2017年11月01日

ブレードランナー2049

[60点]@新宿バルト9

 スゴかった……といえば、スゴかったです。
 かのブレードランナーの正統な続編……であるわけだけども、率直な印象は、ブレードランナーも含めて、70-80年代に興ったダークで前衛的なSFの総括・集大成・あるいは「復権を目論む」的な何かでした。ほら、「2001年宇宙の旅」とか「未来世紀ブラジル」とか。
 でもさ。素直に考えてほしいんだけど。
 今書いたような作品て、確かにスゴかった。でも面白かった? 見てて楽しかった? ていうか寝なかった? 中身覚えてる?


 前作は基本プロットが「逃亡レプリカントを追い詰める」一点だけで、きちんとそのストーリーを一手一手進めていったからこそ、あの世界観が強く印象に残るのです。
 しかし本作は、主人公の背景が複雑で、立場も中盤で大きく変わり、めざすところがブレます。
 それ自体はよいのですが、その過程で、「スゴい映像」「スゴい世界観」「スゴい雰囲気」を出すのが優先され、めっぽう展開を引き延ばすパターンが繰り返されるため、「主人公が取るべき行動とその理由が何だったかわからなくなった頃に次のイベントが始まる」というケースが頻発しました。悪手としか言いようがないです。
 思い返せば一本道RPGみたいな展開で、内容も古典的なのに、ぶっちゃけ「主人公が何かをなしとげたor自分が何かを受け止めた」感覚が全くありません。とても2時間40分もかける内容じゃなくて、体感時間長すぎて辛いばかり。よく耐えたオレ、自分を褒めたい。


 本作を褒めている人、前作知らなくてもわかるから若者にも勧めたいとか言ってる人、それはほぼノスタルジーに依拠するものと心得たほうがいいです。現代人にこれは厳しすぎる。前作の3年後、せめて20世紀のうちに作られた続編、ならまだ許せたかもだけどさ。35年、2世代過ぎてんだわ。ちょっとキツい、タルい、トロい。
 むしろ「攻殻機動隊」がどれだけすぐれたアレンジであったか、と理解すべきでしょう。この部分は押井守がうまかった(ただし「イノセンス」では悪化したので、偶然の産物)。そしてドゥニ・ヴィルヌーブ監督も押井守同様、「美しい映像感性」はあれど、「自分のイメージ」は持ってないように思えてならんです。


 ただし!
 この世に住まうナードどもの夢を正しく完璧に叶えた微エロシーンだけは、超評価する。her」もここまでやってくれればよかったのに。あのシーンを見るためだけでも、映画館に行く価値がありまっせ。
 JOYたん……(泣)

 あと、これも古い前衛SFからの継承だろうけど、音楽が腹の底に来るくらい重々しいのはよかったです。見るなら、立川シネマシティの極音上映がベストじゃないかな。



her/世界でひとつの彼女(字幕版) -
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2017年10月27日

短評(DCvs鷹の爪/我は神なり)

 短評言うほど短くないけど、両極端アニメ2題でまとめて。

DCスーパーヒーローズvs鷹の爪団
[50点]
@ヒューマントラストシネマ渋谷

 劇場版鷹の爪団のGO
 なぜ4と6がないかは、「GO」の感想参照。

 今回の何がとんでもないって、本作まではずっと東宝の宣伝キャラで、劇場版もすべて東宝から出てた鷹の爪団を、実質的にジャスティスリーグの宣伝のためだけにワーナーが引っ張ってきたってトコじゃないかと思います。どういう経緯だったんでしょうか。
 ただ、本作をかけているTOHOシネマズが1館もないあたり、あんまり円満じゃない感じがします。本作のテーマは「お金の使いみち」なのに、超優良クライアントを失う選択をしたFROGMANは、かなりヤバい橋を渡ってんじゃないかという気がしてなりません。
 日本のワーナーったら銀魂だってやっちゃう懐の広さですから、今後も作らせてもらえるのでしょうが……マーベルに差をつけられたワーナーの焦りが呼んだ采配なら、あっさり切られてもおかしくないような。


 で、内容なんですが……ジャスティスリーグと鷹の爪団を組み合わすという無茶振りのわりに、全体的に小綺麗にまとまってます。ジョーカーが日本に来て悪事を働くのは、怪獣映画が作りたいから&その予算集め。鷹の爪団ワールドおなじみのバジェットゲージのため、ジョーカーを倒したくても、正義側は金のかかる派手なアクションができない。だったら「富豪」が武器であるバットマンに払わせよう! というアイディアはすばらしかったんだけどね。アイディアはね。

 ……テクニックにおぼれてパワーに欠ける、というか……クスクスニヤニヤはあるんだけど、どっかんどっかんは来なかったんですよ。FROGMANのいいところは、ただ笑うしかないどーっしょーもないギャグかましてくるとこのはずなのに。バットマンの過去をタイムマシンでいじくるネタとワンダーウーマンのアヒル口はまあまあよかったけど、それくらいかなぁ……。

 なぜかといえば、本作は基本的に鷹の爪団とジャスティスリーグが向かい合っており、ジャスティスリーグ側は当然ボケないしツッコミも常識的。吉田君がその面々を相手に「話の進行役」になっちゃってるので、彼が場を無視してひたすらボケ倒す、というひっかきまわしが足らんのです。このシリーズ、「ゲストの方が存在感が大きい」作品は総じてその欠点が露呈するのよね。
 レオナルド博士・菩薩峠君・フィリップにはセリフすらほとんどないし。……つーか森田君て誰? いつの間に登場したの?


 あとねぇ……バジェットゲージがあるってことは当然入ってくるプロダクトプレイスメントネタが、相変わらずひどい。目を覆うレベル。
 これから見る方に警告しますが、本作ではついに、「クライマックスのアクションシーンに宣伝を連打」します。あれを面白がれる人は相当奇特だと思います。
 「空母打撃軍を連れてきたバットマン」より、「聞いたこともないスマホゲーのドット絵の主人公」の方が強くて活躍時間が長いのです。なぜならゲームとキャラの宣伝的説明を、ラストバトルやってる真っ最中にだらだら垂れ流すから! いくらなんでも作品が壊れると思わなかったのか。
 ていうか、この作品、いちばん重要なスポンサーはワーナー&ジャスティスリーグじゃねぇの?


 なお、この作品で一番素晴らしかったこと。安田顕のジョーカー演技。今後の他のDCもので吹き替えやる時も、ぜひ彼でお願いします。



我は神なり
[65点]
@ユーロスペース
 新感染のソン・カンホ監督が、ソウルステーション・パンデミックのさらに前に作ったアニメーション。
 主人公はダム建設地に住む粗暴な鼻つまみ者。立ち退き補償金を、インチキ宗教で奪おうとする詐欺師の目論見に気づいて告発しようとするが、まるで信用されない……という話。

 韓国アニメで「オリジナリティを出したい」と考えたとき、この極めて実写に近いアプローチはめっちゃ正しいと思います……っていうかこれもう実写でよくね? 宗教のナイーブなトコの話なので、やり辛い役者さんがいるのかな。
 いい作品ではあるのだけど、韓国実写映画と考えると、これもう確実に今の僕が避けて通るタイプの話でねぇ……腹の底がキリキリ来るっていうか……えげつなくて誰も救われない。

 なるほど主人公は、ひとことも嘘は言ってないのですね。でもいわゆる火病気質で行動するゆえに、誰も幸せにできずまったく信頼されない。一方で嘘を並べる詐欺師や宗教家は、幸福は確かに与えており信頼される。
 しかし、「信じる」という動詞の定義や価値観が根源的に違うのが伝わってきて、据わりが悪いです。ここでは「信じる=従属する」。「信じられる側>信じる側」という上下関係を決める行為。嘘を言ってでも信じさせて上位に立つか、真実を言って信じない者を馬鹿で下等と罵るか……。

 そうした、歪んでいるとしか形容のしようのない苦い「信」にさらされる中で、主人公に「俺が悪いって言うのか!」と怒鳴られた弟分が、「そうだよ兄貴。気づいてなかったのかよ。兄貴にもう味方はいないんだ」と率直に穏やかに諭すシーンはぐっときました。そして彼だけは「幸せな嘘」の価値を知る結末。唯一の癒しであり、こここそ、監督がクリエーターとして最も描きたかった部分に違いないと、望んでやみません。


 あと、この話、主人公が娘の貯金を奪って浪費することがすべての起点(これがなければ悲劇は一つも起きなかった)なのだけど、「それによって生じた父娘の亀裂」は描くものの、「そもそも金を取るなよ」ってとこは何もケアしないのがすごくイヤ。主人公の性格云々でなく、多分あちらじゃ「語るまでもないよくある家庭内トラブル」と認識されてるんだろうなぁ……。



鷹の爪8 吉田くんのX(バッテン)ファイル -
鷹の爪8 吉田くんのX(バッテン)ファイル
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2017年10月25日

アトミック・ブロンド

[55点]@ユナイテッドシネマアクアシティお台場

 わりと期待値高かったので、ちょっと残念なデキ。ていうか、序盤から中盤までは、帰りたくなるレベルで退屈。映像・音楽のキレのよさは分かるので、もう少しストーリーをなんとかしてほしかったです。

 オープニングでベルリンの壁崩壊の映像が出てきて、「でもこれはその話じゃないよ」とかエクスキューズが出てくるから、へぇ、崩壊がないパラレルワールドの話? と思っていたらガッツリ崩壊直前の話でした。東西冷戦がキーワードに見えますが、「情報のコピーが不可能な時代でないと話が成立しない」という事情の方が重要だと思います。
 で、シャーリーズ・セロンの女スパイの主人公は、ジェームズ・マカヴォイを相棒に東西ベルリンを行き来して、ある極秘情報を求めて右往左往するんですが、「何が事実か」がとにかく進展しないのです。

 なので、「サッチェルという正体不明の裏切り者がいる」という話が出てきた途端、「シャーリーズ・セロンかジェームズ・マカヴォイのどちらかが、情報の独占を目的とするサッチェルで、最終的に相手に疑いを押しつけようとしている」ことがわかっちゃう。だってそれ以外に情報がないから。
 ならばふたりの駆け引きゲームの物語なのか? というと、少なくとも話の奥行きを出すという方向では、両者の駆け引きはありません。ていうか、「盗聴器をコートにつけた」が最大の駆け引きって、スパイものとしては下も下だと思うんですが?

 終盤に至り、序盤でぽっと出たっきり忘れ去られていた「スパイグラス氏の西側への脱出」という話が唐突によみがえり、実はシャーリーズ・セロンにはそれを助けてくれる優秀な仲間がいっぱいいるんだぜという展開になって、面白くはなるけど、いやなぜ今さらそんなすごい設定が出てくんねん、と。
 ていうかスパイグラス氏、存在自体が死亡フラグなんで、なぜそんな人がこんな大げさなイベントに? と、頭の中に?しか湧きません。

 しかしこの映画でサイッコーに素晴らしい映像であるところの、シャーリーズ・セロンノースタント長回し格闘シーンは、その流れで始まります。そして予定調和通りにスパイグラス氏死亡という終焉によってクッソ盛り下がるのです。せめてこのシーンがスカッと爽快だったら、と思わずにはいられません。



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2017年10月17日

宇宙戦艦ヤマト2202 愛の戦士たち -第三章・純愛編-

[70点]@新宿ピカデリー

第一章第二章

 終わった瞬間に、いっしょに見てた友人が「つまんなかった」って言ったんですよね。えー、これまでの展開で「どうやって森雪を組み込むのか」という点に着目してた人間としては、超激アツだったんですけども?

 確かに、10話にあたる宇宙ホタルの話は「どこにグロスに出したんだよ」と言い合ったくらい、これまででいちばん演出がグダグダでした。
 また、2199ではさんざバカスカ殺しまくってたくせに、るろうに剣心かよって不殺の精神でものごとを解決する方針に転換したために、超絶カタストロフ展開で面白くなりそうなとこがどっちらけで終わり、全体的に戦闘シーンは雑で盛り上がりに欠けましたね。

 でも本作の古代がこういうキャラだってのはみんな知ってたじゃん! 軍規ナニソレ森雪絶対好き好きマンでいいじゃんかさ! その魂をいかんなく発揮したラブパワー展開、そこに「愛とは何か」と言い出す悪役がドハデ降臨、オレは好きだぞ。爆発しろ。

 あと、公式で「ヤマト女子部」とか言い出すの、なんかパワーワード感あるからやめれ。(w



宇宙戦艦ヤマト2202 愛の戦士たち 第三章(セル版) -
宇宙戦艦ヤマト2202 愛の戦士たち 第三章(セル版)
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2017年10月16日

スマーフ -スマーフェットと秘密の大冒険-

[65点]@ユナイテッドシネマアクアシティお台場

 3DCGアニメなんて溢れかえってる昨今、今さらアメリカの幼児向けアニメなんて、見る予定になかったんですけど。
 前にアクアシティお台場行ったとき。流れた予告編でいきなり。
 「スマーフウィロー役の高垣彩陽でーす!」
 ゲスト声優に、スフィアて。

 大泉洋主演アニメのゲスト出演に歌姫言うて水樹奈々連れてきたレイトン教授じゃあるまいし、どうせ4人組が背景で歌ってる程度で、アニメ見る層に訴求しそうな4人組ユニットが他に見当たらん、くらいの人選だろうにそんな餌で俺様が

     \   ∩─ー、    ====
       \/ ● 、_ `ヽ   ======
       / \( ●  ● |つ
       |   X_入__ノ   ミ   釣られクマ――
         、 (_/   ノ /⌒l
        /\___ノ゙_/  /  =====
        〈         __ノ  ====
        \ \_    \
         \___)     \   ======   (´⌒
            \   ___ \__  (´⌒;;(´⌒;;
              \___)___)(´;;⌒  (´⌒;;  


 ……閑話休題。
 スフィアは思ったより重要な役でした。とまっちゃんのマシンガントーク演技来るよー。
 なるほど、スマーフの世界には、これまで女性がヒロイン一人しかいなかったわけね。しかも彼女が「スマーフではない」とまで言うのでは、このご時世コンテンツとして生き残れないので、「冒険の行き先が女護が島、最終的に彼女らと交流が始まる」という形で、世界観に自然に女性を組み込むためのエピソード。
 なので新規キャラは全部女性。スフィアはそこに当てはめられているわけです。

 テーマをことさらに事あげしないわかりやすさ、なんでもありかつスピード感のある冒険行(でも子供向けとしては終盤結構エグい。あれラスト「スマーフになった」って理解でいいんだよね?)、こだわりのある縦横無尽のカメラワーク、けっこう面白かったです。
 あと、エンドロールの演出に震えました。なぜこんな単純で面白い手法を今まで誰もやらなかったのか。

 それでも観客2人だったんだよねぇ……夕以降のアクアシティお台場にお子様が来る理由はないので、スフィアの訴求力がここまで、てことか。うーむ。



スマーフ スマーフェットと秘密の大冒険 (吹替版) -
スマーフ スマーフェットと秘密の大冒険 (吹替版)
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2017年10月13日

アウトレイジ最終章 と、TOHOシネマズ会員サービス改定のこと

[60点]@109シネマズ川崎
 シリーズ見てきて最終章というからいちおうつきあったけども、作品が悪いんでなく、僕自身の好みがこういうのを受け付けないほうにシフトしてまして……それも、「過剰な暴力性」で売ってた作品が、回を追うごとに、「筋を通す」という名目で「暴力控え目、話は小綺麗にまとめる」に落ち着くんではなぁ。

 「筋を通すことにこだわるヤクザ映画」なんてものが、もう北野武の看板がないと作れないってこともあるんだろうけど……ってか、本作における「筋を通す」は、主人公の行動原則としてがっちりとあることがきちんと伝わってくるのは好ましいんですけど、それが娯楽になってるかはまったく別問題だと思うわけです。

 韓国とも香港とも違う日本的価値観のノワールとしてひとつの形にはなってると思うので、ヤクザ映画が好きな方はどうぞ。



 TOHOシネマズの会員サービス改悪、って話が伝わってきています。
 フリーパスって、使う人は窓口に行かなきゃならんって話なんですね。映画館に行くだけで交通費と時間がかかるのに、それが「無駄足になる可能性があります」ってのはちょっとひどい。「フリーパスでも座席指定予約可能になります」というシステム変更の予定があるのならいいけれど。

 で、これらの施策が、どう「他社とのサービス比較」したらそうなるのかわからんのも事実で、いろいろ書かれてる中で最も説得力があるように見えたのは、前回の「スターウォーズ値上げ騒動」のせいって話です。

 一部の館で2000円にして増収&混雑緩和を狙ったのに、ここが使いどころとばかりに「ポイント6P無料/フリーパス使用」を駆使されて、おそらくはTOHOシネマズの目論見が崩れてしまったんでしょう。
 なので、「そうならんように変更しろ」というのが至上命題だった、とすればなんとなくわかります。だから次作の公開を控えたこの時期の発表なわけで。

 しかし、スターウォーズは今冬とあと一本で終わり。今後、いつ来るかわからない大ヒット映画のためにそんなシステムにした、と考えると、近視眼にもほどがあるというしかないですね。



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2017年10月11日

RWBY -Volume 4-

[55点]@シネリーブル池袋

「けもの娘が出てきて」
(けものフレンズかな?)
「事実上個人制作のCGアニメで」
(けものフレンズかな?)
「CGの技巧よりも、演出とストーリーのよさでヒットして、続編も決まって」
(けものフレンズかな?)
「だけどメインクリエーターが予期せず制作現場から離れることになって、どったんばったん大騒ぎ」
(けものフレンズだよね?)
「R.I.P. Monty Oum ……」
(RWBY か……)


 すみません、このネタがやりたかっただけです。


 ……あんまり冗談でもないっていうか、ケモノ娘な黒さんがいちばん存在感のある回でした。ただ、そうなった理由は、あまり褒められたものではなく。

 亡くなったモンティ・オウム氏ってのは、「実力が伴う厨二病患者」はえてしてそんな感じじゃないかと思うんですが、風呂敷を広げることに歓びを感じるタイプのクリエーターだったと思うのです。
 Vol.3では、それまで影も形もなかった神様や伝承が唐突に飛び出すなど、設定の風呂敷を広げて広げまくり、一方でストーリーは、キャラの立ち位置を下げに下げまくったので、後を継いだ人たちは、「その回復と、情報の整理」に1シーズン(=映像にして2時間半)費やさねばならなかった、というのが今回です。

 赤は今回叔父さんと組んで情報整理ポジション。ムードメーカーの黄色が、前回物理心理ともにダメージを受けてその回復に専念、だけなのが痛い。白には、自身だけで物語を切り拓く能力がもともとないので、結果として黒関連のイベントに時間を割かざるを得ず、無口キャラで通っていた黒のキャラが崩壊、超多弁キャラに変貌を遂げることとなりました。
 キャラデザが大幅に(主に「アニメ絵」方向に)変わった以上に、この変貌がビックリでした。でももうすぐデレる。あれはデレる。よい変化だと期待しましょう。


 ……いやほんと、今回は話がまったく進展しないので、「黒はデレるのか」以上の見どころがないんですわ。動いたといえば、「悪の組織」がビックリするくらい小物集団であると判明。見るからにやられるためだけの敵幹部が多数登場とか、ないわー。そんで、クライマックスに至って緑とピンクの過去話をおっぱじめるとか、誰も期待しとらんかったわ!
 次回は、「ヘイヴンアカデミーでの局地戦」に話が限定されるでしょうから、戦闘シーン多めで普通に盛り上がると思うんです。なればこそ、今回はせめて、「4人が再集合するまで」を、絶対に描写すべきでした。



 そういえば、テレビでやった編集版を見てて、前回の感想で書いた内容は間違いで、フェスティバルでエメラルドの幻覚を見たのは黄色だけだった、ってのはわかりました。しかしそれはそれで、「精神操作系のセンブランス」が、オズピンを含めたアカデミーの教授陣ですら想像の埒外にあるほどレア能力ってことに他ならず、やっぱりあんな「手下」ポジションに埋没させてたらヤバいと思うんですが。
 もっとも、この世界観的には、あんまりレアな感じがしないんだよな。「視覚を騙す」だけなら、黒に悟空、パラソル子さんとかも、フツーに使ってるわけでなぁ……。



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2017年10月06日

ソウルステーション・パンデミック

[70点]@ヒューマントラストシネマ渋谷

 「新感染」の監督が、それ以前に制作したアニメーション。この作品が評価されて、「新感染」を作ることになったのだとか。
 アニメといっても、実写を撮った後でモーションをアニメ塗りの3DCGに変換した技法と見えます(背景やモブのモーションは微妙に不自然なので、通常の3Dアニメも使ってる?)。
 ソウルの市街を封鎖し人員を動員しての撮影ができなかったからアニメにしたのかなぁ、と思っていたら、監督はもともとアニメ畑の人なのだそうで……。それでも実写のオファーが来たというのだから、そういう切り替えができるのも韓国映画界の懐の深さか。


 サスペンスの見せ方はさすがに素晴らしく、中盤から話が動き出すとずっとハラハラしっぱなしです。面白かった。

 ただ、新感染は爽快さすらある娯楽でしたが、本作は、良くも悪くも、気持ち良く見られるストーリーではありません。「貧困の固定」がテーマと思われ、ホームレスを起点に感染が始まり、それを国も警察も助けないという展開になり、終盤のどんでん返しに至っては「胸糞悪い」のひとことです。
 韓国の民族性ではありますが、貧困層はより際立つということか、感情的な怒号や罵声のセリフがかなりの割合を占めてるのも辛い。「どんでん返し」に至る「彼」の行動以外、ロジカルな行動というのが全キャラクターにおいてほとんどなく、そしてその「彼のロジック」がアレなわけで……。

 また、新感染には、列車内のみの一次元であるゆえの面白さがあったので、本作では、街という平面を考えたときの不自然な点が目につくのもややマイナスでしょうか。


 気付いたちょっと面白いこと。
 両作品のゾンビには、「ドアを開けられない」という特徴があります(「視聴覚で感知したもの以外は追いかけない」という特徴は、両作品で相違する)が、終盤、ヒロインがあからさまにドアを開けっ放しにする行動に出ます。この期に及んでまだその特徴に気づいてないのかこのキャラ?! とびっくりするのですが、後から考えると「既に感染している」ので、無意識にそういう行動を取った、ってことなんでしょうね。



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2017年10月04日

短評(ハイジ/響けユーフォニアム2/ヴェンジェンス)


ハイジ -アルプスの物語-
[80点]
@恵比寿ガーデンシネマ
 見るか見ないか迷ってたところに、togetterとかで盛り上がったりしたので、思わず見てきました。見てよかった。
 ドイツ・スイスでも、原作でなく宮崎・高畑版のアニメで知られているという本作、2時間に収める都合もあってか、展開はツボを押さえ、みっちりと詰まっていて飽きが来ません。今回の内容は原作寄りらしいですが、美しい山嶺のビジュアルと、きっちり立ったキャラ群は、アニメを意識してこそのものでしょう。ゼーゼマン邸の使用人たちが素晴らしい。
 「クララがなぜ歩けないか(体力がつけば歩けるのにあきらめていた)」という点が描写されてないので、「クララが立った」のクライマックスに説得力がなく、ぼんやり終わった感じがする点だけ、ちょっと弱みでしょうか。
 そんであの、こういう書き方しちゃアカンのは承知の上で、あなたがロリコンなら絶対に見逃しちゃならん一本です。ハイジとクララがめっさかわええ……あぁぁ癒される。
 ラストで立ったとき、「クララ背ぇ高っ!」と思っちゃうのはご愛嬌。



劇場版響け!ユーフォニアム -届けたいメロディ-
[75点]
@新宿ピカデリー
 テレビシリーズ2期の総集編映画。前作も良かったけど本作も、総集編映画として最高峰と言えるレベルの傑作。
 テレビシリーズ序盤の退部者復帰の騒動や終盤の先生の恋バナは全カットで、あすか先輩と姉のエピソードだけを、時系列通りに抜き出しただけ。しかし絞り込んだがゆえに、一本の映画として完璧に成立する構造。「説明少なめの青春もの単品映画」で売れます。
 そこに、テレビでは描かなかった全国大会の演奏がどーんとくるからたまらん。映画館の音響だけに、なぜ「銅賞にとどまったのか」がわかるんですよ。ぜひ映画館で見て欲しい一本。

 あとロリあすか先輩最高。



ヴェンジェンス
[60点]
@バルト9
 ニコラス・ケイジ製作・主演の刑事もの……というより、本作の前半はレイプ犯罪が女性側の泣き寝入りになる、実際にありそうなケースのセミドキュメンタリーになっていて、法が無罪にするなら、必殺仕事人が始末をつけましょう、という話。
 しかしそういうファンタジーに変えるなら、あの弁護士のドタマもブチ抜いてやらんと収まらんでしょうこの話。その他、オープニングに出た「ケイシーの姉貴」とか相棒とかばあさんとか犯人の妹とか黒人の弁護士とか、中途半端に登場して投げ捨てられたパーツが多すぎて、エンドロールで「えっこれで終わり?」となること請け合い。
 音楽がやたらエモくて盛り上げ上手で、中盤はグイグイくるだけに、ちょっと残念。

 でもベシーちゃんが健気でロリかわいい。


 ……なんだこのロリ3題?



アルプスの少女ハイジ リマスターDVD-BOX -
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2017年10月03日

ドリーム

[70点]@109シネマズ二子玉川

 まずは揉めてた邦題の話をすると、……うん、キング牧師の当時の映像ちょろっと流れるけど、「ドリーム」全然関係ないね。今時こんな、「内容に関係ないし、いずれ検索してもたどり着けなくなるから認知や売上に悪影響、ただちょっとだけイメージがいい」なんてタイトルを、邦題につける人が業界にいることが害悪です。
 吹き上がった人には申し訳ないけど、「私たちのアポロ計画」をメインタイトルにした方がマシでした。彼女らは実際、アポロ計画の時期までNASAで働き続ける道筋を、自分自身の才覚で切り拓いたわけですから。

 (ついでにいうと、けっこう期待してパンフ買ったんだけど、彼女らがこの映画の中でなしたことの詳細……オイラーの定理とは何か、FORTRANとは何か、みたいな話は一切書かれてませんでした。ホント、本作の日本公開関係者に内容を尊重する人がいなかった、ってことがよくわかりますね)

 
 さて、本作。
 ……正直あんまりアガらなかったのは、自分の期待よりもずっとヒューマニティ寄りで、「計画の成功」より「差別の打破」に物語の力点が置かれているからだと思います。
 僕は、同じ時代同じバージニア州の物語である「ラビング」で、当時の「分離すれども平等」の感覚の別の表現を見たせいか、どうも違和感を覚えます。この作品を丸のみするならば、「NASAが黒人を雇っている」時点でおかしくはないですか?(Wiki 見たら、やっぱり史実と違う……)

 字幕のせいもありそうですが、恋愛話がどこまで必要だったかとも思いますし、黒人計算者が普段何を計算しているのかを提示しないのも痛いです。
 そして率直に言ってすごく萎えたのは、クライマックスで「やっぱり機械より人間のほうが信頼置けるよね!」みたいなセリフが出てきてしまったこと。その機械を動かすプログラムを組んだの、ドロシーたちじゃないの? 


 この物語は、「すぐれた人間は、たとえ社会制度が阻もうともっと上を目指す」ことを描いたと理解します。それは人類普遍の正義です。
 その意味でいちばん印象に残ったのは、「権利を勝ち取るには闘争しかないんだ!」と吹き上がっていた夫が、「判事を論破して権利を勝ち取った」メアリーに膝をついたシーンでした。
 「間違った社会」を正したければ、まず学べ。学ぶ歩みを止めるな。教養とスキルを礎とする先駆者だけが未来を切り開く。それを怠り「劣った者」に安住する者どもが差別を言挙げしたところで、誰も何も認めはしない。


 本当は、初期のNASAを再現したセットの見事さとか、IBMのエピソードとか、宇宙計画の裏方作業のこととか、「うわぁぁぁ手回し計算機や!」とかもっと理系的なとこを吠えたいんですが、あんまりそういう気にさせてくれない惜しい作品でした。



ライトスタッフ (字幕版) -
ライトスタッフ (字幕版)
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2017年09月28日

コラム


 「君の名は。」がハリウッドで実写化されるとか。
 正直、あまり期待しません。かの作品の肝は、内容ではなくスピード感。ハリウッドの(ましてあの「メッセージ」の)脚本家では、あのプロットは3時間でも収まりません。

 (以下「君の名は。」ネタバレ注意で)

 そもそも今のJJエイブラムスがジュブナイルを作るとは思えないので、主人公はふたりとも成人になり、時間差は20年くらいに広がるんじゃないでしょうか。
 都会に住む民主党支持で無宗教なトレーダーのナヨ男が、田舎に住む共和党支持でカトリック教徒な車整備工場のマッチョ女と入れ替わる。時間軸は大統領選直前で、両方の時代で「ブッシュ対クリントン(もちろん彼らをモデルにした架空キャラで、後の時代では共和党側は息子が民主党側は嫁が立候補してるってこと)」って報じられてるので、本人たちは時間差に気づかない。
 そんで、彗星じゃなくて、都会で起きる911的なテロを力業で阻止するのです。途中まで女の方が地ならしをして、バック・トゥ・ザ・フューチャーのラストみたいに最後のとどめだけ男の方が勇気を奮う。
 まずもってこんな内容になると思われます。日本人が見て面白くなるかなぁ?



 「ダンケルク」は、今のところ見ない予定です。
 というのは、自分「ハクソー・リッジ」も見損ねてまして、だったら冬休みあたりにそれと2本立てでどっか名画座がやってくれるのを見た方がいいという判断です。
 画面がカットされてる問題があるじゃないですか、あれたぶん新文芸坐だったらちゃんとした映像でやってくれると思うんだよなぁ。



 政治周りは、もう馬鹿馬鹿しくてしばらくコメントしてませんでしたが、選挙になっちゃいましたね。野党の皆さんは、待望の「解散に追い込んだ」だというのに、何を慌てているのでしょうか。わかんないなー(棒
 以前も書いたけど、選挙では「有能な悪人」を選ぶのです。決して、エモーショナルなだけの「無能な善人」に票を投じてはいけない。
posted by アッシュ at 23:56| Comment(0) | 映画コラム | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年09月21日

短評(新感染/西遊記2/エウレカセブンハイレボ1)


新感染 -ファイナル・エクスプレス-
[80点]
@109シネマズ二子玉川
 いやぁ面白かった。
 一言で言えば、「電車内」という場所限定の、よくあるサバイバルホラーでしかありません。
 しかし、電車という舞台設定の狭さを活かした、加速するスピード感と濃くなるイベント密度にスキがなく、ハラハラしっぱなし。
 個々のイベントがあまりにツボを押さえてるので、誰がどう犠牲になって誰が生き残るのか読めちゃうので意外性はない(妊婦が死ぬわけないんだよなぁ)んですが、なればこそ丁寧な演出で、カッコいいキャラはカッコよく、無様な奴は無様に散る。王道過ぎてうなります。
 これにKORAILがちゃんと協力してるってのが凄いよね。日本でも車内限定の映画とか撮れたらいいんですが、JR東海は絶対無理だろうな……JR東か西か……たとえば北陸新幹線が敦賀まで延びたら、福井〜敦賀間くらいは貸切で撮影できそうな?



西遊記2 -妖怪の逆襲-
[70点]
@TOHOシネマズ川崎
 よもやちゃんと作られてちゃんと日本に入ってくるとは思わなかった、チャウ・シンチー版西遊記の続編。
 前作もその傾向があったけど、中盤まではやくたいもないチャイニーズ・コントで、日本人には笑いどころがなく、見ててツラいくらい。
 しかし物語が本格的に動き出してからは(あれが全部「フリ」とか、ストーリー的にムリはあるけど)、ノリがどんどんよくなって妖術CGのキレが増していき、クライマックスのバトルCGに至ってはもう「きがくるっとる」としか表現のしようがない弾けっぷり。邦画のCGで、これくらい心のタガを外すのが見られるのはいつの日でしょうか。

 あと、唐突に「Gメン75」のテーマが流れ出して驚いたのですが、アレは何か、主役チームがずらっと並んだらアレ流さなきゃいかんというルールが中国にあるんですか。



交響詩篇エウレカセブン ハイエボリューション1
[45点]
@ユナイテッドシネマ豊洲
 ……またやってしまいましたなあ。「続きは見ない」と言ってやるのが礼儀でしょうなぁ。今回も書くけど、「ねだるな、かちとれ、さすれば与えられん」は、キメゼリフじゃねぇんだったら。

 物語の根本である「サマー・オブ・ラブ」を描くという触れ込みなのに、当時はいないはずのレントンが、予告とかに普通に出てるからどういうことかと思ったら。
 序盤20分程度で「サマー・オブ・ラブ」を描いた後は、一見さん完全にお断りの内容になります。エウレカとはどんな存在か月光号とは何かそれらとレントンはどう関わるのか、見ても一切わからない、「俺らの世界に勝手に入ってくるな」レベルでのテレビ版再編集。それも、実質的に1エピソードしか使ってないのを、時系列切り刻みでなんとなくカッコよくしてるだけ。
 どうせサミーから出てる予算を、「サマー・オブ・ラブ」だけで使い切ったわけですね。サミーがほしがる映像もそれだけなんでしょうから、素直に「短編映画」で作ったらよかったのに。
 その「サマー・オブ・ラブ」は、ガチャガチャ出過ぎのテロップを、「設定に凝った短編SFアニメだったらこんなもん」と許容できれば、発狂レベルのバトルアニメーションが繰り広げられるなかなかの出来です。ただし、要するに負け戦なので、カタルシスはありません。でもホントそこしか見どころがなく、そこで満足するしかないのです。



TVシリーズ 交響詩篇エウレカセブン Blu-ray BOX1 (特装限定版) -
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posted by アッシュ at 16:43| Comment(0) | 映画感想 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年09月10日

関ヶ原

[70点]@Tジョイプリンス品川

 まず、本作において真っ先に褒められるべきところ。
 エンドロールの、役名を含めた和英併記。
 邦画を見る回数が多くないので、どれくらい浸透しているのかわからないけど、「邦画の大作」では初めて見たと思います。「海外で売る」ならやって当たり前の作業なのですが、日本のコンテンツ展開のガラパゴスっぷりはここにもあるのです。

 本当に久々に見た、人海戦術で描いた戦国大合戦もので、それだけで満足できるわけですが、つまりは海外に売れないとペイしないくらい予算突っ込んだってことでもありましょう。困ったことに、そもそも「海外でウケる内容か」という視点なしにその方針で突っ込んだように見えます。……司馬遼太郎時代小説を海外に売ろうとか考えたの、誰だよ?

 結果、何が起きたかというと。

 セリフの多くが聞き取れません。
 ……黒澤映画かよ! 字幕なら大丈夫ってか!

 合戦だけやる作品かと思ってたら、秀吉と三成の出会いから始まって、秀吉の後継をめぐる家康との確執を全部描いてから大合戦ですから、本来の時代劇の所作からかけ離れた超高速展開、飽和する情報量、必然的にセリフ回しも速くなります。全員超早口で、司馬遼ベースの堅苦しい雅語漢語を振り回すもんだから、歴史マニア以外はついていけません。例の「母衣がわかってない評論家」騒動も、問題の根源はここにあります。
 「ちくじょう」って何だよ! ……「竹杖」か!

 本格合戦活劇と、らちもないラブロマンスのどっちを描きたいのかよくわからないのも辛いところ。ただ、ラブロマンス削っちゃうと、歴史マニアでない観客(本作の場合外国人客も)を完全に放り出しちゃうので、ここは評価が難しいです。
 ただなー、こういうシリアスな話に、おたふくで童顔な有村架純をどうして連れてくるかなー。岡田准一の相手に全然合わない。タッパある分まだ榮倉奈々のがマシ。

 「真田丸」で多くの国民が、また「軍師官兵衛」によってジャニーズクラスタですらも、この物語の時代背景がわかる程度には「歴史マニア」側の観客であり、それが多数派であろうと思われるのが幸いです。いつ頃から本作の企画が始まっていたか知りませんが、これだけの規模だと1年とかじゃきかないでしょうから、本作関係者はNHKに足を向けて寝られませんね(笑。



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posted by アッシュ at 13:54| Comment(0) | 映画感想 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年09月09日

短評(ガンダムORIGIN5/スラッカー/スキップトレース/ザ・ウォール)

機動戦士ガンダム THE ORIGIN V -激突! ルウム会戦-
[評価不可]
@新宿ピカデリー
 第一章第二章第三章第四章

 なぜそこで終わった。

 そりゃないぜおいー。その先を見に来たんだよ俺らはー。こんなん、その先見なきゃ何か言えるわけないじゃんかよー。
 「コロニー落とし」も「シャアがいかに出世し赤い機体を得たか」あたりもあっさりすませて、ルウムでの対立に描写を注力するように見せて、わりと戦略面もきちっと説明して、……それでこれかぁ。
 次回のツカミに見せていただけるということで。



スラッカー
[70点]
@下北沢トリウッド
 リチャード・リンクレイター監督の、初期インディペンデント作品が日本初公開、ということで、気になって見に行きました。
 先に言っとくと、「スクール・オブ・ロック」でなく確実に「ウェイキング・ライフ」寄りの作品だと予測し、眠くならないよういろいろキメて見に行ってます。実際そうなので、レイトショーのみの本作、お仕事帰りの疲れた頭で見るのはオススメしません。冒頭から、リンクレイター監督ご本人が登場して、やくたいもない話をウゼェほど語りやがるので、下手をするとここだけで熟睡できます。

 しかし、揺れる画面でダラダラ喋るだけの「ウェイキング・ライフ」と異なり、次から次に「主人公」が切り替わって、ありとあらゆる立場の若者が、ありとあらゆる方向性の会話を繰り広げます。共通するのは、閉塞した街(1990年のテキサス州オースティン)で、誰一人建設的な「行動」を起こさず易きに流れていること。
 堂々巡りを繰り返すかのようなこの構成そのものが、若者の行き場のなさを端的に表現しており、快不快は別として異才の発露に違いありません。



スキップ・トレース
[60点]
@Tジョイプリンス品川
 ジャッキー・チェンとレニー・ハーリンという組み合わせでちょっと話題……なんだけど、見てみたら普通に香港アクション&バディもの映画。
 バディものとしては、中国大陸縦断を敢行する、馬鹿馬鹿しいほどのダイナミックさが楽しいです。アクションものとしては、ジャッキー衰えたし太ったし、そんなにすごくはないですが、かわいそうに最後まで付き合わされるロシアン・マフィアのみなさんがヨイ。いずれにせよ、脳みそ空にして、ただ楽しむタイプの作品。
 まぁ、今年のジャッキーは「カンフー・ヨガ」が本番ではないかと……予告編を見る限りでは、インドのテイストを再現するにはちょっと足りてない印象なのですが……。



ザ・ウォール
[50点]
@ユナイテッドシネマアクアシティお台場
 Netflixと並んで昨今コンテンツ増強に余念がないAmazonによる、ダグ・リーマン監督のシチュエーションサスペンス。イラクの砂漠で狙撃手に狙われた兵士、隔てるのはたった1枚の小さな石壁だけ、無線通信で繋がったふたりの駆け引き…て内容なんだけど、正直イマイチ。
 狙撃手と主人公に差がありすぎて、緊迫感と呼べるものになってないのです。狙撃手側から見ると、「いつでも殺せる主人公をわざと生かして情報を引き出したい」なのはすぐにわかります。この油断を突くのがこういう話の醍醐味ですが、本作に限っては、狙撃の能力と威力、武器や無線機の性能、距離の隔たり、何よりメンタルの強さ、どこをとっても狙撃手にスキがなく、イベントはあれこれ起きても、主人公が状況を覆す期待がいっこうに湧きません。……中盤に至る頃には、「これで主人公が勝ったら、状況無視のご都合主義以外にありえんやろなぁ」と諦めがついてしまいました。
 実際、終盤に至って「軍曹生きてた」だもの、完全にご都合主義であきれはてました。その展開(軍曹の救出)はこの物語の「最初の困難」以外にあり得ず、ラストシーンの「救援に来たヘリが撃墜される」が中盤で、それを利用(距離を詰める/道具・武器を手に入れる)して最後の逆転に賭ける、が妥当な展開だったかと。



機動戦士ガンダム THE ORIGIN ルウム編 V 激突 ルウム会戦 -
機動戦士ガンダム THE ORIGIN ルウム編 V 激突 ルウム会戦
posted by アッシュ at 12:41| Comment(0) | 映画感想 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年08月31日

短評(ワンダーウーマン/エル/ベイビードライバー)


ワンダーウーマン
[65点]
@ヒューマントラストシネマ渋谷
 戦うヒロインの超元祖。演じるガル・ガドットのエロカッコよさが最高です。戦う姿もいいけどロンドンでの秘書モードもいい。彼女を見るだけで見る価値あり。

 ……とはいえ、それだけのために2時間半はただただ長い。ビタイチ存在理由のない「仲間」を削るだけで2時間以内に収まるでしょうに。DCの作品は、どうしていつもこんな無駄に長いの?
 また、ストーリーも率直に言ってあんまり入り込めず。物語を「女性の自立」に振りたいのか「闘争の本質」に振りたいのか、ピントがボケていた印象。これこそ、最後に「女性参政権の獲得」で〆ればぐっと盛り上がった気がするんだけども。
 そういう主張は意識せずに、純粋にヒロインの活躍を楽しめれば……と思えど、そうすると、ぶっ飛ばされる敵が「ドイツ軍の一般兵」というのは、要は「連合軍側の理屈が正義」で行動するわけなので、見ててあんまり気持ち良くないです(時代背景説明セリフがいっさい出てこなかったのは、敵をナチスと誤認させるためって気がするんだよねぇ)。もちろん、その違和感はきちんと拾うストーリーなのですが……。


エル
[60点]
@TOHOシネマズ川崎
 ポール・バーホーヴェン監督というと「スターシップ・トゥルーパーズ」を真っ先に思い出します。娯楽畑の人と思っていたんですが、すっかり老成したんだなぁ……と思わされる、文芸的作品。
 というか、(いきなりレイプシーンから始まるものの)文芸作品としても起伏に欠け、淡々と事実を並べていく構成の映画とはつゆも思っていませんでした。その意味でチョイ辛い作品ではあります。

 殺人犯の娘という出自を持ちながら、ゲーム会社の社長になるほどに人生を築いた女性の、人間関係が集まって離れて、様々なくびきから解放されていく物語。
 主人公は、仕事も友人関係も家族関係も近所づきあいもきちんとこなしつつ、その端々でどこか「壊れて」います。そんなキャラクター性だけで作品一本持たせるって並大抵のことではありません。……ていうか、おそらくは、バーホーヴェン監督の自己投影であり、「壊れ」ながらも作品を作り続けてきたんだろうなぁ……と推察。


ベイビー・ドライバー
[55点]
@新宿バルト9
 エドガー・ライト監督の新作、なのですが……。うーん……。
 「ドライブ」が思い出されます。主人公は天才的なドライバー。ツカミのカーチェイスはもう、「これ以上凄い映画ないんじゃないか」と思えるほどのデキなのに……それ以降、主人公のドライビングテクニックが十全に発揮されるシーンは二度と出てきません。信じらんねぇだろ?
 主人公の設定上、ほぼ常に音楽が流れている作品なので、「音楽映画」と思って見る方が、たぶん損はしません。80年代?の洋楽が好きな方はどうぞ。しかし個人的には、ノリのいいところと悪いところの落差が激しすぎ、ノリがいい部分のザクザク画面が切り替わる快感が強すぎて、ノリの悪い部分は、たぶん作り手の想定以上に退屈でセリフが冗長に感じられ、「不快」の域まで達します。
 でもって、「殺し」には顔をしかめるのに、その幇助と盗み傷害は平気な主人公とヒロインを、「きれいなもの」と描く倫理観の乖離(罪の自覚はあると描かれはするが)にも、僕は結局なじめなかったです。



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posted by アッシュ at 16:21| Comment(0) | 映画感想 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする