても自業自得です。



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2016年06月13日

マイケル・ムーアの世界侵略のススメ

[70点]@角川シネマ新宿

 マイケル・ムーア監督も年齢相応に、体型だけでなく丸くなったようです。オバマ政権で国民皆保険や軍縮はいちおう端緒につき、次も民主党政権がほぼ確定てことで、あんまり声高に叫ぶ必要もないんでしょう(でもヒラリーはウォールストリートとべったりという話も聞くしなー、格差是正する方向の施策は後退するんじゃないかとちと心配)
 アメリカの暗部にガリガリ切り込んでいった突撃志向は影を潜め、今回はこれまで「比較対象」であった他国へ出向いて、この国はアメリカと違ってこんないい制度なんだよーと紹介していく、「なるほど・ザ・ワールド」な内容。「INVADE」という強い言葉を使うわりに、実に緩くて和やかです。

 ところがこれが意外に面白い。第一に、テンポのいい編集はこれまで通りですから、純粋に見てて飽きません。
 例によってアメリカとの比較しかしておらず、文化や歴史の相違は無視して他国の「よいところ」しか紹介しないので、ツッコミどころは多々あります。しかし、労働問題から教育問題犯罪問題、さらには政治や金融の問題へと、多様な視点の移動がスムーズで、かつだんだん深刻になっていく流れが鮮やか。そしてその流れの中で、ツッコミどころがある一点に収束していく構成にうなります。
 ホント、「その事実」を当のアメリカ人がぶち壊しまくって、今はもうきれいさっぱり、てわけだからねぇ……。


 知らなかったこと。
 ポルトガルでは薬物使用しても逮捕されない、という話の中で、「アメリカはなぜドラッグを敵視し、厳しく取締るのか」「なのになぜいつまで経ってもドラッグが撲滅できないのか」という点に、監督はちょっと意外な理由をつけます。うがって見すぎな気もするけど、そういう見解もあるのか。ふーむ。



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2016年06月08日

神様メール

[60点]@TOHOシネマズシャンテ

 旧来の宗教観とそれに根ざす社会のあり方を問う奇作。
 ホントに、いつから「神」というものは(「権威」や「国家」と言い換えてもよい)、「悪いことしかしない」という理解が当たり前になったんでしょうか?
 些細な悪事(マーフィーの法則作り)しかしなくなった「神」への嫌がらせのため、「神の娘」が「新・新約聖書」を作るべく、地上へ降り立って「使徒」を捜すコメディ。その過程でボッコボコにされていく「神」の哀れな姿が見もの。ここは素直に笑えます。

 しかし、「使徒」になる人々は要するに「自由恋愛主義者」で、「愛の形はいろいろ、旧来の価値観にとらわれるな」という内容なんですが、個人的にはあまりにリベラル&アナーキーに過ぎて、受け付けない部分が正直多かったです。
 「現代ではリベラル主張こそ神のお告げである。従え!」っていう過激な主張をしているわけで、ものすごくヤバい。

 カトリーヌ・ドヌーブの不倫相手が「黒人少年→サーカスのゴリラ」というのはまったく笑えないし、「神の恩寵」を受けて平和になる世界に「ウズベキスタンは含まれない」というラストシーンは悪意しか感じない(要するにボラット」と同じだよ!)

 「世界の中心は自分たちである」という傲岸さを隠そうともしていない、というか、その手前勝手な歪さを「ピュアな子供を主人公」にすることでカモフラージュしてるつもり、っぽいのがなお不快です。
 ブラックジョーク的に受け止めてね、という意図の可能性もあるけど、……素でわかってない気がするんですよねぇ。

 ウィットに富んだ、スキのないコメディには違いなく、ツボ入る人はドッカンドッカンいくタイプの作品なので、そういうこと気にしない方はどうぞ。


 にしてもなんだな、洗濯機がワープゲートってアイディアはどっかで見たことあるよ、な……。



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2016年06月02日

短評(デッドプール/ガンダムORIGIN3/殿、利息でござる)


 今日は Google ロゴが「ロッテ・ライニガー」だ!


デッドプール
[70点]
@TジョイPRINCE品川
 珍しく初日に鑑賞。
 序盤の路上ハイスピードアクションだけは、速さの緩急といいタイミングよく挟まれる小ネタといいサイッコーにキレるので、ここは必見といわざるを得ません。すばらしかったです。
 しかしそれ以降はトーンダウンするので、注意されたし。「マーベルユニバースにしては異端」であるだけで、キャラクターもプロットもそんなに珍しくはない、ていうかデッドプールさん以外は敵も味方も魅力が皆無な上に過去話は無駄に長いだけで、ストーリー派としてはいささか物足りないです。むしろマーベルを逸脱できない限界が足を引っ張っている感が強いです。
 コメディとしても、むりくり楽屋ネタとシモネタを連ねながら転がしていくだけなので、ネタの大半がわからない日本人には、ツウの皆さんがもてはやすほどには面白くないとしか……。リーアム・ニーソンの脇の甘さはまったくもってそのとおりだが!

 あと、本作のエンドロール後オチは、「眼帯のおっさんなんか出てこねーよ」て話よりも、あのインド人運ちゃんが、忘れてった銃器をどう処理したかって方がはるかに気になるのですが。


機動戦士ガンダムTHE ORIGIN III -暁の蜂起-
[75点]
@新宿ピカデリー
 第一章第二章
 シャアとガルマの出会いという、ファースト知っていると特に感慨深いエピソードを、バランスよく綺麗にまとめていて実に面白く、これまでの章と違い、余計なこと考えずにのめりこんで見られました。ガンダムやモビルスーツが出てこなくても、シンプルな架空戦記としてのよさが、白兵戦のリアリティによってより高まった感。邪悪なシャアが素晴らしいのなんの!

 ルウム戦役どうすんの? と言われてたんだけど、分割されることも判明して一安心。
 あと、見た後で、あの士官同期の女の子誰だっけ、記憶にはあるのになーと言ったら、ミネバのお母さんじゃん、と友人に返されて絶句。そうか、この時点のドズルはまだ結婚してないんだ! あのツラで!


殿、利息でござる!
[50点]
@109シネマズ川崎
 ピンとこない。劇中、瑛太が「あんたはどっちを向いているんだ!」と叫ぶシーンがあるけど、まさしくそんな感じ。中村義洋監督なので、個々のシーンの作り込みに手落ちはないのですが……。
 そもそもタイトルが間違ってるんです。史実がどうあれ、そして劇中でどんなに通貨価値の説明をしても、「利息」が話の中心にありません。
 「困窮する村を救う」目的に対する手段が「有力者が喜捨する」だけ。この作品には思惑の差こそあれ悪人は出てこないので、確執も弱い。娯楽のフォーマットに乗る物語ではないのを、どうにかごまかしている印象です(山崎努・妻夫木聡親子を「悪役」と思って欲しかったんだろうか? いやそれ、アバンで山崎努が悪人だと理解した人いねーべ? だから彼らの意図がわかっても「はぁそうだよね」でしかなく、人情ものとして成立しきらない)。
 最初から最後まで損得勘定でしか動かない、だがそういう冷血漢なりの処世術を見せ付ける、松田龍平の立ち位置はちょっと面白かったです。しかしそれゆえ、クライマックスでまた軸足がぶれてしまうというね……。



ロッテ・ライニガー作品集 DVDコレクション【3枚組】 -
ロッテ・ライニガー作品集 DVDコレクション【3枚組】
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2016年05月25日

シンドバッド

[55点]@TジョイPRINCE品川(旧品川プリンスシネマ)

 うわぁぁぁ超もったいねぇぇぇ
 ラピュタ級のポテンシャルがある作品なのに! これが完成型とは!
 やっぱり宮下新平監督が亡くなったことは、致命的な痛手だったんだろうな……。トワノクオンもそうだったけど、せっかくのオリジナルシリーズがこういう不幸に見舞われるとやっぱ辛いやね……。
 本作はいくらでも言い訳してくれて構わないので、ぜひリベンジしていただきたく。

 第一部第二部
 今回、「第三部」の公開であるはずが、前半に第一部第二部のダイジェストを置いてまとめた、2時間の作品として公開されました。第三部単体だと、これまでの不入りに合わせた観客数しか見込めない、が理由かと思ったのですが、実際見てみてわかりました。最大の理由は別にあります。
 第二部の感想で「微妙、間延びしている」と書きました。しかし今回、いわば「第三部前半」として挿入された、サナの過去回想&「ランプの謎が解ける」の部分が、本来は「第二部終盤」だったとするとすごくスッキリするのです。各章いずれも「サナの立ち位置が変化する」で幕を閉じることになるから。
 おそらく、監督急逝の影響で制作体制が混乱、第二部は「制作可能な部分だけ」で体裁を整えるしかなかった。本来は編集でカットすべき冗長な部分も、全部入れ込んだ状態で公開せざるを得なかったのでしょう。

 そしてその影響が続いたか、先に進むほど見せ方が平板でうまくない印象(アニメーションの面白さは、最初のじゅうたん空中戦がピークと言うしかない)。結末に至っては、「第三部終盤」になるはずの部分がほぼセリフなしのダイジェストという有様に……。
 「サナとシンドバッドの関係」だけはどうにか整えた(ベタな演出だけど、「サナ>シンドバッドだった身長が、ラストでは同じ高さに並んでいる」はグッときた)ものの、他はかなりお粗末。
 特に、現代的でうまく作りこまれた悪役、ガリプの結末に、伏線も説明もないのは本当にもったいない。ていうか、あれだと「サナの魔力が途切れたから砂嵐を防御できなかった」という見方になりそうなんだけど、物語的には、「砂嵐の予兆の情報はあったが、『自分に都合のいい情報しか見なかったので』適切に対処できなかった」の方が因果応報なわけで、彼に本来はどういう結末を用意していたのか、すごく気になりますね。

 あと、シンドバッドの父親母親ともに魔法族とは結局無関係、ていうのが意外。ここも本当は何か入れるつもりだった気がして、その上でただ「帰る」というラストに、これまたもったいない感があふれるのです。


 それでも、意欲的なオリジナルアニメーションには違いないので、コレを単なる「失敗作」としてしまわないためにも、皆様にはぜひ劇場へ足を運んでいただきたく。Tジョイ品川、2週目にして朝一回の公開になってしまいましたが……。

 特に、ブラック企業にお勤めの方にオススメ。憎めない悪役ダールさんの、
 現場の人間なめんなー!」からの華麗なる転職成功にぜひ溜飲を下げてください。



シンドバッド 魔法のランプと動く島 -
シンドバッド 魔法のランプと動く島
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2016年05月24日

HK 変態仮面 -アブノーマル・クライシス-

[75点]@TOHOシネマズ川崎

 誰だ福田雄一にこんなにも予算を与えたのは!
 面白ぇじゃねーか!


 いやー、VFXにどんだけかけたんだコレ。CGの量が当社比300%くらいいってんじゃないの? それゆえ前作以上にアホが極まった、ツボ押さえまくりの良い「実写化」。
 福田雄一監督にやりたい放題やらせると、こういうことになるんだなぁ、と。予算安ければ安いなりに安いものを面白がって撮っちゃう人なので勘違いされがちだけど、以前「バクマン。」で書いた、邦画の生き残りに必要な「マンガ表現」のセンスが、独自かつパワフルな人なので、もっと「安くないもの」を撮らせてみてほしいと切に願います。

<追記 6/30>
 ……とか言ってたら「銀魂」に福田雄一かよぉぉぉぉぉ!



 いや、安いっていや、安いんですよ。どうしようもないシーンはいつもどおり山ほどあるし、「パロディだけやん、こんなん」とか言われたら返す言葉がないのも事実です。
 でもさ。
 いつもの尺稼ぎチックなムロツヨシの顔芸に、「メカニカルカニ歩き」が付加されるだけで、どんだけ破壊力が増すかッつー話よ。
 「主人公がニューヨークに行く」シーンがあるんだけど、福田雄一がニューヨークロケなんてやるわけないから、こちらは「どうやってごまかすんだろう……あー、やっぱごまかしたー、これのどこがニューヨークやねんケラケラケラ」と笑ったとたんにブッ込まれるあの衝撃よ!
 精神性最底辺レベルの下ネタコメディに「手のひらの上で転がされる」を味わわされる屈辱。くっくやしい! ビクンビクン

 この勢いの中核にいる鈴木亮平の筋肉美そしてマジっぷりは相変わらずすばらしい。柳楽優弥も見事に乗っかってアホをやらかしている。カンヌ俳優がカブリモノとか、今のカンヌの審査員が見たらきっと卒倒するだろうが、いいぞもっとやれ。


 だがこれだけは苦言を呈する!
 前回も書いたはずだぞ!
 最後の「脱いでからかぶる」はワンカットで撮れと!
 ていうか今回の場合、「そのまままたがってコスリつける」でよいではないか、何を生ぬるいことをしておるのか!

 ……へ、変態だー!



HK/変態仮面 -
HK/変態仮面
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2016年05月18日

ちはやふる -下の句-

[75点]@ヒューマントラストシネマ渋谷

 スゴイぞこれ。昨今の「邦画はor実写化はダメ」論争に一石を投じる問題作たりうると思う。邦画が「ダメな実写化」を作り続けた果てに「バクマン。」やコレができたのなら、決して無駄ではなかったのだ。

 映画に限らず日本の若者向け創作物に蔓延する「仲間」の連呼。かるたという題材の魅力を何一つ説明せず、代わりにテーマは全部セリフで説明。やたらと入る過去回想カットイン。ダメに思える部分がてんこ盛りだ。
 再撮影すべきミスを、たぶんスケジュールの都合で、セリフ調整だけでごまかしたとおぼしきヒドいシーンまである(しのぶちゃんが「着替える」シーンな)。

 でも面白いんだ。バクマン同様、「何を描くか」に迷いがない。

 上の句の感想で書いたとおり、本作はキャラ揃えた時点で横綱相撲だった。
 そして、手垢がついてようとおかまいなく、「仲間の大切さ」にテーマを絞って寄り切った。盤石である。

 満を持して登場する、「ライバル」にして孤高の存在である、しのぶちゃんの扱いが鮮やか。
 「なぜ千早がかるたの実力者なのか」原作には理由はあるんだけど、本作ではかるたのテクニカルな部分はほとんど描かれない。ゆえに、「しのぶちゃんが最年少クイーンである」事実にまったく凄みがなく、彼女には「開き直ったボッチ」以上の存在意義がない。
 しかし「仲間」を描く作品ならば、それでいいのだ。見事に、千早と鏡の表裏の位置に在るよう描かれている。過去回想も、仲間のいる千早にはあるが、いないしのぶにはないのだ。明確で力強い対比。実にわかりやすい。

 セリフ説明が過剰になる部分も、上の句で明確に「説教くさいキャラ」として登場し、実質的に「唯一の大人」である國村隼がまとめとして言う分には、納得のいく範疇だろう。むしろ、ターゲットたる顧客層の物語リテラシーを考えれば、これだけですませたのは立派、とさえいえるかも。

 というわけで、先から「邦画はダメ」論争でガタガタ言ってた奴らは、とりあえず上の句下の句合わせて本作を見るように!



TVアニメ『ちはやふる』 Blu-ray BOX【期間限定版】 -
TVアニメ『ちはやふる』 Blu-ray BOX【期間限定版】
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2016年05月17日

短評(亜人2/WAT/赤塚不二夫)


亜人 -衝突-
[70点]
@ヒューマントラストシネマ渋谷
 すげぇ。ちょっと唸った。
 この「すげぇ」は話の面白さの観点とは少し違います。いや、面白いんだけどさ。
 この作品はテレビシリーズの総集編映画で、前作はテレビ放送前に、「1話〜6話」まで編集した内容を公開したわけです。なら本作は放送済みの「7話〜13話」の総集編だと思うじゃん? 否。その先、+2話分くらい、一気に「総集」してしまう。加えて、テレビシリーズでは忘れられた友人キャラのエピソードも織り込むという盛り沢山。
 それで2時間? そりゃあ端折りすぎでしょ! と思うじゃん? それも否。ほとんど端折ってません。
 ほぼ同じシナリオからスタートし、「テンポ優先で徹底的に刈り込んだバージョン」が本作で、「いろいろ重みをつけて盛り込んだバージョン」がテレビシリーズと考えるべきでしょう。映画とテレビ企画が同時進行していたとはいっても、ここまで潔く切り分けたのは、正直、未体験ゾーン。
 物語創作に携わる人は、いちど見比べてみると面白いかも。


WAT 世界のアニメーションシアター
[75点]
@トリウッド
 久々にトリウッドで短編アニメーション集。<いろいろな愛を描くアニメーション><社会的視点を持つアニメーション>の、約1時間ずつ2プログラム。

 小規模製作のアニメーションも、テクノロジーの進化でだいぶすごいことになってきました、というのが味わえます。
 「ホワイトテープ」「ブラックテープ」の連作が、単なる技術ひけらかしで、元となった実写見せてもらったほうがなんぼかええんちゃうん、という印象を受けるほかは、いずれも「アニメでこそ」という題材、かつ、実にエンタメしていて、とてもクオリティが高く楽しいです。
 「ビトイーン・タイムス」でパン屋の髪型がくるくる変わる小ネタとか、「ギータ」のキレッキレの手描きアニメーションとか。「真逆のふたり」ではサカサマのパテマの二人が倦怠期を迎えた続編(違)を見ることができます。
 「Otto」は短編アニメーションにしておくのがもったいないアイディアなので長編で見てみたく、また、「アフガニスタン -戦場の友情-」の作者が次に作るというヒーローものが凄く見たい。

 で、見どころのひとつは、作品の上映前に流れる監督さんたちの自撮りメッセージで、これがみなさん「え? マジ? 日本で上映されるの? ひゃっほーい!」てな感じで、日本てやっぱこの人らには「聖地」なんやろなぁと微笑ましくなること請け合い。
 トリウッドは5/29まで。夜の上映は20日まで。


マンガをはみ出した男 赤塚不二夫
[50点]
@渋谷アップリンク
 ヘンリー・ダーガーダニエル・ジョンストンと同じパターン。題材となるアーティストがすごい人でも、語るドキュメンタリー映像作家が凡庸なので(何せ本作の監督はコレの人だ!)、思い出語りの映像記録としてはテンポよくて面白いけど、それ以上の意味はなし。
 突っ込んで欲しかったのは、彼のあのエキセントリックな感覚の源泉はどこか、て部分だのに、「満州が原風景」でバッサリ。同じ満州出身のちばてつやにも語らせといて、それでまとめちゃうんだぜ? なら「ちばてつやと赤塚不二夫の芸風の違い」はなんでスルーよ?(個人的には新潟時代や、「これでいいのだ!」がウケた社会背景とかも、もっと掘り下げて欲しかった)
 どうも、あまり深く考えてなくて、「これだとみんな納得するキレイなまとめだよね。あ〜、スッキリ!」って喜んでる感じがあるんだよな。赤塚不二夫にそういうスッキリ感、誰も求めてないと思うんだ。

 ……それにしてもアップリンク久々だった……何年ぶりだオイ……たぶん「火星人メルカーノ」以来。このブログ始める前です……。



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posted by アッシュ at 16:53| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画感想 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする