2017年08月03日

心が叫びたがってるんだ。(2017実写版)

[75点]@TOHOシネマズ新宿

 わりと早めに見ていたのですが、地上波放送されたアニメ版も再見しての感想。アニメ版の頃から実写で作るべき題材だと思っていましたが、当たりでした。
 アニメの方を高く評価しがちな当ブログですが、本作に限っては「実写>アニメ」。とはいえ、どちらも良いです。


○実写版の何がいいって、脚本の徹底したブラッシュアップ。アニメ版の感想で「『気持ちを言葉にすること』に徹底して突っ込んだ」と書き、とかく「言葉」の量がハンパなかったわけですが、実写版はその点でウザいところがありません。
 しかしちゃんと同じ内容になってる、それどころか、アニメ版でごちゃついたり勿体をつけた部分を、丁寧に解きほぐしてわかりやすくしており、理解がスムーズです。卵の妖精をオミットしたのはナイス判断。

 ただ、アニメ版の饒舌さこそがこの物語の本質、とも考えられ、そこを捨てて平板な青春群像劇にしてしまった、という見方もありそう。もともと起伏の浅いストーリーだけに、アニメ版を知らない人にはやや単調だったのでは? という印象もあるのですが、初見の方はどうだったのでしょう(てか、初見の方はあの「キャッチコピーでネタバレ」をどう思ったのか……全面的に「アニメ版見てるの前提」で作ってたのかもな……)
 また、タイトルの前後の時間経過に何の説明もないのはちょっとボーンヘッド過ぎて、序盤はどうなるかと思いましたぜ。

○アニメ版ではわちゃわちゃオーバーなボディランゲージをさせた部分を、芳根京子の演技力に全振りした点はやはり実写の良さ。
 →だからエンドロールの最初がなんで「中島健人」やねん、ちゅうの。
 →演技全振りなのに、なぜか容姿をアニメに寄せようとしすぎて髪型が変。あれじゃまるで太ってるのをごまかすAV女優じゃん?

○最近の実写では、主役級はキャラが立っててもサブキャラやモブが壊滅的で素人演技丸出し、というのがありがちですが、本作はそれがありません。野球部の山路くんの存在感がすごい。というか、野球部サブプロット全体に存在感が増してる。

○クライマックスのミュージカルシーン、アニメ版では過程にも内容にも、高校生にできるの? 的な不自然さがありますが、実写版にはあまりありません。むしろ、「田崎もっと真面目に踊れ!」みたいな生身ならではのリアリティがあって、親近感高いです。


 一長一短というか、アニメはアニメらしさ、実写は実写らしさを意識しているようで、どちらも良いので、比較して見るのオススメです。


 ……ところで、水瀬いのりはどこに出てたんでしょうか。



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2017年07月26日

怪盗グルーのミニオン大脱走

[80点]@ユナイテッドシネマアクアシティお台場

 月泥棒危機一髪ミニオンズ
 おなじみイルミネーションスタジオの最新作。今回は「泥棒を止めたグルーには実は泥棒志望の双子の弟がいて、ともに共通の敵に立ち向かう」……的な話、なんだけども。

 いやもう……今回の感想を一言で言うと、

 「中だるみが始まったと思ったらクライマックスだった」

 「危機一髪」に比べて断然面白く、テンポがいい。体感時間が短いのなんの。

 僕は、「伏線が収束していく」展開って大好きなのだけど、このシリーズに限っては例外。
 ストーリーと呼ぶべきものは、あるにはあり、例によってグルーと三姉妹の視点をまったく違えて進行していくのだけど、すこぶる浅いです。浅いので、もう「月泥棒」のような泣ける感覚はなく、「マーゴはこのままチョロインの道を歩むのか(笑」なんという反応くらいしか湧いてきません。

 しかして本作は、「ミニオンズ」同様、とにかくアホネタのラッシュラッシュ畳み込み。クライマックスに至って、話を畳もうとするがためにネタの勢いが止まり、中だるみに似た感覚を覚えるという。

 「大脱走」のシーンなんて、ストーリーにビタイチ関係しないのに面白いし、一方でグルーの方も、本シリーズ共通のネタである「敵アジト侵入」が、アホのドルーと二人三脚の展開にすることで寸断なく笑いを取る方向に作りこまれています。コントの原点とも言えそうなネタなのに、まだまだできるもんですねぇ。凄いわホント。


 声優陣のこと。松山ケンイチと生瀬勝久が「聞いても彼らとわからない」レベルのハマりぶり。すばらしかったです。芦田愛菜は相変わらずうまいけど、そろそろアグネスは卒業させてあげましょうよ。
 なので、主役夫婦の滑舌が悪いのがなんとも……。鶴瓶はもうアレが味なんでかまわないのですが、中島美嘉は切り捨てる勇気が必要だったんでは、と思います。ていうか、「続編が出て続投させなきゃいけないリスク」を、芸能人キャスティングする人たちによーっく考えていただきたい。

 ……あと、今回は宮野真守って何やってたっけ? ネタ枠でないのが残念だとても残念だ。



ミニオンズ (吹替版) -
ミニオンズ (吹替版)
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2017年07月20日

パワーレンジャー

[45点]@109シネマズ川崎

 本国アメリカではヒットしたものの、中国市場で大コケ、続編が作られるかは日本の興行成績にかかっている……てな話が伝わってきてるわけですが……。

 こりゃムリだよ。
 ポリコレに配慮されたキャラ配置、キャラ設定の根っ子にあるスクールカースト、とりあえず意味もなくカーチェイス、唐突なプロダクトプレイスメント、何やってんのか全くわからないCG戦闘、ひたすらグジグジ悩む主人公たちがヒーローとして活躍を始めるまでに1時間半! こんなの許容できるの、ハリウッドのお約束に理解のある&ヒーローのビギニングものがいつもこういうパターンになるって知ってるアメリカ人だけだって!

 ていうかさ、アメリカでもパワーレンジャーって子供向けの番組だべ? ディズニーアニメだったらもうエンドロールが始まる時間が経過してもまだパワーレンジャーが出てこない、この拷問みたいな内容にアメリカのキッズは耐えたの? 感心するわー……。
 そんで出てきたと思ったら、いちばん盛り上がる「パワーレンジャーのテーマ」が流れた時間が5秒あるかないか、とか馬鹿か?! どういう編集だよアレ!

 5体合体のシーンだけはちょっと面白かったけど、この映画全体に対しての相対的な良さとしか……歌舞伎の見栄が根底にある日本の特撮の方が、はるかにカッコよいキメかたを知ってると思います。つーか、「スーパー戦隊」輸出の中心人物たるプロデューサーのサバン氏がそこらへん一番わかってるはずなのに、どうしてこうなっちゃったんだ……?
 日本のコンテンツホルダーは自信を持って、「おれらのやり方の方が面白いんだ!」と主張しながら輸出すべき頃合いでしょう。


 109シネマズ川崎は吹き替え版のみだったけど、どうも字幕と吹き替えの公開数が館によってバラバラなのは、大人向けか子供向けかよくわかんないからでしょう。
 なお吹き替えは、ゲスト芸能人含めてほぼ問題なしでした。アレアレな勝地涼はともかく(笑、地雷かと思えた広瀬アリスが、平野文っぽい感じで意外に良かったです。

<追記>
うん、やっぱ本来はこうなんじゃないか! 映画だけなぜこうなった。



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2017年07月19日

銀魂 (2017実写版)

[65点]@109シネマズ川崎

 さて、これまで低予算をウリにして安いコメディを量産してきた、当たりはずれの甚だしい福田雄一監督に、待望のビッグバジェットが渡されての実写版「銀魂」です。
 アクションとVFXにめっちゃ金がかかってるようで、見目はすごくアップグレードされてるし、下手な尺引き延ばしや顔芸要素も薄くテンポよく進むので、面白いといえば面白いです、が。

 うーん……、これ、まるっきりアニメの「新訳紅桜編」じゃね?
 どこらへんがって、まずもってワーナーブラザーズのロゴ天丼」をやってる時点で、影響を受けてないなんて言わせねぇぞこの野郎、ってなもんで。

 もちろん、「銀魂」をネタにしておいて、「豪華なコスプレ大会」なんて批判が的外れなのはわかってます。が、キャラ再現性というだけでなく、構図とかデザインとか色彩とか演出の間の取り方とか、松陽先生の声が山寺宏一・定春の声が高橋美佳子とか橋本環奈が定春を呼ぶ時のイントネーションが釘宮理恵とか(いや、これはよかったんだけども)
 「原作」じゃなくて「アニメ」から、「リスペクト」を超えてまんま引っ張った「実写化」になってる気がするんですよね(当然サンライズに話は通ってるのでしょうが)。

 福田雄一オリジナル、といえるのは、序盤のメタネタを除けば、パロディ小ネタのみに見えました。それもシャアとかナウシカとか不発ばかりです。エリザベスをオバQネタでいじっても無価値ってわかってないのは致命的。今の若い人オバQ知らないよ! ドロンパもっと知らないよ!

 下手にいじって、オレサマ色に実写化されるよりはマシなんですけども。
 すでに型ができあがったアニメがあるこの作品に対し、「追従するしかない」って白旗揚げて安易に流れた感じがして、正直「福田作品」としてはデキの悪い部類に入ると思います。ビッグバジェットでも駄目なのか……面白い時と面白くない時の基準がホント見えんわこの人は。


 ただし、橋本環奈as神楽は絶品。ゲロインを再現してなお誇り咲く千年に一人のカワイさ、他のキャラが全部霞むレベル。もう一生チャイナでいてくれ!




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2017年07月18日

短評(ノゲラゼロ/ジョンウィック2)


ノーゲームノーライフ・ゼロ
[55点]
@TOHOシネマズ川崎
 うーん、「ロボットが人間性を得ていく」タイプの話を初めて見る中高生ターゲットには、新鮮な経験ができたろうよくできた話だと思いますが……もともと「異世界チート」の走りであり、それも知略戦で無双するタイプの話を劇場版化するにあたり、誰がこの鬱展開を望んでおったのか、ニーズをよく確認すべきだったんではと思います。


ジョン・ウィック : Chapter 2
[80点]
@TOHOシネマズみゆき座
 前作で「アクションはこだわりすぎて地味」と書いたわけですが。
 ……振り切れてキター! 最高!
 とにかく無茶ぶりと猪突猛進にもほどがある笑うしかないアクション、サイッコーに面白くご都合主義をブン回す主人公補正ぶり、「シューテム・アップ」かよ! 闇と光のコントラストも美しい……。
 「世界中の殺し屋に狙われる」シチュエーション、世界中というからにはもう少し人数が欲しかったとこだけど……その絞り込まれた中に「スモウアサシン」とか……おまえらアホやろ! いいぞもっとやれ。
 そしてそのライバルたちの頂点にいて颯爽と立ちはだかる手話ねーちゃんの、カッコカワイイのなんのってめっちゃゾクゾクした。ルビー・ローズって女優さん、トリプルXXXにも出てたらしいけど、覚えておこう。



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 ……そっちじゃありません。

xXx トリプルX:再起動 (字幕版) -
xXx トリプルX:再起動 (字幕版)
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2017年07月13日

ライフ

[65点]@109シネマズ川崎

 ……えー……いい意味でひどい映画でした。

 ゼロ・グラビティはやはり各所に衝撃を与えたのでしょう。しかしそこで、あの設定と映像技術で「エイリアン」撮ったらウケるんじゃね? と考えるのがハリウッドクオリティ。
 実際には、無重力移動がゼロ・グラビティほど自然に見えなくて、技術的に少し劣る印象を受けましたが、アバンタイトルのISS内から見る無重力長回しなどは、決して負けてないです。あるいは、地球外生命をなんとか目覚めさせようとする序盤のシークエンスは理系的にゾクゾクしたので、ずっとそれで行ってくれたらどんなによかったか。「地球外生命よ、めざめよ!」だけで十分映画になるはずなのに……。

 で、全体的にキャラクターの掘り下げが淡泊で、かつイベントもかなりのご都合主義なのでカルビンあっさり再侵入のシーンは、いつ分裂したの? とワケがわからなかった)、エイリアン展開が始まって以降は結局、高度な知性をもつキャラクターがリアルなテクノロジーに沿った行動を取る設定のはずなのに、頭の悪いやつらが右往左往するヒャッハーなパニックムービー仕様でまとまっていて、「そーゆーのが好きなんだろオマエラ?」といわんばかりの……まったくハリウッドってヤツはー!


 あと、真田広之が出演してるのに話題になってないんで、最初に死ぬようなチョイ役かなと思っていたら、ほぼ最後まで出ずっぱりの重要役だったので驚きました。逆に主役級にクレジットされてるライアン・レイノルズが、そのポジションでした。



ゼロ・グラビティ(字幕版) -
ゼロ・グラビティ(字幕版)
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2017年07月11日

メアリと魔女の花

[75点]@新宿ピカデリー

 面白かったです。
 正直、あからさまに「自然原理主義・反原発」な思想には鼻白むし、前半でかっちり描いた「大学」が後半影も形もなくすあたり、モチーフの多くは借り物に過ぎず、掘り下げが浅いのにバランスが悪く、完璧さや凄みにはほど遠いものです。
 しかしながら、構成力というか、物語の盛り上げ盛り下げのタイミングと、宮崎駿のくびきから解放されて(?)弾けるアクションパートがうまく、見ごたえがあります。前二作と比してここは段違い。

 それにもまして素晴らしいのは、これもう僕はアリエッティのころから絶賛してるわけですが、米林宏昌監督が宮崎監督に圧倒的に勝るのは、「女の子の描き方」。宮崎駿はなんだかんだで古い時代の人で、女性キャラクターを「作品世界の秩序に従うおとなしい存在」として描くことが多く、殻を破り新たな世界へ導くストーリーの場合、男性主人公が牽引しているように思えます(ナウシカ/サンはおとなしくはないが、強く「作品世界の破壊」を試みるクシャナ/烏帽子様が対峙するという点が興味深い)

 本作は明確に「女の子の冒険」であり、(ささやかな表現だし、個人的には「それを目指してはいけない」のですが)様々な体験を経た女の子が、自らの判断で、世界の枠を破壊して次のステージへ至ります。
 ラピュタの性別逆転版……というより、ディズニーの最近の女の子向け映画にもそんな方向性があって、「女性の自立」云々を語るまでもなく本作はそうした現代の潮流に乗っている印象があります。ジブリの継承者としてだけでなく、面白くて売れる「女性もの」を、米林監督が自らの持ち味を発揮しつつ目指した結果と考えていいんじゃないでしょうか。

 ……えぇ、だからそう、ポッピンQが「プリキュア卒業後の女の子」を狙うのなら、こういうとこ目指さなきゃいけなかったんだよ!



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2017年07月07日

忍びの国

[60点]@チネチッタ

 リアリティライン、て言葉があるじゃないですか。
 この作品は、「忍者」を、「土豪が統括する傭兵集団」という史実に近いかたちで描きつつ、人間離れしたアクションやスキルを駆使するフィクショナルな超人像も併せ持たせています。原作の和田竜氏か中村義洋監督かわかりませんが、非常にユニークで面白い線を引いたなぁと感心します。
 なのに。
 冒頭のツカミ、忍者同士の白兵戦から始まるんですこの作品。「真っ昼間」「白く見えるほど乾いた砂地」の「集団戦」で、忍者が全員、全身黒ずくめの忍者装束。

 ギャグまんがだよね?

 そういうふうにツカまれた僕の、本作に対する総評は、「笑えないギャグ映画」です。
 そこで「忍者の服装」ごときでひっかかったりしない方にとっては、……いや自分も、アレがせめてカーキか焦げ茶くらいのカラーリングであったなら、史実の天正伊賀の乱を、娯楽アクションへと換骨奪胎した見事な作品として評価できるのではないでしょうか。



映画「のぼうの城」【TBSオンデマンド】 -
映画「のぼうの城」【TBSオンデマンド】
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2017年07月03日

ジーサンズ -はじめての強盗-

[70点]@チネチッタ

 僕の好きなタイプの老人娯楽映画。マイケル・ケイン、モーガン・フリーマン、アラン・アーキンが強盗する話。
 動機が、「元勤め先が買収(実質倒産)、資産を銀行が押さえたために、年金の支給が停止された」なので、ラストベルトの悲惨な現況を表に出してくるかと思ったら、あるにはあるけど全然控え目。中盤以降はひたすらクライムコメディです。
 その割り切りが実に軽妙で面白いです。不要な情報がなく、すべて回収されます。巧みで気持ちよいオチを三段階くらいかぶせてくる、後味のいい作品。ラストシーンの出費の金の出どころを考えると、「年金以上の贅沢」してる感じで、探られるとかなりヤバいんじゃねぇかと思いますが、まぁ些細なことですかね。
 ただ、その割り切りには逆に弱みもあって、「クライム」の部分に老人が主役である必然性はあまりありません。ていうか70代には不可能でしょうアレ。「体を鍛えた」は免罪符にはならんよ、札束があまりにも軽すぎる……。

 ちょっと面白かったのが、スーパーの警備員が全員カラードなうえ、捜査に協力する見返りに「ばあちゃんが逮捕されたから釈放して」とか言い出す皮肉なシーン。警備員の身内が犯罪者なわけで、それでも社会が成り立っちゃうのはいいのか悪いのか?

 あと、1回だけ場違いなラップ調が入る以外、音楽がいかにも古き良き娯楽コメディ! って感じですごく良かったです。



RED/レッド(字幕版) -
RED/レッド(字幕版)
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2017年07月02日

短評(ヤマト2202-2/世界にひとつの金メダル/ドッグイートドッグ)


宇宙戦艦ヤマト2202 愛の戦士たち -第二章・発進編-
[65点]
@新宿ピカデリー
 面白かったし、ヤマトの発進はやっぱめちゃめちゃアガる、のだけども。
 群像劇としての演出がひどく雑で、ちょっとノリ切れない部分も多めです。また旧アニメを知ってる友人の言によると、2というのは「テレサの声に導かれた」以外の導入がなく、本作のここまでは「ほとんど全部辻褄合わせ」らしいです。
 ここからは、登場人物も固定されるはずだし、戦闘寄りになるのだろうから、も少し盛り上がると思いますが、さて。



世界にひとつの金メダル
[70点]
@恵比寿ガーデンシネマ
 久々のウマ映画。といっても馬術競技。フランスでは著名な金メダリストピエール・デュランと、騎乗馬ジャップルーの物語。
 事実ベースのせいかやや起伏も内容も浅い印象はあるものの、フランス映画らしからぬ傲慢でヤンチャな主人公(人馬ともに!)の成長が素直に好ましい作品です。
 何より、馬の飛越のモーションがとにかく美しい! そう思える時点でこの作品は価値があります。日本では馴染みの薄いジャンルですが、「銀の匙」あたりで興味を抱いた方は是非。



ドッグ・イート・ドッグ
[45点]
@ヒューマントラストシネマ渋谷
 タクシードライバーの脚本・ラストリベンジの監督の新作ですが……ニコケイをヤク中のクズに配して面白くない、って、ある種の才能でないの? 彼もウィレム・デフォーも、素でキレッキレのヤク中になりきってくれるだろうに、なんであんなありがちな画面効果かぶせるのさ。
 おそらく、「会話劇」として面白い原作&脚本だったのではと推察するけども、その映像化は、会話シーンをむしろ退屈にさせる妙な撮り方を繰り返し、結果として何も伝わってこないという、まさかアメリカ映画でコレみたいな不細工な感覚を味わうとは思わんかったよ!



銀の匙 Silver Spoon コミック 1-13巻セット (少年サンデーコミックス) -
銀の匙 Silver Spoon コミック 1-13巻セット (少年サンデーコミックス)
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2017年06月16日

怪物はささやく

[65点]@TOHOシネマズ川崎

 アメリカ・スペイン合作、スタッフの多くはスペイン人でイギリス文学ベストセラーの映画化、というよくわからない組み合わせ。
 リーアム・ニーソンがモーションキャプチャーでモンスター役を演じています。また、シガニー・ウィーバーがどこにでもいそうな「おばあちゃん」演じてるの、初めて見ました。時間は残酷よな……。

 内容的には、母の難病+少年の成長というプロットにおいては標準的、むしろ単純といってもよい何かだと思います。ラストシーンが中盤で読めます。標準が悪いわけではないですが、もっと面白く盛り上げる作品、いくらもありましょう。
 また、冒頭の展開がもろにコレで、主人公をケアしないのが「前提」になっている、学校の描写は正直不快。主人公が「罰を欲していた」のはわかるけど、なぜ「彼だけは殴っていい」ことになったのか?


 しかし映像の作り込みが素人目にも面白く、画面と演技だけで状況を丁寧に「読ませて」いくうまさがあって、飽きはきません。踏切の使い方とか、時計の曲面ガラスへの映り込みとか、記憶に残る印象的な映画と思います。
 とりわけ、二回差し挟まれるアニメーションパートがとても上質で美しい。あの絵だけで一本長編が見てみたいです。



96時間 (字幕版) -
96時間 (字幕版)
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2017年06月12日

ローガン

[55点]@ユナイテッドシネマズアクアシティお台場

 んー、いい映画と思うけど、僕はダメでした。
 だってさぁ。主人公が事態の理解をいっさい拒絶し、他のキャラはいっさい説明しようとしない状況が、開始からえんえん1時間くらい続くんだぜ? どんだけ観客を突き放すんだよ。
 それを過ぎると、説明のターンがあって物語の視界が一気に広がるのだけど、そこまでで僕はもう、完全に感情移入の扉を閉ざされた感じで、あとはずーっと他人事で遠巻きに見てました。

 また、ヒロインのローラは、「完全に社会から隔絶されていた」が前提のキャラで、だから社会や家族を知っていく過程が重要なポイントなのに、馬の遊具に乗るとか音楽聞くとか、そういうシーンを「置いているだけ」な不自然さ、わざとらしさを感じます。何より、「手をつなぐ」という超目玉シーンに伏線なしってアホすぎ。
 で、それっぽくイノセントなシーンを並べておいて最後に思いっきり業を背負わせるやり方は、「それがいい」という人もいるかもしれないけど僕は好きになれんです。



 例の邦題の問題は、僕は「ドリーム」というクッソ陳腐なメインタイトルの方にイラッとしてたので、改題されてより悪くなった気がしてます。ただ、時代背景から言ってキング牧師の演説が内容に噛んでくる可能性があるので、見るまではあまり dis らんでおこうと思います。



ウルヴァリン: SAMURAI  (字幕版) -
ウルヴァリン: SAMURAI (字幕版)
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2017年06月05日

短評(おじいちゃんはデブゴン/ゴールド)


 いつものゴニョゴニョから始めますってぇと、「天下りをあっせんしてた事務次官が、在職中からずっと買春三昧、かつそれが認知されても公表されず罪にも問われず退職、税金から退職金5000万円ご進呈」って、法的にも倫理的にも真っ黒で、取り繕いようのない行政の醜態。これこそ「内閣が二つ吹き飛ぶ爆弾」だと思うんですが、よくこの直撃をかわしたな安倍政権スゲー、ってのが率直な感想です。
 そんで、素人目にも信憑性皆無の怪文書をトップ記事にしてこれをアシストした朝日新聞て、チョー政府の犬(棒。


おじいちゃんはデブゴン
[60点]
@新宿武蔵野館
 このタイトルにして内容が重すぎ、スッキリもせず、国際色を出そうとして敵組織を3方面に分断したもんでくっちゃくちゃになったストーリーは、さすがに誉められたものではないのですが。

 一世を風靡したアクションスターが、今や手技しかまともに見せられない有様でも。シーンの終わりに息を切らせてばかりでも(アレ演技でなくてガチだよね……)。
 それでも、腹の肉で突きを滑らせて仕留めるとか、最後に決める大技が「全体重かけて背骨をへし折る」とか、やっぱりこれはサモ・ハンだからこそ、彼が老いてこそ作れた映画なわけで。
 何度か書いたけど、僕は高倉健や菅原文太に、老いてこそ作れるこんな風な映画をやってほしかったと、そう思わずにはいられないのです。


ゴールド -金塊の行方-
[65点]
@TOHOシネマズ川崎
 1995年に起きた Bre-X事件と呼ばれる投資詐欺の実話を元にした、探鉱師と投資会社、つまりは古き良き山師と現代の山師が、くんずほぐれつする狂騒曲。時代が1988年に変更されてるのは、「インターネット時代でないほうがいい」という判断?
 最後のオチが、完璧な伏線の回収で、ストーリー的には素晴らしくキマります。しかし、本作はどっちかというと、マシュー・マコノヒーの憑依系演技をひたすら楽しむタイプの作品で、彼にはどこまでもどこまでも 49er の流れを汲むアゲアゲな山師でいてほしかったなー、というのがホンネです。「ボーキサイトの鉱脈は、あるはずだけどまだ掘ってない」じゃん? 行かなくちゃさ!


燃えよデブゴン/正義への招待拳 [DVD] -
燃えよデブゴン/正義への招待拳 [DVD]


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2017年06月03日

バイオハザード ヴェンデッタ

[40点]@ユナイテッドシネマアクアシティお台場

 「もうない」って書いたはずの、3・4人で世界の運命ぶん回す日本産3Dアニメーション、キター! よもやここまでクッソつまんないとは!

 デキ以前の問題でさ。最初の1時間くらい、マジで「どっかで見たものの焼き直し」しかないのよ。あ、たぶん次こういう展開が来るなと思ったら、ホントそのままそうなるんだよ!
 ゲームの再現、っていう感じでもないし、クリエーターなら絶対意識してるはずの、「独自性」とか「新奇性」で客の目を引こうという思想が、きれいさっぱり抜けてるとしか思えないの!
 ゾンビ映画なんてさ、とりあえず作れば売れるってんで、登場人物少人数のパターナリズムで個々のシーンを無駄に長引かせて安価に作ろうと考えるわけで。グローバル化でインドでも作るワケでさ! ゾンビもののトップブランドを冠して、不気味の谷を越えようかっていう精密アニメーションで作る映画が、なんでワザワザそんな低いレベルでやんねんっていう!

 「結婚式」でやっと、「新しい」っぽく見えるシーンが出てきて、「NY襲撃」の展開がきてやっと、安い実写では撮れないなと思えるシーンが出てきます。でもそこがもうクライマックスで、かつ率直に言ってショボい。もっと盛り上がるやり方があったはず。
 ガンカタっぽい格闘シーンは良かったし、ラスボス粘り腰展開のあまりのバカバカしさに、「よし許す」とちょっとだけ思えたけど、僕ならプロデューサーをぶん殴ってでも、アレがツカミ、悪くとも中ボスの物語を考えるけどね!

 じゃああるべきラスボスはって? 「ゾンビ化した後でもワクチン投与で人間に戻れる設定」なら、どんな3流でも「レベッカ=ラスボス」をまず考えるでしょう。それでやっと「陳腐」と評せるレベルの作品だよコレ。
 ていうか、冒頭で「家族や友人を殺せるか?」って話をしているんだから、脚本家は絶対そういう葛藤のある展開を書いてたはず。でもたぶん「ラスボスはでかいワルでないとダメじゃね?」みたいな凡庸極まりない意見が通ってああなったんだ。

 これで娯楽になると思えるってどんな才能だ。この辻本某とかいう監督はどんな経歴を経れば映画一本任されるほどの立場になれたんだ? 過去作を調べてみ……あ、ごめん、もうノーコメントで……。



バイオハザード ダムネーション [DVD] -
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2017年05月30日

夜明け告げるルーのうた

[70点]@TOHOシネマズ新宿

 「夜は短し歩けよ乙女」に続く、湯浅政明監督の新作。

 面白かった、のですが。
 湯浅監督のポテンシャルを全部出した、というよりは、かの作風に、一般性のある背景や物語が乗るか? という壮大な実験作です。その答えは、「乗る」であり、喜ばしい作品でした。

 ただ、それゆえに犠牲になった部分も大きい気がします。湯浅監督らしいダイナミックなアニメーションが弾けるのは「ダンスシーン」なわけですが、「そこだけは弾けていいよという許可を得たので弾けている」感がハンパないのです。
 それはなんか、違うだろ、と。ブレーキかかってるんじゃないか、と。アバンタイトルに見せ場がなくて説明的で退屈で入り込めない、って、湯浅作品の構成としてはありえんミステイクではないかと。
 もう少し、こう、やっぱり言葉で表現しづらいんだけど、シームレスというか、ストーリーや緩急やアニメーションの触感を変えても一貫してダイナミックさを見せつける、って路線は譲ってほしくなかった。「夜は短し歩けよ乙女」はそれができていたのです。

 また、「一般性を意識した」と考えたとき、やっぱあの予告編はまずかったんではないでしょうか。湯浅政明のネームバリューを知らない一般層をかえって遠ざけた印象です。
 「見た目にポニョ」で二番煎じに見えてしまうのがつらい。コンセプトは全然違うのに。
 それに、「田舎の若者→閉塞感からの脱却」をメインプロットと思わせて客を呼ぶのは、今となっては「それだけで陳腐」のイメージがあり、難しいように思います。

 実際には、予告編ではほぼ出さなかった「常世思想」が物語の背景にあり、世代の連なりつまりは「親子愛」を泣かせどころにしているわけで。さまざまな親子の形と、その相互理解や行き違いが重層的に描かれ収束していく流れはお見事でした。
 ワン魚とかルーのとーちゃんとか、「子供に見せたい」タイプのアニメーションも多かったので、もっと「親子押し」で作りこみ&宣伝してくれたらよかったのに、と思うことしきり。

 ところで、とーちゃんってアレ、「最初からずっと」あそこに勤めてた、って認識で合ってるよね?



湯浅政明大全 Sketchbook for Animation Projects -
湯浅政明大全 Sketchbook for Animation Projects
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